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更新日:2021/07/30

目次

株式会社エルロン様 取材-Jun-24-2020-07-43-08-58-AM

少子高齢化による人材不足の影響で、外国人人材の活用がスポットライトを浴びています。一方、外国人を採用したものの「コミュニケーションが難しい」、「手続きなども含めて受入側の負担が大きい」といった悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか。

そのような企業の為に、社会で通用する日本語研修サービスや外国人人材定着支援サービスを提供し、ビジネスを急拡大させているのが、株式会社エルロンです。

どのようなビジョンを基に経営戦略を描き、どのような想いで外国人人材支援を行っているのでしょうか。

今回は、同社の代表取締役社長・石川陽子氏にお話を伺いました。

外国人の定着支援に必要なことは?

社会で使える日本語を教える

ーーまず、御社のサービスについて教えていただけますか。

石川氏:「日本で働く外国人の方の力になりたい」という想いの下、外国人人材の定着支援サービスを提供しています。具体的に言うと①研修サービス、②オン・ボーディングサービスとなります 。

まず、①研修サービスで言うと、日本の企業で働く外国人の方に日本語を教える日本語研修です。レベルは、様々で、全然喋れない方を対象とした授業もあれば、日常会話はできるのでビジネスで通用する会話を学びたいという方を対象としている授業もあります。授業の形式も集団授業であったり個人授業であったりと各ケースに応じて最適と思われる方法を提案させていただいております。

ーー授業内容は、どのような感じなのでしょうか。

石川氏:基本的には話せて使えるというのを目的として日本語を教えています。アクティブラーニングという、受講生同士が積極的かつ主体的に参加していく方針をベースにしています。座学で講師の板書をただ書き取ってというのではなく、相互コミュニケーションを行なって高め合っていくやり方です。与えられたものをこなすだけだと、どうしても受け身になってしまうと思うんですね。更に言うと、講師と受講生の双方向だけでなく、受講生同士のコミュニケーションも、切磋琢磨し、考える力を高めるという点で効果的です。

 

                 ↑ 実際に使用しているテキスト

 

ーー受講生同士のコミュニケーションということですが、日本語が得意ではない人同士での会話は成り立つのですか?

石川氏:全く話せない受講生同士だと、覚えたことを練習する形になるんですが、0レベルの状態でも3ヶ月もすれば自分の国をプレゼンテーションで発表するレベルにはなるので、そのレベルに達するまでの過程での相談は何語でも良いとすることもあります。

受講生同士のコミュニケーションを推奨している理由は、実際に社会に出た時のシチュエーションで日本語を使ってもらうことを想定しているため、社会に出れば日本語の先生はいませんので、受講生同士でまずは「やってみる」ということを大切にしています。どうしても講師と生徒のコミュニケーションは答え合わせになってしまうので。

 

                ↑ 実際のオンライン授業風景

受入企業の組織変革こそ重要!?

ーーなるほど。企業への人材定着という点で他に特徴的な研修はありますか?

現場で外国人を受け入れるマネージャーの方であったり人事の方に、コミュニケーションツールとしての「やさしい日本語」のワークショップを実施しております。

ーー「やさしい日本語」?

石川氏普段使っている日本語をシンプルにするなどして、ネイティブが使う日本語よりも簡単にした、外国人にとっても分かりやい日本語のことで、外国人と日本人双方の共通言語となるコミュニケーションツールです。

ーーなるほど。それにしても日本人向けに日本語の研修ですか??

石川氏:外国人の方に日本語を覚えていただくことも勿論大事なのですが、例えば、日本語能力を引き上げるのに3ヶ月くらい時間がかかってしまいますし、外国人人材だけがどんなに努力をしても、コミュニケーションを取れるようになるには結構な時間と労力を費やさなければいけません。そうなると、あまり日本語が得意でない外国人の方が入社された時、「どうやってコミュニケーションを取ろうか」という問題はどうしても出てきてしまいます。

社内公用語が英語と決まっている場合であればまだ良いのですが、必ずしも全ての企業がそういった体制を取れるわけではないと思うので、双方の歩み寄りが必要です。

ーー当然といえば当然ですが、コミュニケーションには双方向のものですもんね。

石川氏:まさに相互理解を深めることが大事だと思っています。なので、外国人向けの日本語教育、日本人向けの「やさしい日本語」ワークショップを実施し、一番最後には「グローバルチームビルディング」というのが目標にあります。

ーー「グローバルチームビルディング」?

石川氏:人材定着支援のための研修サービスです。外国人社員と日本人社員が一緒に参加していただくワークショップで、プロジェクトワークを通して相互理解を深めていくことを目的としています。

ーー具体的にはどのようなワークをやられているのですか?

石川氏:「社内規定を1つ自由に作れるとしたら、どのような規定を作るか」というのを外国人社員と日本人社員に一緒に考えてもらう内容でした。外国人だけが納得する規定では意味がなくて、双方にとって意義のある物をコミュニケーションを取りながら作っていくというプロセスを経験してもらうという意図があります。

他にも、「海外展開する際に、どのような新商品を開発するか」といった内容のワークもあります。テーマについては、各企業様の課題や関心に応じて、実際に必要とされるような内容を提案させていただいています。

ーー対象となる業種などはありますか?

石川氏:業種はあまりないですね。ただ、グローバルチームビルディングをやろうというのは、どちらかというと大手企業様が中心なので、すでに外国人社員も多数在籍しているというところが多いですね。

ーー②のオン・ボーディングサービスではどういうことをされているのでしょうか。

石川氏:住居探しや外国人人材向けに就業規則を分かりやすくしたりといった外国人人材を受け入れるにあたって必要な体制づくりや手続き周り全般のサポートを提案させていただいています。

ーー教育だけでなく、そんなところまで関わられているんですね!?

石川氏:はい。色々な企業の人事の方とお話をする機会があるのですが、初めての時など、外国人人材を1名採用するだけでも凄い労力がかかって大変ということをよく言われるので、それなら「働く外国人の方の力になる」ことに繋がること全てやらせていただこうと。

ーー研修も日本語だけでなくマネジメント領域にまで及ぶとなると講師の方も大変だと思うのですが、御社の社員が全てやられているのでしょうか。

石川氏:はい、そうです。弊社では私を含めて専属の日本語教師が4人在籍していますが、全員、社会人経験があり日本語教師歴が5年以上、加えて、マネジメントの経験がある者や海外での仕事の経験がある者、またボクシングのプロライセンスを保有している者など様々なバックグラウンドを持っている講師がいます。

また、弊社は介護業に対する日本語研修にも力を入れているのですが、講師の中には今もなお現役で介護士を続けている講師も所属しています。それぞれの講師が得意分野を出し合い日本語教育を行なっています。

ーー全員が日本語教育のプロであるということに加えて、プラスアルファの経験をお持ちなんですね。

石川氏:日本語教師としてのキャリアと様々なフィールドでの経験のバランスが取れているメンバーがいるからこそ、外国人人材定着支援を軸に色々なことに挑戦できていますし、それが弊社の強みかなと思います。

 

魅力的なメンバーが集う会社のビジョンは!?

ーーメンバーの皆様についてのお話も出たところで、そもそも会社を立ち上げられた経緯や想いを教えていただけますか。

石川氏:エルロンを立ち上げた理由は、私が日本語教師になったきっかけが大きく関係しています。以前、10年ほど派遣会社で働いていて、人事部で採用担当に配属になった際、リーマンショックが終わり、人を増やさないといけないタイミングに、契約社員で営業職という人材を採用することになったんですね。

その時に、日本でいう東大レベルの中国の国立大学出身で日本語も流暢な中国人の求職者と面接する機会があったんです。その際に、彼は自信満々で「私はすごい優秀です。この会社のことならどんなことでも出来るから雇った方がいいですよ。」と自己アピールをされた方がいました。しかし、人材派遣の営業職というのは個を出すというより、調整役に入ることの方が多い職種ということもあり、適性という面からも判断して残念ながら採用は見送らせていただきました。

一方で、これほど優秀な人材がなぜ日本で就職することが難しいのかを考えた時に、「彼らは日本社会や日本の企業に対する適切なアプローチ方法を知らないんじゃないか。」と思ったんです。もし彼が日本の一般的なアプローチの仕方を知っていたら、日本で活躍する人材になれたのではないかと感じて、彼のような外国人のサポートをしたいと思ったのが日本語教師になろうと決意したきっかけですね。

ーーそれで、日本語教師になられて。

石川氏:日本語教師になってからは、留学生の担当をすることが殆どでした。勿論、留学生と学ぶことは楽しかったのですが、これまでの私のキャリアからすると、面接の仕方であったり、社会人としての立ち振る舞いなどのアドバイスも含めて指導できればベストだなと感じていました。そこで、ずっと自分の中に抱いている想いがあるならば自分でやってみようと決断し、2019年にエルロンを立ち上げました。

ーー日本語力向上だけでなく、外国人人材が日本の企業に入って定着して活躍することを目指すという御社の軸は、石川さんのキャリアや会社設立の経緯と密接に結びついているんですね。

 

↑ 2020年1月に行われたJR東日本ステーションサービスでの講演

コロナ 禍での外国人人材市場はどうなる!?

ーー実際に、現在、様々な定着支援サービスをやられている中で、どういったサービスの引き合いが多いですか?

石川氏:現状ですと、日本語研修が多いですね。中でも、多いのは外国人社員の基礎会話の定着です。日本語の研修を既に実施されている企業様からも、+αでオンライン新入社員研修のご依頼を頂くこともございます。あとは、「グローバルチームビルディング」の一環として異文化リテラシーについてのワークショップだったり文化の違いやトラブル例や対処法についてのセミナーだったりです。

「やさしい日本語」のワークショップについても、企業の人事の方に積極的にアプローチをさせていただいており、介護系の企業様や病院様からご依頼を受けています。

ーーダイバーシティー推進で外国人人材活用が盛んに取り沙汰されて、日本語研修に止まらず「グローバルチームビルディング」のための様々なサービスを提供されている御社への需要というのは益々高まってきそうな気がしますね。

石川氏:昨年(2019年)頃から、その高まりは感じていまして、新規のお問い合わせもどんどん増えていますね。それでもまだ「日本語ができない=仕事ができない」という考えであったり、受入側の準備が整っていなかったりというのはあると思います。だからこそ、日本語研修で外国人人材の日本語力を向上するとともに企業の受入のサポート、そして組織全体としてのグローバルチームビルディング実現を目標としていきたいです。

ーーその外国人人材の需要という点でいくと、コロナの影響は大きいですね。 ウィズコロナ、アフターコロナの中で、どう変化していくと思われますか?

石川氏:国内の労働力人口が減少していく流れは変わらないので、外国人人材の重要性は依然として大きいと思います。

コロナの影響で言うと、現在、入国が未定の技能実習生の方も多くいらっしゃいます。彼らも今後について、とても不安を抱いていると思います。弊社は、現在オンラインで様々な日本語研修しておりますが、授業後に10分程度、雑談をする時間があるんですね。その時に、講師から、不安に思っていることなどを聞くことがあるのですが、早く日本に行きたいのに、先行きが見えず心配という悩みは多いですね。

ーーそういった不安を話せるというのは外国人人材にとっては勿論、雇用予定の企業にとっても安心ですね。

石川氏:はい。精神面のサポートにも取り組んでいますので、外国人人材の安心感にも繋がっていますし、それを企業様にもフィードバックすることで、相互理解に役立てることも可能と考えています。

今後への想い

ーー会社としての今後の目標は何でしょうか?

石川氏日本人も外国人も両方幸せである社会が大事だと思っています。日本人が外国人に抱いている壁やハードルを下げながら、外国人にも日本語の運用力を付けてもらい、日本のコミュニティにスムーズに入っていけるような機会作りをするということが最終的な目標です。

そのためには、日本語教育の底上げも大事ですし、受け入れるコミュニティの理解も必要だと思います。日本語教育に携わっている方々を巻き込んで日本語教育の底上げもしていきたいです。日本での課題が大きいので、色々と日本国内でやりたいことが多いですね。

ーー最後に、既に外国人人材を雇用されていて組織への定着に悩まれている企業様と、これから外国人人材を雇用しようとしている企業様にそれぞれアドバイスをお願いします!

石川氏:まず、既に外国人人材を雇用していて定着に悩まれている企業様には、

「相互理解を大切に」ということをお伝えしたいです。勿論、人材側の日本語力であったり受入側の体制であったり考えるべきことは多いと思いますが、相互理解を深めるために一番大事なことは、分からないことを話し合える環境を作ることだと思っています。

例えば、日本には宗教観などについて聞きにくいと言う風潮があると思いますが、そういったことをオープンに話せて、尊重しあえる、という心理的安全性が保証された職場づくりが、異文化理解に繋がると思っています。

これから採用を考えている企業様は、「思い切って採用してみる」のが良いと思います。

外国人を採用することに対してあまり不安にならないでください、と。

ーーありがとうございます!確かに、今は御社のような外国人人材をサポートしてくれる会社さんが魅力的なサービスを沢山提供されていますし、困った時は、そういったプロの皆様の力も借りるのも一つの手ですね!

編集後記

日本語研修を中心に、定着支援、チームビルディングなど様々な研修、フォローアップサービスを提供されている石川社長。そのお話をお聞きする中で、外国人人材だけでなく、受入側の意識や体制も変えていかなければならないことを学ばせていただきました。

日本では、昨今の人材不足で外国人人材の活用が叫ばれていますが、Inclusionのための取り組みや意識というのは、まだまだ不十分な点が多い気がします。Global HR Magazineは、エルロンさんのような素晴らしい取組をこれからもご紹介していきます!

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