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更新日:2020/10/21

目次

記事top画 (1)

2019年4月の特定技能制度スタートから早1年6ヵ月が経過し、活用を検討されている企業様も多いかと思います。

特定技能制度の活用には企業側・人材側双方に様々な要件が課されています。人材側の資格取得要件を満たすルートには、特別なものを除くと、特定技能に係る試験合格と技能実習3年間修了の2つがあります。

最新の法務省統計によると令和2年(2020年)6月末時点の特定技能在留外国人数は5,950人となっていますが、その内、約85%が技能実習ルートからの資格取得となっています。

1(法務省公表試験ルート・技能実習ルート別特定技能1号在留外国人数よりリフト株式会社で作成)

コロナウイルス拡大によって、海外で試験に合格して特定技能資格の認定申請を行った方がまだ入国できていない等の事情もありますが、ここまで技能実習ルートの割合が高いことを考慮すると、以前に執筆した記事でも書いた通り、特定技能制度を活用する上で、技能実習制度や技能実習生への理解は必要不可欠となります。

そこで今回は、日本で就労している技能実習生への進路アンケート結果を元に、技能実習、特定技能制度活用のポイントを考えていきます。

調査の方法・回答者の属性

【調査日】2020年9月18日から25日

【調査目的】技能実習監理団体が、当該団体で監理している技能実習生が日本での就労延長を希望するか否かを把握するために、当社に調査を依頼。

【調査方法】 

WEBアンケートフォームを技能実習生個人のメールアドレスに送付する方法で実施。

アンケート項目はすべて選択式で、読み仮名付きの日本語、英語、ベトナム語で設問。

技能実習生監理団体の協力を得て、通訳担当者から各技能実習生に対してアンケートを実施。

回答者の本人情報が分からない匿名方法での実施。       

【有効回答数】 

406名にアンケート送信中 有効回答数 229

【回答者の出身国】

下記表通り。4

【日本での在留年数】

下記表通り。5

 【実習職種】 

下記表通り。6

それでは早速、技能実習修了後の進路について5つの質問結果を見ていきましょう。

Q1. 技能実習期間の修了後、日本での就労を延長したいか?

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「延長して日本にいたい」と答えた方がちょうど100名、43.7%となりました。

また、「どちらかと言えば延長して日本にいたい」と答えた方が91名、39.7%で、この2つを合わせると83.4%の技能実習生が日本での就労延長を希望しているということになります。

この結果は、皆さんにとってどのように感じられるでしょうか?

私は、もう少し低い結果になるのではないかと思っていました。

回答者の80%が建設業関係の技能実習生であることを考えると、意外な結果と言えます。

建設業関係の職種は、特に技能実習生の多いベトナムや中国等では人気がなく、希望者が集まりにくいのが現状です。また、監理団体の方のお話では、労務面等のトラブルも多く発生する印象がありました。

それだけに意外だったのですが、80%を超える方が日本での就労延長を希望しているということは、彼らが日本での実習や生活に満足している、または、少なくとも、もっと続けてもいいと思える状況であると考えられます。

Q2. 延長するとしたら、技能実習3号か特定技能1号どちらが良いか?

続いて、「延長して日本にいたい」「どちらかと言えば延長して日本にいたい」と答えた191名の方に、延長するとしたら、技能実習3号か特定技能1号どちらが良いかということを聞いて見ました。

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技能実習3号が44名、特定技能1号が91名、どちらでも構わないが56名となりました。

監理団体の方経由で何人かに理由を聞いたところ、技能実習3号を希望する方は、2年間限定で延長したいという方や、監理団体、送出機関、実習している会社という体制に一定の信頼感があり、その状態のまま延長したいという方がいるようです。

また、特定技能を希望する方では、特定技能になれば賃金が上がると考えているケースが多かったです。

ただし、この辺りは、制度の細かい違いを技能実習生が正確に把握している訳ではないようですので、例えば、特定技能を希望している方でも、賃金がUPするならば技能実習3号で延長する等、絶対にこちらでなければいけないという例は少ないという印象です。

Q3. 延長する場合、どの程度の手取り金額を希望するか?

続いて、日本で就労延長を希望している191名に、延長する場合、どの程度の手取り金額を希望するか?について聞いてみました。

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こちら注意事項としては、手取り金額が、税や社会保険を控除した額であることはもちろん、通常、技能実習生では、家賃や水光熱費実費等が給与から控除されているため、額面としては、上記の手取り金額よりも、5万円から6万円程度は高くなると考える必要があります。

つまり、上記の手取り13万円程度は、額面で20万円弱、22万円程度だと約28万円の額面を希望しているということになります。

手取り22万円以上を希望する方が一番多く、次に22万円程度、20万円程度が多い結果となりました。

それ以上のグループを便宜上23万円として平均を計算すると、21万1308円となりました。

家賃を20,000円、水光熱費を5,000円として、社会保険や税金等を逆算して行くと、額面で26万円程度の希望が平均と言うことになります。

これを、1日8時間就労、22日間勤務で逆算すると時給1,477円となります。実際には残業が発生すると考えて、これに1日1.5時間の残業が発生すると仮定すると、時給1,196円となりました。

選択式の聞き方をすると高く答えるのが当たり前だとは思いますが、一般的に、技能実習生が特定技能や技能実習3号に移行する際には昇給されるという情報が技能実習生間で出回っているのは事実で、例えば、技能実習、特定技能共にシェアトップのベトナムの方の場合、時給で200円程、月給に換算すると30,000円から40,000円程度の昇給を希望するケースが多いようです。

この辺りは特定技能制度を考えて行く際に、非常に重要になってきます。

弊社にご相談を頂く企業様のケースでも、技能実習生を技能実習3号や特定技能として延長する際に、実習生の求める賃金と折り合いが付かず、既存の技能実習生を延長せずに、新しく技能実習生を採用するという選択肢を取らざるを得ない事例が多くみられました。

つまり、「3年間日本で生活していて、仕事にも慣れている人材を時給1,200円で雇用延長する」よりも、「日本に来たことは無く、仕事も一から教えなければならない人材を時給1,000円で新規雇用する」ことを選択する(せざるを得ない)と言うことです。

例えば、ビルクリーニングや飲食料品製造業等では、人材の技術の向上が、経営上の付加価値、生産性の向上に必ずしも繋がらないケースが多く、クライアントとの契約単価が上がらない以上、許容できる賃金単価を超えてしまうという判断になるケースが多いようです。

一方で、建設関係の企業では、技術の向上が付加価値の獲得に結び付きやすく、仕事ができると判断した技能実習生に対しては、額面で30万を大きく超える賃金を支払っているケースも多々見られます。

この辺りは、現役技能実習生を特定技能人材として活用することを考える際に、非常に重要なポイントになります。

特定技能に変更する際に、無条件に賃金を上げるというのは、企業様にとってもなかなか難しいと思いますが、人材のモチベーション獲得や、延長、契約の合意形成の為に、何らかの対策は必要になります。

例えば、自社で就労している技能実習生を延長して雇用することを考える場合には、少なくとも在留期限の1年前には話し合いを始め、会社としての期待を伝えることと、条件面を曖昧にせずにすり合わせて行くことが重要だと思います。

すり合わせが難しくなる企業様では、在留期限のギリギリになっても話が纏まらないというケースが見られました。また、条件面をしっかり詰めないまま何となくお互い延長すると考えていたが、蓋を開けると希望の条件と隔たりがあったというケースも良く見られます。

時間を掛けて話し合いをする際に、大切なことは、技能実習生のライフプランを把握し、そのライフプランに沿った会社としてのキャリアプランを提示して行くことになると思います。

技能実習生の多くは20代30代の若者で、一人一人に将来に対する大いなる期待、野望、夢があります。その期待や夢の実現の手段が、技能実習生としての来日です。「日本での就労」は目的ではなく手段であることを理解した上で、その目的に対して、就労を延長することがどのようなプラスになるのかをすり合わせて行くことが出来れば、無理なく延長に対する合意形成が獲得できるでしょう。

例えば、「リーダーや後輩外国人人材のトレーナーとしての役割を担って貰えるようになれば、幾らの昇給が実現する」「N2試験に合格した場合に手当を付ける」等、できるだけ細かく、分かりやすいキャリアパスを提示して行くことで、当初の賃金ギャップを埋められるケースもあります。

技能実習生はこれまで時限的な存在でしたが、特定技能1号への移行と、その先の特定技能2号まで考えると、在留期限に限りがない可能性があり、長く会社で働いて貰うためには、日本人人材のマネジメントと同じようなプロセスが必要になりますが、目的が明確なケースが多い分だけ、技能実習生、特定技能人材とのすり合わせの方が容易と言えるかもしれません。

Q4. 就労延長を希望しない技能実習生の理由は?

続いて、日本での就労延長を現在のところ希望していない、「どちらかと言えば帰国したい」「帰国したい」と答えた38名のグループに対して、どういった条件をクリアすれば延長を希望するのかを聞いてみました。こちらは複数回答となっております。11

こちらも私としては新鮮な結果で、「親の許可が得られる」という回答が約半数を占めています。

これは非常に示唆に溢れる回答結果であると思います。

つまり、技能実習生に長く働いて貰う為には、本人とのすり合わせは勿論重要ですが、現地国にいる家族との合意形成や働きかけが重要になるケースが一定の割合であるということです。

今回のアンケートの総回答数は229名ですので、その7.86%が親の許可が得られないことで、日本での就労が延長出来ないという結果は見逃すことは出来ません。

これは技能実習生のことだけではなく、特定技能としての就労継続にも関わってくる問題です。

技能実習生の面接の際に、企業と採用した実習生の両親との面談をセッティングしている送出機関もありますが、多くの企業様の場合、そもそも意識していないかまたは、地理的、または時間的な制約で実施されていないケースも多いでしょう。

直接会うということは、まだまだハードルは高いと思いますが、幸いSkypeやZoom等、WEBツールを使えば、Face to Faceでの面談は可能です。

また、送出機関が技能実習生の場合では必ず介在しますし、特定技能においても幾つかの国では活用が必須となります。

そこで、例えば自社で働く技能実習生や、特定技能人材の状況や仕事の様子の写真を1年に1回でも配信し、送出機関を通して、その内容を両親に伝えてもらう等は有効ではないかと思います。

特に、地方や農村地帯の出身者は、国を問わず、家族の結びつきが強い傾向があります。

両親と企業側が結びつきを深めることで、単純に就労の延長だけではなく、異国で働く技能実習、特定技能人材の安心感や「親に恥をかかせられない」という意味でのモチベーション醸成等、様々な効果を期待することが出来ます。

Q5. どの程度の手取り金額が貰えれば、日本での就労延長を考えるのか?

「親の許可」以外の理由としては、「給料が上がる」や、「仕事の内容が変わる」という項目が続いています。では、「昇給」を理由とする場合、いくらくらいの手取り金額を求めているのでしょうか?

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そもそも「お金の問題ではない」という方も13.2%いましたが、それ以外の方は希望する手取り金額を回答してくれています。

一見して、前述した、就労延長を希望するグループに比べて、希望する金額が少ないことが分かります。

同じ条件で、平均すると、就労延長を希望するグループでは手取り金額の希望が21万1308円だったのに対して、就労延長を現時点では希望していないグループでは、19万8000円と10,000円以上の開きがありました。

このことからも、就労延長を希望しないグループの理由が、賃金の問題だけではないことが理解出来ます。

最後に

今回のアンケートは、私にとっても、勝手な思い込みや誤った認識に気づかされる示唆深いものとなりました。

外国人技能実習生制度は、研修生制度開始から数えて30年が経過し、特定技能制度の創設を経て、表面的な目的とは別に、中長期の日本での就労が可能な制度に事実上変化しています。

ただし、法律やルールが出来て器が整備されただけでは制度活用は進みません。

既にご存知の通り、日本と周辺各国の経済格差は、少子高齢化等の社会情勢を背景に、年を経るごとに縮小していく傾向にあります。また、台湾や韓国等の周辺国も、少子高齢化が進み日本と同様に労働力の不足が進行しつつあります。

「給料が安いから外国人人材を採用する」

「多少過酷な環境でも頑張るから外国人人材を採用する」

というのは過去の話で、このような考え方で技能実習生や特定技能人材を活用することは大変難しくなっています。

その中で、技能実習、特定技能制度を短期ではなく、中長期的に活用して行く為には、主体となる技能実習生、特定技能人材が何を希望しているのか、何に困っているのかを、タイムリーに把握し、対策を考えて行く必要があります。

今回のアンケートの実施は単発のものではなく、次回以降も同じ対象の方に引き続きアンケートにご協力頂く予定となっていますので、次回以降もアンケート実施毎に別の切り口で設問を検討し、分析結果を記事にして行く予定です。

個別の人材ごとの事情とは別に、集団の傾向的な意見を技能実習、特定技能制度の活用のご参考にして頂ければ幸いです。 

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