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Global HR Magazine

技能実習「監理団体」の見極め方

 
杉村哲人   
杉村哲人 - 更新日:2023/12/07  
 

更新日:2023/12/07

目次

89.技能実習「監理団体」の見極め方

技能実習生が適正に実習を行えるよう監理する監理団体。

外国人技能実習制度についてメディアでも取り上げられることが増えてきていますが、制度の主要なアクターである監理団体については、その役割も含めて実態があまり認知されていないように思います。

そこで本記事では、「そもそも監理団体とは何なのか?」をおさらいし、「もし技能実習生を受け入れることになった場合、どういった監理団体と付き合っていくのが良いのか?」について元監理団体職員の意見を取り入れながらまとめました。

技能実習「監理団体」とは?

外国人技能実習制度において監理事業を行う非営利団体のことです。技能実習生を受け入れる場合、企業単独型と団体監理型という2つのパターンで受け入れることができますが、団体監理型技能実習を行う場合は、監理団体による実習の監理を受ける必要があります。なお、企業単独型は、日本の企業が、海外現地法人や合弁企業などの職員を技能実習生として受け入れる方式ですが、2018年末の段階では全体受け入れのの2.8%しか占めていません 。

*参考:JITCO(公益社団法人国際人材協力機構)「外国人技能実習制度とは」

つまり、現在日本に在留している約40万人の技能実習生の実習のほとんどに監理団体が関わっていることになります。では一体どんな団体が監理事業を行えるのでしょか?

監理団体の許可

平成29年11月に施行された外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(以下「技能実習法」とします)により、技能実習監理事業を行うには主務大臣(厚生労働大臣、法務大臣)より監理団体としての許可を受けることが必要になりました。なお、許可には「一般監理事業」と「特定監理事業」の2種類あり、優良(監理業務を遂行するにあたって高い能力を有している)と認められた団体のみが「一般監理事業」を行うことができます。

技能実習3号の取り扱い可否(「一般」のみが3号取り扱い可能)や受け入れ人数枠で大きな差が出てくるので注意が必要です。

「一般監理事業」、「特定監理事業」問わず、監理団体としての許可を得るために満たすべき要件としては、大きく次の6つが挙げられます。

①営利を目的としない法人であること

原則的には、下記事業体となります。

商工会議所、

商工会、

中小企業団体、

職業訓練法人、

農業協同組合、

漁業協同組合、

公益社団法人又は公益財団法人

②監理事業を適性に行える能力を有していること

こちらは次章にて監理団体の役割として詳述します。

③監理事業を行うに足りる財政的基盤を有していること

直近の財務諸表で債務超過になっていないこと、あるいは今後債務超過が解消されることが確実であることを証明することが求められます。

④監理事業で知り得た個人情報を適性に管理する措置をとっていること
⑤中立的な立場で実習実施者(技能実習生受け入れ企業)へ指導・監督できる体制をとっていること

中立的な業務運営のために、外部役員を置くか外部監査を行うことが義務付けられています。また、中立性という観点から、監理団体や実習実施者の現役または過去5年以内の役職員などは、外部役員、外部監査人に原則なることができません。

⑥送出国政府の認定を受けた送出機関と契約を結んでいること

 

これらに加えて「一般監理事業」を行う優良監理団体と判断されるためには、こちらの有料要件適合申告の計算において150点満点の6割である90点を取る必要があります。

許可の現状

実際にどういった団体がどれくらい許可を受けいているかは、外国人技能実習機構のHPから確認することができます。

令和5年11月13日時点では、

「一般監理事業」を行える監理団体:1,967

「特定監理事業」を行える監理団体:1,716

と全てで3,683 の団体が許可を受けています。許可日や扱える国、職種・作業についてもまとめられていますので、実習生受け入れを検討される際は、こちらで自社のニーズにあった監理団体を検索してみて下さい。

余談ですが、同じく外国人技能実習機構のHPより、監理団体が指摘を受けた違反についても確認することができます(平成30年度分)。内実とてしては、「各種管理簿が適切に作成されていなかった」や「監査・講習・指導・相談等の記録が適切に作成等されていなかった」といった書類関係の指導が多くなっています。また、書類関係程の件数ではないにしろ「実習生からの相談に適切に応じていなかった」、「実習生の旅券・在留カードを保管していた」といった人権に関する違反をしている監理団体も一定数見られますので、監理団体を選ぶ際は、その団体が適正に監理業務を行ってくれるか否かを見極めないと大きな問題に巻き込まれてしまう可能性があります。

それでは、監理団体が行うべき役割とは一体どういうものなのか?

続いて、技能実習法、技能実習制度運用要領記載の「監理団体の業務の実施に関する基準」から監理団体の役割を紐解いていきます。

監理団体の役割

①監査業務

3ヶ月に1回以上、実習実施者(受け入れ企業)において適正に実習が行われているか監査を行います。

適正に実習がなされているか否かの判断をするために具体的には以下の方法を取る必要があります。

a. 技能実習の実施状況の実地(現場)確認

b. 技能実習責任者・技能実習指導員からのヒアリング

c. 技能実習生との面談(当該実習実施者が受け入れている実習生の1/4以上と)

d. 実習実施者の事業所設備、帳簿書類等の確認

e. 技能実習生の宿舎、生活環境の確認

②訪問指導

監査とは別に1ヶ月に1回以上、実習実施者において適正に実習がなされているか訪問し指導します。

こちらは1年目の技能実習1号の場合に義務付けられていますが、2年目以降もやられている監理団体さんもいらっしゃいます。

③外国の送出機関との契約及び求人・求職の取次ぎ

送出国政府認定の送出機関と取次ぎに係る契約を結び、求職の取次ぎを受ける役割を果たします。実際には、求人票の作成や面接の調整など実習実施者(受け入れ企業)の窓口となって活動を行っています。

④入国後講習の実施

第1号技能実習生が入国後受講する規定の講習を適正に行う主体です。外部の講習施設に委託をされているケースもあります。

⑤技能実習計画の作成指導

技能実習を行うにあたり、実習計画の認定を受ける必要があるのですが、その計画の作成に関し指導を行います。効果的に技能の習得が行い得るかだけではなく、宿泊施設や環境が適切なものであるかといった観点から指導をすることが求められます。

こういった役割をどれほど誠実に果たしてくれるのか、監理団体を選ぶ際のポイントになってくるかと思います。

監理団体の選び方

4つのポイント

実際に技能実習生を受け入れたい!となった際に、どういった特徴を持った監理団体を選ぶのが良いのか?

確認しておくべきポイントを大きく4つに絞って解説していきます。

①地域、扱える国、扱える職種・作業の確認

まず、その監理団体がどこの地域にあり、どこの国の実習生やどの職種・作業の実習を監理できるのかの確認が大前提となります。自社の職種・作業や希望する送出国を扱えない団体ではそもそも話になりません。

例えば、「とび職」で「ベトナム人」などであれば扱える監理団体が多いのであまり気にすることはありませんが、「介護職」や国で言うと「ラオス 」などは扱える監理団体も限定されるので注意する必要があります。

②「一般監理事業」か「特定監理事業」か確認

前述のように、高いレベルで監理業務を遂行できると認められた優良な監理団体が「一般監理事業」を行える団体です。技能実習3号を扱える、受け入れ人数枠が倍になる(実習実施者も優良の場合)といったメリットもありますので、特段の理由がない限り「一般監理事業」を行える監理団体を選択した方が無難です。

この「一般」と「特定」の区分について、建設業許可では「特定」の方が扱える範囲が広くなっていることもあり「特定」が優良と思いがちですが、技能実習監理においては「一般」の方が優良だと覚えておいてください。

この①、②に関しては、技能実習機構HPの「監理団体の検索」を参照いただければ判別できます。

③実績を確認

①、②をクリアできている団体の中から更に絞り込むために、次は実績を確認しましょう。実績とは、受け入れ人数や実習生監理事業に従事している経験年数です。

理由としては、まず、経験が豊富な団体の方が蓄積されたノウハウがあるので安心して任せられるということがあります。もちろん規模が大きく、経験年数が長くても悪質な監理団体はあるので一概には言えませんが。

ただ、ベトナムの場合、1年間の受け入れ人数が少ないと監理団体が契約を結べる送出機関の数が限定されてしまうといった明確なデメリットもありますので、選択肢の観点からも、受け入れ実績は多い方が良いと言えるのではないでしょうか。

④監理事業への精通度を確認

これは、実際に付き合ってみて初めて分かることが多く、監理団体を選択する時点では確認しきれない部分ではあります。但し、監理団体が行わなければならない業務について、自らの団体がどういう形で取り組んでいるのかを各担当者に聞いてみるだけで対応力のレベル感は分かりますので、前章の「監理団体の役割」について深掘りして聞いてみてください。レベルが低い担当者ですと、そもそも役割を正確に把握できていなかったり、自団体が契約している送出機関についての把握が雑だったりします。そういった場合は、実習中にトラブルに繋がる可能性もあるので付き合いを控えた方が良いです。

また、義務的な監査業務以外にも日本語の指導や生活のフォローなどきめ細かく対応してくれる監理団体も存在していますので、自社で重視している部分を手厚くサポートしてくれる先を探しましょう。

さらに、技能実習生へのフォローということも考えると、実習生の母国語を話すことのできる人材が何人くらい在籍しているかは外せないポイントです。

実際の活用

技能実習生を受け入れるにあたって、監理団体の選定は重要な入り口です。3,000もある団体の中から本当に適切な団体を選べるかというのは難しい部分もありますが、少なくとも本記事で述べたことを意識した上で複数の団体から話を聞くことをお勧めします。また、まとまった人数の実習生を受け入れている大手企業では、リスクマネジメントの観点から複数の監理団体と付き合いをしているという話もよく聞きますので、既に実習生を受け入れている企業様でもセカンドオピニオンを取り入れることは一つの手かと思います。

いずれにせよ、リスクを回避し、継続的に技能実習生を受け入れていくためにも、労を惜しまず、適正な運営を行っている監理団体を見つけ出し、二人三脚で技能実習制度を活用していってください。

もっと詳しく意見を聞きたい!という方は、弊社にて個別にご相談を承っておりますので、下記フォームよりお気軽にお問い合わせ下さいませ。

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