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更新日:2021/04/13

目次

岩井工機ロゴ
岩井工機

代表取締役社長 岩井 充

1969年設立の千葉県君津市に社を構えるプラント製品や精密機器などの加工を専門に行う機械加工メーカー。2016年に技能実習制度の活用を開始し、現在では男性4名、女性2名のベトナム人技能実習生を受け入れている。

株式会社岩井工機ホームページはこちらから

(株式会社岩井工機代表取締役岩井充氏)

昨年、技能実習生受け入れのモデルケースとして株式会社岩井工機さんの事例をご紹介いたしました。

実は、同社代表取締役の岩井允氏は、もう1つ、千葉県富津市の障害者総合支援協議会就労支援部会長という顔を持っていらっしゃいます。

本記事は同氏の「会社や職場で出会う、配慮を必要とする人への接し方」をテーマとしたセミナーレポートです。

今回「配慮を必要とする人」として主に想定されているのは「障がいのある方」でしたが、

「突き詰めていくと企業にとって「職場で配慮を必要とする人」とは、全社員である。」

という岩井社長のお話は、日系企業と外国籍人材の適切なマッチングを通し、”Diversity & Inclusion”を実現を目指す私たちにとって、非常に示唆に富んだものでした。この感動を少しでもシェアできればと思います。

企業として「障がいのある方」と共に働く。

(セミナー用資料より抜粋)

富津市障害者総合支援協議会就労支援部会長をやられてる岩井社長ですが、そもそものきっかけは、社長を務める株式会社岩井工機で「障がいのある方」を雇用されていたことです。現在も同社では、施設外訓練生3名を含め8名の「障害のある方」を雇用しています。

今回のセミナーで同氏は、身体障害者手帳1級を取得した方、精神障害者手帳3級を取得した方、施設外訓練生の3つのケースにおいて、どのように共に働いているかを経営者という立場から説明されました。

一般社員からの反発には、地道に対話を続けること

(セミナー用資料より抜粋)

まず、身体障害者手帳1級を取得された方については、同氏が、社長に就任された当初から株式会社岩井工機で就労されており、実際に現場の仕事に従事されていました。岩井社長から見ると、

「重いものが持てない、起立保持ができないなど現場作業に従事するには明らかに危険だが、ご本人には自覚もなく、それでもミスは頻発してしまい周囲との壁もできてしまうという状況

でした。結果として、同氏の働きかけによりで、障害者手帳や障害者年金の申請、配置転換(現場作業からデスクワーク)、ハード・ソフト両面での職場環境の整備という方向に進んでいくのですが、そこに至るまでには様々な困難がありました。自身が、社長に就任したばかりで、全体的に従業員の方から、まだ信頼を勝ち得ていない状況だったため、上記のような取り組みをするにも不信感、不安感を持たれて、反発を喰らってしまったのです。

しかし、反発に怯んでいては何も変わらないと、まず社長が取り組まれたことは、話し合いの場を設け、地道に対話を続けること。そして社員の方が持っている不安を取り除くことです。

なんともシンプルですが、こと人材に関することについては、新奇なツールを導入すれば解決するというものではなく、あくまでも人と人との関係性をしっかりと築いていくことが大前提なのではないかと身につまされました。

明確な目的に基づき、それを実現するためのツールを導入

(セミナー用資料より抜粋)

第2のケースとしてお話に挙がったのは、精神障害者手帳3級を取得された方です。

入社3年までは通常通り業務を続けられていましたが、徐々に遅刻、休みがちになってしまわれたそうです。その方の仕事ぶりは、ミスもなく丁寧ということで、岩井社長としても是非仕事を続けて欲しいという気持ちで、傷病手当金も申請されましたが、期間満了になっても復帰できずという状況でした。

このケースでは、在宅勤務という仕組みを導入することで共に働き続けることを実現されました。

この仕組みは、対象となる方に在宅勤務を認めて完了!ではなく、その方が在宅勤務をしても周囲と連携を取れるようにに本社、工場、在宅それぞれの情報(日報、見積書、図面など)を共有することで初めて上手く稼働するものです。その為にLINE WORKSや生産管理システムなどのツールをフル活用をされているのですが、個人的には、あくまでも目的が明確にあり、それを実現するためのツールというのが徹底されているというのが素晴らしい点と感じました。

成長したベトナム人技能実習生が作業のアドバイスを送る現場

(セミナー用資料より抜粋)

そして最後に施設外訓練生3名についてです。

業務としては、書類のデータ化や製品の面取り、バリ取り加工に従事されているとのこと。ここでは何とベトナム人技能実習生も作業のアドバイスを送っている取り組みなどをご紹介いただき、正に協働が実現されていてる現場の最前線という感を受けました!この施設外訓練生受入れの成功のポイントは、安全配慮のマニュアル化が成功したこと、指導をしてくれ指導員の方の存在が挙げられていました。

意義のある仕事をやってもらっているという意識。

(講演の様子)

具体的な事例から感じた重要なポイントは下記の2点です。

自社で働く人全員を尊重し関係性を築いていくという社長の姿勢

「障がいのある方」に仕方なく業務を振るのではなく、その方の特性に合わせた業務を企業活動の中に見つけ出し、意義のある活動に皆が従事できる環境を作ること

株式会社岩井工機では具体的な施策として、建屋のバリアフリー化、各種作業効率化のためのツール導入、それこそ障害者年金や障害者手帳の申請など様々なことに岩井社長自ら先陣を切って取り組まれております。もちろん、そういったハード面の改良は必要不可欠なものですが、何よりも、その前提となる姿勢、意識の部分が同社の強みなのではないかと思います。

なぜ、自社で働く人を尊重し、関係性を築いていく社長の姿勢が大切なのか?

まず、①そこで働く人を尊重し関係性を築いていくことですが、これは、「障がいのある方」や「外国籍人材」だけでなく、受入れ側の日本人従業員も含めた全ての従業員をそれぞれ尊重し、共に働けるよう双方向の関係を築いていくということです。外国籍人材の受入れでもそうですが、

「外国籍人材にのみ過度な配慮をした結果、不公平感が生じ受入れ側である日本人従業員が負担ばかり感じるようになり結果的に失敗に終わる。」

という例が多々見受けられます。そもそも、ある特定の集団を一括りにして特別扱いしてしまうと、「受入れ側」と「受入れられる側」という壁が出来てしまい企業組織として最高のパフォーマンスを発揮できる状態とは程遠くなってしまうものです。岩井社長は、「職場で配慮を必要とする人」を全社員として意識されることで、本当の意味で社員全員が尊重され、良い関係で繋がった組織の構築を実現されているのではないでしょうか。

なぜ、障がいのある方に意義のある業務を担当してもらうことが大切なのか?

次に②「障がいのある方」に担当してもらう業務が企業活動の中で意義のあるものであるという点についてです。当然ですが、どうでも良い業務を担当させられていたら本人のモチベーションも上がりませんし、営利を追求する企業としてもマイナスです。企業の利益と本人の意欲両方を満たすためには、企業の利益に繋がる意義のある仕事を担ってもらう必要があります。

「障がい」を抱えていることによって出来る作業出来ない作業というのは出てきてしまいますが、そこには配慮をした上で、本人が最大限力を発揮できる業務を任せる。そしてそのためにツールの助けが必要であれば導入する。このように目的を定め、そのための手段を講じるというのは、慈善活動では出来ない、まさにビジネスの最前線で戦っている経営者だからこそできる福祉との関わり方なのだと思います。

編集後記

今回は施設外訓練生3名を含め8名の「障害のある方」、そして6名の外国人技能実習生を雇用している株式会社岩井工機、代表取締役岩井様のセミナー内容についてレポートいたしました。外国籍人材の受入れに関しても態勢を整えられて積極的に活用されているということは存じ上げていましたが、「障がいのある方」の受入れ態勢もしっかり整えられて企業として独自性を打ち出されているとのお話を伺い勉強になりました。

最近、外国籍人材雇用業界も盛り上がりを見せていますが、軽々しく多様性が叫ばれている気がしてなりません。

「外国籍人材を受入れることで多様性が確保され、組織も活性化すると、全ての問題が外国籍人材で解決する。」

といった論調ですが、多様性が確保されたからといって組織が活性化する訳でもなければ、そもそも外国籍人材が増えることがそのままイコール多様性が増すということでもありません。企業として本当に組織にプラスになる多様性を確保したいのであれば、岩井社長のように地道な関係構築というプロセスからスタートすること大事なのではないかと思います。

そして特定の集団だけでなく、全社員に配慮を行い、全社員が尊重されていると感じられた時に初めて多様性が意味を持ってくるはずです。“Diversity & Inclusion”の実現をMissionとして事業を行なっている私にとっても、今回のセミナーは今までの活動を振り返り、今後に繋げていく大変貴重なものとなりました。

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