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    特定技能試験の受験資格が拡大!?

    目次

    令和元年12月20日に行われた、「外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議」で、

    原則として「中長期在留者」(簡単に言うと在留カードを持っている方)のみと制限されていた特定技能試験を、「短期滞在」で日本に来日している方も受験できるように変更することが承認されました。

    ※令和2年2月からの運用となりそうです。

    「短期滞在」とは観光やビジネス目的で、90日以内での滞在が可能な資格です。

    今回の決定により、技能試験が行われない国の出身の方でも日本で「特定技能試験」の受験が可能になります。

    本記事ではこの決定の背景を解説します!

    ※特定技能試験、短期滞在についてはそれぞれ下のページで詳しく解説しております。

    在留資格「特定技能」の「技能評価試験・日本語試験」とは?

    短期滞在ビザ(観光ビザ)の外国人は「採用」の候補者になりうるのか?

    特定技能試験の受験資格が拡大される背景とは?

    結論から言うと、①特定技能外国人の受け入れの進みが悪いことと、②海外での試験実施が進んでいないことが挙げられます。それぞれ詳しく見て行きます。

    ①特定技能外国人の受け入れの進みが悪い。

    ↑出典:特定技能制度の運用状況について

    上記は、11月末日までに1号特定技能の在留資格を取得された方合計です。

    在留資格認定証明書交付(海外から日本に来日する特定技能外国人)が675件、在留資格変更許可(国内で技能実習生 or 留学生から特定技能に変更した外国人)が676件で併せて1351件となっています。

    また、業界別に許可された人数を見ると、下記の表のようになっております。

    分野

    人数

    介護

    19

    ビルクリーニング

    12

    素形材産業

    143

    産業機械製造業

    151

    電気・電子情報関連産業

    31

    建設

    59

    造船・舶用工業

    32

    自動車整備

    8

    航空

    0

    宿泊

    13

    農業

    169

    漁業

    8

    飲食料品製造業

    303

    外食業

    71


    初年度受け入れ見込みが32800〜47550とされていたことを考えると、現状の進捗率は目標の4%という、極めて低い数字となっています。

    流石に政府も焦りますよね。

    ②海外での試験実施が進んでいない

    下表は、試験実施国及び実施予定国に関する一覧表です。この表から見て取れるように、実施国が非常に少ないです。少しでも、試験の受験者と合格者数を増やすために、今回の緩和措置が取られたと考えられます。

    業種

    2019年11月末までの実施国

    2019年12月以降実施予定国

    介護

    フィリピン

    左同

    カンボジア

    インドネシア

    ネパール

    モンゴル

    日本国内

    ビルクリーニング

    日本国内

    ミャンマー

    日本国内

    造船・舶用工業

    フィリピン

    自動車整備

    フィリピン

    航空(空港グランドハンドリング)

    フィリピン

    日本国内

    航空(航空機整備)

    モンゴル

    宿泊

    ミャンマー

    日本国内

    日本国内

    農業

    フィリピン

    左同

    飲食料品製造業

    日本国内

    左同

    フィリピン

    外食業

    フィリピン

    フィリピン

    日本国

    カンボジア

     

    日本国内

    建設業

     

     

    ベトナム

    インドネシア

    ※記載のない素形材産業・産業機械製造業 ・ 電気・電子情報関連産業・漁業は未定

    ※ちなみに、11月末時点の統計によると、技能試験の合格者数は3322人にとどまっています。

    受験資格が緩和されても審査の簡略化が進まないとインパクトが小さい?

    今回の緩和によって、国内での受験者には新たに下の3パターンが加わります。

    ①日本に旅行あるいはビジネス目的で来日した方が、ついでに受けておく。

    まず一つ目が、短期滞在の従来の趣旨通り、旅行あるいはビジネス目的で来日された方が、将来的に日本で働く可能性も考えて受験しておくというパターンです。特に大卒程度の学歴のある方であれば、「特定技能」は「滑り止め」のような捉え方をされていますので、日本に将来働きに行く際に、「技術・人文知識・国際業務」(永住権への道が確立されている最もポピュラーな在留資格)で働ける会社に受からない、あるいは、在留資格該当性の不一致で資格がおりない場合に備えて、受けておくという場合です。

    自分で書いておいてなんではありますが、ここまで戦略的に考えている方は少ないかもしれません。

    ②企業が採用したい外国人を受験のために招聘する。

    考えられる受験者パターンの2つ目が、企業が将来採用予定の外国人を受験のために招聘するパターンです。企業が渡航費を持つことになりますが、そんなことができるのは極々少数の企業でしょう。

    ③将来「特定技能」の資格で働くために、試験の受験目的で来日する。

    これもあまりなさそうです。渡航費用、滞在費用を自己資金で賄えるだけの金銭的余裕のある人はそもそも特定技能の資格で働きたいと考えるとは思えないからです。また、受け入れ企業が決まっていない状態で多額の費用を払ってまで日本に受験に来るのはいささかリスキーに感じます。

    以上、考えてみると、短期滞在による国内受験スキームが使える外国人は日本企業のパトロンを捕まえた方(②)に限られて来そうです。

    果たしてどれくらいインパクトがあるのか。。。

    受験資格緩和と対照的な「留学」ビザの在留資格審査厳格化

    ここまで紹介した、技能試験の緩和と対照的なのが留学生の在留資格審査の厳格化です。

    「外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議」で、次の文言が承認されています。

    留学生の在籍管理が不適正な大学等に対する、留学生の受入れを認めない等の在留資格審査の厳格化。

    出典:外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策(改定)の概要

    簡単に言うと、「出稼ぎ留学生アルバイト」の規制をかなり強化しようとしています。

    実際に、先日お話させていただいた人事担当者様は、

    これまで活躍してもらっていた、専門学生の外国人アルバイトスタッフが軒並み在留資格更新ができなくなり、人手不足が深刻化してしまった。」

    とおっしゃっていました。

    出稼ぎ外国人の学費で成り立っていた日本語学校も続々と潰れています。これまで出稼ぎ外国人アルバイトを雇用していた企業は今後「特定技能」で働く外国人を雇用してくださいね。という政府からの明確なメッセージでしょう。

    まとめ

    本記事で抑えていただきたいのは、下記の2点です。

    ①特定技能試験の受験資格が「短期滞在」ビザの方まで拡大されたが、どれだけのインパクトがあるのか読めない。

    ②留学生アルバイトで現場を回している企業は、母数が少なくなることを覚悟し、「特定技能」外国人の受け入れ準備を進めるべき。

    リフト株式会社からのお知らせ

    弊社は登録支援機関として、労働関連法規に精通した元監理団体職員社員、外国人雇用に精通した行政書士、社労士のパートナーの知見を元に、特定技能の安心・安全な運用をサポートしております。特定技能外国人の支援委託に関しましてご質問等ございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせくださいませ。

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    マーケティング部

    福島県内の高校卒業後、東北大学に入学。在学中は硬式野球部に所属。英語学、心理学、英語教育学を専攻。卒業後は社会を構成する『ヒト・モノ・カネ・情報』が遍在することで生じる歪み(社会問題)をビジネスを通して適正化するというミッションに共感しリフト株式会社に入社。現在はマーケティングを担当。