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2号技能実習生は脱退一時金を申請すべき?

目次

「自社の2号技能実習生から脱退一時金について相談されたんだけど、どうアドバイスすればいいの?」

「特定技能に移行するか3号技能実習に移行するかでベストアクションは変わるの?」

自社で受け入れている2号技能実習生から相談を受けるも、アドバイスが難しいのが、この脱退一時金をどうするかですよね。

結論、ケースバイケースです。

よって、今回は2号技能実習生が取れる5つの選択肢毎に、すべき選択とその理由をご紹介します

本記事が少しでも技能実習生、特定技能外国人担当者様のお役に立ちましたら幸いです。

前提知識1:そもそも脱退一時金とは?

簡単にいうと、支払った年金保険料を返してもらえる制度のことです。

外国籍の方が、国民年金又は厚生年金を脱退して日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内にこの脱退一時金の申請をすると受給することができます。

問題はその算出方法にあります。以下は日本年金機構からの引用です。

(1)被保険者であった期間の平均標準報酬額 ×(2)支給率

(1)被保険者期間であった期間における平均標準報酬額は以下の A+Bを合算した額を、全体の被保険者期間の月数で除して得た額をいいます。

 A 平成15年4月より前の被保険者期間の標準報酬月額に1.3を乗じた額
 B 平成15年4月以後の被保険者期間の標準報酬月額および標準賞与額を合算した額

(2)支給率とは、最終月(資格喪失した日の属する月の前月)の属する年の前年10月の(最終月が1~8月であれば、前々年10月の保険料率)保険料率に2分の1を乗じた保険料率に以下の表の数を掛けたものをいいます。

被保険者期間

掛ける数

6月以上12月未満

6

12月以上18月未満

12

18月以上24月未満

18

24月以上30月未満

24

30月以上36月未満

30

36月以上

36

出典:短期在留外国人の脱退一時金

 

引用のアンダーラインを引いたところをご覧ください。

36月以上、つまり3年以上の月に支払った厚生年金保険料については脱退一時金として支給されません。

2号技能実習生を修了すると3年間日本で働くことになりますから、それ以降、継続して日本で働く場合に支払った保険料は返ってこないのです。

※保険料率に2分の1を乗ずるのは、厚生年金保険料を該当の外国人と企業の折半で支払っているためです。

前提知識2:所得税の還付を外国人一人で行うのは難しい?

厚生年金の脱退一時金はその総額の20%を所得税として源泉徴収されます。

が、確定申告をすることで支払った所得税の還付を受けることはできます。

ただし、その際に還付金を受け取れるのは日本の銀行口座のみであり、申請方法もややこしいため、結局、申請人である外国人が日本人の専門家に代行手数料を支払って還付してもらうような事態になっています。

前提知識3:老齢年金の支給に必要な加入年数は?

ここまでお読みいただいた読者様の中には、

「えっ、そもそも、将来恩恵を受ける可能性が低いのに、技能実習生は厚生年金保険料や税金を支払う必要があるの?」

そのように思われた方もいらっしゃると思います。確かに厳しいものがあったと思います。

ただ、2017年に老齢年金の受給資格期間が25年間から10年間に変更され、さらに「3号技能実習」と「特定技能」の施行によって、老齢年金を受給できる道が拓けました。

本題:2号技能実習生が脱退一時金申請すべきか否か?

結論からいうと、

本人が10年以上日本で働くことを望んでいて、かつ担っている業務に10年在留の道が残されているなら、脱退一時金申請をせず、老齢年金の道を残した方が良いです。

逆に上記の場合以外であれば脱退一時金の給付申請をした方が良いです。

その理由は、

脱退一時金の給付申請をすると、年金資格期間がリセットされるからです。

考えてみれば当たり前のことなんですが、例えば、2号技能実習生から3号技能実習生に移行する際に一度、脱退一時金申請をすると、そこで3年間分の年金資格期間が一度リセットされ、老齢年金資格を得るには、再来日から更に10年間の年金保険料支払い期間が必要になります。

2号技能実習生の5つの選択肢

以上を踏まえた上で、2号技能実習生の取れる5つの選択肢についてそれぞれ個別にすべきアドバイスをご紹介いたします。

①2号技能実習修了後帰国し、以後母国で暮らす。

この場合、間違いなく脱退一時金を申請した方が良いです。理由は説明するまでもありませんね。

②2号技能実習から1号特定技能に移行し、最大5年働いた後帰国する。

この場合、老齢年金の資格に到達しないため、1度帰国し、脱退一時金を受け取った後に1号特定技能として再来日すると、1号特定技能修了時に再度、脱退一時金を受給することができます。

ただし、ここで注意しなければならないのが、脱退一時金の取得要件が日本から海外へ転出することなので、1号特定技能で再来日をする際に、送り出し機関に対して送り出し手数料と教育費を20〜30万円程度支払わなくてはならなくなるということです。

日本国内で2号技能実習から1号特定技能に「変更」するのであればそういった費用はかかりません。

受給できる脱退一時金の額を計算してみて、上記の手数料とさほど変わらないのであれば、苦労損ですから帰国せずに国内変更した方が良いです。

③2号技能実習から1号特定技能に移行し、さらに2号特定技能に移行する。

この場合はほぼ間違いなく老齢年金が受給できるため、脱退一時金の申請はしない方がお得です。

④2号技能実習から3号技能実習に移行し、その修了後に帰国、以後母国で暮らす。

この場合には脱退一時金を申請すべきです。2号修了で3年分、3号修了で更に2年分の脱退一時金を受給することができます。これについては入管からも推奨されています。以下は入管発表の書類からの引用です。

↑出典:技能実習生の厚生年金保険への加入手続きのお願い

⑤2号から3号に移行し、さらに1号特定技能に移行して5年働く。

この場合もほぼ間違いなく老齢年金が受給できるため、脱退一時金の申請はしない方がお得です。

番外編:留学生から特定技能に移行する場合には?

例えば2年間の専門学校を修了した外国人が外食業の1号特定技能で働く場合には、現状のところトータルで7年までしか在留できないです。

外食業分野において、2号特定技能が解禁されない限り、その方は在留7年で帰国し、支払った4年間分の厚生年金保険は帰ってこないことになります。

まとめ

今回は2号技能実習生の脱退一時金について、その2号技能実習生のライフプラン、そして日本の法制度という外部環境によって企業がするべきアドバイスの違いについて説明いたしました。

少しでも参考になる内容がありましたら幸いです。

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関根謙志郎

マーケティング部

福島県内の高校卒業後、東北大学に入学。在学中は硬式野球部に所属。英語学、心理学、英語教育学を専攻。卒業後は社会を構成する『ヒト・モノ・カネ・情報』が遍在することで生じる歪み(社会問題)をビジネスを通して適正化するというミッションに共感しリフト株式会社に入社。現在はマーケティングを担当。