更新日:2023/04/20
目次
「電気・電子情報関連産業分野で特定技能人材を受け入れるにはどうしたらいいの?」
「特定技能外国人はうちで活用できるだろうか?」
そんな疑問にお答えするため、本記事では電気・電子情報関連産業で特定技能外国人を雇用するために知っておきたい基礎知識と実務上の注意点についてご紹介します。
「特定技能について基本的なことから知りたい!」という方は、下記の記事をご参照ください。
▶︎在留資格「特定技能」とは?特定技能外国人の採用から支援まで徹底解説
特定技能1号が成立した背景とは?
特定技能制度で電気・電子情報関連産業分野が対象とされたのは、ひとえに人手不足であることが原因です。
電気・電子情報関連産業の有効求人倍率は 2017年度は2.75倍で、全産業平均の1.50倍と比べるといかに採用が難しくなっているかが分かります。
人材が不足する一方で、自動車の電動化に伴い電子部品の需要は増加しています。その増加率は年2%程度と言われており、このまま需要拡大が進めば人手不足はより深刻化するでしょう。
このような人手不足を補うため、電気・電子情報関連産業の特定技能1号が成立しました。
特定技能1号外国人はどんな業務に従事できるの?
特定技能1号外国人は、以下の業務に従事することができます。
(経済産業省「製造業における特定技能外国人材の受入れについて」をリフト株式会社で加工)
また同じ業務に従事する日本人が通常行うような関連業務に、付随的に従事することも可能です。関連業務としては、原材料・部品の調達・搬送作業、各職種の前後工程作業、クレーン・フォークリフト等運転作業、清掃・保守管理作業などが想定されています。
外国人が電気・電子情報関連産業分野の特定技能1号を取得するには?
現場で即戦力となる技能及び日本語のレベルがあると認められる場合に「特定技能1号」が認可されます。具体的には下記の2つの場合です。
a. 技能試験と日本語能力試験に合格する
b. 電気・電子情報関連産業分野に該当する職種の技能実習2号を修了する
以下くわしく説明します。
a. 技能試験と日本語能力試験に合格する
外国人材は必要な技能水準と日本語水準を満たしていると証明するために、次の2つの試験に合格する必要があります。
①製造分野特定1号評価試験
この試験では、求められる技能水準を満たしているかどうかが評価されます。
ちなみに求められる技能水準とは、以下のように定められています。
監督者の指示を理解し的確に業務を遂行又は自らの判断により業務を遂行できる者であること/一定の専門性・技能を用いて即戦力として稼働するために必要な知識や経験を有する者であること
試験は従事する業務区分ごとに行われ、学科試験と実技試験で構成されています。こちらのページでサンプル問題が公開されているのでご参照ください。
実施場所は日本国内とインドネシアです。2021年3月には東京、大阪、名古屋で試験が予定されています。今後の試験日程はこちらのページからご確認ください。
②日本語能力試験(N4以上)または、国際交流基金日本語基礎テスト
この試験では、求められる日本語水準を満たしているかどうかが評価されます。
「日本語能力試験(JLPT)N4以上」は、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力と言われています。試験はマークシート方式で、年に2回、日本各地と海外の実施機関で行われます。
「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」はJLPTと同様の目的で行われますが、実施場所ごとにスケジュールが異なります。スケジュールはこちらのサイトからご確認ください。日本国内での試験は2021年3月1日から実施されます。
また日本語能力試験については、下記の記事でくわしく解説しているのでご参照ください。
b. 電気・電子情報関連産業分野に該当する職種の技能実習2号を修了する
電気・電子情報関連産業分野に該当する職種の技能実習2号を修了された方は、上記の試験なしで特定技能1号へ移行することができます。
技能実習2号を修了された方のほとんどは、ある程度の日本語を理解し、一定の業務を卒なくこなすことができるので、必要な技能・日本語水準を満たすとみなされます。
「電気・電子情報関連産業分野に該当する職種」とは以下の通りです。
(経済産業省「製造業における特定技能外国人材の受入れについて」をリフト株式会社で加工)
電気・電子情報関連産業分野の特定技能1号外国人を受け入れるには?
「特定技能」の外国人を雇用したい企業は下記の3条件を満たし、かつ、当該の外国人を直接雇用する必要があります。派遣社員としての雇用は認められておりませんのでご注意ください。
①企業が「日本標準産業分類」のうち、対象産業に該当している
企業は以下のいずれかの産業を行っている必要があります。
・中分類28 電子部品・デバイス・電子回路製造業
・中分類29 電気機械器具製造業
(細分類2922 内燃機関電装品製造業、および細分類2929 その他の産業用電気機械器具製造業(車両用、船舶用を含む)を除く。)
・中分類30 情報通信機械器具製造業
「産業を行っている」とは、特定技能1号外国人が働く現場において、直近1年間で製造品出荷額が発生していることを指します。(製造品出荷額とは、直近1年間の製造品出荷額、加工賃収入額、くず廃物の出荷額、その他収入額の合計のことです。)
②「製造業特定技能外国人材受入れ協議会・連絡会」に入会し、必要な協力を行う
はじめて特定技能1号外国人を雇用する企業は、受け入れ前に「製造業特定技能外国人材受入れ協議会・連絡会」に入会しておく必要があります。
(以前は受け入れ後に入会すれば良かったですが、制度の改正で受け入れ前に入会しておかなければならなくなりました。)
入会はこちらのページから申請できます。
③特定技能1号外国人への支援を適切に実施する
特定技能1号外国人の受け入れのためには、法律で定められた支援を行う体制を構築する必要があります。
ただし、支援を登録支援機関にすべて委託した場合、適切な支援体制が整備されているとみなされます。
特定技能1号外国人が働ける期間は?
特定技能1号外国人が働ける期間は、現状のところ5年間です。
ただ、技能実習1号・2号・3号と合わせれば10年間の就労が可能となります。
電気・電子情報関連産業分野では、更新が無制限にでき、家族を呼べる特定技能2号の資格は許可されていません。しかし現場の人手不足を考えると、今後許可される可能性は大いにあります。
特定技能1号外国人を雇用する場合の費用相場は?
特定技能1号外国人の給与は、同職種に従事する日本人と同等以上とされています。
さらに在留資格申請にかかる費用や、登録支援機関への支援委託料を合わせると年間で30-50万円ほど外部コストがかかります。また、送出機関を通して海外から呼び寄せる場合は手数料が発生することがあります。
電気・電子情報関連産業分野での特定技能1号の活用法は?
電気・電子情報関連産業の企業は、特定技能1号をどのように活用すれば良いのでしょうか。
結論から言うと、技能実習2号修了後に特定技能1号へ移行してもらう、というのがメインの活用法になります。
2020年9月末時点で電気・電子情報関連産業分野の特定技能人材は計378名ですが、その全員が技能実習2号修了後、特定技能1号に移行した人になります。技能試験・日本語能力試験に合格し特定技能1号の在留資格を取得した人は未だ0人です。
その背景としては、技能試験・日本語能力試験の合格が難しく、技能実習生として入国する方が外国人材側のハードルが低いことが挙げられます。技能実習生となるには、特定技能のような難しい試験の合格は必要ありません。その上技能実習2号を修了すれば、無試験で特定技能1号に移行しさらに最長5年間働くことができます。
たしかに企業側からすれば、技能実習生は雇用するのに様々な制約がありますし、特定技能1号と違って即戦力にはなりません。しかし技能実習生にしっかりと教育を行い、信頼関係を築くことができれば、特定技能1号よりも長期にわたって企業に貢献する戦力となるでしょう。
現時点で特定技能人材がすべて技能実習からの移行であることを考えても、技能実習からスタートし、特定技能1号に移行してもらうのが良さそうです。
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