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    人事担当者必見!外国人材支援に役立つ行政サポートまとめ

    目次

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     厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」の届出状況まとめによると令和元年10月末時点での外国人労働者数は165万8,804人、外国人労働者を雇用する事業所数は24万2,608箇所と、いずれも過去最高を更新しました。実際に、外国人専門の人材紹介、支援サービスを提供している弊社としても、外国人を採用したいという企業様の需要が高まってきているのを感じています。

    一方で、「日本語でのコミュニケーションができず不便」、「生活サポートまでしなくてはいけなくて大変」といった課題を感じている人事担当者の方も多いのが現状です。そもそも「業務上のコミュニケーションならともかく、生活面のサポートまでする必要があるの?」と考える方もいらっしゃると思いますが、言葉が不自由な土地での生活に不安を感じ、職場での綿密なフォローアップを求めている外国人は決して少なくありません。特に、今回のコロナのような非常事態では、よりきめ細やかなサポートが求められています。

    今後、人材獲得競争が激化していくのは避けられない中で、自社の外国人社員の満足度、定着度を上げていくためにも、言葉の壁を踏まえた上での情報発信やフォローアップは効果的な手段となり得るのではないでしょうか。

    とはいっても、「そこまで手が回らない」、「そもそも外国人社員の母国語での情報発信する術が無い」と思われるのも尤もです。そこで今回は、行政の取組の中から自社社員の支援にも役立つツールの一部をご紹介してまいります。官公庁も各地方自治体も、「外国人との共生」に関わる様々な取組を行っていますので、自社社員にとって有効と思われるものを、企業内でも是非活用していきましょう!!

    「外国人との共生」のための総合的対応策とは?

    外国人との共生のための施策は、官公庁レベルでも地方自治体レベルでも色々と打ち出されており、各ホームページでも確認することができますが、ここではまず、日本全体として外国人との共生社会の実現に向けてどのような方向性で取り組んでいるのかを理解するために、令和元年12月の外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議において決定された外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(改訂)」を見ていきましょう。

    基本方針

    外国人材を適正に受け入れ、共生社会の実現を図ることにより、日本人と外国人が安心して安全に暮らせる社会の実現に寄与するという目的を達成するため、外国人材の受入れ・共生に関して、目指すべき方向性を示すものである。 政府としては、条約難民や第三国定住難民を含め、在留資格を有する全ての外国人を孤立させることなく、社会を構成する一員として受け入れていくという視点に立ち、外国人が日本人と同様に公共サービスを享受し安心して生活することができる環境を全力で整備していく。

    出典:外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(改訂)(令和元年12月20日関係閣僚会議)

    「全ての外国人が、社会の構成員として公共サービスを享受することができ安心して生活できる環境を作ること」を目指すというのが基本的な方向性ということですね。

    そして、安心して生活できる環境整備のための具体的施策として大別して以下の4つが挙げられています。

    施策

    1. 外国人との共生社会の実現に向けた意見聴取・啓発活動等

    2. 外国人材の円滑かつ適正な受入れの促進に向けた取組

    3. 生活者としての外国人に対する支援

    4. 新たな在留管理体制の構築

    これら4つの施策は、全て多文化共生に欠かせない施策ですが、今回の記事は、自社の外国人社員に向けて必要な情報を発信していきたいという人事の皆様に役立つ情報を共有することが目的ですので、特に3.の「生活者としての外国人に対する支援」を中心にまとめていきます。

    「生活者としての外国人に対する支援」とは?

    出典:外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(改訂)の概要(令和元年12月20日関係閣僚会議)

    こうして見ると、「災害時の情報発信・支援等の充実」、「外国人労働者の就労場面における日本語コミュニケーション能力の評価支援」、「外国人労働者向け安全衛生教育教材の多言語化」、企業でも活用できそうな取組が多数あることが分かります。特に、多言語対応の取組が多くなっているのは、仕事であれ生活であれ、言語によるコミュニケーションが共生には欠かせないということの現れでしょう。

    さて、では実際に企業でも活用できそうな多言語対応の具体的施策をピックアップし、どういった形で展開されているのか見ていきましょう。

    編集部厳選!6つの施策

    「生活・就労ガイドブック」

    安全・安心な生活・就労のための基礎情報(在留手続・労働関係法令・社会保険etc.)についての手引書です。今後下記の14か国語対応予定となっています。外国人社員受入時に、人事担当者と外国人社員で読み合わせをしておくだけでも新たな気付きがあるかもしれません。

    *日本語、英語、中国語、韓国・朝鮮語、スペイン語、 ポルトガル語、インドネシア語、ベトナム語、タガログ語、タイ語、 ネパール語、クメール語、ビルマ語、モンゴル語の14か国語

    *現在は、日本語、英語、ベトナム語、モンゴル語が法務省の「外国人生活支援ポータルサイト」より確認できます。

    多言語自動音声翻訳技術に関するAI同時通訳アプリ

    国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)によって、スマートフォンに日本語を音声入力すると即座に外国語に翻訳して音声出出力するアプリが開発される等、官民問わず取組がなされています。今後の訪日・在日外国人の増加を見据え、対象言語の拡大、翻訳精度の向上のため日々改善が図られています。

    多言語音声翻訳の社会展開に向けて(総務省 国家戦略局 平成30年11月14日)

    災害時の情報発信

    外国人が必要とする防災・気象情報にアクセスできるよう防災・気象情報の多言語化が推進されています。内閣府が中心となって「災害時に便利なアプリとWEBサイト」を紹介するリーフレットが14か国語で作成されました。このリーフレットには、以下のアプリ、WEBサイトが紹介されています。リーフレットを自社社員に配布するだけでも非常時の備えになるとは思いますが、折角ですので、紹介されているアプリについても見ていきましょう。

    1. 気象庁 災害情報WEBサイト

    地震、津波、台風等の自然災害に関する情報を14か国語で発信しています。

    2. Safety tips

    観光庁監修の下、アールシーソリューション株式会社によって開発されたアプリで、自然災害情報に加え、避難所の情報が、こちらも14か国語で見ることができます。

    3. Japan Official Travel App

    日本政府観光局(JNTO)によるアプリで、災害情報や避難所の他に、病院やATM、観光スポットなど日本に旅行に来ている外国人に役立つ情報を手に入れることができます。

    この他にも「NHK WORLD-JAPAN」、「goo防災アプリ」を、このリーフレットから直接ダウンロードすることができますので、職場の目に付く場所にリーフレットを貼付しておくのも効果的でしょう。

    *日本語、英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国・朝鮮語、スペイン語、 ポルトガル語、インドネシア語、ベトナム語、タガログ語、タイ語、 ネパール語、クメール語、ビルマ語、モンゴル語の14か国語

    外国人社員の方向けに、実際のアプリの雰囲気が伝わる動画を作成しましたので、ご参考までに!

    住宅確保のための多言語環境整備

    共生のためには、住居の確保が必要不可欠ですが、現状ではまだ、外国人という理由で入居を断られてしまうケースが残念ながら多々見受けられます。このような課題を解決するため、国土交通省が不動産関係団体と協力し、外国人の住宅確保のための情報提供や物件紹介といった取組を推進しています。具体的には、外国人を受け入れる賃貸人向けの実務対応マニュアルや外国語版の賃貸住宅標準契約書を含む「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」と外国人向けに日本での部屋探し、入居手続きを説明する「部屋探しのガイドブック」を14か国語に翻訳しリリースをしています。

    今でも既に、自社で採用した外国人の住居が中々決まらず困っている企業担当者様も多くお見受けしますが、「特定技能」外国人が増えてくる今後はより一層、住宅確保が課題になってくることと思われます。ただ、国としても、課題感を持って取り組んでいますので、使えるツールはフル活用していきましょう。

    *日本語、英語、中国語、韓国・朝鮮語、スペイン語、 ポルトガル語、インドネシア語、ベトナム語、タガログ語、タイ語、 ネパール語、クメール語、ビルマ語、モンゴル語の14か国語

    口座開設円滑化のための多言語環境整備

    生活をしていく上で欠かせない銀行口座。金融関連では、「口座開設が難しい」といった生活の支障になる問題と、「口座売買」や「マネーロンダリング」といった外国人本人が犯罪に関わってしまう問題があります。こういった課題解決にも金融機関の適切な利用促進のために14か国語対応のパンフレットを金融庁が作成し、金融機関や外国人受入企業へ説明の場を設けています。「そんなとこまで面倒見きれないよ」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、給与支払者として最低限、外国人社員が十分に理解できる言語で情報の発信くらいはしておきたいところです。

    *日本語、英語、中国語、韓国・朝鮮語、スペイン語、 ポルトガル語、インドネシア語、ベトナム語、タガログ語、タイ語、 ネパール語、クメール語、ビルマ語、モンゴル語の14か国語

    外国人社員の職場定着のための取組

    外国人社員は、日本の労働法制や雇用慣行の知識不足、日本語力の問題によるコミュニケーション不全等でトラブルに巻き込まれるケースが多くなっています。職場という1日の多くを占める環境での定着も共生・包摂のために欠くことのできない要素です。目ぼしい施策として、下記4つをピックアップしました。まだ完成していない、現在進行形の取組もありますが、厚生労働省のホームページを随時チェックしておくことで最新の情報をゲットできるかもしれません。

    1. 労働契約等トラブルの原因になりやすい単語や例文を各国語に翻訳した多言語辞書の作成、周知
    2. 外国人社員の職場定着のための研修のモデルカリキュラムを作成し、外国人を雇用する企業へ周知
    3. 日本の安全衛生基準に対応できるように「特定技能」外国人の受入れ分野等に対応する安全衛生教育用視聴覚教材の開発

    建設現場用安全衛生教育視聴覚教材

    作業ごとの安全衛生対策ポイントや労働災害事例が動画で確認できます。現在は、英語、中国語、ベトナム語、インドネシア語の4か国語対応となっています。

    建設業(7職種35作業)・農業・漁業に従事する外国人社員むけの動画、教材:

    現在は、下記11か国語対応となっています。特に、「技能実習」、「特定技能」外国人を雇用している企業様には重宝される内容になっています。

    *日本語、英語、中国語、インドネシア語、ベトナム語、タイ語、 ネパール語、タガログ語、クメール語、ビルマ語、モンゴル語

    4. 外国人社員の職場定着のための助成金

    ・趣旨:

    外国人社員の職場定着のために外国人特有の事情に配慮した職場環境に整備を行った事業主に対して、その経費の一部を助成する制度です。

    ・対象経費:

    ①通訳費②翻訳機器導入費③翻訳料④弁護士、社労士等への委託料⑤多言語標識類の設置・改修費

    ・支給額:

    支給対象経費の2/3(上限72万円)ないし1/2(上限57万円)*生産性要件クリアの有無により分類。

    ・具体的な取組:

    必須メニューA,Bと選択メニュー①~③の内、どれか1つに取り組んでいる必要あり。

    出典:人材確保等支援助成金 外国人労働者就労環境整備助成コースのご案内(厚生労働省)

    *上記ほかに、離職率要件に係る目標達成の要件あり。

    おまけ:地方自治体による研修ツール

    ここまで見てきたのは主に官公庁主体の取組でしたが、各地方自治体も多文化共生のための取組を行っております。むしろ、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」が打ち出される以前、平成18年に総務省が「多文化共生推進プラン」を策定して以来、各地方自治体は、「生活者としての外国人の支援」の最前線として体系的な「多文化共生推進プラン」を策定し、支援を行ってきました。

    都道府県レベルでも市区町村レベルでも様々な素晴らしい取組が行われていますが、ここでは番外編として東京都に次いで2番目に在留外国人数の多い愛知県(令和元年6月末時点で272,855人)の「新たに来日した外国人就労者に対する早期適応研修カリキュラム」について紹介したいと思います。リンクから飛んでいただくと詳細が確認できますが、外国人を受け入れる企業が、仕事や生活上の注意点等について指導、支援する際に使える「教材」、「動画教材」、「指導者マニュアル」をダウンロード可能です。

    ・教材:

    ポルトガル語、中国語、フィリピン語、ベトナム語、スペイン語、インドネシア語、英語、やさしい日本語の8か国語に対応をしており、外国人の母国語で日本の生活、仕事の基本知識が理解できる作りになっています。

    ・動画教材:

    愛知県多文化共生推進室のyoutubeチャンネルからご覧いただくことができます。

    ・指導者マニュアル:

    指導者マニュアルは、上記教材と対になっており、日本人マネージャーや人事担当者が、教材を使いながら新しく入社してきた外国人社員に研修を行う際の手引きとなります。指導する際の注意点や理解度チェックのワークシートが付いており、体系的な研修が初めてという担当者にとっては有難い作りになっています。また、諸外国の事情についても資料がありますので、受入れ側の異文化リテラシーを高めるために活用してみるのも良いでしょう。

    まとめ

    以上、「日本国政府全体としての多文化共生の総合対策」総合対策に則った「官公庁による施策」、番外編として都道府県の取組を見てきましたが、本記事で取り上げたのは、企業の人事担当者、ダイバーシティー推進担当者の方にも活用していただけそうという観点から編集部が厳選してピックアップしたほんの一部ですので、「他にももっと良い取組があるよ」といったご意見もあると思います。

    そもそも「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」の検討が開始されたのも平成30年と比較的最近ですし、施策についても様々なものが入り乱れており、日本の多文化共生政策はまだまだ発展途上です。

    また、今回取り上げた行政による取組だけでなく、企業においても「外国人との共生」に繋がる素晴らしい取組をされているケースがあるはずです。全て自社単独で対応しようとするのではなく、様々な外部のリソースを活用することで、少しでも受入担当者の負担を減らし、外国人社員にとっても日本人社員にとってもwin-winの関係が構築できるれば、それに越したことはありません。

    「外国人を適性に受け入れ、日本人と外国人双方が安全に安心して暮らせる共生社会の実現」のために多様なアクターがそれぞれの知見、ノウハウを共有し、協力していきましょう!!

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    マーケティング部

    1989年生まれ。2011年に大学卒業後、新卒で倉庫会社に入社。その後、フォワーダーに転職し、国際物流業界にて経験を積む。主に、輸出入業務、東南アジアなど新興国での物流業務に従事。「人材」という側面からより深く東南アジアと関わるべくリフト株式会社にジョイン。外国人材、特に技能実習生・特定技能人材の活用提案、支援業務にて経験を積み、現在は、マーケティングを担当。