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紹介予定派遣とは?実際のところ派遣先企業及び求職者(特に外国籍の方)にメリットはあるのか?

目次

さっき、人材会社の営業から、紹介予定派遣での外国人雇用を勧められたんだけども、そもそも、紹介予定派遣って普通の派遣と何が違うの?」

外国人を人材紹介や人材派遣ではなく、紹介予定派遣で契約することにどんなメリットがあるの?

本記事では、そんな疑問をお持ちのあなたに向け、紹介予定派遣の基本とよくある疑問への回答をご紹介した後、企業及び外国人求職者にとってメリットとデメリットを検討します。

ぜひご一読くださいませ。

紹介予定派遣とは?

紹介予定派遣とは、一定期間(最長6ヶ月)労働者が派遣携帯で働き、その後、企業と労働者双方の合意のもと直接雇用に変更するという採用手法のことです。派遣期間後の直接雇用を前提としてはいますが、派遣期間時に企業側、労働者側あるいは双方から合わないと判断されれば、直接雇用契約の締結を断ることができます。以下よくある10の疑問を解消します。

Q1 一般派遣との違いは?

大きく、①派遣期間、②事前面談の有無そして③派遣期間中に直接雇用に切り替える際の手続きが異なります。

①一般派遣は最長3年、紹介予定派遣は最長6ヶ月

書くまでもないですが、期間の違いが定められている理由は、紹介予定派遣が直接雇用のための試用期間と位置付けられているからです。

②一般派遣は事前面接禁止だが、紹介予定派遣は可能

一般派遣の場合、派遣前に派遣先企業と派遣希望者が事前面談することは禁止されています。その目的は派遣社員の就業機会が狭められることを防ぎ、労働者を保護するためです。

第二十六条 6

労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。

出典:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

 

ただ、厚生労働省発表の派遣元事業主が構ずべき措置に関する指針では、派遣労働者等が自らの判断の下に派遣就業開始前の事業所訪問もしくは履歴書を送付することは例外として認められる旨が発表されています。

第2 派遣元事業主が講ずべき措置

13  派遣労働者を特定することを目的とする行為に対する協力の禁止等 (1) 派遣元事業主は、紹介予定派遣の場合を除き、派遣先による派遣労働者を特定することを目的と する行為に協力してはならないこと。なお、派遣労働者等が、自らの判断の下に派遣就業開始前の 事業所訪問若しくは履歴書の送付又は派遣就業期間中の履歴書の送付を行うことは、派遣先によっ て派遣労働者を特定することを目的とする行為が行われたことには該当せず、実施可能であるが、 派遣元事業主は、派遣労働者等に対してこれらの行為を求めないこととする等、派遣労働者を特定することを目的とする行為への協力の禁止に触れないよう十分留意すること。

出典:派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針

 

よって通例、一般派遣の場合でも事業所訪問による事前顔合わせが行われますが、くまでも派遣労働者が仕事を受けるか否かを判断することに目的があり、派遣先企業が派遣労働者等に対する評価を派遣元に伝えることは、「派遣労働者等を特定することを目的とする行為の禁止」に抵触するおそれがあります。

ちなみに、派遣元は、事業所訪問に同席したときのやりとりや訪問後に聞いた派遣労働者の希望等を踏まえ、

  1. 派遣労働者に派遣先の求める業務遂行能力がないことを把握した場合  
  2. 職場環境が派遣労働者に適合しないことが把握できた場合
  3. 派遣労働者が派遣されることを希望しないこととなった場合

     

等、労働者派遣法第30条の趣旨から適当と考えられる場合に限り、適切な派遣先か否かを判断し、「派遣しない」という判断もできます。

(派遣労働者等の福祉の増進)

第三十条の四 

前三条に規定するもののほか、派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者又は派遣労働者として雇用しようとする労働者について、各人の希望、能力及び経験に応じた就業の機会(派遣労働者以外の労働者としての就業の機会を含む。)及び教育訓練の機会の確保、労働条件の向上その他雇用の安定を図るために必要な措置を講ずることにより、これらの者の福祉の増進を図るように努めなければならない。

出典:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

※一般派遣の場合の、事業所訪問についての更なる詳細は一般社団法人日本人材派遣協会が配布している派遣先用リーフレットをご覧ください。

一方で、紹介予定派遣の場合は、目的が派遣期間後の直接雇用であるため、派遣前に選考することが認められています。

③一般派遣の場合派遣期間中の直接雇用切り替えは基本NGだが、紹介予定派遣なら可能

一般派遣の場合、派遣期間の途中で、派遣元との了承を得ずに派遣先企業と派遣労働者との間で直接雇用契約を結ぶのは原則として契約違反となり、派遣元から損害賠償の訴えを起こされる可能性があります。よって多くの場合は期間満了まで待つか、派遣元企業に相談の上、紹介手数料を支払い契約を変更します。

一方、紹介予定派遣ならば、元々の契約書に下記のような記載がある場合が多く、その場合既定の紹介料を支払うのみで、労働者派遣期間を短縮できます。

「直接雇用契約が成立した場合、派遣元、派遣先及び派遣労働者3者の合意により労働者派遣期間を短縮することができる。」

Q2 紹介予定派遣による採用の流れは?

紹介予定派遣による採用の流れは下記の図のようになります。

※弊社にご依頼いただいた場合の企業様のワークフローです。簡易化するために、外国籍の方を採用するために必要な在留資格関連の手続きは省略しております。在留資格の詳細については下記の記事をご参照くださいませ。

就労ビザ徹底解説!〜在留資格について企業が知っておくべきこと〜

Q3 派遣期間の相場は?

一般派遣については上限の3年を超えない範囲で契約が可能です。多くの場合が1年以上の契約期間で契約しています。一方で紹介予定派遣の場合、派遣期間は最大6ヶ月までとなっていますので、3〜6ヶ月の見極め期間を設定して開始される方がほとんどです。

Q4 面接を行う必要はあるのか?

前述の通り紹介予定派は、正社員として採用する前に短期の見極め期間を設けられます。派遣先企業の担当者の方には実際にそのコンセプト通り、

見極め期間があるなら、わざわざ採用前に面接しなくとも、書類選考だけで十分なのでは?

と思う方もいれば、

一度の面接で明らかに合わない人ではないかはっきりさせておこう。」

と思う方もいます。

正解はありませんので、一度やってみて、柔軟に自社のスタイルを作っていくのが良いかと思います。

Q5 実態として紹介予定派遣の方が正社員となる確率は?

下記は一般社団法人日本人材派遣協会が協会員に対し行ったアンケートの集計結果を元に、リフト株式会社で作成したグラフです。青が年間の紹介予定派遣による派遣労働者数、赤が紹介予定派遣から直接雇用契約に至った労働者数です。このデータを見る限り、紹介予定派遣で派遣された方が正社員になる確率は約50〜60%です。

一般社団法人日本人材派遣協会実施のアンケート調査結果をリフト株式会社で加工

以前、ある企業の方から、

「見極め期間があるからとりあえず採用してみても大丈夫だというけど、実際には無理やり直接雇用せざるをえないようにプッシュされるんじゃないの?」

という不安な声をいただきました。

グラフが示している通り、実態として、企業側からも、派遣労働者側からも、直接採用を辞退するケースは頻繁に発生しており、直接雇用に至る確率は50%です。人材会社の立ち位置は、労使双方の応援団であり、双方あるいはどちらか一方が望まない直接雇用を成立させてしまうと顧客満足を得られず、事業を存続できないため、企業と人材どちらの優位とも言えないこの数字になっていると言えます。

Q6 派遣手数料と紹介料の相場は?

厚生労働省が2018年の3月に発表した派遣手数料と、派遣労働者の賃金をグラフにまとめると下記の通りです。

労働者派遣事業報告書集計結果データをリフト株式会社で加工

この34%のマージンから派遣社員の社会保険料や教育、サポート費用が支払われます。

その後の紹介手数料については、派遣日数や業界、地域によって異なりますが、30%〜40%程度が平均水準となっているようです。

Q7 返金規定はどうなっているの?

紹介手数料を前述の通り30%〜40%支払い、採用したものの、自己都合で退職されてしまった場合に、紹介手数料の何%かを返金してもらえる場合があります。多くの企業では1ヶ月以内80%、1ヶ月以上2ヶ月以内50%、2ヶ月以上3ヶ月以内30%といった形で、ひと月毎にその返金割合が異なります。(割合は企業によって異なるため、確認が必要です。)直接契約に切り替えた直後に退職されてしまった場合でも100%返金を受けられない場合がほとんどですので、派遣期間での見極めが極めて重要です。

Q8 派遣会社の職員は面接に同行するものなの?

こちらもケースバイケースですが、顧客(派遣先企業、求職者)からの要望があれば、同行する場合が多いです。特に、外国籍エンジニアの方の面接で、技術的なコミュニケーションは可能でも、フランクな会話は厳しいために人となりの判断が難しい場合などは派遣会社の担当者が間に入り、コミュニケーションのサポートをする場合があります。

Q9 同一賃金・同一労働の施行でどう変わる?

同一賃金・同一労働の施行によってこれまで派遣社員と正社員の賃金差を設けていた企業は一般派遣で社員を雇用する人件費面でのメリットが*少しだけ薄れます。よって、正社員化を前提とした紹介予定派遣はこれから活発化してくるのではないでしょうか。

※少しだけというのは、細かな評価制度を用意することで賃金差をつける企業が増えているからです。

Q10 紹介予定派遣で外国人を雇ってもビザは問題ないの?

結論からいうと、「ほとんどのケースで問題ない」です。

100%問題ないと言い切れないのは、入国管理局による在留資格の審査は日本国の国益という観点から個々のケース毎に細かく審査されるからです。100%大丈夫だろうと思われたケースでも蓋を開けてみたら通らなかったなんてこともあります。

ただ、派遣先企業の方は、外国人専門で行なっている人材会社に依頼した場合、そもそもビザが大丈夫な方しか紹介しないはずですのでそこまでビザの心配する必要はありません。

企業はなぜ紹介予定派遣で外国人を雇用するのか?

企業側のメリット

結論からいうと、「見極め期間ができるから」ですが、その背景として、日本はメンバーシップ型の雇用慣行が根強いため、一度正社員雇用してしまうと、仮に能力不足であると判明しても解雇が難しいことがあげられます。メンバーシップ型の雇用とは、まず人がいて、人に仕事を分配するという考え方です。契約書に職務内容を明確に記載しないために、仮に担って欲しい仕事に不適格な方を採用してしまった場合でも、能力不足でリリースすることはできません。だからこそ、不適格な方を雇ってしまうリスクを最小限にできる紹介予定派遣の活用にメリットを感じる企業が多いのです。

企業側のデメリット(注意点は?)

デメリットはシンプルで、リスクと採用工数を最小化する分、費用がかかるということです。費用対効果は企業によって異なるでしょうから、自社でその点について十分に検討する必要があります。

外国人はなぜ紹介予定派遣での就労を選択するのか?

紹介される外国人のメリット

2つのメリットがあります。まず一つ目が、紹介予定派遣を利用して日本での職務経歴を作れるということです。昔ながらの日本企業であればあるほど、初めて日本で就労する外国籍の方を避ける傾向にあります。外国人としては紹介予定派遣を利用して、仮に直接雇用化が叶わなかったとしても、日本での職歴を作ることができ、その後のキャリアの足がかりとなります。

2つ目のメリットが、外国人にとっても、職場を見極める期間が持てるということです。先ほど、メンバーシップ型の雇用慣行について説明しましたが、外国では、雇用契約でジョブディスクリプションを明確にして、定められた仕事のみ任せるというケースが多いです。日本にも徐々にジョブディスクリプションを明確化し、外国人が働きやすい環境を作っている企業が増えてきていますので、自分にあった働き方ができる職場なのか、外国籍の方にとっても見極めの場があることは非常に重要です。

紹介される外国人のデメリット

デメリットは派遣会社へのマージンの分給与が減ることです。可能であれば、最初から直接雇用されることがベストですが、日本企業からすると、そこまでリスクテイクできないということと、外国人としても日本のいい会社を自力で見極めて求人に応募し合格するということが現実的にかなり難しいことがあり、紹介予定派遣サービスの出番となっています。

まとめ

経団連の旗振りによって、今後日本でもJob型雇用が主流となる流れがあります。雇用の流動性が高まれば、そもそも今回ご紹介した紹介予定派遣は成立しなくなります。企業は求職者を能力不適格で簡単にクビにできるため、正社員雇用に現在のようなリスクがなくなるためです。が、現状のところ、ここまでに示してきた理由から、特に外国籍人材の方を採用する場合には、紹介予定派遣のスキームがもっとも合理的な採用戦略ではないでしょうか。

Global HR Magazine運営会社からのお知らせ

弊社では外国籍理系人材に特化した紹介予定派遣サービスを提供しています。

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関根謙志郎

マーケティング部

福島県内の高校卒業後、東北大学に入学。在学中は硬式野球部に所属。英語学、心理学、英語教育学を専攻。卒業後は社会を構成する『ヒト・モノ・カネ・情報』が遍在することで生じる歪み(社会問題)をビジネスを通して適正化するというミッションに共感しリフト株式会社に入社。現在はマーケティングを担当。