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    なぜ日本企業は優秀な外国籍人材を活かせないのか?一流企業の海外進出を支える奥山氏のお話。

    目次

    株式会社カルチャリア-2
    株式会社カルチャリア

    代表取締役社長 奥川 由美子 (Yumiko Okugawa)

    最大手企業研修専門会社で、企画、営業、マネージメントをに担当。1993年同社駐在員としてニューヨークに赴任。

    同年、米国に人事コンサルティング会社(本社・ニューヨーク)を設立。以来、2,500以上にのぼる在米日本企業、日本国内の企業に社員研修と人材育成のためのプロジェクトを提言。日本企業としての独自性を尊重しながら、世界標準の人事システムの導入を推進、経営の高度化と人的資源の解決と防止などに大きく貢献してきた。

    成功実例から培ったノウハウ、クライアント企業からの熱い信頼と支援のもと、2006年6月、東京に株式会社イマジナを設立。人事改革と企業ブランディングを行う。

    2017年、加速する日本のグローバル化と、その中で求められる職場環境改善に使命を感じ、【Are you happy?】をタグラインとして、ハピネスサーベイなど画期的なワークスタイル改革を軸にした新事業を実践する株式会社カルチャリアを設立した。ニューヨークでの最初の起業時からの夢でもあった、日本企業の働き方を変えるための多種多様なプロジェクトを提供している。

     

    高梨 真衣 (Mai Takanashi)

    上智大学外国語学部英語学科卒業。

    大手人材会社にて外国籍の人材紹介事業を立ち上げ、その他女性活躍推進プロジェクトや若手経営企画組織に参画。

    「新しい働き方」に関心があり、自身がフリーランスとして働きながら、デンマークへの社会人留学を実現。

    現在は、株式会社カルチャリア にて「社員幸福度向上」「グローバルマネジメント」に関するサービスの営業、プロジェクト企画・統括、コンサルティングを担当。

    「優秀な外国人を採用しても、1年も経たずに辞めてしまう。」

    「うちの外国籍社員は思うように動いてくれない。」

    本記事をご覧になっているあなたは、そんなお悩みをお持ちではありませんか?

    このようなマネジメント不全の原因について、

    「自社のマネジメントスタイルを確立できていないことが諸悪の根源です。」

    と、断言するのが、グローバル人事コンサルタントとして、日本の一流企業に対し、外国籍人材のマネジメントに関するコンサルティングを行い、数々の海外進出を成功に導いてきた株式会社カルチャリア代表取締役の奥山由実子氏です。

    今回は、外国籍人材マネジメントの専門家である同氏に「なぜ日本企業は優秀な外国人を活かせないのか?」「どうすれば外国人、日本人双方が輝く職場になるのか?」伺いました。

    また、同社で4人の外国籍社員をマネジメントしているマネージャーの高梨氏に、現場でよくあるコミュニケーションギャップとその対策についても伺っています。

    ぜひご一読いただき、貴社の職場環境改善にお役立てくださいませ!

    なぜ日本企業は優秀な外国籍人材を活かせないのか?

    ーー奥山様は昨年行われた世界人材会議に海外人材の採用・育成のプロとして登壇されるなど、日本企業のダイバーシティ化に向け精力的に活動されていらっしゃいますが、現在のご活躍の原点を教えてください!

    奥山氏:私の原点は20代の頃に、日本の男性優位な職場が本当に嫌で、4度の転職を経験したことです。当時、女性は事務仕事でお茶汲みをするのが当たり前という時代でした。転職先はどこも素晴らしい企業でしたが、管理職は全員男性で、女性はみんな結婚して辞めていたんです。

    ーー女性の活躍が難しい時代だったんですね。

    奥山氏:そうです、これじゃキャリア構築なんて無理だと途方に暮れていましたが、たまたま最後に入った会社が女性社長の英会話スクールで、当時女性がやることは考えらなかった営業や経営企画などの仕事を務めることができました。年に数日も休まないほどガムシャラに働く中で、

    「ああ、なんだ働くってこんなに楽しいことなんだ!」

    と気づくことができました。もっともっとビジネスの世界で活躍できるようになりたいと考え、しばらく英会話学校で働いたのち、単身でニューヨークに渡りました。

    ーー最前線の花形部署で活躍し、仕事の楽しさを知ったのですね。ニューヨークではどんな活動をされていたのですか?

    奥山氏:まず、ビジネスチャンスを探るため、1990年代当時、製品の品質の割にアメリカの市場でくすぶっていた日本企業の駐在員に成長を妨げている要因についてインタビューをして回りました。

    ーーなぜ当時は市場を席巻できていなかったのですか?

    奥山氏:インタビューした日本企業の駐在員さんの話によると、どこの企業さんも、

    「アメリカ人部下の管理、マネジメントがとにかく難しい。」

    と、おっしゃっていました。それもそのはず、駐在員として来られている方は、日本で最低限の英会話レッスンだけを受けて来られるので、異なる文化的背景を有する方のマネジメント法について全く理解がなかったんです。この状況をなんとかしようということで、それ以前から現地で人事コンサルタントをしていたジョンとフィルというアメリカ人と共に最初の人事コンサルティング会社を立ち上げました。

    ↑写真左は最初の会社からのパートナーであるジョン氏

    ーーなるほど、当時の日本企業は異なる文化的背景を有する部下のマネジメントに苦戦していたとのことですが、なんとなく英語さえ話せれば問題ないように想像してしまいます。具体的にはどんな課題があったのでしょうか?

    奥山氏:ジョンとフィルの分析では、

    「日本の職場はとにかくつまらない。

    ということでした。

    ーーつまらない!?

    奥山氏:そうです。彼らが言うには、日本の職場では悪いところばかり指摘されて、全然良いところを褒めてくれないというのです。典型的なのは、ちょっと失敗すると怒ったり、攻めたりするだけで、どうすれば良くなるのかということについて何も教えてくれないということでした。だから、

    「アメリカ人にとっては日本企業で働くメリットはあまりないよ。

    ということだったんです。

    ーー衝撃です!

    奥山氏:そんな壊滅的な状況を改善するために、私たちは会社設立から約15年コンサルティングサービスを提供しました。その15年間に、ニューヨークの地下鉄が全て日本企業製になるくらいに市場を席巻するほど日本企業は躍進しました。いわば黄金時代を支えることができたという自信をつけたことと、そろそろ日本も女性の活躍が進んでいるだろうという思いから、10年前に日本に帰ってきました。

    ーーアメリカで磨いた人事コンサルティングスキルを生かして、日本の一流企業と仕事をしようと思われたのですね。

    奥山氏:そうです。しかし、意気揚々と帰ってきてびっくりしたのは、女性の管理職への昇進率が日本を出国した15年前と全く変わっていなかったことです。私がアメリカにいた15年間で、職場環境改善は日進月歩で進んでいたのに、日本は全く変わっていなかったんですね。そこで、2つ目のイマジナという会社を始めて、アメリカ最先端のジョブディスクリプションと幸福度向上メソッドを取り入れた企業ブランディングコンサルティングを始めました。

    ーータイムマシン経営ですね!

    奥山氏:と、思っていたのですが、これが全く売れなかったんです(笑)

    意気揚々と、

    これからは「職場の幸福度」が重要です!

    と営業しても、

    幸福?は?

    となってしまいました。アメリカでは数十年前から社員幸福度が高い企業の生産性の高さが証明されていましたが、日本の職場に幸福度という概念を持込むには早すぎたようです。

    ーー10年前は受け入れられなかったのですね。

    奥山氏:最近になってようやく、職場の幸福度向上により高い成果をあげ続けているGAFAの活躍によって、日本企業の意識が変わってきました。そこで、3年前に幸福度改善に特化した現在のカルチャリア を立ち上げ、現在に至ります。

     

    株式会社カルチャリア のHPより引用。幸福度の高さと企業業績には相関関係がある。

    日本企業が優秀な外国人を活かしきれない理由とは?

    ↑写真左は同社営業のオスカー氏。写真右は同じく営業の林氏。同社は70%の社員が外国籍だ。

    ーー先ほど、アメリカに進出した日本企業の駐在員が、外国人部下のマネジメントで苦しんでいたとのお話でしたが、今後、日本で外国籍人材を雇用する企業も直面する課題だと思います。課題解決のため、「外国人のマネジメントができない」根本原因を教えてください。

    奥山氏:それは出身国別のマネジメントスタイルの違いを理解していないからです。言語は3000時間トレーニングしないと話せるようになりませんので、本格的に極めるのは難しいです。が、マネジメントスタイルの違いを知っておくことで上手に、チームをまとめることが可能になります。あなたは孔子型とソクラテス型という議論スタイルの違いについて聞いたことがありますか?

    ーーすみません、初めて聞きました!

    奥山氏:簡単に説明すると、世界は議論の方式で、孔子型の国とソクラテス型の国に分けられます。ソクラテス型の国には、アメリカやイギリス、カナダ、フランスなどの欧米諸国があり、これらの国々では、立場による違いはなく、どんなことでもあくまでフラットに相手と議論を戦わせます一方、孔子型の国々では正しいことを教えとくことが大事で、先輩の言うことは黙って聞かなければなりません。

    ーー確かに私もこれまで、「先輩の言うこと、先生の言うことは絶対」と教わってきました。

    奥山氏:そう、日本は典型的な孔子型の国なんです。孔子型のリーダーが、ソクラテス型の国に行くと、とてもつまらなく捉えられてしまいます。これを知っているか否かで、国籍のダイバーシティある職場のパフォーマンスが全く異なります。

    ーー仮に英語が話せても、議論スタイルの違いを知らないと、アメリカ人部下につまらなく感じられてしまう可能性があるわけですね?

    奥山氏:そうです。私自身も、英会話のレッスンに何十万もお金をかけて、ある程度話せるようになって渡米しました。が、現地の外国人スタッフとコミュニケーションを取るときには、一方的に伝えたいことを話し、議論をしないという孔子型のコミュニケーションスタイルをとっていました。そうすると、言葉のキャッチボールがしたい相手からすると、

    「この人はコミュニケーションをとる気がない。」

    と捉えられてしまい、信頼関係を築くことができなかったのです。

    ーーなるほど、、、

    奥山氏:この不調和がもっとも顕在化するのが「会議」です。欧米圏で会議をする場合、先に何を話すかアジェンダを決め、それに沿って「議論」をします。一方、日本で会議をする場合には、上司が一方的に話をして、部下達は「お聞きする。」上司が「何か意見があるか?」と聞くと何も意見は出ずに終わってしまいます。

    ーー会議スタイルを変えなければならないということですね。

    奥山氏:欧米圏をはじめとしたソクラテス型の議論方式をとる国の人材と協働するなら変えなければなりません。

    ーー逆にいうと、孔子型の国の方であれば、従来通りで大丈夫ということでしょうか?

    奥山氏:そうです。例えば、ミャンマー・ベトナム・マレーシアは孔子型の国ですので、従来のマネジメントスタイルでもうまく人材を活かすとは可能です。

    ーーなるほど。ただ、現代の日本の若者は、従来の教え説くスタイルはもう合わなくなり、企業は対話型、サーバント型のリーダーシップをとるべきだと盛んに叫ばれています。本当に孔子型でも可能なのでしょうか?

    奥山氏:確かに、昔と違って現代は熱血指導とパワハラの差がなくなってきています。が、仮に孔子型でも魅力ある経営者ならついていく人はいます。

    ーーそうなんですね!

    奥山氏:孔子型で有名な会社に「秋山木工」さんがあります。ガイアの夜明けで同社の秋山社長が紹介されていたためご存知な方も多いかもしれません。同社の社員は18歳から5年間、携帯を取り上げられた状態で「丁稚奉公」をし、木製家具作りに専念します

    ーー「丁稚奉公」では希望者が集まらないんじゃないですか?

    奥山氏:それが、5年間の修行で必ず一流の家具職人になれるということで、熱烈な入社希望者が列をなしています。ですから、孔子型とソクラテス型のどっちがいいという話ではありません。どっちでやるのかがはっきりさせて、うちはこういうスタイルだと明確であれば誤解が生まれず、不幸な離職もないんです。

    ーーなるほど!

    奥山氏:ただ、優秀な外国人を採用したい。それなのにマネジメントスタイルは孔子型、これだとやめてしまいます。日本語が話せても、ソクラテス型の考え方の人材に孔子型のマネジメントをしたら必ず反発されてしまいます。まずはマネジメントのスタイルを確立させてから、そのスタイルに共感する方を採用することが重要です。

    幸福度向上の鍵は負のインフルエンサーを明るく解雇すること!?

    ーー現状、多くの企業はマネジメントスタイルがはっきりせずに、社員のもやもやが溜まっていると思います。どうすれば、この状況を改善し幸福度の高い職場にすることができるでしょうか?

    奥山氏:おそらくそのような企業は、全社的に暗い雰囲気だったり、なんとなく活気がないという状況だと思います。この場合、原因を徹底的に洗い出し、取り除くことが重要です。

    ーー原因はどのように特定するのでしょうか?

    奥山氏:弊社では社内サーベイをおすすめしています。サーベイによって、職場の負の原因を数値で捉えることができます。その後、数値を元にして実際にヒアリングを進め問題の原因を特定します。例えば、調査結果で社員のエンゲージメントが低いと判明した企業でヒアリングを進めると、裏で会社の悪口を言う「負のインフルエンサー」に行き着きます。会社の負は幸せより7倍早く伝染しますので、負のインフルエンサーが悪口を言うと、だいたい2〜30人に一気に噂が広がってしまいます。

    ーー負のインフルエンサーが見つかったらどうするんですか?

    奥山氏:明るい解雇をします。

    ーー明るい解雇!初めて聞きました。

    奥山氏:明るい解雇とは、

    転職すれば、きっともっといい会社に入れるよ!」

    と転職を進め、お互いに円満になる形で解雇をすることです。

    ーーなかなか激しい手段のように感じてしまいます。。。

    奥山氏:もちろん、解雇に至るまでには1on1でのコーチングや、カウンセリングなどの施策をとりますが、それでも変わらなかった場合には躊躇せず解雇した方が良いです。不満を溜め込んだまま会社で負を撒き散らすのは、本人にとっても会社にとっても、周りの社員にとってもマイナスでしかありませんから、3者全員が幸福になるためには解雇しかありません。

    ーーなるほど。。。実際、日本の人材流動性の低さは問題視されていますものね。

    奥山氏:私は、日本企業の法制度も整備が必要だと思っています。現在の悪い環境を作ってしまっているのは、社員が何をしても首にならないという日本企業の風習にあります。海外は成績がでなければ首になることが決まっています。

    ーーそのように解雇される職場はメンタル的に苦しいのではないのでしょうか?

    • 奥山氏:もちろん解雇の瞬間は大変ですよ。メンタル的にも苦しいです。が、もし首になったとしても次のチャンスが豊富にあるので、すぐ次に行きます。逆に転職していい仲間や仕事に出会えれば、解雇になってよかった!となりますし。

    ーー日本のような絶望感はないんですね。

    奥山氏:そこです。日本は転職したら最後、腹切りみたいな空気がある。正直、それはもう古い考え方だと思います。先日ようやく経団連から日本型雇用の終焉が発表されましたが、今後大企業の社員放出が活発化し、人材の流動性が非常に高まっていくと考えています。それが健全な姿です。

    ーー大きな転換だと思いますが、日本の労働市場は全体としてどのようになっていくとお考えですか?

    奥山氏:今後、日本は1業界に巨大な大手1社と、星の数ほどの個人、小さな企業が増え、在宅もかなり増えていきます。大手は一握りの頭のいい人間が設計だけをして、実行の部分は全てAI・機械かパート・アルバイト・派遣が担うようになります。労働者からすれば、組織に属さず個人で生きていく選択肢が豊富に用意されるということです。

    ーー企業はどうすれば良いでしょうか?

    奥山氏:人材の流動性が高く、個人の選択肢が豊富な時代に企業が優秀な人材を確保するためには、社員が自社にいて楽しいかどうか、幸福かどうか、素晴らしい理念によって人間が動かされる会社かどうかが重要になってきます。現在、そのような幸福な職場ではないのなら、幸福度を高めるなんらかの施策が必要になってくると思います。私たちは、その一助になれればと思って活動を続けて行きます!

    ーー大変勉強になります!奥山様ありがとうございました!

    ※ここからは同社で4人の外国人社員のマネジメントを担当されている高梨氏に、文化的背景の異なる部下とコミュニケーションをとる際の工夫について伺います。

    日本の職場には「まず相手を理解する」姿勢が不足している。

    ↑株式会社カルチャリア で4人の外国籍部下をマネジメントしている高梨氏

    ーー高梨様は前職の大手人材企業で外国籍人材の紹介事業の立ち上げを経験されての気づきから転職を決意されたそうですね。

    高梨氏:そうです。当時は会社の営業ルートがあったため、優秀な外国籍の方であれば紹介、採用までは比較的容易にできるものの、結局就労後の関係構築がうまくいかず、相次いでの早期離職が発生していました。その際に今の日本に必要なのは、外国籍人材が活躍できる職場環境を構築することだと気づきました。

    ーー早期離職を誘発する最大の要因はなんだったのでしょうか?

    高梨氏:やはり、異文化理解に関する知見のなさが最大の課題だと感じました。語学力はあるに越したことはないですが、通訳を入れればなんとかなります。多くの企業で関係が破綻してしまうのは、言語ではなく、外国籍の社員と働く、違う価値観を持っている方と働くことに対する理解があまりに乏しいからだったんです。

    ーー具体的にはどんなトラブルが生じていたのですか?

    高梨氏:例えば、あるクライアントが部下の外国籍社員に対し、

    「この仕事をやっておいてね。」

    と指示した際のことです。日本人の部下なら今日中にその仕事を終わらせて報告するはずのものが、いつまでたっても報告が上がってきません。その方は痺れを切らして部下の外国籍社員に

    「任せた仕事は?」

    と聞いたところ、

    「なぜやるか、いつまでにやるかわからなかったので、余裕ができた時にやろうと思っていました。」

    と返事が帰ってきました。ある程度日本でキャリアを積んできた方の場合、指示が曖昧で目的と納期がわからなかったら質問して確認をしなくてはならないという暗黙の了解を理解しています。しかし、その方にはそんな暗黙の了解は通用しませんでした。自分の常識が他者にとっては常識ではない、ということですね。

    ーーそういったトラブルは多発していそうですね。

    高梨氏:最近私たちがコンサルティングに入っている企業でも、同様なコミュニケーションギャップは生じています。ですがここで、

    外国人だからしょうがない。

    と我慢すると、後々お互いのストレスが爆発してしまいますから、違いを理解した上で指示を出すという受入側、マネジメント側のスキルが必要です。

    ーー実際のコンサルティングではどのような助言をされているのですか?

    高梨氏:あくまで参考までですが、出身国ごとにどのくらい空気を読む文化が強いのかスケールを示しています。例えば、この国の方は1言えば100行動する、この国の方は1に対し1行動する傾向があるというイメージです。私自身もこれまで外国籍社員に指示をして、理解されていると思ったのに全然指示内容が進んでおらず、

    「なぜ、指示したことをやっていないんだ!」

    と憤りを感じたことがありました。このスケールを理解してからは、感情的にならず、伝え方が悪かったと自責な考えができるようになり、次からは伝え方を工夫してみよう!と前向きに行動するようにしています。

    ーー起こっている現象の原因と対処法が見えれば冷静になれそうですね。

    高梨氏:そうなんです。空気を読む度合いに文化毎のスケールがあると理解してからは、冷静になって指示の出し方を1人1人調整することができるようになりました

    この人はこれくらい言えば分かってくれる。」

    「この人は目的から説明することが大切だ。

    というようにです。

    このような異なる文化的背景の社員とうまくやって行くためのノウハウを知ろうとせず、

    外国人だからうちは無理。

    と、最初から決めつけている企業が多いと感じています。相手を理解する努力をし、うまくやっていくにはどうすれば良いのか調べたり、考えたりすることを諦めなければ、必ずうまくやっていくことはできると思います。

    ジョブ型雇用は外国籍人材だけではなく、ミレニアム世代の日本人にも魅力的だ。

    ↑コミュニケーションをとる際には、相手の文化的背景に合わせ表現の具体性を調整している。

    ーージョブディスクリプションがはっきりしない日本型の雇用にも問題を感じていらっしゃるとか?

    高梨氏:そうですね、これまでの仕事を通して日系企業の働き方には多々違和感を感じてきました。例えば、自分のジョブディスクリプションがはっきりしていないため、

    「これって本当に私がやるべき仕事なの?」

    という会社の内部でしか必要とされない仕事を任されてしまいます。一方、ジョブ型では定められた専門性を発揮する仕事で成果を出せば報酬が支払われるため、非常に無駄のない合理的な働き方ができます。

    ーーよく言われているメンバーシップ型雇用の弊害ですね。

    高梨氏:あくまで体感値ですが、残念ながら日本企業で働く方の多くは、自分にアサインされた本来の業務以外の、あまり自己の専門性に関係のない仕事が半数以上を占め、生産性が低い状況だと思います。そんな状況に対して本音では、

    専門性に基づき、しっかりと分業した方が生産性が高まるのになぁ。

    と考えている方も多いのではないでしょうか?

    私は現在の仕事を通じ、ジョブ型雇用を推進していくことで一人一人がより生産性の高い幸せな働き方ができるようにしていければと思っています。

    ーー高梨様、ありがとうございました!

    編集後記

    今回は米国流の人事コンサルティングで、企業の時代変化への対応をサポートしている株式会社カルチャリア代表取締役の奥山様と同社で4名の外国人をマネジメントしている高梨様を取材しました。「ソクラテス型」「孔子型」「明るい解雇」など、ユニークに体系立てられた課題解決法は非常に勉強になりました。

    「課題を明確に捉えられるだけで、問題の8割が解決したようなものだ。」

    とよく言いますが、私も今回教えていただいたフレームを利用して、職場の外国籍社員とのコミュニケーションをとる中で、日々新たな発見ができています。

    本記事を読み、あなたが少しでもコミュニケーションギャップのストレスを低減させることができたら、それ以上の喜びはありません。

     
     

    マーケティング部

    福島県内の高校卒業後、東北大学に入学。在学中は硬式野球部に所属。英語学、心理学、英語教育学を専攻。卒業後は社会を構成する『ヒト・モノ・カネ・情報』が遍在することで生じる歪み(社会問題)をビジネスを通して適正化するというミッションに共感しリフト株式会社に入社。