更新日:2021/08/03
目次
「技能実習生の携帯契約って法人契約の方がいいの?」
「別に個人契約でもいいんだよね?」
結論から申しますと、仕事の連絡に携帯(スマホ)が必要なければ、個人の自由に任せるスタンスで問題ありません。
が、可能であれば、会社側が契約内容などを確認することをおすすめします。
なぜなら、技能実習生の携帯契約でトラブルが多発しているからです。
今回は、技能実習生の携帯契約事情ついて、現役の監理団体職員である知人に携帯契約の実際とよくあるトラブルについて教えていただきました。
本記事で技能実習生の携帯契約事情についてご理解いただき、未然にトラブルを回避していただければ幸いです。
▶︎トラブル事例をまとめた記事はこちら
※以下監理団体さんのお言葉を借りて記述いたします。
技能実習生の携帯は法人契約?それとも個人契約?
結論から言うと、厳密な決まりはありません。
職務上携帯を使用して連絡をする必要が無い企業であれば、技能実習生に携帯を準備する必要はありません。
その場合、必要であれば個人で契約して用意することにしている企業が多いです。
*連絡を取るためのWifi環境設備はマストです。
一方職務上連絡を取るために携帯が必要な会社の多くは法人契約で、スマホとSim、あるいはSimカードのみを用意しています。
寮で使えるWifiを用意しておけば、特に外出中に使用することが無いという方もいらっしゃいます。
問題は、最近個人契約によるトラブルが増えていることです。
技能実習生の携帯契約に関するトラブル2選
最近起こった携帯の契約関連のトラブルを2つご紹介します。
ケース1:半年未納によって寮に取り立てが!
ある技能実習受入企業さんのお話です。
この企業さんは朝1度会社に集合し、その後全員で仕事場に移動するため、携帯でのコミュニケーションが必要ありませんでした。
よって多くの企業と同様に、社用携帯は準備していませんでした。
※寮にはWifiが自由に使えるように法人契約で企業側が準備していましたので、家でベトナム本国の家族と連絡を取り合うことはできていました。
技能実習生のAさんは、プライベートの時間に外出先で使用するSimカードが必要だということで、個人でキャリア契約をしました。
Aさんがキャリア契約をしてから半年経ったある日、突然裁判所からAさん宛ての訴状が届きました。驚いた日本人社員はAさんから状況を確認しました。
すると、請求書は届いていて、電話もできなくなっていたけど、別に寮にWifiがあれば生活できるから問題ないし、友達もみんな通信会社には支払いをしていなかったから大丈夫だろうとたかを括っていたというのです。
結果、延滞料込みで30万円という大金に膨れていました。
日本人社員は監理団体と相談し、このままだと、給与差し押さえになりAさんの生活が苦しくなるので、分割払いで少しずつ返していくという流れにすることに通信会社側と擦り合わせをして、なんとか問題を解決することができました。
Aさんは、
「こんな大ごとになると思わなかった。」
と言っていました。
同様のケースが多くの受入企業で生じているようです。
ここで、
「なぜ、会社や監理団体がお金を建て替えてやらないんだ?」
と思った方もいらっしゃると思います。
それは、お金を貸した技能実習生の失踪リスクがあるためです。
信頼関係に基づいて受入を進めたいところですが、残念ながらそういったリスクはゼロではないため、お金の建て替えはしないという判断になりました。
ケース2:SNSでブローカーに騙され、80万の負債を追うことに。。。
もう一つも、法人契約でSimカードを準備する必要がなく、寮のWifiだけで、後は技能実習生個人の裁量に任せられていたケースです。
ある技能実習生Bさんは、FaceBookで知り合った、一度も会ったこともないベトナム人からIphoneを無料でもらえるというオファーをもらいました。
Bさんは怪しいと思いつつも、Iphoneが欲しかったので、翌週その人間と一緒に某大手通信会社のショップに行きました。
Bさんは全く日本語が分からないので、何を話しているかあまりよく分かりませんでしたが、しばらくすると本当にSimカード付きのIphoneを2台ももらえることになりました。
その後Bさんは無料だと信じて使っていました。
するとある日突然、Iphoneをくれた人間から、
「Simカードだけ、5万円で買い取っていいですか?」
と連絡がきました。寮ではWifiで使えるし、Simカードを使って外で通信することもほとんどなかったため、5万円でその人間にSimカードを売ってしまいました。
※携帯電話不正利用防止法でそもそもSimカードの売買は禁止されています。
それから3ヶ月が過ぎたある日、突然80万円の請求書と支払わなければ裁判をするという連絡が弁護士から届きました。
驚いたBさんは日本人社員に事の事情を伝えると、携帯をもらった日から携帯本体代金、月額通信量、d払いの代金全て支払っていなかったことが分かりました。
ここからは、ケース1と同様な流れです。監理団体職員と通訳が技能実習生と弁護士の間に入って分割払いで少しずつ返済して行くことになり、Bさんは今少しずつ支払いを進めています。
トラブルの本質はベトナムと日本の文化の違いにある。
トラブルの本質はベトナムと日本の文化の違いにあります。まず、ベトナムではSimカードはプリペイド式であり、日本のような契約文化ではありません。
そしてSimカードの売買もベトナムでは当たり前です。Amazonカードのように、コンビニで数GBのSimカードが売られています。その数GBを使い切ったらSimは捨ててしまうので、さほど重要なものだという認識がありません。
こういった文化的背景から、技能実習生AさんとBさんは問題を放置してしまったと考えられます。
トラブルを防ぐために企業にできること。
監理団体や送出機関でも日本の携帯文化については一度注意がされますが、企業においても念押しで注意をする必要があります。
特に、Simカードは一度契約すると、解約するまで毎月通信料を支払わなくてはならないことと、SNSで簡単に知らない人を信用してはならないことを教えてください。
SNSに関しては、失踪者や留学生のグループによる悪質な詐欺が頻発しています。
中でも、携帯電話を使ったトラブル事例が私どもにもたくさん報告が上がりますので注意しましょう。
また、可能であれば、技能実習生がプライベートでのSimカード利用を希望している場合、その契約を法人契約にするか、契約時に立会いをするなど、会社側でも管理できる体制を築くことをおすすめします。
まとめ
今回の重要な点は、2つです。
・ベトナムと日本ではSimカードの文化が異なるため、ベトナム人技能実習生はキャリアと契約して毎月通信料を支払うということに慣れていない可能性が高いこと。
・携帯やSNSのトラブルを回避するために、可能であれば、会社側が契約内容などを確認することをおすすめします。
今回は以上です。本記事が少しでも、貴社の技能実習生受入のお役に立てれば幸いです。