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イスラム教徒のインドネシア国籍の方を雇用する際に知っておきたいポイント

目次

インドネシアは世界第1位のイスラム教徒人口を有する国であり,国民の約90%がイスラム教を信仰しております。今回はインドネシア人イスラム教徒を日本で雇用する際に知っておきたい基本と、実務上の注意点について弊社のお客様が関わった事例を交えながら紹介いたします。

イスラム教徒であるインドネシア人を雇用するのは難しいのか?

イスラム教インドネシア人1

結論から言うと全くそんなことはありません。日本に来日する前の研修の時点で日本はイスラム教国ではなく、母国の常識が当てはまらない場合があることを教えられます。採用の時点で断食や、礼拝のタイミングをずらすことは可能か確認するなど、ポイントを抑えることができれば、イスラム教が原因での問題はほとんど生じません。むしろイスラム教徒の方には素晴らしい倫理観を有し、真面目に良く働かれる方が多いため、偏見でイスラム教徒の方の雇用を避ける企業が多い中、実情を理解し、自信を持って雇用を推進すると、他社にない大きなアドバンテージとなります。

※募集・採用の際に、宗教の融通が効くことを条件にすることは信仰の自由に違反します。あくまでも面接で日本での就労が可能か見極めるようにしましょう。

インドネシア出身イスラム教徒の日常と、雇用の際にをつけるべきポイント

礼拝

テレビなどでご覧になったことがある方も多いと思いますが、イスラム教徒はメッカ(場所が分からない場合には、西北西)を向いて、礼拝スケジュールに沿って毎日5回夜明け前、昼、午後、日の入り、夜に礼拝を行います。一回の礼拝時間は平均5分ですが、これはまちまちで、最長1時間になることもあります。この礼拝ではクルアーンと呼ばれる経典を静かに唱えます。礼拝を行う場所は清潔である必要があります。

  • 雇用する場合の注意点!

礼拝前には体の一部(口、手、顔、足等)を清めるのですが、その際に、洗面所やお手洗い場を使用します。日本に渡航する前の事前学習で、日本の洗面所やお手洗いを使用後は、綺麗に掃除するように指導を受けており、衛生面での問題はないのですが、稀にこの「清め」文化自体に戸惑う雇用者の方もいらっしゃるようです。

このような文化があるのだということをあらかじめ知っておけば、違和感なく雇用することが可能でしょう。

また、そんなに頻繁に礼拝をすることは現実的ではないのではと心配される雇用者の方もいらっしゃると思います。その点については問題ありません。インドネシア出身の方は、現実に即して戒律を解釈している方が多いです。仕事上業務に差し支える場合には、その分の礼拝をあとでまとめて行なう等調整をされています。

また男性は、毎週金曜日の正午に、約30分程度の集団礼拝を行います。そのため金曜日に休暇の希望を申し出る従業員もいらっしゃいます。その際、業務に支障がなければ休暇の許可を出せると良いのですが、業務に支障がある場合や、繁忙期などは、休暇を許可する必要はありません。その際には、監理団体等の支援機関に事情の説明を依頼しましょう。通訳スタッフが母国語で説明することで納得できることもあります。

飲食

ご存知の通り、イスラム教徒には、戒律で禁止されている食べ物があります。有名なものでいうと、豚肉とアルコールですね。豚肉に関しては、スープや、豚皮由来のゼラチンまで、関連するものすべて食べることができません。

ただこれは個人個人の考え方によって若干の差がある部分です。人によっては食べても良いと思っている場合もあるので、一緒に食事をする場合には一括りに判断せず、その方とコミュニケーションを取ることが大切です。

雇用する場合の注意点!

イスラム教徒の方は基本的に自炊をします。社食がある場合にも、うっかり豚を食べてしまってはまずいので、基本的にはお弁当を持参します。衛生上職場への弁当持ち込みが禁止されている場合には、できるだけこの豚肉禁止という戒律を気にかけ、別メニューを提供するようにしましょう。ただし、豚と分からずに食べてしまった場合は仕方がないという考えの方もいます。やはりコミュニケーションを取ることが大切ですね。

お酒の席でのお付き合いは、素晴らしいコミュニケーション手段です。歓迎会や、打ち上げなどの席で、飲まないのは付き合いが悪いと思うかもしれません。しかし無理に飲ませることはトラブルの原因になります。相手の立場に立ち、思いやりを持って接するようにしましょう。

また、見方を変えれば、お酒を一切飲まないのでお酒のトラブルは皆無です。プラスに捉えるようにしましょう。

断食

有名なラマダンのことです。イスラム教徒は年1回1ヶ月間の断食を行います。時期はイスラム暦によって毎年異なります。ラマダン中は、日の出前から日没までの間、一切の飲食をしません。また断食だけではなく喫煙、性行為、投薬、故意に吐く行為等も禁止されています。

ただし、全員絶対にこのラマダンを行わなければならないわけではなく、対象者は健康な人です。例えば、旅行者・重労働者、妊婦、産婦、病人、生理中の方は後日、健常になった場合に行うことになります。

  • 雇用する場合の注意点!

断食中は飲食の誘いはしないようにしましょう。インドネシア人は上下関係を大切にする文化がありますので、上司の誘いは断りずらいものです。事前に断食の予定を聞いておいて、配慮してあげると良いでしょう。

また、断食をしていては労働に耐えられない可能性がある場合は、面接段階で、実習中は断食よりも仕事を優先できるかどうか確認しておく必要があります。基本的にそういう意識でおられる方が多いのですが、念の為確認をしておかないと、話が違うとなる場合もあります。断食中に体調不良になってしまった方がいる場合、まずは断食を中断させ、適切な栄養と休息をとってもらいましょう。この場面でも母国語でのコミュニケーションは強みになります。なるべくバイリンガル支援スタッフの力を借りましょう。

祝祭日

日本で言うところの正月のような祝日がイスラム教には年2回あります。一つはイード・アル=フィトル(断食明祭)です。約1ヶ月間の断食後の祝祭日で、当日の早朝に第集団礼拝を行い、その後家族や親族と集まり食事をする祭りです。

インドネシアではこの時期2週間ほど仕事は休みになります。もう一つはイード・アル=アドハー(犠牲祭)です。牛、羊等を屠殺し、切った肉を貧困層へ与え、救いの手を差し伸べる祭りです。この日も早朝から第集団礼拝を行います。

  • 雇用する際の注意点!

多くの方がこの2つの祭りがある日程に休暇を希望します。日本で言うところの正月ですので、できるかぎり休暇を出して上げたいところですが、生産管理の関係上それができない場合には、特別休暇を出さずとも問題はありません。

トラブルのケースとしては、強く休暇を要望した一人に対して特別休暇を出したところ他の従業員も休暇を強く求め始め、業務に支障をきたしてしまう場合です。繁忙期について日本語で説明するよりも通訳者に母国語で説明してもらうようにしましょう。

ヒジャブ

ヒジャブとはイスラム教徒の成人女性が髪を隠すために被るものです。おそらくみなさんイメージが付いているかと思います。女性がヒジャブを被る目的は「美しいものを守るため」で、家族以外に髪を見せてはならないということになっております。

  • 雇用する際の注意点!

ここ数年で、インドネシアでは。日本で働く場合には、ヒジャブをかぶれないという認識が広まっています。とはいえ、仮に就業中に外してもらう必要がある場合には、面接時の簡単な意識調査と、母国語での相談は忘れずに行うようにしましょう。また確認ですが、ヒジャブ禁止規定を出して、募集することはできません。信条による差別になるからです。

まとめ

インドネシアのイスラム教徒、中でも日本に働きにいらっしゃる方は、日本の文化を理解し、ある程度、合理的にイスラム教の戒律を解釈される方が多いです。ただし、アチェ州のように、インドネシア内でも厳格に戒律を守る文化がある地域の出身者はこういった合理的な解釈は難しいかもしれません。異国の方と働く場合に、その国の文化に共感をする必要はありませんが、理解をする必要はあります。働いている外国人が日本ではありえないことをした場合に、感情的になってはいけません。なぜそのような行動をとったのか、背景を理解するように心がけましょう。そして背景を理解した上で、法に反しない正しい指示である場合、断固として実行してもらう必要があります。その際には丁寧なコミュニケーションが必要になります。できるかぎり母国語でサポートできるスタッフのいる支援会社と提携し、母国語でコミュニケーションを取るようにしましょう。

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関根謙志郎

取材班

福島県内の高校卒業後、東北大学に入学。在学中は硬式野球部に所属。英語学、心理学、英語教育学を専攻。卒業後は社会を構成する『ヒト・モノ・カネ・情報』が遍在することで生じる歪み(社会問題)をビジネスを通して適正化するというミッションに共感しリフト株式会社に入社。現在はマーケティングを担当。