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更新日:2021/02/10

目次

「初めて外国人を採用することになったけど、雇用契約書を作るに当たって意識しておいた方が良いことある?」

「外国人従業員との雇用契約書って、日本人と何か違うところあるの?」

本記事ではよく質問をいただく、『外国人を雇う場合の雇用契約書』について解説いたします!

雇用条件の確定、契約書の作成は、外国人雇用のステップとして欠かすことのできない入り口部分となりますので、是非チェックしていただければ幸いです!

外国人を雇う場合の雇用契約書はどう作ればいい?

基本的には日本人と同じように作りますが、「本人の読める言葉」で「はっきり」とした内容にて作製することが求められます

注意しなければならないのは、雇用の際に在留資格申請が必要になる場合です。

外国人が日本で働くには在留資格(就労ビザ)が必要ですが、この在留資格の申請の際に、これから働く会社との雇用契約書の写しを出入国在留管理庁に提出しなければなりません。あるいは、労働条件通知書等の提出が必要です。

よって、就労ビザを持っていない方を新しく採用する場合には、在留資格が認められることを前提とした、予約のような雇用契約を結ぶことが一般的です。

雇用契約書には、「在留資格が認められて初めて効力が生まれる」(停止条件付き雇用契約)という旨の条項を設けます。例えば下記のように記述します。

「この労働契約書は、当社に就労可能な在留資格の許可を条件とし、就労が認められない場合には無効とする。」

在留資格が認められなければ雇用契約は無効となりますので、誤解が生じないよう、あらかじめ雇用する予定の外国人にその内容を理解してもらう必要があります。

※労働条件通知書と雇用契約書

補足として、この2つの違いですが、

労働条件通知書は、会社から外国人に渡す一方通行の労働条件の詳細です。

雇用契約書は、労働条件について会社と外国人が合意をしたことの証明書です。それぞれが署名・押印したものを2通作成し、1通ずつ保管します。

在留資格の申請の際には、出入国在留管理庁は労働条件を審査するため、このどちらかを提出する必要があります。

必ず書面で明示しなければならないもの

雇用契約そのものは、労働者と雇用主の双方が内容を誤解なく理解して合意していれば、「よろしく!」と口頭の約束でも成立します。

ですが労働基準法では、労働条件の中の次のものについては、必ず書面を渡して労働者へ明示することを雇用主に義務づけています。(これを絶対的明示事項と呼びます。)この明示義務に違反すると、30万円以下の罰金が科されてしまうので注意が必要です。

 

・労働契約の期間に関する事項

・期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項

・就業の場所及び従事すべき業務に関する事項

・始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇 並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事 項

・賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。) の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する 事項

・退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

出典:労働基準法施行規則 第5条

※ただし、昇給に関することは口頭で伝えても問題ありません。

就業規則等に定めがあれば、明示するもの

次は、就業規則等に定めがあれば明示しなければならない労働条件です。(これを相対的明示事項と呼びます。)

書面である必要はなく、口頭の説明でも大丈夫ですが、外国人の場合は書面で渡した方がお互いに安心できます。

就業規則の該当する部分を書面で渡すことでも、明示したことになります。

第五条 四の二

・退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方 法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

・臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金 並びに最低賃金額に関する事項

・労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項

・安全及び衛生に関する事項

・職業訓練に関する事項

・災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

・表彰及び制裁に関する事項

・休職に関する事項

参考:労働基準法施行規則 第5条4項

 

労働条件はどう書く?

一般に外国人は、日本人と比べて「契約」を重要視し、自分に与えられた権利はどんどん行使していく傾向にあると言われています。

契約にない業務は行わないことがあり、いわゆる「空気を読む」「気を利かせる」というような日本人の間での暗黙の了解が通じないのです。

外国人との雇用契約は、その先の在留資格申請のためにも、アバウトな表現をせず、労働条件を明確に示す必要があります。

これを踏まえて、1.1で前述しました「必ず書面で明示しなければならない」労働条件(絶対的明示事項)の中で重要な部分について見ていきます。

業務内容など

労働契約の期間

これは正社員として採用する場合は問題になりませんが、期間を定める場合は、労働基準法によって原則として上限3年までとなっています。

また、試用期間は一般的に3ヶ月から6ヶ月間がほとんどです。

 

就業の場所

外国人の場合、勤務地が予定と違ったり転勤がある場合に「契約と違う!」とトラブルになることがあります。可能な限り、ありうる全ての勤務地を記載することをおすすめします。また、雇用契約書に記載されていない勤務地となる場合があることを明示しておくことも重要です。

 

従事すべき業務

下記の2点は後の在留資格の申請のための重要ポイントです。

・行わせる業務がその人の在留資格に当てはまっている「在留資格該当性」

・学んできたこと、磨いてきた技術の「専門性と職務内容の一致」

また、申請の際に添付する*理由書等とも矛盾がないように記載しなければなりません。

例えば業務の内容が「総合職」「一般事務」「~の業務全般」といったようなアバウトな書き方よりは、なるべく詳しく書いた方が、申請が通りやすいとされています。

雇用契約書に記載されていない業務も発生することがあれば、その旨を記載しておくことが重要です。

 

始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇など

例えば仕事の準備をするために少しだけ早く出勤する風潮がある場合、日本人は気にしていなくても、外国人にとっては腑に落ちないということがあります。

曖昧にせず詳しく記載し、説明することが必要です。

賃金、退職に関すること

賃金

「技術・人文知識・国際業務」、「技能」、「経営管理」などの在留資格は、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」という条件があります。

同じ業務をする日本人がいない、など比較できない場合は、同じ地域で同じ業務に従事する他社の従業員の日本人と同等程度の賃金とします。

月給制であっても、時給換算したときに最低賃金を下回っていることがないようにしなければなりません。

 

退職

外国人労働者から退職を申し出る場合、どのような手続きが必要なのか、何日前までに申し出るのかなど、詳細に記載しておくことで退職時に発生しやすいトラブルを減らすことができます。

リスク回避のために

雇用契約書の労働条件は、外国人本人が理解できる言葉で書かれていなければなりません。日本語がよく読めない外国人労働者の場合、内容がよくわからないまま署名・押印したとしても、労働条件を通知したことにならず、労働基準法違反などのリスクがあります。

即時解除と帰郷旅費

それだけでなく、外国人に労働条件についての重大な誤解があると、会社に思わぬ負担がかかってしまうことがあります。

労働者には、明示された労働条件が事実と異なる場合、「話が違うじゃないか!」と言って契約をすぐに解除する権利があります。(労働基準法第15条2項「即時解除」)

そして、外国人がこれを行って14日以内に母国へ帰る場合、そのための費用を会社が負担しなければなりません。(労働基準法第15条3項「帰郷旅費」)

第十五条

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならな い。

(引用:労働基準法 第15条「労働条件の明示」

 

本人の読める言葉で

このようなリスクを回避するために、日本語の読み書きが苦手な外国人には、母国語の雇用契約書を作り、「私は理解できる言語等により労働条件の説明を受け、これを承諾しました」という趣旨の文言を雇用契約書に入れると安心です。

母国語の雇用契約書も2通作成し、会社と外国人がそれぞれ署名・押印し、1通ずつ保管します。

母国の言葉で書かれていることによって誤解が減り、トラブルを予防し、本人の不安を払拭することができます。

厚生労働省のサイトに母国語で労働条件通知書を書く場合のモデル↓が見られるので、ご参照下さいませ。

外国人労働者向けモデル労働条件通知書

また、労働保険(雇用保険、労災保険)、社会保険(厚生年金、健康保険)についても、加入の有無を雇用契約書に明示することを推奨いたします。そして内容を全て理解できなくても、どんな時に役立つものなのかを説明することで、外国人が安心感を持って働けるようになります。

事例

雇用契約書を取り交わした後の、在留資格申請でのよくあるトラブルケース2つから、対処法を見ていきます。

採用決定後に在留資格手続きが不許可

Q. 外国人留学生のAさんを新卒の正社員として採用しました。雇用契約書を交わし、Aさんは留学ビザから就労ビザに切り替えるため在留資格の変更申請を行いましたが、不許可となってしまいました。雇用主側としてはAさんの採用を見送るしかないのでしょうか?

A. 在留資格申請の結果が不許可となった場合、通知書には不許可の理由が記されていますが、通常は「申請人の素行が善良とは認められない」など、漠然とした文章が、たった1行記載されているだけに止まります。詳細な理由を確認するためにはは、入国管理局に直接出向き、その理由を確認するしかありません。

原則として不許可の事情説明は1つの申請につき1回しか行われず、説明が終了すると通知書に「説明済み」との印が押されます。原因が本人の過去の滞在歴など是正できないものであれば、雇用を諦めざるを得ないでしょう。しかし是正が可能な内容であれば、再申請することも考えられます。

実際何度か是正し、3度目の正直で通ったという事例もあります。よくあるのは、税金の未払いです。一時的に会社が負担し、審査が降りて、働きながら返済することで解決されることが多いです。

審査結果が届かない。

Q. 外国人留学生Bさんを新卒で採用し、在留資格の変更申請を行いましたが、入社直前の3月25日になってもいまだに審査結果が届きません。このまま入社日である4月1日を迎えた場合、雇用者側としてはどのように対応したらよいのでしょうか?

A. 就労可能な在留資格への変更申請中であっても、在留カードに「就労可能」と表示されていない以上、「雇用」という形では就労させることができません。現実的には入社時期そのものを1ヶ月程度、遅らせることになるかと思います。

事実、当社でも新卒で採用した方の在留資格が予定通り降りず、入社時期をズラしたことがあります。

しかし、例えば複数人の採用者のうち1人だけ入社時期が遅れると、社内研修等のタイミングに差が生じることになり、コストや手間を含めて大きな影響を与えることになります。そのため、在留申請は早めに行い、入社日までに必ず結果が届くようスケジューリングしなければなりません。

具体的には、1ヶ月〜3ヶ月間をみると良いでしょう。

まとめ

今回は外国人を雇う場合の契約書の作成について解説いたしました。場合によっては母国語で契約書を作る必要がありますが、基本的には相手に明示すべきポイントは日本人とほとんど同じです。

唯一、在留資格が降りなかった場合の停止条件についてははっきりと明示および説明をしておくことを注意してください。

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