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更新日:2021/08/03

目次

DSC01657岡部
株式会社Smile

代表取締役社長 岡部 文吾(オカベ ブンゴ)

ベトナム出身。インドシナ難民として来日し、現在は永住権を取得。

福島県でベトナム料理店を営んでいたが、ベトナム人技能実習生から様々な相談を受けるなかで、トラブルに直面している外国人材の力になりたいと思い「福島外国人実習生・留学生支援ネットワーク」を立ち上げる。

その後、技能実習監理団体業務などを経て、現在は、Smileグループ代表としてベトナムでの 日本語教育事業、日本企業への外国人材採用支援事業などに従事。国内外の教育機関や人材紹介会と緊密なネットワークを築き、外国人材に係る幅広いサービスを提供している。

 

DSC01658岡部(株式会社Smileの岡部文吾社長)

2020年6月アメリカ国務省が公表した「2020年度版人身取引報告書」で日本が4段階評価の内、昨年の第1ランクから第2ランクに格下げされたというニュースは記憶に新しい。報告の中では技能実習制度の問題も取り上げられ「強制労働の訴えが続いているにも関わらず1件も立件されたかった」、「ブローカーへの取締や予防が十分に実施されていない」と厳しい指摘がなされている。技能実習制度については、今回のアメリカ国務省報告書に限ったことではなく、以前から国連や国際労働機関(ILO)から度々批判を受けてきた。

アメリカや世界各国による批判の是非は置くとしても、確かに制度に瑕疵があることは間違いなく、受入企業、監理団体、ブローカー、技能実習生本人が不法行為に関与してしまっているケースも散見される。

ただ、不完全な制度ではあっても、技能実習制度を利用して皆が幸せになれるように身近なところから一つずつ改善を行い、本当の国際貢献に繋げていこうと奮闘している関係者も少なからず存在する。

今回は、そんな関係者の一人、株式会社Smileの岡部文吾社長に徹底取材し、技能実習制度の課題や現在推進されているSmile Projectについて深いところまで熱く語っていだいた。

技能実習制度を変えるSmile Project

ーーまず簡単に御社の事業内容を教えていただけますでしょうか?

岡部氏:色々やってるんですけど、まずは日本語教育ですね。ベトナムで技能実習生候補者や留学希望者、エンジニア人材に日本語を教えています。元々留学生ビジネスをやっていて上手く行かずに休眠してたベトナムの会社があったのですが、そこの社名も変えて2019年の6月に私が代表になって。今は、ハノイでいわゆる日本語教育センターを運営してます。あとは、ベトナムでの日本語教育に付随して外国人材を採用したい日本企業へのコンサルティングや来日後の外国人材の支援などもやっています。

ーー外国人材に関わることをトータルでサポートするとなると中々大変そうですね。

岡部氏:色々思うことがあるんですよ。技能実習制度もそうですし、問題がたくさん起きていて。でも、困難な道ほど燃えるタイプというか、「僕じゃなくてもできることはやりたくない」ので、大変だからこそ挑戦しようと思ってしまう。

外国人材に関わる事業をやっているのは、難民だった僕の経歴とかも関係してくるんですが、今日は僕のことや会社のことよりも、今やっているSmile Projectについて知って欲しいと思っています。

ーーSmile Projectとは?

岡部氏:ベトナムの孤児院や児童養護施設出身の子供たちに弊社ベトナムの日本語教育センターで無償で教育を提供して技能実習生や特定技能人材として日本の企業に紹介するというプロジェクトです。当然、センターで教育を受けている間の生活費も無償です。

ーー素晴らしいプロジェクトですね。なぜそのプロジェクトを始めようと?

岡部氏:きっかけは去年、嵐の櫻井翔さんがキャスターをやられてるnews zeroの取材でベトナム人の僧侶の方と話をさせていただくことがあって。その時にベトナムには孤児院や児童養護施設で生活しているような困っている子供たちが大勢いるよねって話になったんですよ。人類永遠の課題ですよね。ベトナムだけでなく日本にも世界のどこでも、そういう困っている子供たちはいます。どんなに経済が発展していってもなくならない問題。

言われなくても知ってはいた現実なんですけど、そういった子供たちのために具体的に何かをやっていたかというと。。

僕も10年前くらいから個人的にボランティアでお金の寄付はしていたんですよ。でもそれって究極の自己満足ですよね。確かに、お金を持っている人が寄付する行為自体は素晴らしいと思います。そのお金が誰かのためになる。この場合だと、孤児院や児童養護施設にいる子供たちの生活や教育に使われて。

ただ、そういった施設にはいつまでもいられないじゃないですか。15歳とか18歳になったら出て行かなくてはいけない。施設を出たその先、彼ら彼女らがどんな人生を歩んでいくのかってところまで踏み込んで考えてる人ってあまりいないのではないでしょうか。僕自身もそうでしたから。そこで、彼ら彼女らの未来を見据えた事業をしたいなと。一方で、日本はご存知の通り少子高齢化で人手不足に困ってるわけです。なので、そういった施設の子供たちを弊社のベトナムの日本語教育センターで教育をしてから日本の企業で受け入れてもらえたら良いんじゃないかと考えたのがこのプロジェクトの始まりです。

ちょうどそのタイミングで栃木の食品製造の会社さんから技能実習生を受け入れたいっていう相談を受けたんですね。そこでまだ構想中のこのプロジェクトの話をしたら社長さんにも興味を持っていただけて面接まで行ったんです。なんとか女性3名内定をいただけだんですが、ちょうどコロナで経営困難になってしまい受け入れができないと言われてしまって。。

ーーなんと、最悪のタイミングですね。

岡部氏:いや、本当に困ってます。みんな素晴らしい子供たちで、彼女たちの期待を裏切るわけにはいかない。例えば内定をもらった1名は、お母さんを幼い頃に亡くして、お父さんが家庭を支えられず、精神障害のあるお兄さんと一緒に孤児院に預けられました。18歳で施設を出て仕事をしていたのですが、技能実習生の道があるのを知って、今は弊社の日本語教育センターで日本語を勉強しながら夜はアルバイトをして家計を助けています。ベトナム政府から生活保護で月3,000円貰っているんですが、べトナムの物価だってそんなに安くないですよ。家族3人でどうやって暮らしていくんですか!

ーーそういった背景を持った子供がたくさんいるってことですよね。

岡部氏:はい。2014年のデータになってしまうのですが、国際労働機関(ILO)とベトナムの労働傷病兵社会福祉省の合同調査によると、ベトナムには15歳未満の児童労働者が175万人いるんですよ。その内、著しく劣悪な環境、危険な状況で労働している児童が135万人と言われています。で、果たして175万人というのがベトナムの子供の総数に対してどれくらいなのかというと、5歳−17歳人口の10%に相当するんです。10人に1人が児童労働しているということです。

ーーちなみに、ベトナムには孤児院や児童養護施設はどれくらいあるんですか?

岡部氏:めちゃくちゃあります。個人でやっていたりお寺がやっていたりで公式な数字は分からないのですが、政府管轄の所で17箇所くらいかな。ハノイとかホーチミンの中心部はどんどん発展して立派な建物とか建ってますが、ちょっと外れると貧しいところはいっぱいあるんですよ。格差もどんどん広がっていて。施設の子供たちに会って話を聞くと正直辛いですよね。

僕も幼い時にベトナムから亡命してその時に母親と妹を亡くしているので、困難な環境の子供たちの気持ちが人一倍伝わるんですよ。だから大きくなった自分が彼ら彼女らに何かできないかと。少しでも力になりたいと。人一倍苦労している彼ら彼女らに人一倍幸せになって欲しい。そのために、もっともっとそういう子供たちの状況に目を向けてもらいたいんです。

Smile Projectスキーム( Smile Projectスキーム)

 

ーーそういった想いに共感してくれる企業さんも多そうですが。

岡部氏:そうですね。ただ我々もまだあまり営業できていなくて。。受入企業さんが負担する費用についても知って欲しいのですが、提携している監理団体さんも僕の想いに賛同してくれていて、他の実習生と比べて受け入れ費用や毎月の監理費が高いわけではないんですよ。最初に奨学金5,000ドル/名を企業さんに負担はしていただかないといけないですが。奨学金というのはベトナム現地での日本語教育や生活費、日本へ行くための手数料とか全て含まれてます。

ーー通常の技能実習生であれば、受入企業が支払う事前教育費の他に、実習生本人も手数料や生活費を送出機関に支払うことが多いと思いますが。

岡部氏:Smile Projectの子供たちからは一切お金は取りません。無償です。実習生がブローカーや送出機関に手数料を払うために莫大な借金をしてしまうと失踪の要因にもなりますから。やはり借金がない方が変なプレッシャーが掛からなくて済みます。

ーー孤児院や養護施設出身の方は、通常の実習生より借金するハードルも高そうですしね。

岡部氏:本当そうなんですよ。

スキームの話をさせてもらうと、受入企業さんとの契約で、面接をして採用が決まったら5,000ドルの内2,500ドルを払ってくださいとなってます。それ何に使うかというと日本に行くまでの弊社日本語教育センターでの教育や生活、手続きに係る費用とか全てです。まず、お金がない子供たちが弊社のセンターまで来る移動費もこっちで出さないといけない。ご飯食べるだけでも1食100円として1日300円x30日で1ヶ月9,000円。さらに3名の採用だとしても6名は面接に参加させるので、6名分の移動費、面接までの生活費が発生します。あと、シャンプーとかトイレットペーパーとか消耗品もだし、ノートとか筆記用具とか教育に必要なものも全部この2,500ドルで賄ってます。で、実習生が日本に入国したら残り半分払っていただきます。もし何かしらの理由で実習生が入国できないとなったら最初の2,500ドルもお返します。

また、収益の一部を、プロジェクトの子供たちがいた児童養護施設にもお支払いしています。その施設にいる他の困ってる子供たちに役立ててくださいっていう意味で。

ーー送出機関さんや監理団体さんとお話しすると皆さん口を揃えて「実習生のため」とか、「国際貢献」とか立派なこと仰りながら、大抵営業トークだけで実際やってることは。。。という企業さんが多いのですが、岡部社長の取組は、ちょっとレベルの違う本気度を感じます。

岡部氏:僕、命懸けてますから。

監理団体さんもそうですし、ベトナム現地の教育面でサポートしてくださっている三幸学園さんもそうですし、僕の想いに賛同してくれて協力してくれてるので、一貫したサポートができるというのは強みですね。

教育に関して三幸学園さんの力を借りてやってるのは、それぞれの道のプロに助けてもらった方が効果が出るから。自分の力だけでやってもプロの人には敵わないですよ。僕のモットーは他力本願です。想いを実現するためにはその方が良い。自分で全部やったほうがお金は入るのかもしれないけど。

だから別に他の人にこのプロジェクトのアイディアを真似してもらっても全然構わないんです。でも、そんな簡単な話じゃないですよ。

このプロジェクトやろうとした時、最初に何をするべきだと思いますか?

ーーんー、全然分かりません。

岡部氏:そう、まず最初何をすべきか分からないですよね。

やっぱりまずは、孤児院や児童養護施設に行って協力してもらわないといけない。で、僕も、最初弊社のスタッフに施設に行ってもらって事業内容とかを説明したんですけど、断られたんです。どこの馬の骨かも分からない奴らに大事な子供預けられるわけないって追い返されたんです。次に、責任者ということで僕が出て行って説明したら、色々調べられるんですよ。僕がどこで生まれたかとか個人的なところまで。僕はベトナム政府の人間と繋がりもあって、その人にもこういうことをやりたいって説明してて、それで岡部さんなら信頼できるって思ってもらってようやくスタートできたんです。

ーー施設側に信頼してもらえる人間じゃないとそもそも参入できないんですね。確かに施設に預けられていた子供たちを外国に送り出すってセンシティブなところもありますよね。

岡部氏:変な話、出生証明書がない方もいるんですよ。

ーーそうしたらパスポートの発行とかも手続きも通常より難しいですよね。知見やコネクションのない企業が軽い気持ちで参入するとトラブルになりそうです。

岡部氏:ほんとほんと。

技能実習生・留学生支援ネットワークを経て

(Smile Projectについて「命を懸けてる」と語る岡部社長)
 

ーーまさに岡部社長の経歴や経験があったからこそできたという印象を受けるのですが、このプロジェクトに至るまでに外国人材に関わる色々な取組をされてますよね。「福島外国人実習生・留学生支援ネットワーク」とか。業界界隈ではよく知られた取組だったと思いますが、そもそもなぜ立ち上げをされたんですか?

岡部氏:元々は僕、外国人であることがコンプレックスで、ベトナム語ともベトナム人とも一切関わらないようにしてたんです。でも偶然ベトナム料理店を開いて。実のところ、ラーメン屋でも居酒屋でもバーでも何でもも良かったんですけど。。ベトナム料理にこだわりはなかった。世の中でちょうどベトナム料理がブームだったのでベトナム料理屋にしただけです。僕自身はベトナム料理作れないので、ベトナム人のスタッフ雇って、そうしたらベトナム人の繋がりも増えて、絶えず相談が来るようになって。

ーーベトナム料理店がきっかけなんですね。

岡部氏:ベトナム料理店を開いたことでもう一つ転機がありました。

僕は幼い頃にベトナムから日本に亡命しているんですが、祖父母はアメリカに亡命していて、別れてから33年間連絡が取れなかったんです。でも、お店のFacebookを始めたら、Facebook経由で祖父母から連絡が来たんですよ。僕が初孫だったのもあってすごい可愛がってくれていたので、離れ離れになってからもずっと探してくれてたみたいなんですよね。

それでアメリカに行って33年ぶりに祖父母に会って来たんです。そこから自分の生き方が変わりました。そこで初めてベトナム人である自分と向き合うことができて。あと、自己満足ですけど、良いことをしたから神様が家族に会えるようにしてくれたって自分の中で思ったんですよ。良いことをしたら返ってくるんだと。

だから、日本に戻ってから、このままじゃダメだと。身近にある様々な外国人問題、それを見て見ぬ振りではなく「なんとか助けていこう」、「解決していこう」と考えるようになりました。実際に相談に乗り始めると口コミで相談者も増えてきて。そうなってくると大変で、とてもお店をできる精神状態じゃなくなってしまった。それで、「僕にしかできないことをやる」という軸で考えてお店を閉めて、行き場のなくなった技能実習生や留学生を保護するシェルターを作りました。住む場所と食事も提供して支援をし始めたんです。一番多い時で15人のベトナムの若者たちと共同生活をしました。だからこそ、いろんなことが分かるんですよ。日本に来た経緯とか、抱えている借金とか、残してきた家族への想いとか。

ーー「福島外国人実習生・留学生支援ネットワーク」でも様々な取組をされてましたよね?

岡部氏:皆さんの記憶にも新しいと思うのですが、福島県で除染作業に従事させられてた実習生。あれ、僕が保護してた実習生なんですよ。

他にも企業の倒産以外では貰えなかった実習生への失業保険給付。それも何とかできないかと最初に僕が働きかけました。最初は行政もどこも対応してくれなかったんです。

シェルターで保護してる実習生はお金ないんですよ。僕も生活苦しくなってきて、貯金も減ってて借金もして、保護している実習生に満足に食べさせてやることもできないし。自分自身追い込まれましたね。そこで何をしたかというと各省庁に手紙を書いたんです。そうしたらすぐ失業保険給付決まりました。

ーー技能実習制度に携わっている人間全員にとって、とてもインパクトのある活動をされてきたように思います。

岡部氏:だけども、救えるのはごく一部だし、何よりも経済力が持たなかった。このままだと未来がない。将来的に持続してもっと多くの人を救うためにどうしたら良いか考えました。そして次にしたことは、監理団体に入ること。そこで法律も学び、通訳業務や実習生のフォロー業務の経験も積んで、その後にベトナムの法人で送り出す側として教育に携わりました。

技能実習制度に関していうと全ての立場から見てきたっていうのはあります。

ーーそれで行き着いたのが今のSmile Projectなんですね。

岡部氏:そうですね。これが僕の最後の賭けです。

教育こそが「共生」への第一歩

ーー実際プロジェクトを立ち上げられて、現在、貴社のベトナム日本語教育センターはどんな状況ですか?

岡部氏:今はコロナの影響もあって弊社のハノイにあるセンターで勉強しているのは20人くらいです。その内4名が、Smile Project対象の孤児院、児童養護施設出身の方たちです。

ーー教育環境はどうなっているのですか?

岡部氏:先ほど言ったように三幸学園さんのお力を借りているのと、自社の日本語教育センターにはベトナム人講師3名と日本人講師1名がいます。今、コロナの影響で、日本人講師はオンラインでになってしまってますけど。

弊社も最初はベトナム人講師3名だけだったんです。でもエンジニアとして来日した弊社出身の人材と話してみてがっかりしたことがあるんです。日本語が全然通じなくて。これヤバイなって思って。日本語ができないと人材本人も困るし、雇用する企業さんも大変だし。

それでこのままじゃダメだっていうことで、優秀な日本人講師を探し始めたんです。そのタイミングで、私が何かのメディアに出演したのを見て連絡くれたのが、大学で留学生に日本語教育をしている方で、結局その方に講師として働いてもらうことになりました。

ーー20人の生徒に対して4名の講師となると、少人数でのレッスンになりますね。

岡部氏:1クラス5、6名ですね。技能実習生、留学生、エンジニア人材とそれぞれ違う内容になるので、クラスを分けなくてはいけない。日本語教育には力を入れてます。弊社の価値って結局、人材なんですよ。なので人材のレベルを上げるためにも教育は重要です。

技能実習生の一番の問題は何だと思いますか?結局日本語なんです。あと、文化とか習慣。世界の中で日本の方が特殊っていう慣習もあると思うけど、郷に入れば郷に従えですよ。

ーー技能実習制度だと受入側の問題も大きい気がします。極端な話、暴力とかも聞きますし。

岡部氏:確かに、そういう企業は問題ですが、本当に一部だと思います。他の外国人労働者に比べても、技能実習生は保護されてるし、この制度で恩恵を受けている人はたくさんいますよ。

だから、これから来る技能実習生にもそれなりの覚悟と責任を持って来てもらいたい。そのための教育ですよね。言葉が分からないと、何しに来たの?ってなってしまいますからね。

全ての子供たちにチャンスを

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ーーSmile Projectの子供たちの日本語力はどうですか?

岡部氏:本当に素晴らしいですよ。受け入れてもらえば分かります。

学ぶ意欲というかモチベーションからして全然違います。

色々な事情があって施設に入って、施設出てからも貧しくて、食事にも困って、ましてや好きなものなんて買えない。辛いですよね。

日本に行って家計を助けたい、生活を変えたい、その一心で人生懸けてますから。

ーー監理団体とか送出機関も「実習生は貧しい家庭の出身だから意欲が高い」みたいなことをよく言ってると思うんですが、そういった実習生ともレベルが違うってことですよね?

岡部氏:レベルが違う。特に最近は、責任感のない実習生が増えて色々トラブルになってるという面もあると思うし。まあ普通の実習生がダメって言ってるわけではないですよ。

ーー最近、ベトナムからの技能実習生が建設業とか介護とかの職種を避ける傾向にあるっていうのも聞きますね。

岡部氏:ベトナムで介護職種の実習生候補者を集めるために、「一切お金かかりません」「3年間働いてベトナム戻ったら報奨金で100万円上げます」という条件の案件があったのですが、それでも介護職種で実習行く人が集まらないんです。介護は日本語の要件も厳しいですしね。それなら借金してでもお弁当作る工場で働きたいんですよ。

ーーSmile Projectの子供たちであれば介護の可能性もあると?

岡部氏:みんなが嫌がる仕事を彼ら彼女らに押し付けるわけではないんです。ただ、彼ら彼女らも今ある現実を変えたいんですよ。今のままだと明日の希望や将来の夢も持てないから。でも例えば、18歳で養護施設を出て技能実習生として日本に行ければ、3年で帰って来てまだ21歳とか22歳です。そこから日本で貯めたお金で大学にも行けますから。

ーー技能実習制度を利用することでチャンスを得る可能性があると。

岡部氏:技能実習制度、色々批判を受けてますよね。奴隷制度とか人身売買とか言われて。それを、海外の人から見て「日本って素晴らしいことやってるな」と思ってもらえるように率先して変えていきたいです。日本に来た実習生が日本に来なければ良かったて聞くと辛いですし。このプロジェクトが改革かなと思っています。このプロジェクトによって救われる子供がたくさんいるってことを知って欲しい。そのための土台はベトナム側では既にできているので、まず手始めにベトナムから。

ーーベトナムだけではないんですか?

岡部氏:ないない。みんな平等ですよ。インドネシア 、フィリピン、ミャンマー、ネパールとか。こういう子供たちたくさんいるじゃないですか。バングラデシュ やスリランカもね、これからどんどん広げていきたいです。

編集後記

「国境を越えて生き方や考え方を変えていかないといけない時代がやってきたと思う。国籍や人種を超えて一人の人間同士として向き合う必要があるんじゃないのかな」と語る岡部社長。

Smile Projectにより恵まれない子供たちにチャンスを提供するとともに、「日本で生きていくためには相応の覚悟と責任を持つべき」と教育を重視する岡部社長の姿勢には、出自や立場を超えて共生するためのヒントが隠されているようにも思えた。

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