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    • 関根謙志郎

    自動車整備業の企業は「特定技能」をどう活用すればいい?

    目次

    自動車整備業界は、2018年12月発表の有効求人倍率が3.73倍で、数年後には1万人以上人材が不足するとされています。

    本記事をご覧になっているあなたは、

    「特定技能」についてはなんとなく知っているけれども、実際にはどのように活用すればいいだろうか。」

    という課題感をお持ちではないでしょうか?

    本記事では、自動車整備業分野で「特定技能」を活用する場合に知っておきたい基本事項から、実際の活用法まで解説いたします。

    基礎知識、現状、今後の活用法、「特定技能」以外の選択肢という順に説明しますので、気になるところだけお読みいただければと思います。

    ご参考になれば幸いです。

    自動車整備業における特定技能なぜできた??

    まずは、制度設立の背景から説明します。

    「特定技能」とは、人材不足が著しい14分野において外国人の就労を許可する制度ですが、実は、2011年頃まで自動車整備業の有効求人倍率はそれほど高くありませんでした。

    しかし、少子化や若者の自動車離れ、職業の多様化により、自動車整備士を目指す若者が激減し、下記のグラフの通り有効求人倍率が急激に高まってきたのです。

    国土交通省は、この状況に対応するため、自動車整備業の働き方改革・生産性改善支援や、自動車整備工の魅了向上に向けたPR活動を進めてきました。

    しかし、それでも確保には不十分であるという事で、自動車整備業分野も外国人の受け入れによる人手不足改善を目指す「特定技能」制度の対象業種に認定されたのです。

    自動車整備業における「特定技能」で外国人が満たすべき要件は?

    自動車整備業の企業が「特定技能」の在留資格で雇用できる外国人の要件は大きく2つあります。

    1つは日本語能力水準です。日本語が全くわからない方の場合、仕事はおろか、日常生活にも困るなど日本での生活が困難になってしまうため、日本語能力試験(JLPT)でN4レベル、または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」の合格が必要とされています。N4レベルについてJLPTのWebサイトでは下記の様に定義されています。

    N4 基本的な日本語を理解することができる

    読む 

    ・基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を読んで理解することができる。

    聞く 

    ・日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる。

     

    2つめは技能水準です。基本的には即戦力の雇用を目指した制度ですので、当然候補者には技術レベルの試験(自動車整備分野特定技能評価試験)も課されます。こちらの試験は自動車整備技能検定試験3級レベルとされています。

    実際のレベルとしては、自動車の定期点検整備と自動車の分解整備の作業を一人で適切に行える技能水準です。

    こちらの試験は原則として日本語で行われるため、ゼロから日本語と技術双方を勉強し、受験するのは非常に大変です。難易度が高いあまり受験者の母数自体が少ないというのが現在の状況です。

    自動車整備業における特定技能で可能な業務の内容は?

    自動車整備分野特定技能運用要領には、自動車の日常点検整備・定期点検整備・分解整備が想定されています。ただし、それらの業務に付随する関連業務に関しては日本人と同様に従事することが可能とされています。

    5 その他特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する重要事項

    (1)1号特定技能外国人が従事する業務

    自動車の日常点検整備,定期点検整備,分解整備

    出典:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領

    ○ また,分野別運用要領に記載するとおり,当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えありませ ん。

    出典:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領

    自動車整備業における特定技能と技能実習との違いは?

    結論からいうと、技能実習制度よりも特定技能の方が対象となる企業が多いです。

    具体的に、技能実習制度においては、下記のように実習実施事業所が定義されています。

    [実習実施場所の要件]

     地方運輸局長から自動車分解整備事業の認証を受けた事業場(対象とする自動車の種 類として二輪の小型自動車のみを指定されたもの及び対象とする業務の範囲を限定し て行われたものを除く。)であること。

    出典:自動車整備技能実習ガイドライン

    とされていますが、特定技能においては、地方運輸局長から認証を受けた自動車分解整備事業場であって、対象とする装置の種類が限定されている事業場や、対象とする自動車の種類が二輪自動車のみの事業場における業務も、自動車整備分野の業務に該当します。

    自動車整備業における特定技能外国人は何年間日本にいられるの?

    現状のところ最長5年です。

    特定技能には1号と2号があり、特定技能1号を修了し、試験に合格すると特定技能2号に移行できます。この特定技能2号は会社に勤めている限り在留し続けることが可能になりますが、現状のところ2号が認められているのは人手不足が深刻な特定技能対象14業種のうち建設業と造船・舶用工業の2業種のみです。

    自動車整備業は現状のところ2号対象職種ではありませんが、自動車整備業においても有効求人倍率の高まりは顕著ですので、今後特定技能2号への移行が許可される可能性は十分にあります。

    自動車整備業における「特定技能」は実際、どの程度進んでいるのか?

    自動車整備業分野においては今後2019年〜2023年の5年間で最大7000人の受け入れを目指しています。

    が、しかし、残念ながら進みはあまりよくありません。

    2019年12月末までに在留資格が認定された自動車整備業における特定技能人材の数は計10名となっています。

    その内、*技能実習2号、3号から特定技能に移行された方の人数は9名自動車整備検定試験3級に合格して日本国内で在留資格を変更した方が1名という状況でした。

    また、下記はフィリピンにおける自動車整備分野の技能試験合格数の推移です。合格率は81.82%と高くなっていますが、そもそも試験を受ける方自体が少なく、合格者数は計18名という状況です。

     

    令和元年12月

    令和2年1月

    令和2年2月

    合計

    受験者数

    12

    5

    5

    22

    合格者数

    12

    2

    4

    18

    ※技能実習制度とは、発展途上国から実務を通して日本の技術を学ぶために来日する外国人のことです。既にご存知の方、あるいは既にもう実習を実施している企業さまにはくどい説明ですが、技能実習生は最大5年間の就労が可能であり、修了までに、ある程度の技術レベルに達します。

    自動車整備業では特定技能をどう活用すればいい?

    ここからは自動車整備業で特定技能を企業がどのように活用していくかについて考察していきます。

    ①技能実習生からの移行がメインとなる。

    残念ながら、技術力があり、日本語も得意な方は稀ですので、先述の通り難易度の高い試験を合格できるような人材は少数です。昨年特定技能の在留資格が降りた10人のうち9人が技能実習生からの移行であるように、技能実習生からの移行がしばらくはメインとなりそうです。技能実習2号、3号を修了された方は、無試験で特定技能に移行することが可能だからです。

    実際、海外現地送り出し機関の方に話を聞くと、日本に行くために難しい試験に合格しなくてはならない「特定技能」ではなく、無試験で日本に行ける「技能実習」の方が人気だそうです。

    技能実習生を採用するためには様々な制約がありますし、戦力化するまでには時間がかかりますが、技能実習制度を利用して該当の人材と関係性を深め、特定技能1号に移行してもらうのが、現状のところもっとも主流な特定技能の活用法となりそうです。

    ②ある程度のコストは覚悟する。

    技能実習の場合には監理団体と海外現地の送り出し機関。特定技能の場合には該当の人材の*支援費用、海外現地の送り出し機関に対して支払う費用(海外から採用する場合)が発生します。特定技能に関しては自社で支援を行うこともできますが、通算で100枚を超える書類の作成が必要になりますので、費用対効果を考えて、支援を委託する企業も増えています。技能実習生に関しては最低賃金以上、特定技能に関しては同じ仕事に従事する日本人と同等以上の給与が必要になります。決して『安い労働力』ではないことを認識しておくべきです。

    ですから、求人媒体に自社求人を掲載しても広告費が垂れ流しになるだけで人材は集まらないという場合、あるいは、今後の中長期的な採用戦略として早めに外国籍チームを作っておきたい場合に、ある程度のコストは覚悟をした上で制度活用を開始することが望まれます。特定技能の費用相場については下記の記事をご参照くださいませ。

    特定技能外国人を雇用する場合の費用ってどうなってるの?

    ※支援の詳細内容については下記の記事をご参照くださいませ。

    登録支援機関とは?支援は自社内製化すべき?それとも委託すべき?

    自動車整備業で外国人を活用するための「技能実習」「特定技能」以外の選択肢とは?

    自動車整備業で外国人を活用するには、ここまでご紹介した「技能実習」「特定技能」以外に、*「技術・人文知識・国際業務」という在留資格の活用があります。

    「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で雇用できる外国人は日本の自動車専門学校を卒業していることや、4年生大学で自動車のエンジニアリングを学んできたなど、細かな要件を満たしている必要があります。

    が、「技術・人文知識・国際業務」で外国人を雇用した場合、「技能実習」や「特定技能」とは異なり、煩雑な支援等は必要ありません

    実際、H29年7月の留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドラインでは下記の許可事例があげられました。

    本邦の専門学校を卒業し,専門士の称号を付与された留学生に係る事例 1

    ○ 許可事例

    (4)自動車整備科を卒業した者が,本邦の自動車の点検整備・配送・保管を業務内容 とする企業との契約に基づき,サービスエンジニアとしてエンジンやブレーキ等自動車の基幹部分の点検・整備・分解等の業務に従事するとともに,自動車検査員と しての業務に従事することとなるもの。

    出典:留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン 平成29年7月

    自動車整備科への入学のためにはN3以上の日本語レベルと、厳しい要件を貸している専門学校が多いため、母数となる外国籍の方はそこまで多くはありませんが選択肢として持っておくと良いでしょう。

    「いやぁ、外国人は雇ってみて全然合わなかったら怖いしなぁ。」

    という場合には、「紹介予定派遣」という制度を利用して、3ヶ月〜6ヶ月、正社員雇用するか否かの判断期間を設けるという手もあります。

    詳細は下記の記事をご参照ください。

    紹介予定派遣とは?実際のところ派遣先企業及び求職者(特に外国籍の方)にメリットはあるのか?

    まとめ

    本記事では「自動車整備業」の「特定技能」活用に関するあれこれに関してご紹介しました。

    「自動車整備業」は試験難易度の問題から、そもそも受験を希望する母数が少ないことが予想されます。基本的には「技能実習2号、3号」からの「特定技能」移行がメインになるかと思いますが、現地試験合格者の受け入れ、「技術・人文知識・国際業務」の採用も、モチベーションの高い人材を採用できる可能性が高いので、選択肢として頭の片隅に置いておいていただけると幸いです。

     
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    マーケティング部

    福島県内の高校卒業後、東北大学に入学。在学中は硬式野球部に所属。英語学、心理学、英語教育学を専攻。卒業後は社会を構成する『ヒト・モノ・カネ・情報』が遍在することで生じる歪み(社会問題)をビジネスを通して適正化するというミッションに共感しリフト株式会社に入社。現在はマーケティングを担当。