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    新卒を育てるように実習生も育てる。塚田農場プラスが考える技能実習制度のあるべき姿とは

    目次

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    株式会社 塚田農場プラス

     代表取締役社長 森尾  太一 (モリオ タイチ)

    外食コンサルティング会社に勤務後、「外食の実業に関わりたい」と志し、2011年株式会社エー・ピーカンパニー入社。主に採用教育部門に従事。2015年7月より現職。

     

    新木場工場工場長 竹内  崇 (タケウチ タカシ)

    株式会社 塚田農場プラス 新木場工場 工場長 。

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     ↑右から、森尾社長、竹内工場長

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    ↑『夢創鶏チキンカツと塚だま出し巻きのお弁当』は日本食糧新聞社が主催する「ファベックス 惣菜・弁当グランプリ2019」の「駅弁・空弁部門」(全8部門)で、金賞を受賞しました。

    この高品質なお弁当を提供しているのは、株式会社エー・ピーカンパニーの100%子会社である、株式会社塚田農場プラスです。同社は強豪ひしめく中食業界において、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続けています。お弁当のこだわりは、宮崎県の池田英勝さんが代表を勤める株式会社英楽の独自ブランド、銘柄鶏「夢創鶏」をはじめとした、こだわりの食材と、美味しいだし巻き卵です。

    何とこのだし巻き卵は、一本一本丁寧に手作りで巻かれています。このお弁当を作る工場で、3年前から受け入れを開始したのが、外国人技能実習生です。今回は、同社が外国人技能実習生を受け入れるに至った経緯や現場の状況、人材の育成に込める想いなど、その辣腕で同社を急成長に導いた森尾社長と現場で実習生の教育を担当する新木場工場長の竹内氏にお話を伺いました。

     

    人材に投資するのは経営者として当然の話。外国籍人材を労働力として雇うのではなく、新卒を育てる意識で受け入れる。

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    -----技能実習生受け入れの経緯を教えてください。

    森尾氏:弊社のだし巻き卵は、素晴らしい食材を届けてくれる生産者にリスペクトを示すため、一本一本気持ちを込めて手作りで巻いています。これは日本の調理技術の結晶です。ただ、現実として感じているのは、食品工場では日本人の採用が本当に難しいということです。そんな折に、勤勉で、真面目で、器用なベトナム人を、食品調理、加工技能移転の一貫として雇用しないかというお話をいただきました。

    採用難ですのでメリットの多い話だと思うと同時に、他の多くの企業が失敗しているように、彼らを「コストを下げるため。」や、「労働力不足に対応するため」などという問題解決の方向性で雇用すると、弊社の強みであるクオリティや、信頼性に関して必ずリスクとなると考えました。

    だからこそ、受け入れにあたり、彼らを新卒を育てるように、長い目で見て丁寧に教育していこうと決めました。実際最初はなかなか指示が伝わらなかったり、文化的な違いに戸惑うことが多かったです。しかしマンツーマン教育などの丁寧な教育の結果、2年間の技能実習を終了した時点で、実習生たちは、弊社の調理加工技術をかなりのレベルまで習得しています。現在では工場の主要なポイントを実習生が担うなど我々にとっても欠かせない存在に成長しています。

    -----昨年12月に特定技能1号によってさらに5年間の就労が可能になりました。

    竹内氏:技能実習生は、3年で在留期間満了となります。3年間食品加工技術を磨き、欠かせない存在に成長した実習生が帰国してしまうのはやはり残念です。もし実習生達が延長を望み、かつ制度が許すのであれば、残ってもらいたいと思っていました。実は、弊社で現在受け入れている10名の技能実習生にどうしたいか尋ねると、その内9名は続けて日本にいたいと答えています(1名は家庭の都合により帰国)。特定技能に移行可能となれば、2期生やアルバイトの教育、マネジメントなど、より高いレベルでの活躍を期待しています。

    当然最初は想定外のトラブルもあった。

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    -----実際に外国人技能実習生を受け入れてみて、想定と違ったことはありますか。

    森尾氏:言葉ですかね。最初は想定していたよりも通じないということはありました。

    竹内氏:そうですね。全然指示したように動かないというか、動けないんです。言葉が分からないので。

    -----それはどのように教育改善をされましたか。

    竹内氏:禁止事項は写真にバツを書いたポスターを掲示したり、作業手順に関しては、番号を振った図で説明したりしています。そして実際に業務をゆっくり行いながら、徐々に要領を理解していただきます。

    -----最初は図示で言語のハードルを越えるのですね。

    竹内氏:ただし、イレギュラーなことや、一段階難しい技能を伝える場合には、マンツーマンで指導しています。

    -----トラブル等はありましたか?

    竹内氏:工場内でトラブルが生じたことはございません。しかし借りているアパートで騒いでしまったり、ベランダで母国の野菜を栽培して虫が出てしまったりして、大家さんから注意されたこともあります。

    -----そういったトラブルはどのように改善するのでしょうか?

    竹内氏:実習生を全員集めて、こういう話が来てるからやめましょうと、改善されるまで同じことを言い続けます。

    -----ダメなことはダメとはっきりと、理解されるまで伝え続けることが大切なのですね。関係性を良好に保つための工夫はされてらっしゃいますか?

    竹内氏:実は、社員と実習生は工夫せずとも自然に仲が良くなりました。寮に遊びに行ってご飯を一緒に食べたり、ボーリングに行ったりして、楽しくやっています。

    森尾氏: ベトナム料理を振る舞ったりもしてくれています。まかないが出るのにわざわざ持ってくるんですよ。

    竹内氏:誕生日会も行っているようです。その月に誕生日がある実習生がいると、社員数名と外食して祝うようです。当初は会社側が企画した懇親会を開催していましたが、その後、知らず知らずのうちに有志の誕生日会が始まっていたようです。

    -----なかなか実習生との関係性がうまくいかない企業もある中で、素晴らしいですね。

    竹内氏:指導で暴力を振るう企業のニュースを見ましたが、弊社では当然そういう指導は全くないです。仮に問題が生じたら、改善されるまで言い聞かせるのみですね。

    森尾氏:食品加工の特性上、最初から無理に難しい仕事を任せていないのもトラブルを回避できている理由の一つだと思います。未熟な人間に調理を任せるということに対しては、外国人、日本人に関係なく、衛生面の問題だったりクオリティの問題でリスクがあります。最初は社員ができるようになるまで指導して、できるようになれば、次は任せる。最初から難しいことをやらせて使えないとレッテルを貼ったり厳しく指導したりするわけではなく、教育は一歩一歩着実に進めていきます。

    -----徐々にステップアップさせていくことが大切なのですね。

    竹内氏:盛り込みのラインの中でさえ難易度が全く異なります。簡単なところから始まり徐々にステップアップします。調理場も最初は簡単なところから入り、徐々に火を使えるように成長していきます。

    -----大体3年でどのくらいのレベルに成長するのでしょうか?

    竹内氏:調理は普通にできるようになります。特に、だし巻き卵は一本一本丁寧に、素材の美味しさを損なわないように巻くことが価値である中で、徐々に上手に巻けるようになり、今では高いクオリティを出せるようになりました。

     

    なぜこの仕事をするのか、国籍に関係なく、目的を浸透させることで仕事のクオリティが上がる。

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    竹内氏:工場での指導では、弊社がなぜこれだけ手間暇をかけて作るのかという話も伝えるようにしています。

    -----手間というのは?

    森尾氏:弊社の工場は、一般のお弁当製造工場に比べて、手作りの工程が非常に多いです。普通、大量生産する場合はやらないような手間がかかった作業をやっている。生産者の顔が見える、こだわりの食材を使っていますので、調理の工程でそれを台無しにできないという想いがあります。食材にこだわるだけじゃなく、調理工程にもこだわっているんです。

    -----会社のミッションに「一次産業を活性化する」とありますね。

    森尾氏:生産者と直接繋がることで、中間流通が省かれて、安心安全でより良いものが消費者に適切な価格で届くようになります。そうすると一次産業の生産者の所得が上がります。それは生産者にも、我々売る側の人間にも、さらには消費者にも価値があることだと思います。六次産業化の理念が、微力ながら我々の力によって世の中に広まっていけば消費者にも敏感にこういった取り込みに共感していただけるはずです。素晴らしい価値を提供していけば必ず利益もついてくると信じています。

    ※六次産業化とは:農畜産物、水産物の生産(第一次産業)だけでなく、食品加工(第二次産業)、流通、販売(第三次産業)にも農業者が主体的かつ総合的に関わることによって、加工賃や流通マージンなどの今まで第二次・第三次産業の事業者が得ていた付加価値を、農業者自身が得ることによって農業を活性化させようという取り組み。

    -----素晴らしい取り組みですね。

    森尾氏:「一次産業を活性化させる。」こういう大きな目的があって、そのためにこの仕事をしているとなると、仕事のクオリティが変わります。社員には日本人も外国人も関係なく、仕事の前提となるこのような想いを必ず伝えるようにしています。

    -----他の中食会社は、工場を海外移転する企業が多いと思いますが。

    森尾氏:海外で加工されたものも使ってはいますけど、そこでコスト削減をするという考え方はあまりありません。中食のマーケットでは、大量製造に向けていかに手間をかけないかや、いかに効率化するかということが当たり前です。しかし、せっかく素晴らしい食材を使用しているのに、大量調理すると味が落ちてしまう。それは、誇りを持って食材を作っていらっしゃる生産者の方々に対して、非常に失礼なことだと思います。そこであえて手間をかけ、食材の良さを損なわずに、逆に引き立てて、消費者に届ける。そこは追求していこうと思っています。

    外国籍人材の雇用は活性化されていくべきだし、そのためには受け入れ側の意識改革が必要。

    -----今後の外国籍人材雇用についてのお考えをお聞かせください。

    森尾氏:弊社でいいますと、実習生からリーダーが出てきて欲しいです。というのも、今年2期生を受け入れるのですが、1期生が2期生に、3年間で培った技能や理念を教えるということで全体がさらに成長すると思うからです。主体的に成長を続ける組織にできればと思っています。

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    -----法制度についてはどうお考えですか。

    森尾氏:個人的にはもっと法を整備して、日本で働きたい外国籍人材の雇用を活性化するべきだと思っています。高齢化が進んで労働力が減少してきている中で、もっと活性化していかないと成り立たなくなってくる事業がたくさんあります。食品工場ももちろんそうです。僕らも今では重要な仕事を実習生にお願いして、日本人にやらせるよりも丁寧で良い仕事をしてくれることもある。少なくとも弊社は彼らがいないと成り立たなくなってきています。

    -----新卒を育てるように丁寧に教育した結果ですね。

    森尾氏:様々な場所で議論されていますが、単なる労働力という考え方は全くありません。そういう考え方で受け入れている方々も世の中にたくさんいらっしゃると思いますが、結局その姿勢が様々な問題につながり、悲劇的なニュースになる。単なる低賃金の労働力という誤った認識を早く改めて、彼らの文化やビジョンなど、そういう部分を含めて大切な社員の一人として受け入れる。そしてしっかりと彼らに投資する。丁寧に教育する。私は受け入れ企業側の意識改革を進め、もっと前向きに外国籍人材の雇用を活性化していくことがあるべき姿だと思っています。

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    -----貴重なお話ありがとうございました!

     
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    福島県内の高校卒業後、東北大学に入学。在学中は硬式野球部に所属。英語学、心理学、英語教育学を専攻。卒業後は社会を構成する『ヒト・モノ・カネ・情報』が遍在することで生じる歪み(社会問題)をビジネスを通して適正化するというミッションに共感しリフト株式会社に入社。