更新日:2023/04/20
目次
「特定技能外国人を採用したいんだけど、何から始めたら良いの?」
そんな疑問をお持ちの企業様向けに、本記事では、特定技能外国人の採用から就労開始まで、企業が確認すべきこと・やらなくてはいけないことを4ステップに分けて解説いたします。
特定技能について基本的なことから知りたいという方は、以下の記事をご覧ください。
▶「在留資格『特定技能』とは?特定技能外国人の採用から支援まで徹底解説」
前提 受け入れ要件を確認する
採用方法や在留資格の申請を考える前に、そもそも自社が特定技能の受け入れ要件を満たしているかどうか、確認が必要です。
まず、特定技能制度は、人材不足が深刻な14の分野で一定の専門性や技能を持った外国人労働者の受け入れを行う制度です。したがって特定技能外国人を受け入れたい企業は以下の14分野のいずれかに該当する必要があります。
1.介護業 2.ビルクリーニング業 3.素形材産業 4.産業機械製造業 5.電気・電子情報関連産業 6.建設業 7.造船・舶用業 8.自動車整備業 9.航空業 10.宿泊業 11.農業 12.漁業 13.飲食料品製造業 14.外食業
さらに、特定技能外国人を雇用する企業は以下の基準を満たさなければならないことが法律で定められています。
■受入れ機関自体が満たすべき基準
① 労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
② 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
③ 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
④ 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
⑤ 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
⑥ 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
⑦ 受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
⑧ 支援に要する費用を,直接又は間接に外国人に負担させないこと
⑨ 労働者派遣の場合は,派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで,適当と認められる者であるほか,派遣先が①~④の基準に適合すること
⑩ 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
⑪ 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
⑫ 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
⑬ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
ここまでの基準を全て満たす企業が、特定技能外国人を雇用できます。
採用活動をはじめる前に、自社が基準を満たしているかどうかしっかり確認しましょう。
また、後述する特定技能外国人への支援体制が整っていることも受け入れ基準となっていますので、こちらも事前把握が重要です。
特定技能外国人受け入れまでの流れ
まずは、特定技能外国人の採用から就労開始までのおおまかな流れを見てみましょう。
特定技能外国人は、採用後に在留資格の申請やそれに伴う書類作成などの様々な手続きが必要で、実際に就労を開始するまで2~3か月がかかります。
特定技能外国人を雇用する際は、早めの動きだしが重要です。
ステップ① 人材募集・面接
特定技能外国人の採用ルートは、大きく2つです。
1つ目は、特定技能試験・日本語能力試験に合格した人材を採用するルート、
2つ目は、同業種の技能実習2号を良好に修了した技能実習生を採用するルートです。
特定技能外国人を採用するために、多くの企業は人材紹介サービスを利用します。
人材紹介会社などが提供する候補者情報をもとにオンラインまたは対面で面接を行い、採用を決めることになります。
ステップ② 雇用契約を結ぶ
人材の採用が決まったら、次は雇用契約を結ぶことになります。
特定技能外国人と雇用契約を結ぶ際は、法律で定められた以下の基準を満たさなければなりません。
①業務内容が、分野ごとに定められた「特定技能外国人が従事する業務」に該当すること。
※こちらのページから分野別の要領をご確認ください。
② 所定労働時間が、通常の労働者の所定労働時間と同じであること。
③ 報酬額が日本人と同等以上であること。
④ 外国人であることを理由に、報酬の決定や教育訓練の実施、福利厚生施設の利用などの待遇で差別的な扱いをしないこと。
⑤ 一時帰国を希望した際は休暇を取得させること。
⑥ 労働者派遣の対象とする場合は、派遣先や派遣期間が定められていること(派遣形態での雇用は農業分野と漁業分野でのみ可能)。
⑦ 外国人が帰国の旅費を負担できないときは、受け入れ機関が負担すること。また、契約終了後の出国が円滑に進むようにサポートすること。
⑧ 外国人の健康状態や生活状況を把握すること。
⑨ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)。
以上の基準に注意しながら雇用契約書を作成しましょう。
ステップ③ 支援計画を策定する
特定技能外国人を受け入れる企業は、外国人が日本で安定的に働くことができるように、職業上、日常生活上、社会生活上の支援を行わなければなりません。
在留資格申請時には、この支援をどのように行うかを示した支援計画書を提出する必要があります。雇用契約を結んだら、支援計画の策定を行いましょう。
支援内容については、法律で定められている以下の業務を行うことが義務づけられています。
(※③住居確保について、自社で働いている技能実習生に特定技能へ移行してもらう場合は、技能実習時使用していた4.5㎡以上の住居を引き続き使用することができます。)
特定技能外国人を雇用する際は、上記の支援を全て行う体制を構築しなければなりません。
支援を自社で行うのが難しい場合は、「登録支援機関」に全て委託することができます。登録支援機関とは、受け入れ企業の変わりに支援計画を策定・実施してくれる機関です。
委託には1人あたり月2~3万円がかかりますが、多くの企業は自社で行う際の手間や費用を考え登録支援機関に委託しています。
支援を自社で行うべきか、登録支援機関に委託すべきか迷った際は、ぜひ以下の記事を参考にしてみてください。
▶「登録支援機関とは?支援業務は委託すべき?それとも内製化すべき?」
ステップ④ 在留資格申請を行う
雇用契約を結び支援計画を策定したら、次は必要書類を揃えて特定技能の在留資格を申請することになります。
在留資格申請に必要な書類は、大きく①外国人本人に関する書類、②受け入れ機関に関する書類、③分野に関する書類に分けられます。
以下は、上記分類ごとの必要書類の一覧です。
①外国人本人に関する書類
海外から来日する外国人を採用する場合 | 日本にいる外国人を採用する場合 | |
1 | 在留資格認定証明書交付申請書 | 在留資格変更許可申請書 |
2 | 写真(縦4cm×横3cm) | |
3 | 特定技能外国人の報酬に関する説明書 (注)賃金規定に基づき報酬を決定した場合には賃金規定を添付 |
|
4 | 特定技能雇用契約書の写し | |
5 |
(1)雇用条件書の写し |
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(2)賃金の支払 | ||
6 | 雇用の経緯に係る説明書 (注)雇用契約の成立をあっせんする者がある場合には、職業紹介事業者に関する「人材サービス総合サイト」(厚生労働省職業安定局ホームページ)の画面を印刷したものを添付 |
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7 | 徴収費用の説明書 | |
8 | 健康診断個人票 | |
9 | 受診者の申告書 | |
10 | 1号特定技能外国人支援計画書 | |
11 | 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書(支援を委託する場合) | |
12 | 二国間取決において定められた遵守すべき手続に係る書類(特定の国籍のみ) | |
13 | 返信用封筒 | (1)外国人の個人住民税の課税証明書(直近1年分) |
(2)外国人の住民税の納税証明書 (注)全ての納期が経過している直近1年度のもの。 |
||
(3)外国人の給与所得の源泉徴収票の写し (注)(1)で証明されている内容に対応する年度のもの |
||
14 | 外国人の国民健康保険被保険者証の写し | |
外国人の国民健康保険料(税)納付証明書 | ||
15 | 外国人の国民年金保険料領収証書の写し、もしくは申請人の被保険者記録照会(納付Ⅱ)(被保険者記録照会回答票を含む。) | |
16 | 公的義務履行に関する誓約書 (注)13~15のいずれかに滞納がある場合のみ |
(出入国在留管理庁「「特定技能1号」に係る提出書類一覧表(在留資格認定証明書交付申請用)」、出入国在留管理庁「「特定技能1号」に係る提出書類一覧表(在留資格変更許可申請用)」をリフト株式会社で加工)
②受け入れ機関に関する書類
法人の場合 | 個人事業主の場合 | |
1 | 特定技能所属機関概要書 | |
2 | 登記事項証明書 | |
3 | 業務執行に関与する役員の住民票の写し (注)マイナンバーの記載がなく、本籍地の記載があるものに限る。 |
個人事業主の住民票の写し (注)マイナンバーの記載がなく、本籍地の記載があるものに限る。 |
4 | 特定技能所属機関の役員に関する誓約書 (注)特定技能外国人の受入れに関する業務執行に関与しない役員がいる場合のみ。 |
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5 | A)初めての受け入れの場合 労働保険料等納付証明書(未納なし証明) |
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B)受け入れ中の場合(※労働保険事務組合に事務委託していない場合) 労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写し及び申告書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し(直近2年分) |
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C)受け入れ中の場合(※労働保険事務組合に事務委託している場合) |
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6 | 社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保 険料領収証書の写し |
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7 | 税務署発行の納税証明書(その3) (注)税目は「①源泉所得税及び復興特別所得税」「②法人税」「③消費税及び地方消費税」 |
個人事業主の税務署発行の納税証明書(その3) (注)税目は「①源泉所得税及び復興特別所得税」「②申告所得税及び復興特別所得税」「③消費税及び地方消費税」「④相続税」「⑤贈与税」 |
8 | A)初めての受け入れの場合 法人住民税の市町村発行の納税証明書(直近1年度分) |
A)初めての受け入れの場合 |
B)受入れ中の場合 法人住民税の市町村発行の納税証明書(直近2年度分) |
B)受け入れ中の場合 個人事業主の個人住民税の市町村発行の納税証明書(直近2年分が必要) |
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9 | 公的義務履行に関する説明書 | |
10 |
A)健康保険・厚生年金保険の適用事業所の場合 |
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B)健康保険・厚生年金保険の適用事業所でない場合 |
(出入国在留管理庁「所属機関(法人)に関する必要書類」、出入国在留管理庁「所属機関(個人事業主)に関する必要書類」をリフト株式会社で加工)
③分野に関する書類
分野に関する書類は、以下のリンクをご参照ください。
▶海外から来日する外国人を採用する場合はこちら
▶日本にいる外国人を採用する場合はこちら
書類を地方出入国在留管理局に提出
以上の書類が全てそろったら、最寄りの地方出入国在留管理局に提出をします。
海外から来日する外国人を雇う場合、申請が許可されると証明書が交付されるので、これを外国人に送って在外公館でビザを申請してもらいましょう。
日本にいる外国人を雇う場合は、申請が許可されると送付される通知書を外国人本人が入管に持っていくことで、在留資格の変更が完了となります。
在留資格を取得できれば、外国人はいよいよ就労を開始することができます。
書類作成は行政書士に委託可能
在留資格申請では、書類の不備や申請内容に問題が見つかると、追加書類の提出や最悪の場合申請の不許可につながります。
追加提出や再申請には時間も手間もかかりますので、しっかりと必要書類をそろえて申請を行いましょう。
自分で申請するのが不安という方は、行政書士に作成を依頼することが可能です。
まとめ
特定技能外国人の採用は、雇用後の支援まで見越して行う必要があります。人材を確保するだけでなく、制度に係る法律や人材が定着するための支援方法など様々な知見が必要とされますので、まずは豊富な経験を持ったパートナーと二人三脚で進めていくのが良いでしょう。
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