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    好きな技術書で知るエンジニア判定法② 『たのしいRuby』編

    目次

    前回の好きな技術書で知るエンジニアの判定法①『ハッカーと画家』編では、

    「どんな本に影響を受けましたか?」

    という質問からエンジニアの志向性を考えました。今回の記事では、

    「どんな本でプログラミングに入門しましたか?」

    という質問を聞いたときに、『たのしいRuby』と返されたケースを考えます。もちろん、一口に『たのしいRuby』と言っても、様々な事情やケースがあるので、あくまで有名なケース、頻出なケースについて言ってるんだなぐらいの感覚で読んでもらえればと思います。

    Rubyとは?

    『たのしいRuby』の前に、

    「そもそも、Rubyって何?」

    というところから話を始めたいと思います。

    Rubyは、日本人のまつもとゆきひろ氏(通称Matz)により開発されたプログラミング言語です。

    現在流行っているプログラミング言語の多くが国外のエンジニアや研究者によって開発されたものですが、Rubyは日本人が作り、日本人が積極的に書いている言語です。

    Rubyができた当初は

    「面白いけど、おもちゃみたいな言語だね。業務で使うことはないだろう。」

    と多くの人が思っていました。それが、Ruby on RailsというWebアプリケーションを開発するためのフレームワークが普及することによって徐々に

    「プログラマとして食っていくならRubyを覚えよう」

    と言われるまでになったのです。Ruby on Railsは非常に強力なフレームワークで、Twitterやクックパッドのようにユーザーごとにアカウントを作成して、ユーザーが気軽にコンテンツを投稿できるアプリケーションの開発を迅速に行えるようになりました。

    Twitterが社会的な影響を強めていった2010年から2016年頃まで、プログラミングビギナーの間で

    「Rubyでプログラミングに入門して、すぐにRuby on Railsで動くものを作ろう。」

    というトレンドがありました。今ではディープ・ラーニングやVRの普及に伴い、PythonやUnityから入門する人が増えてきてますが、SNSが成長期だった頃に盛んに学ばれたのがRubyだったわけです。

    Rubyは開発者が日本人であったために、日本国内でも多くのコミュニティができました。試しにプログラミングを始めてみようと思う大学生から、世界レベルの技術力を持つハイスペエンジニアまで、非常に幅広い層のコミュニティがあるのが強みです。世界的に見ても、ここまでRubyを学ぶ環境が整ってる国は日本だけでしょう。

    『たのしいRuby』とは?

    では、『たのしいRuby』とはどういう立ち位置の本なのでしょうか?

    ずばり、

    「Rubyどころか、プログラミングすら初めての人に、わかりやすくプログラミングを解説する入門書」

    です。数あるRubyの入門書の中でも、開発者であるまつもとゆきひろ氏が監修を務めており、

    「変数って何?」

    「引数って何?」

    「クラスからインスタンスを生成するにはどうすればいいの?」

    のような初歩的なところから順に説明していくスタイルは多くの独学者の支えとなりました。

    『たのしいRuby』で入門した人はこんな人

    一概に言えるわけではありませんが、よくあるケースを挙げていきます。

    1. 映画『ソーシャル・ネットワーク』に感化された人

    『ソーシャル・ネットワーク』は2010年に公開された映画です。Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグが起業する経緯を疾走感あふれる演出とストーリー展開が素晴らしい作品です。承認欲求が強いが社交性に難のある天才プログラマが自分の作ったサービスで億万長者になっていく過程を描いた『ソーシャル・ネットワーク』は米国発SNSという新しいインターネットの形を印象づけました。

    2010年当時のインターネットと言えば、2ちゃんねるを初めとした有象無象の匿名掲示板が主流で、TwitterやFacebookやLINEも今のように流行っていませんでした。mixiやプロフィールサイトなども使われていましたが、足跡機能に見られるように閉塞的で内輪ノリが強く、それらは専ら日本でしか流行りませんでした。

    現在のスマートフォンの方向性を作った初代iPhoneの発売が2007年なので、それから3年しか経っていない時期です。それまでスマートフォンが一部のガジェット好きの間でしか使われていませんでしたが、徐々に一般人も使い始めた過渡期でした。

    スマートフォンがスマホと呼ばれ始め、iPhone以前と同じような筐体の国産携帯がガラケーと呼ばれ始めたぐらいの時期に、実名を公表し、ビジネスにも使え、自分の社会的ステータスを表すものとしてインターネットを使うというのは非常に衝撃的だったのです。

    2011年に東日本大震災が起こると、新しい情報収集の手段としてTwitterが流行り、個人間のやりとりも携帯のキャリアメールからLINEへと移っていきました。一般人がネット上で継続して何かを発信するにはブログなどがメインだった時期から、徐々にTwitterで四六時中誰かと繋がり、個人単位でアカウントを作成し、共時的で常に誰かがいる場所としてのインターネットが普及していったのです。

    「SFの世界が現実のものになってる」

    「自分と趣味や価値観が合う人間とかんたんに繋がれる」

    「既存のマスメディアを脅かす」

    「誰もが専門家にメンションを飛ばすことができる」

    という事態に多くの人が時代の変化を感じました。それを端的に表していたのがTwitterだったのです。そして、そういった新しいWebサービスを手軽に実現できるのがRuby on Railsであり、その中核技術であるRubyでした。

    そんな空気感の中で「たのしいRuby」を手にとり、プログラミングの世界に入門したエンジニアを中心に、

    「次のマーク・ザッカーバーグは自分かもしれない」

    と、雨後の筍のようにさまざまなベンチャーが生まれ、受託開発でBtoB向けのソフトウェアを開発するSIerから、直接ネット上でユーザーを獲得するBtoC向けまで、様々な形態のサービスが生まれては消えていきました。

    以上の背景から、良いか悪いかは別として、新しい物好きで、情報感度が高い方である可能性が高いです。

    2. 自然言語処理やバイオインフォマティクスを行っていたエンジニア・研究者

    RubyはTwitterライクなWebアプリケーションだけではなく、自然言語処理などの分野でも使われていました。今でこそ初心者でもかんたんに学べるPython一強の様相を呈していますが、少し前まではスクリプト言語のRubyやPerlも、研究者が手軽に実装できる言語として使われていました。

    そして、自然言語処理だけではなく、プログラミングなどのドライな方法でゲノム解析などを行うバイオインフォマティクスなどにもRubyが使われていました。

    そのため

    「Ruby使ってたの? じゃあ、時代に流されてRailsを勉強してただけじゃない?」

    と判断するのは早計です。確かに、RubyはWeb系で多く使われている言語ではありますが、アカデミズムの中でも実用に耐えうる強力な言語でもあるのです。

    院生時代にRubyを書いてましたというエンジニアの人がいたら、

    「どんな研究をされていたのですか?」

    と聞いてみると、今まで考えたこともなかったRubyの使い方を聞けるかもしれません。

    その答え次第では、エンジニアにとって非常に重要な資質である、思考力の深さを伺い知れるかもしれません。

    まとめ

    Rubyは国産言語で、主にWeb系で使われています。日本でのコミュニティ規模は大きく、Rubyを書けるエンジニアは多くいます。SNSの発達ともにその数は増え、2010年代に一時代を築きました。それまでの

    「技術が好きだから」

    というオタク的な文化圏だけでなく、

    「俺が成功者になってやるぜ」

    というギラギラしたベンチャー志向の人間を巻き込んでいったのです。そんな流行に敏感で挑戦意欲あふれる人と一緒と働きたい人は積極的に「はじめてのRuby」からプログラミングに入門された方を募集するといいでしょう。

     

     
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    マーケティング部

    福島県内の高校卒業後、東北大学に入学。在学中は硬式野球部に所属。英語学、心理学、英語教育学を専攻。卒業後は社会を構成する『ヒト・モノ・カネ・情報』が遍在することで生じる歪み(社会問題)をビジネスを通して適正化するというミッションに共感しリフト株式会社に入社。現在はマーケティングを担当。