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更新日:2021/08/03

目次

GHRサムネル小川商店(小川商店社員旅行で、ウイさんの故郷を訪問した際の写真。左後列1人目が小川社長、右から2人目がウイさん。ウイさんのご家族に会い、技能実習に来た背景にも思いを馳せることができた。)

ベトナム中部ゲアン省で生まれ、2017年に技能実習生として来日したTran Dinh Uyさん(以下「ウイさん」)。2020年11月に埼玉県鴻巣市にある株式会社小川商店(管工事業)での技能実習を満了し、特定技能へ資格変更することを決めた。

トラブルばかりがクローズアップされる技能実習制度だが、ウイさんと小川商店のように実習生と受け入れ企業がwin-winの関係を築いているケースも決して少なくない。

制度を上手く活用できるか、それとも不幸な事例を増やしてしまうか、その道を分けるのは一体何なのだろうか?

ウイさんと同社代表取締役の小川和義氏(以下「小川社長」)に、それぞれの想いや取り組みを伺いながら探っていきたい。

技能実習に行けばキャリアが拓ける

ーー技能実習生になる前は、どのようなことをされていましたか?

ウイさん:高校を卒業して宅配の仕事をしていました。農業を営んでいる実家は貧しく、僕が大学に行ってしまうと家計が苦しくなるのが分かっていたので、高校を出てすぐ働くことを選びました。ただ、このまま宅配の仕事をしていても生活は苦しいままなので、専門性を身に付けたいと思い、建設の専門学校に入学しました。その学校で技能実習のプログラムを知り、日本へ行こうと決めました。日本の建設業で働く方が給料も高いですし、経験も積めると考えたので。

ーー「お金とキャリア」が技能実習を希望した大きな理由ということですね?

ウイさんはい日本で建設分野の専門知識を学びたかったということ、日本で働いた方が給料が高いということが技能実習に応募した理由です。

ーーキャリアプランについて教えてください。

ウイさん:日本で稼いだお金でベトナムに帰ってから会社を設立したいと思っています。管工事の技能を活かして、建設の会社を作ることが夢です。

ーーまさに、管工事での技能実習が活きてきますね。しっかりとしたキャリアプランを持って来日されたとのことですが、実際に日本に来てみた感想は?

ウイさん:僕の会社は、みんな優しくて仕事を丁寧に教えてくれるので、とても良いですね。ただ、他の建設の会社に入った友達からは、いじめられたという話も聞くので、入社する会社によって大きな違いが出てきてしまいますね。

ーー会社次第でその後の人生が変わってしまうこともあるんですね。ウイさん自身は、日本で大変なことはありましたか?

ウイさん:いっぱいありました。一番大変だったのは、日本語です。小川商店では、僕が初めての外国人社員だったので、最初はコミュニケーションが取れずに大変でした。周りは日本人だけだから、日本語が分からないと仕事も上手くできません。

それで、仕事終わりに毎日2時間くらい勉強してました。日本語が上達すれば、仕事ももっとできるようになると思っていましたので。1年くらい経つとだいぶ慣れました。

ーー初めてだとコミュニケーションの取り方が難しかったでしょうね。外国人社員で1人だけは寂しかったですか?

ウイさん:最初は寂しかったです。でも、独身の若い日本人社員がいて、休みの日に皆で飲みに行ったり遊びに行ったりして、もう友達みたいになったので、今は楽しいです。あと、地域のボランティアに参加させてもらってゴミ拾いとかして日本人と関わることができたのは楽しかったですね。

ーー技能実習3年間を満了して、ベトナムに戻る選択肢もあったと思うのですが、なぜ特定技能で延長しようと思ったのでしょうか?

ウイさん:まだ専門的なスキルが不足していると考えているので、もっと勉強したいと思ったことと、今ベトナムに帰っても会社を設立できるだけの資金がないので、もっとお金を貯めたいと思ったことが理由です。

ーーウイさんは小川商店での就労を延長されるわけですが、どのような会社であれば長く働き続けたいと思えますか?

ウイさん:まず、職場環境ですね。人間関係が良いとか指導方法が丁寧とか。そして、当たり前ですが、いじめや差別がないというのも大事です。周りの知り合いからは、いじめられたという話を本当によく聞きます。あと、やっぱり、お給料は気になりますね。

*取材に応えてくれたウイさんの動画はこちら

 

不法行為に手を染める技能実習生のニュースが多いが、ウイさんのように自らのキャリアを切り拓くべく真面目に実習に取り組む方も確実に存在する。一方で、どんなに実習生が頑張ろうとしても、受け入れ企業の職場環境が劣悪であっては制度の活用は失敗に帰するだろう。

では、外国人材定着のために受け入れ企業が意識すべきことは何なのだろうか?ウイさんが「とても良い会社」と語る小川商店の小川社長の考えを伺った。

業務外でも外国人材と人間的な関係を築いていくことが大切

IMG_1231-1(鴻巣北本青年会議所新年会でのウイさん。社長から貰ったスーツを着てスピーチを行った。)

ーー技能実習生を採用しようと思われた経緯を教えてください。

小川社長:若い人材と一緒に働けるという点に純粋に魅力を感じたのがきっかけです。

ーーなぜベトナムから受け入れようと思われたのですか?

小川社長:私が参加しているロータリークラブで、留学生への奨学金プログラムをやっていたんです。せっかく日本の大学に留学しているのに、アルバイトばかりで学業に集中できないという問題を解決するために奨学金を支給するというものです。そのプログロラムの中で、ベトナム人の方と関わることがあって、好印象を持っていたのが決め手ですかね。

ーー実際にウイさんと一緒に働いてみていかがでしたか?

小川社長:何よりも仕事に対してハングリーですね。それが、日本人社員にも良い影響を与えてくれているのが嬉しいです。会社全体的に仕事に取り組む姿勢がハングリーになりましたね。日本人社員も、最初は「また社長が変なこと始めたな」みたいな感じだったと思うんですけど。

ーー受け入れてみて、苦労された点はありますか?

小川社長:苦労というのはないんですが。一人の若者の人生をお預かりするというのは、精神的にプレッシャーというか、とても覚悟のいることでした。住む所とかもそうですし、「もし自分の子供が異国の地で生活するとなったら」という視点を持って接するようにしました。

ーー小川社長は、仕事や会社だけでなく、地域のイベントにもウイさんと一緒に参加されていましたよね?

小川社長:そうですね。働くだけでなく、日本で生活をしないといけないわけですから。鴻巣という場所で生活していく上で、地域コミュニティーと上手く馴染めないと、辛いのではないかなと思ったんです。それで、青年会議所に入ってもらったり、ロータリークラブでスピーチをしてもらったりしてました。地元の日本人と出会うことで、ウイさんが馴染んでくれたら良いなと思って。でも、日本人の友達を作るというのは結構難しいみたいですね。

ただ、弊社の日本人社員には若手が結構いるので、そこで仲良くなってくれたのは良かったです。日本人でベトナム語勉強しているのもいるし、社員旅行でウイさんの故郷に行って親御さんに挨拶したりしました。

ーー社長としては、出来るだけ長く日本で働いてほしいと思われてるのでしょうか?

小川社長:もちろん実習はしっかり満了して欲しいと思っていましたが、本人が入国してきた時から「日本で経験を積んでからベトナムで社長になりたい」というのを言っていたので、その想いを応援したいです。

ーー特定技能など外国人材を引き続き活用していく予定はありますか?

小川社長:そうですね。建設業は高齢化が進んでますから、外国籍の方の力を借りていかないと、どうにもならないですね。日本人、外国人問わず、若い従業員が活躍できる状態を持続していきたいと思っています。変わった奴、何かに秀でた尖ってる奴、大歓迎です。

ーー建設業における技能実習ですが、暴力があるなどのイメージで外国人材からも人気がなくなっています。これからも外国人材に働いてもらうために、どのようなことに気をつける必要があるでしょうか?

小川社長:人として向き合うっていう当たり前の意識をもたないといけないですね。先程も言ったように、私は「もし自分の子供だったら」っていう視点で接するようにしています。

結局は、人間的な関係を築いていけるかが大切なんですよ。例えば、弊社の受け入れ方法で良かったなと思うのは、最初から複数名受け入れるのではなく、ウイさん1名からスタートしたことですね。もし最初から複数名を受け入れていたら、一人ひとりと向き合うことができず、上手く馴染んでもらうことができなかったのではないかなと思います。ベトナム人チームみたいなのができてしまって、かえって孤立してしまうというか。ウイさんとマンツーマンで向き合うことができたのは本当に良かったです。今年、2期生が入社してくるのですが、今はウイさんが同郷の先輩として指導してくれますし、受け入れ体制も整ってきているので、安心ですね。

編集後記

外国人材の受け入れついては、各企業によって様々なスタンスや手法があるが、小川社長が仰る「人として向き合う」という当たり前の姿勢は最低限必要ではないだろうか。しかし、取材中にウイさんが「友達から差別やいじめを受けた話をよく聞く」と繰り返し話してくれたように、その当たり前のことができていない企業がまだまだ存在している。当然だが、そんな企業でウイさんのような優秀な人材は働いてくれない。

人材獲得競争が激化していくこれからの時代、外国人材の受け入れを成功させるためには、意欲の高い人材を惹きつけることができる組織体制を構築していくことが肝要だ。

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