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更新日:2021/12/22

目次

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制度創設から丸2年9ヵ月が経過した「特定技能」制度ですが、ここに来て制度活用が大きく進み、先日は介護分野を除く11分野まで特定技能2号の拡大を検討する趣旨の報道がなされる等、活発な動きを見せています。

入管庁の発表を見ると、2021年9月末の在留数は全分野合計で38,337人となり、過去1年間の増加数で約3万人、増加率で見ると約437%と、1年間で4倍以上の伸びを見せています。

これは、人材側、企業側、また、支援する側それぞれで、特定技能制度自体の理解が進み、また、コロナ禍における特例等、様々な要因によって、特定技能制度の活用が進んだ結果と言えると思います。

少子高齢化が進み、生産労働人口が減少する一方の我が国において、特定技能制度は「労働力不足」を理由に外国人材の採用が可能になった初めての在留資格であることから、我が国の今後の労働者問題に大きな影響を与える制度です。また、特定技能2号が実質全分野に拡大されたことによってブルーワーク労働者にも制度として、永住への道を開くこととなり、「特定技能」制度は、日本という国の今後の形を決める重要な存在であると私は考えています。

本記事は、法務省から3か月毎に発表されている特定技能在留外国人数の公表を元に、ミクロではなくマクロの視点から特定技能制度を見直し、特定技能を支援している立場にある私が見解を加え、皆様が今後より特定技能制度を上手く活用頂くことの一助となることを目的としています。

また、特定技能2号拡大が報道された際のSNSやWEB上の意見を見るとまさに賛否両論が分かれていましたが、多くの方の意見の根拠が自分自身が経験した「エピソード」に依拠しており、統計的な観点からの意見は少ないように感じます。「特定技能」制度をより多くの方が考えて行く為には、前提となる情報をより広く持つことが重要ではないかと思います。本記事では、法務省の統計を出来る限り見やすく表やグラフで纏め、特定技能制度の全体的、構造的な理解にお役立て頂けることも意図しています。

本記事が何かの形で、皆様のお役に立てましたら幸いです。

なお、記事の中で、特に注釈が無い場合は「特定技能在留外国人数の公表」で発表されている2021年9末の数字を根拠としています。また、特段の記載が無ければ、「特定技能」は「特定技能1号」を指しておりますので、あらかじめご了承ください。

特定技能概要について知りたい!という方は、下記記事もあわせてご確認ください。


▶︎在留資格「特定技能」とは?特定技能外国人の採用から支援まで徹底解説

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特定技能外国人の在留状況の推移と出身・地域分布

まずは、「特定技能」で在留している外国人材の人数の3か月毎の分野別推移を見てみましょう。

図2

  (法務省公表数字を基にリフト株式会社で作成)

各分野で増加していることがお分かり頂けると思います。 

1年前となる2020年9月比較すると、全体で約3万人の増加、増加率が約4.3倍となっています。

また、分野毎に在留数が多い順で見ると、飲食料品製造、農業、介護、建設と続き、ここまでが3000人を超える在留となっています。一方で、少ない方では航空、宿泊となり、そもそも限られた就業先しかない航空を除けば、宿泊分野の少なさが目立ちます。

一方この1年間の増加率を見ると、介護分野が圧倒的で、1年前に343人の在留だったものが、3,947人へと拡大しており、増加率は11.5倍と10倍以上の伸びを見せています。大阪労働局が公開している職種別の有効求人倍率を見ると、介護サービスの職業の求人倍率は4.11となっており、事業者側がかなり採用に苦労していることが伺えます。また、我が国の人口動態を考えると、介護サービスを必要とされる方の数は増えて行くことは確実と言えるので、今後も採用する企業側で特定技能人材を活用するニーズは拡大して行くでしょう。

特定技能外国人の出身国分布推移

続いて、特定技能で現在在留している人材の出身国を見てみましょう。

こちらも3か月毎の推移で見てみます。

上位7か国は数年前から不変ですが、ベトナムやフィリピンのシェアが増えている一方で、中国のシェアが漸減しています。特定技能人材の約3分の2がベトナムということになります。

図5

(法務省公表数字を基にリフト株式会社で作成)

また、特定技能人材へ資格変更する有力な候補となる、技能実習生と留学生についても出身国を併せて見てみましょう。こちらは、技能実習生と留学生は2020年12月末が公表の最新数値となっていますので、その点にご注意ください。図6

 (法務省公表数字を基にリフト株式会社で作成)

特定技能と技能実習生の出身国上位7か国は完全に一致している点は制度開始から変わりませんが、シェア率については、技能実習で16.9%のシェアがある中国が、特定技能ではシェアをほぼ半減させています。後述の通り、特定技能人材は約80%が技能実習からの変更(事実上の延長)となっていることを考えると、ベトナムは多くの技能実習生が特定技能へ変更しているのに対し、中国は技能実習生から特定技能への変更をシェア程は選んでいないという傾向が見えてきます。

一方で、留学生を見てみると、中国が40%を超えるシェアとなり、ベトナムも2位となっていますが、フィリピン等は1%も在留しておらず、特定技能の在留シェアとほとんど相関がありません。

少し本題から逸れますが、参考で技能実習生と留学生の在留数の推移についても見てみましょう。

こちらを前回の2019年末の数字と比較したのが下記の表です。

(法務省公表数字を基にリフト株式会社で作成)

技能実習生、留学生共にこの1年でどちらも大きく減少しています。

技能実習生が32,772人、留学生は64,890人と、それぞれ10%から20%の大きな減少となっています。コロナウィルス感染拡大により新規入国が難しかったことから当たり前の数字ではありますが、特定技能在留資格の国内変更を考えると、大きな供給源となっている2つの在留資格の数が減少していることは、特定技能制度の今後を考えて行く上では見逃せない要素です。

特定技能外国人の出身国別、分野別在留数

次に、出身国と分野別の分布を見てみます。

図9

(法務省公表数字を基にリフト株式会社で作成)

上の表のシェア率を図に表したのが下記になります。

図8

分野毎に多い出身国のバラつきがあることがお分かり頂けるものと思います。

全体在留数トップのベトナムは、全体のシェアでは約62.4%となっていますが、分野毎にシェアが大きく異なっています。目立つところでは、建設や飲食料品製造業のシェアが75%に近く、この2つの分野では、特定技能で働く方のうち、4人に3人がベトナム人ということになります。一方、造船・舶用工業や、自動車整備、宿泊と言った分野では、シェアが低い傾向にあります。

また、介護分野については、若干ですが、インドネシアやフィリピンが、全体のシェアよりも増加しています。これは両国がEPA介護士の対象国であることから、そのルートからの変更で在留数を押し上げているものと思われます。

フィリピンは造船舶用工業や自動車整備分野でシェアが高く、インドネシアは漁業で大きなシェアを占めています。

その他に目立つところでは、宿泊分野と外食分野で、全体在留数でトップ7に入らないその他の国のシェアが高くなっています。

この2つの分野は、事実上、技能実習生からの移行が無いことと、留学生の方が比較的希望しやすい分野であることから、このような傾向になっているものと思われます。

同じデータですが、縦横を入れ替えて見たものが下のデータです。図9 

             (法務省公表数字を基にリフト株式会社で作成)

こちらで見ると国毎の傾向や志向性が良く分かります。ベトナムは在留数が多いから当たり前ですが全体のシェアとリンクしていることが分かりますが、インドネシアやフィリピン、カンボジアと言った国は、全体のシェアとあまり関連が見られません。今後、特定技能人材を採用する際に、国籍にこだわらない企業様は「どの国が自社の分野の仕事で採用しやすいのか?」という観点で参考に出来るデータかも知れません。

特定技能外国人の都道府県、地域区分分布推移

続いて、都道府県毎の在留数を見てみましょう。  図11

(法務省公表数字を基にリフト株式会社で作成)

こちらは県ごとに見ると細かすぎるので、総務省統計局の規定する地域区分に沿って、地域毎の在留数と3か月毎の推移を見てみましょう。図12

(法務省公表数字を基にリフト株式会社で作成)

前回から比較して、各地域区分の分布に大きな変化はありません。

この地域区分の推移は、正直に言って私は予測を見誤っていました。私(と弊社リフト株式会社)の感覚では、最低賃金の格差などもあり、同じ仕事でも給与面で差異が出ていることから、東京など都市部の特定技能の人材募集に対して、現在地方で働いている技能実習生からの応募がかなり増えて来ている実感がありました。

しかし、統計上は首都圏を含む南関東はむしろシェアを減らしています。1年間の変動率を纏めたものが下記になります。

図14

            (法務省公表数字を基にリフト株式会社で作成)

こちらを見ると、南関東が1年間で約4倍弱という伸び率に対して、四国や北陸、中国地方は5倍近くの伸び率となっている等、総数はともかく伸び率では都市部を上回っています。図27

         (厚生労働省公表数字を基にリフト株式会社で作成)

この特定技能人材が地方で在留数を伸ばした要因を考えたところ、地域別の求人倍率が原因ではないかと思われます。

上は、厚労省が発表している都道府県別の有効求人倍率を総務省の地域区分別に分類したものですが、南関東や近畿と言った都市部が1.01や1.07といった比較的低い求人倍率である一方で、特定技能在留数の増加率が高い北陸や四国、中国地方は、求人倍率も高くなっています。求人倍率は特定技能限りませんが、地方程、人手不足が深刻になっていることから、特定技能の求人数も多く募集され、結果的に増加率を押し上げたのではないでしょうか?

また、この地域別の分布は分野によっても変わっていますので、そちらを纏めたものが下の表になります。

図15              (法務省公表数字を基にリフト株式会社で作成)

図16              (法務省公表数字を基にリフト株式会社で作成)

こちら分野毎に地域の在留分布が異なっていることがお分かり頂けると思います。

航空等はかなり偏った数値になっていますが、比較的在留数が多く、また、有効求人倍率を見ても人手不足の傾向が強いと思われる介護や建設と言った分野で、南関東や近畿のシェアが高いことは気になるデータです。また、技能実習生からの移行が無い外食と宿泊で、外食は半数以上が南関東(つまり一都三県)で在留している一方で、宿泊は、逆に南関東が少なく、地方にばらけています。この辺りは、コロナ禍というある意味非常時の傾向かもしれませんが、面白いデータです。宿泊を希望する求職者は多いにも関わらず、都市圏での特定技能求人が少ないことからこういった傾向になっているものと思われます。

特定技能外国人の資格取得ルートの分析

資格取得ルートのシェア推移

次に、特定技能外国人が特定技能資格を取得した際のルート推移を見てみましょう。

特定技能資格を取得する為の要件を満たすためには、現在5つのルートがありますが、大きく、「試験を合格するルート」「技能実習生から変更するルート」「その他ルート」に分けて推移を表したのが下記の図です。図17

(法務省公表数字を基にリフト株式会社で作成)

2020年3月には技能実習ルートが90%を超えていましたが、現在は約80.2%が技能実習生からからの変更、試験を受けて変更した方が約19.2%となっており、試験ルートで特定技能在留資格を取得した方が徐々に増えて来ています。

現在、海外からの試験ルートの特定技能人材が事実上入国できないことを考えると、2021年中はこれくらいの分布が続き、国外からの入国が可能になった後半年から1年くらいの期間を経て、試験ルート3割~4割、技能実習ルートが6割~7割程度のバランスになって行くのではないかと予測しています。

この推移を考える際に注意が必要なことは、技能実習ルートというのは元技能実習生が特定技能に変更した総数を表しているのではなく、試験ルートで資格を取得した方の中にも元技能実習生が含まれていることです。

「技能実習ルート」は、3年または5年間、技能実習を良好に修了した人材が、技能実習での職種や作業内容と、特定技能の職種が一致する場合に、試験を受けずに移行できるという制度を活用して、移行した方の在留数となっています。

2020年4月より、現役で実習中の技能実習生が、国内で特定技能の技能評価試験を受けられるように変更されましたが、例えば、建設業で実習していた技能実習生が、介護の特定技能評価試験に合格し、介護の特定技能に在留資格を変更した場合、「試験ルート」での在留となる訳です。

その為、試験ルート在留数の中にも一定数の元技能実習生が含まれているということになります。

実際に、弊社へ問い合わせを頂く外国人材の中にも、技能実習生で、今とは別の職種の特定技能試験に合格されている方が増えて来ており、人材の方の選択肢が広がっているという意味では歓迎すべきことですが、採用する側の企業としては、この傾向にも注意をして行く必要があります。

特定技能外国人 分野別資格取得ルート

次に、特定技能の分野別にどのようなルートで要件を満たして資格を取得したのかを見てみましょう。

図18

(法務省公表数字を基にリフト株式会社で作成)

資格取得ルートの傾向は、分野毎に大きく異なっているのが分かります。

その為、特定技能人材を活用しようとする際には、自社の仕事がどの分野に属するのかによって、どのように人材を確保して行くのかを検討して行く必要があるでしょう。

私の記事をお読み頂いている方には、何度かご覧頂いているかと思いますが、14分野の特定技能を大きく3つのグループに分類して考えるべきというのが、従来よりの私の意見です。

具体的には、下記の3つのグループです。図19

分類の詳細について簡単にご説明すると、「技能実習延長/代替グループ」は、技能実習生からの変更がメインになっているグループです。このグループは、まず技能実習生を自社で雇用して、その技能実習生の期間延長として特定技能制度を活用するという方法か、または、同じ業種・職種の他社で就労していた技能実習生を特定技能に変更するタイミングで採用するというのがメインの考え方になるでしょう。

「技人国代替グループ」は、今まで「技術・人文知識・国際業務」(以下「技人国」)の在留資格を目指していた方の変更がメインになるグループです。宿泊や外食の仕事は、特定技能制度施行以前には、技人国の在留資格で就職するケースも多くあり入国管理局の許可も比較的下りていたのですが、実際には技人国の在留資格では想定されていない仕事内容を担当するケースもあったようで、特に特定技能制度がスタートしてからは、技人国在留資格での就労・雇用が難しくなっているケースが多いようです。

その為、技人国在留資格での就労・雇用の代わりに特定技能資格の活用が出来るという意味で、技人国代替グループという名前で呼んでいます。このグループの特徴は、2021年現在は、技能実習生から無試験で変更することが難しい為、基本的には試験ルートでの採用となるという部分です。(注 技能実習の宿泊から宿泊の特定技能への移行や、医療・福祉施設給食製造の技能実習から外食の特定技能に移行するルートがありますが、いずれも新しく追加された職種で、2021年現在は大きな母数となり得ません)

特定技能制度開始当初は、国内の特定技能試験では、留学生がメインの受験者になっていました。留学生の多くは、技人国在留資格を希望する為、試験に合格しても特定技能の仕事に就職しないというケースも多く見られましたが、技能実習生に国内での特定技能試験受験の門戸が開かれたことで、より活用の選択肢が広がったと言えます。今後、この技人国代替グループでは、違う仕事をしていた技能実習生が試験を受けて特定技能として転職して来るというケースが増えることが予想され、このケースを想定した採用戦略、教育戦略を考えて行かれるのが良いと感じます。

最後は、上記の2つに属さない「その他グループ」と言うことになります。

介護と航空分野で事情が全く異なりますが、介護は技能実習生からの移行が今後本格化してくることと同時に、国内国外問わずに特定技能試験が多く実施されており、合格者も多数いることから、技能実習ルート、試験ルート共に、増加して行くことが予想されます。

航空分野は、全体の母数も少なく、まだ傾向も掴めません。

特定技能外国人 地域区分別資格取得ルート

次に、地域区分別の資格取得ルートを見てみましょう。

こちらも総務省統計局の規定する地域区分で分類しています。図20

(法務省公表数字を基にリフト株式会社で作成)

上記の中で目立つ数字を赤色にしています。

大都市東京や大阪を含む、南関東や近畿で、試験ルートで特定技能になった割合が多いことが分かる一方、北海道、東北、中国、四国、九州と言った地方では、技能実習生からのルートで特定技能の資格を取得している方が多くなっています。

試験ルートで特定技能資格を取得した7,379人のうち、東京大阪名古屋が属する南関東、東海、近畿の3区分で4,866人、シェアにして約66%が約3分の2が在留しています。

ここから推測して行くと、コロナウィルス蔓延により海外での試験合格者が入国できず、試験合格者のうち多くは国内試験の合格者であることを考えれば、地方部の特定技能人材は、技能実習生から同じ企業様で就労延長した方が多くを占めており、努力して試験に合格した方は、給与が高く、また同じ国の出身者が多くいる都市部を目指すという傾向が浮かび上がってきます。

特定技能外国人 出身国別資格取得ルート

続いて、出身国別の資格取得ルートも見てみます。図21

(法務省公表数字を基にリフト株式会社で作成)

こちらも同様に目立つ数字を赤くしています。

在留数上位のベトナム、フィリピン、中国、インドネシアは、全体の資格取得ルートのシェアと大きな差異は見当たりません。

目を引くのが、ミャンマーで、試験ルートのシェアが高くなっていることと、タイとカンボジアでは逆に試験ルートが一桁のシェアとなっており、ほとんどが技能実習ルートとなっていることです。

在留数が多いほど試験ルートのシェアが増える等の相関関係ではなく、何故ミャンマーだけ試験ルートが多く、逆にタイや、カンボジアは試験ルートが少ないのか、正直、私の力不足もあり、何故この傾向にあるのか、理由を推測出来ないのですが、文化的な傾向なのか、または、国毎に特定技能制度への認知度が違うのか、等、仮説を巡らせているところです。

今後、この傾向がどのようになって行くのか、個人的には大変興味深く見ています。

特定技能の試験合格者数の分析

特定技能技能評価試験受験者 合格者数

特定技能の技能評価試験には、どの程度の人材が評価試験を受験し、合格しているのかを見てみましょう。

各試験の受験者数、合格者数は、2021年11月までに各試験実施団体から発表された内容を元にリフト株式会社が集計したものですので、実際の数値と異なる場合がありますことをご了承ください。

介護分野は「介護技能評価試験」の合格者をカウントしております。(「介護日本語評価試験」の合格者とは差異があります)

また、製造3分野は3分野合計の数値としています。図28

(各試験実施団体の公表を基にリフト株式会社で作成)

こちらを見ると、14分野全体で、累計99,034人が試験を受験し、実に64,883人が合格しています。この数字は2021年9月末の特定技能全体の在留数を上回っています。

当然、1名が複数の分野を受験し、合格しているケースもありますので、あくまでも延べ人数ということにはなりますが、かなりインパクトのある数値です。

分野別を見てみると、介護の合格者が24,000人を超え、外食や、飲食料品製造業が続くということになっています。その他に、目を引くところでは、製造3分野(素形材産業、産業機械製造、電子電機情報関連産業)の試験合格率が圧倒的に低いことが目立ちます。この3分野は、コロナ禍における帰国困難の特定活動12ヵ月在留資格においても、元々製造3分野と同職種の技能実習生だけに資格変更を認めていたことや、特定技能受入れの要件となる協議会加入の難易度が格段に高い等、他分野と大きな違いがあります。この分野で受入れを検討される際には事前に注意が必要です。

また、農業分野は14分野の中で唯一、国内試験よりも海外試験の方が、受験者・合格者共に上回る等、積極的に海外で試験実施をしています。既に技能実習生でも多くの方が農業分野で働かれてきた歴史がある分野ですが、今後、試験実施やルート別の在留数がどのように推移して行くのか注目して行きたいと思います。

農業分野に限らず、海外での特定技能試験実施と合格者が増えて行く中で、新しく海外から外国人材を受け入れる際に、受け入れ企業としては、技能実習生として受け入れるのか、また、特定技能として受け入れるのか選択肢が増えることになります。

勿論、違う目的の制度ではありますが、両制度の特徴をしっかりと把握した上で、自社に合った選択をして行くことが必要でしょう。

特定技能技能評価試験合格者数からの資格取得率

更に、この合格者から一体どの程度の方が実際に特定技能資格を取得しているのかを見てみましょう。図29

(法務省並びに、各試験実施団体の公表を基にリフト株式会社で作成)

特定技能試験に合格した方は、上述の通り全分野で64,859人となっている一方、2021年9月末までに試験ルートで特定技能在留資格を取得した方は7,379人です。単純に試験合格者から資格を取得した方の割合を出すと11.4%となります。この数値は3か月毎に改善されているものの、折角準備をして試験に合格しても10名に1名程度の割合でしか資格を取得していないというのは衝撃的ではないでしょうか。

コロナ禍の影響で海外からの入国が制限されたことで、海外で試験に合格した方が入国できないという影響を考慮に入れても、試験合格からの資格取得率が低いことは、今後の特定技能制度をより活用して行くことを考える際には非常に重要です。

この理由については幾つか考えられますが、私が思いつくものを上げると、

  1. 試験に合格したものの人材が企業を見つけられない/企業が人材に求人情報を届けられていない
  2. 1人の人材が多くの分野で試験に合格しており、試験を受けている実数はもっと少ない
  3. 企業の内定が出ており現在申請中である
  4. 試験に合格しても、特定技能資格の取得を希望しない

等で、単一の理由が原因ではなく、全てが影響して、結果的に試験合格者と資格を取得して在留している方の数字が乖離しているのだと思います。

上のうち、3の理由であれば問題はありませんが、4の理由については、特定技能2号の運用拡大によって今後改善されていく可能性があります。

弊社の経験としては特に留学生の方で、在留回数の制限や家族滞在の可否などで、試験には合格したものの特定技能資格への変更はしないという方が多くいるように思います。

また、1の理由を考えると、まだまだ特定技能人材の就職/転職市場が未整備ということを表しています。

特定技能に資格変更する割合が一番多い技能実習制度においては、制度上「求人情報の流通」が、監理団体⇒送り出し機関という極めて限られたルートで行われています。

その為、技能実習生の採用経験がある企業側や、また、支援する登録支援機関も監理団体を兼ねている機関は、特定技能を技能実習生の延長線で考えているようなところがあり、その技能実習生の経験から派生した感覚と、制度の活用が進む中での特定技能の新しい感覚にGAPが存在するように思えます。

今後、特定技能に関する求人情報は流通市場の整備が進んで行きます。既に幾つかのサービスやプラットフォームが立ち上がっており、SNS上でも各国語で特定技能の情報や、転職の成功事例、求人情報等が行きかっています。人材側の特定技能制度への感覚は、技能実習制度への感覚とはどんどん変わって行きます。

その中で、企業側や支援する側が特定技能制度を上手く活用して行く為には、過去の成功体験である「技能実習感覚」を特定技能活用に向けてアップデートすることが重要に思えます。

国外の特定技能技能評価試験受験者 合格者数

次に、海外で実施されている技能評価試験の受験者数と合格者数を試験実施国別に見てみましょう。図24

     (法務省並びに、各試験実施団体の公表を基にリフト株式会社で作成)

こちらは、前回から引き続き、受験者数、合格者数共に、インドネシアとフィリピンが他国を引き離しています。

一方で、2国間協定の締結が遅れたベトナムや、そもそもまだ2国間協定が結ばれていない中国は、在留数に関わらず、ベトナムは建設のみ、中国は未実施と、現地での特定技能評価試験の実施が進んでいません。

この2か国に限らず、今後の試験実施スケジュールがどうなって行くのかは、制度活用を考える際に注意が必要です。また、既に特定技能評価試験の合格者が積み上がっているインドネシアやフィリピンといった国は、afterコロナにおいて、特定技能人材の活用を考えて行く上で、重要な国であると言えます。

特に今後、まとまった数の特定技能人材を活用する必要がある企業様は、インドネシアやフィリピンの海外現地での採用を検討して行くことも有力な選択肢と言えます。

特定技能外国人活用のために考えるべきポイントは?

私どもの会社、リフト株式会社は、ブルーワーク分野の外国人材に注力をして外国人材の紹介や、定着支援を行っており、毎日数十人の外国人材の方とコンタクトを取り、コミュニケーションをしています。

特定技能制度について毎日のように向き合っていますが、その中で感じることは「特定技能資格」は外国人材の方のプロフィールや属性によって、見え方が全く異なっているということです。

そのことを皆様にご説明する為に、特定技能の候補となる外国人材を下記の3つの属性に分けています。

a 技能実習経験者   

b 国内新規人材     

c 国外新規人材    

それぞれの属性の人材毎に特定技能制度がどう見えるのかについて考えてみましょう。

a 技能実習経験者

現役の技能実習生や技能実習経験者にとっては、技能実習の期間を満了した後に、引き続き日本で働くことが出来るメリットがある制度に見えているようです。

 2020年9月になりますが、日本で就労している技能実習生相手に実施したアンケートでは、229名の有効回答中、80%を超える方が日本での就労を延長したいという回答となっていました。

図25(リフト株式会社が2020年9月に現役技能実習生に行ったアンケート結果より集計)

国内の現役技能実習生は、2020年4月より国内の特定技能評価試験を受験できるようになった為、技能実習期間が満了した後の転職を見越して、優秀な技能実習生程、特定技能試験を受験しています。

また、時限的な措置ではありますが、コロナウィルスの影響で実施されている、新型コロナウイルス感染症の影響により実習が継続困難となった技能実習生等に対する雇用維持支援を使うことで、実習を満了した技能実習生は、技能評価試験に合格していなくても特定活動として1年間、事実上特定技能資格と同じように就労することが可能なことから、転職についてもかなり多くの選択肢を持つようになっています。

また、帰国した元技能実習生の方にとっては、一度きりだった技能実習制度をもう一度使えるチャンスとなっています。元技能実習生は、日本語試験N4の取得が免除されていることも大きなポイントです。

現状、レジデンストラックを使っての入国が必要ですが、この制限が緩和された後は、より多くの元技能実習生が特定技能外国人の候補となってくるでしょう。

この技能実習経験者層にとっては、特定技能制度は選択肢の増加、又は、働ける期間の延長として、大きなメリットのある制度に見えているものと思います。

実際に、弊社が支援を担当している特定技能求人にも現役の技能実習生が多く応募して来ています。

また、まだまだ未整備とは言え、特定技能の求人情報は、候補人材にとってWEBやSNS等を通じて地域に関係なくアクセスが容易になって来ています。

現在、技能実習生を雇用する企業様にとっては、延長を期待していた自社の技能実習生が特定技能として他社で働く為に離職してしまうというケースも増えてくるでしょう。

技能実習制度は、制度上転職が事実上できない制度の為、受け入れ企業側としてはモチベーションマネジメントにそこまで気を使わなくとも一定期間人材が定着するというメリットがありましたが、3年後に特定技能による転職が可能になったことは、非常に大きな変化です。

技能実習生として優秀な人材程、積極的に転職を考える傾向にもあります。

優秀な技能実習生に、自社で引き続き活躍して貰う為には、定着の為の工夫や努力が求めれて行きます。

但し、外国人材雇用を考える上で、これは非常に健全な流れです。

外国人材が気持ちよく働くことが出来る企業には人材が集まり、そうでない企業からは残念ながら人材が去ることによって、外国人材の定着や育成に前向きに取り組む企業が増えることは、日本全体の今後の外国人材獲得を考えれば非常に大切なことだと思います。

b 国内新規人材    

では、現在技能実習生以外の国内に在留している外国人にとってはどうでしょうか?

この層は様々な可能性がありますが、多くの場合留学生となります。

国内の留学生は多くの場合、技人国の在留資格を目指していて、特定技能は「滑り止め」という位置づけになっているケースが多いようです。

上述の通り、弊社のクライアントの特定技能求人に応募し内定を得た人材の中でも、留学生の方だと、技人国の在留資格を目指すという理由で内定辞退となるケースが散見されています。これは、上述のように、国内で特定技能試験に合格しても実際に資格取得する方が約11%という結果にも影響を与えているでしょう。

「更新回数に制限がない」「家族の滞在が可能」「(比較的)転職が容易」という在留資格制度上の優位性比較で、特定技能よりも技人国資格を優先的に考えている方が多い印象です。

また、「留学生として学んだことを活かす」という観点で仕事を選ぶケースも多く、これも、特定技能求人の内定を辞退する理由になっています。

そもそも、「求人に応募しなければいいのでは?」とお考えになる方もいらっしゃるでしょうが、一方で、今般のコロナウィルス感染拡大の影響を受け、技術人文知識国際業務の在留資格を必要としている求人が減少していることも考えなければいけません。

厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、国内全国の有効求人倍率が、2020年3月1.40⇒2021年3月1.10と激減しており、その結果として、国内の留学生のうち、特に専門学校等に通う人材がなかなか面接にすらたどり着けず、「仕方なく」「滑り止めの気持ちで」特定技能の試験を受け、面接を受けるという方が多くなっているようです。ただ、やはり本来の希望とは異なるため、いざ内定となっても辞退となるという流れです。

これは勿論仕方ないことではありますが、自社で採用する場合でも、クライアントに斡旋する場合でも、工数と費用をかけて採用活動を行ったにも関わらず、実際の就労に繋がらないことになりますので、どのように対応して行くのか、事前に対策を考えるべき問題と言えるでしょう。

特定技能2号の拡大により、この傾向がどの程度改善されるかを予測するのは難しいところですが、先だって特定技能2号の設定があったはずの「建設」と「造船舶用」で、制度が全く運用されていなかったことを考えると、特定技能2号の分野拡大、そして、それに伴って実際に特定技能2号の在留資格に変更出来る方が実際に現れるまでには、まだだいぶ時間が掛かりそうではあります。

但し、そのような状況でも、特定技能1号の先に特定技能2号があるということがはっきりと示せるだけでも、人材にとっては、当面特定技能1号で就労することのインセンティブに繋がる可能性があります。

特定技能人材を採用する企業や支援する企業が、留学生からの特定技能1号での採用を考える際には、特定技能2号の概要や将来的な可能性をしっかりと説明することにより、内定からの入社率を上げることに繋がると考えられます。

c 国外新規人材   

最後に、現在国外にいて過去に技能実習を経験していない外国人材にとって、特定技能在留資格はどのように見えるでしょうか?

国外だけでも、特定技能制度開始から約20,000人を超える方が各分野の技能評価試験に合格しており、制度への関心が伺えます。

また、送り出し各国もコロナウィルスの感染拡大で、経済が疲弊しており、より高い収入を求めて海外へ働きに行くことへインセンティブは高まっていることが予想されます。

海外からの人材を考える際に重要になるのは、現状、「技能実習生」と「特定技能」の2つの制度が並列しているということです。

特定技能資格で新規に来日する為には、各技能評価試験と日本語能力試験N4相当の資格に合格することが条件で、それを満たして且つ、企業の求人に応募して合格することが必要です。一方で、技能実習生としての来日は、基本的には企業の求人に合格すれば来日することが出来る為、資格取得のハードルと言う点では技能実習生を選ぶ方が良さそうに思えます。

また、日本で在留できる期間を考えると、特定技能2号を無視すると、技能実習生から入国すれば、技能実習で最大5年、無試験で特定技能(1号)に変更して5年の、合計10年の在留が可能である一方、特定技能から来日すると、5年間は特定技能で在留が可能ですが、そこから引き続き技能実習1号に変更することは出来ず、一度帰国して技能実習生として再度来日することは制度上可能であるにしても、心理的にも物理的にも、金銭的にもハードルが高くなり、こちらも技能実習生を選ぶ方が良いと思われます。

賃金については、「初めて日本に来日してブルーワークに従事する人材」という観点では、技能実習でも特定技能でも変わらない為、多くの企業では、技能実習を選んでも特定技能を選んでも、賃金に大きな差が無いケースが多くなっています。この点は、今後も特定技能の在留資格認定申請の際に、技能実習生と同等の賃金でも申請が許可されるのかによって、今後の推移に影響があると思われます。

特定技能の技能実習に対する明確なメリットとしては、転職が可能であることがあります。人材が、ここにどれだけの価値を見出すかにはなりますが、特定技能の転職もハードルが低い訳ではないこと(入国管理局への申請が必要になること)もあり、また、海外から日本に初めて働きに行こうという人材が転職が可能であることをどれだけ具体的なメリットと感じるかも少し疑問があります。

このように人材側の立場に立って考えてみると、特定技能と技能実習の2つの制度が並列に存在する以上、技能実習より特定技能を選ぶ方がそれほど多くなるようには思えません。

特に地方の企業様の求人では、国内で特定技能人材を集めることが難しくなっており、海外からの採用を検討されるケースも多くあると思います。コロナウィルスの影響が沈静化した後は、海外からブルーワークで就労する外国人人材を求めるケースは益々増えて行くでしょう。

その際、在留資格は特定技能で募集するのか、技能実習で募集するのか、しっかりと違いを理解した上で、戦略を考えて行く必要があります。

特定技能を分野毎に考えてみる

最後に、企業側にとって特定技能資格はどのような存在になっているのでしょうか。

ご存知の通り、特定技能には現在14の分野が存在していますが、その分野毎に、採用する側である企業の求める人材像が異なり、また、求人に応募する人材層も異なり、結果として現状の特定技能在留資格の活用度合いも大きく差異が出てきており、また、特定技能についての見え方や評価も全然違ったものになってきます。

私は、上述の通り、特定技能14分野を3つのグループに分けて考えています。

1つ目は、「技能実習延長/代替グループ」です。このグループには、「外食」「宿泊」「介護」「航空」以外の10分野が入ります。次に、「技人国代替グループ」で、ここには「外食」と「宿泊」の分野が入ります。最後が、「その他グループ」で、「介護」「航空」分野が入ります。例外的で傾向がまだ読めないという位置づけです。

それぞれのグループ毎に、在留数と、資格を取得したルート、また、特定技能試験に合格した方の数を並べたのが下記の表になります。傾向がお分かり頂けるものと思います。図30

(法務省統計、各試験実施団体の公表を基にリフト株式会社で作成)

それぞれのグループの分野毎にどのような活用が有効なのかを考えてみます。

a 「技能実習延長/代替グループ」

 まず「技能実習延長グループ」ですが、名前と現状の実績が示す通り、このグループに属する分野は約95%が技能実習生ルートで資格取得となっています。

一方で、このグループでも2021年9月発表分までで全体で約23,000人以上の試験合格者がいますが、実際に試験ルートで資格取得した方は1,766人となっています。差し引き約21,000人以上が潜在的な特定技能外国人候補となっており、企業様とこの人材候補を繋ぐルートが整備されれば、このグループでも試験ルートでの活用が拡大する可能性があります。

このグループは海外から人材を採用するのか、国内から人材を採用するのかに分かれ、海外から採用する場合には、上述の通り、特定技能として採用するのか、技能実習生として採用するのかを検討する必要があります。

また、国内からの採用を考える場合は、試験に合格した人材か、または他社で技能実習生として働いている人材を満了タイミングで採用することになりますが、いずれにしてもいかに人材にアプローチするのかが課題となります。

求人媒体を通じて募集することも可能ですが、日本語での求人になるとピンポイントで人材に求人情報を届けられるかには疑問があるでしょう。

自社で外国人材を既に雇用している場合には、その友人などの紹介で採用に成功したケースもありますので、まずはリファラル採用として自社の人材のネットワークを活かして探してみるのが良いかもしれません。

弊社のような外国人材採用を専門に支援している企業では、自社のメディアやネットワーク等、独自の人材獲得ルートを持っていますので、相談されるのも良いでしょう。また、弊社ではダイレクトに特定技能人材に求人情報をオファーするサービスも行っています。

また、各国の送り出し機関が自社が送り出した技能実習生の情報を持っているケースも多く、繋がりがある場合は問い合わせをされてみるのも良いでしょう。

b 「技人国代替グループ」

続いて、「外食」「宿泊」という現在の所、技能実習生からの無試験での移行が実質無いという分野が属するグループになります。(特定技能「外食」は、技能実習「医療・福祉施設求職製造」職種からの移行が可能です。また、技能実習には令和2年2月に「宿泊」職種が追加されています。)

「外食」「宿泊」の仕事は、以前から「技人国」在留資格で、外国人材が就業している例が多くありました。勿論、「技人国」在留資格が目的としている業務と、特定技能の「外食」「宿泊」が目的としている業務は違うのですが、近年の外国人観光客の増加も背景にあり、外国人観光客向けの通訳人材として、サービス業の店舗スタッフとして技人国の在留資格申請が入国管理局で許可されるという経緯がありました。しかし、近年では様々な理由から、この分野の技人国在留資格申請がこの数年間で厳格化され、数年前には在留資格が許可されたが、同じ企業、同じ申請で不許可になった、また、技人国での在留資格更新が許可されないという事例が相次ぐようになっていました。

そこで、「外食」「宿泊」分野においては、これまで技人国で働いてた、または採用していた外国人材を特定技能で採用することが増加するであろうことから、「技人国代替グループ」というグループ名にしています。

ただし、前述の通り、この分野の試験合格者からの特定技能資格取得は現状多いとは言えない状況があります。

試験合格者からの在留資格取得割合は、宿泊分野では合格者3,125人に対して、資格取得121人で資格取得率3.9%、外食分野では合格者13,693人に対して、資格取得1,749人で、資格取得率12,⑧%となっています。(試験は2021年11月発表までの数値 資格取得は2021年9月末までの数字)

資格取得率が上がっていない大きな原因は、やはりコロナウィルス感染拡大の影響によって、そもそも「宿泊」「外食」の分野で求人自体が減っていることでしょう。

コロナウィルス感染が収束し、需要が回復した後は、試験合格者が多くいることから、この分野で大きく資格取得者が増えて行く可能性がありそうです。

また、2020年4月より国内に在留している技能実習生にも、特定技能試験の受験資格が認められたことも後押しになりそうです。

2020年3月までは、特定技能試験の受験者の多くは留学生だったことが推測されます。

上述の通り、留学生は多くの場合技人国資格の取得を希望し、特定技能の取得にはネガティブでした。

しかし、現在技能実習生として就労している人材にとっては、在留資格の満了後であったとしても日本での就労を延長できる、または、自分のやりたい分野の仕事に転職出来るメリットのある資格に見えているはずです。

技能実習生でも優秀で、日本で長期間の就労を希望している人材は、日本語の上達を望むケースが多く、日本語を使う機会が多い外食や宿泊の仕事は人気があります。

弊社でも求人をお預かりした外食の特定技能求人に多くの現役技能実習生が応募して来ており、特定技能制度開始前を考えると、隔世の感があります。彼らは留学生よりもハングリーさを感じる人材が多く、企業様にも高評価になりがちです。

このグループで特定技能外国人を活用する際に、昨年度までは選択肢になかった、現在技能実習生として就労している人材を考えて行くのはかなりお勧めです。

但し、この場合でも技能実習生人材にどのようにアプローチしていくのかは考えるべき課題となりますので、技能実習延長/代替グループの場合と同様に作戦を考えて行く必要はあります。

c 「その他グループ」

 最後にその他グループとして、「介護」と「航空」についてです。

このグループは少し意味合いが違うため、個別に見て行きます。

まず航空は、2021年9月末で在留者が35名で、約9割が南関東で在留する等かなり特殊な分野です。

採用する側の企業もそれほど多くないであろう特殊な分野ですし、コロナウイルス拡大の影響を大きく受けていることが予想される為、これからもそんなに活用が進まないことが予想されます。

次に介護分野ですが、この分野は、試験ルートと技能実習ルート以外にも資格取得が可能で、「養成施設修了ルート」と「EPA候補者ルート」があります。

簡単にご説明をすると「養成施設ルート」は、介護福祉士の養成学校(専門学校、大学、短期大学等)を修了した人材、「EPA候補者ルート」は我が国と経済連携協定を結んでいるインドネシア、フィリピン、ベトナムで条件を満たした方を、国内で条件を満たした施設が受け入れ、働きながら4年間(1年の延長が可能)の間に介護福祉士の試験合格を目指し、合格した場合には引き続き介護福祉士として働くことが出来るという制度で、その制度を利用して4年間適切に従事していた人材は、それぞれ技能試験及び日本語試験を免除され、特定技能資格を取得できるというルートです。更に時限的ではありますが帰国困難者の特定活動ルートもあり、多彩な採用ルートを検討するが可能です。

更に、特定技能で働いている介護人材が介護福祉士の国家資格を取得した場合には、在留資格「介護」(※ 特定技能の介護分野とは違います)に在留資格変更が可能です。在留資格「介護」は、「専門的・技術的分野の在留資格」に属しますので、特定技能1号のデメリットとしてあった家族滞在が可能や、更新が無制限、転職も介護施設間であれば容易に出来る等がメリットとして挙げられます。このキャリアパスが既に制度として確立している点は、他の分野にはない大きな特徴です。

一方で、介護保険制度上、他分野に比べて賃金面では見劣りする求人になっているケースが多く、特に地方の介護企業様に求人情報を頂いても、国内で特定技能介護の候補者獲得にかなり苦労するケースがあるのが現状です。

少子高齢化が進む日本では、介護分野は今後20年程度成長が見込まれ、介護保険法上、効率化をしても一定以上の人員を配置することが必要な仕事の為、当然外国人材活用にも大きな期待が掛かっているものと思います。

上述の通り、介護分野は特定技能試験の実施回数が最も多く、また、合格者が多数いる為、今後、一定数、資格を取得する方は増えそうですが、在留資格「介護」変更の為に必要な、介護福祉士取得の為の支援等、定着の為には工夫が必要になるでしょう。

また、介護分野では、海外でも多くの試験合格者がいるので、これから外国人材の雇用を考えられるという介護企業様がいらっしゃれば、海外から特定技能評価試験の合格者の雇用も視野に入れてご検討されることで、試験に合格した意欲が高い人材を獲得出来るチャンスになるかと思います。

最後に

既に報道されているように介護を除く13分野に特定技能2号を拡大する方針が発表されています。

上述の通り、2年前から設定があった建設、造船舶用分野でも、未だ特定技能2号での在留は無く、拡大されたからと言ってすぐに特定技能2号の人材が増えて行くわけではありません。肝心の技能評価試験がどのようなものなのか?難易度はどの程度なのか?等、不透明な部分が多いのが現状です。

但し、研修制度から始まり、技能実習制度、特定技能1号と来て、特定技能2号が現実的になって来たことは、大きな進歩です。

冒頭でも述べていますが、「特定技能制度」は、「初めて人手不足を理由として外国人材の活用が可能になった」という意味で、我が国の制度上、画期的な内容です。

この制度がどのように活用されていくのかは、単に各企業、各分野のことだけではなく、今後の日本の国作りに係る大きな流れとなります。

しかし、先日行われた衆議院議員総選挙でも、ほとんどこの話題が論点となることなく、各報道機関の調査結果を見ても投票先を選ぶ際の関心事になっていません。

周知のとおり、日本は世界で最も高齢化が進み、且つてどの国も経験したことが無い、人口自然減社会を迎えます。一方で、G7各国との比較で見ても、総労働者に占める外国人材=外国人労働者の割合は極端に少ないままです。

外国人材を迎える迎えない、増やす増やさないに関わらず、これから日本社会がどのような人口構成、社会構成であるべきかは、国の主権者である我々日本国民にとって最大のテーマであると言えます。

ですが、残念ながらこのテーマに対して、議論は進んでおらず、課題意識すら持たれていないのが現状です。また、誤解を恐れずに言えば、議論をする為の基礎的な情報が、国民全体に足りていないとも思えます。

その為、多くの意見がエピソードベースの感情論となり、また、合理的な論拠ではなく、イデオロギー的な結論ありきのもののように思えます。

考えなければいけないのは、この状況は日本だけのものではなく、韓国、台湾、中国と言った東アジア諸国も同じように人口自然減社会に突入し、多くの人材送り出し国にとって、日本は唯一の選択肢ではなく、経済成長の推移を考えると、年を経る毎に日本で働きに来るインセンティブは減少して行くことです。すなわち、外国人材を積極的に受け入れて行くという選択肢を取る場合には、年々難易度が高くなって行くということです。

産業界、経済界の要請、つまり市場の原理で技能実習制度、特定技能制度と現場で働く外国人労働者の受入れは進んできました。技能実習生、特定技能人材と別に、多くの留学生が、資格外活動=アルバイトという形で今も日本の社会を労働力として支えてくれているのが現状です。

国民的な関心や議論が無く、なし崩し的に進んでいる現状は民主主義の国としては健全ではありません。

是非、特定技能制度をきっかけとして、今後の外国人材の受入れに関する議論が進み、多くの方が真剣に考えて頂くことを願ってやみません。

本記事が、特定技能の活用だけではなく、その為の一助になれば幸いです。

 

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