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更新日:2021/02/10

目次

造船バナー(圧縮済)

「造船・舶用工業分野で特定技能人材を受け入れるにはどうしたらいいの?」

「特定技能外国人はうちで活用できるだろうか?」

そんな疑問にお答えするため、本記事では造船・舶用工業で特定技能外国人を雇用するために知っておきたい基礎知識と実務上の注意点についてご紹介します。

「特定技能について基本的なことから知りたい!」という方は、下記の記事をご参照ください。

在留資格「特定技能」とは?特定技能外国人の採用から支援まで徹底解説

特定技能が成立した背景とは?

特定技能制度で造船・舶用工業分野が対象とされたのは、ひとえに人手不足であることが原因です。

造船・舶用工業の有効求人倍率は、主な職種を平均すると2017年度は3.62倍で、全産業平均の1.50倍と比べると採用が難しくなっているかが分かります。

同産業が生産拠点を置く地方圏では、若者の都市部への流出が進んでおり、将来の担い手となる若手就労者の確保が課題です。

また溶接や塗装など建設業と重複する分野では人材の奪い合いとなり、待遇の良い建設会社に流れてしまって人手が集まらないという問題もあります。

このような人手不足を補うため、造船・舶用工業の特定技能が成立しました。

特定技能1号外国人はどんな業務に従事できるの?

特定技能1号外国人は、以下の業務に従事することができます。

①溶接(手溶接、半自動溶接)

②塗装(金属塗装作業、噴霧塗装作業)

③鉄工(構造物鉄工作業)

④仕上げ(治工具仕上げ作業、金型仕上げ作業、機械組立仕上げ作業)

⑤機械加工(普通旋盤作業、数値制御旋盤作業、フライス盤作業、マシニングセンタ作業)

⑥電気機器組立て(回転電機組立て作業、変圧器組立て作業、配電盤・制御盤組立て作業、開閉制御器具組立て作業、回転電機巻線製作作業)

また同じ業務に従事する日本人が通常行うような、資材の運搬や清掃などの関連業務にも従事することが可能です。

外国人が造船・舶用工業分野の特定技能1号を取得するには?

現場で即戦力となる技能及び日本語のレベルがあると認められる場合に特定技能1号が認可されます。具体的には下記の2つの場合です。

a. 技能試験と日本語能力試験に合格する

b. 造船・舶用工業分野に該当する職種の技能実習2号を修了する

以下くわしく説明します。

a. 技能試験と日本語能力試験に合格する

外国人材は必要な技能水準と日本語水準を満たしていると証明するために、次の2つの試験に合格する必要があります。

①造船・舶用工業分野特定技能1号試験

この試験では、求められる技能水準を満たしているかどうかが評価されます。

ちなみに求められる技能水準とは、以下のように定められています。

技能試験の水準は、造船・舶用工業分野の業務に即戦力として従事できる一定の専門性・技能を有することを確認する観点から、実務経験2年程度の者が、事前に当該試験の準備を行わず受験した場合に、7割程度合格できる水準とする。

出典:国土交通省海事局船舶産業課「造船・舶用工業分野特定技能1号試験実施要領」

試験は従事する業務区分ごとに行われ、学科試験と実技試験で構成されています。学科試験では対象業務や安全衛生に関する知識が評価され、実技試験では対象業務の作業を実際に行い、その出来ばえが評価されます。

試験は、一般財団法人日本海事協会が試験会場や設備などを準備し、指定された日時で試験を行う集合方式と、受験者側が試験場所を準備しそこに試験監督者が派遣される出張方式の2パターンで実施されます。

出張方式では、受験者は学科試験を行うことができる部屋と、実技試験に必要な作業台や機械設備、機材、部品、作業着などを自分で準備する必要があります。試験可能場所は現在国内、フィリピン、インドネシアとなっています。

集合方式では、2020年12月に溶接の第1回試験が愛知で実施されました。今後の試験予定はまだ未定で、こちらのページで順次公開されます。

業務ごとの受験案内や実技試験の詳細、学科試験のサンプル問題は、一般財団法人日本海事協会のHPで公開されています。以下からご確認ください。

①溶接 ▶②塗装 ▶③鉄工 ▶④仕上げ ▶⑤機械加工 ▶⑥電気機器組立て

また、②塗装③鉄工④仕上げ⑤機械加工⑥電気機器組立てについては、技能検定3級に合格することで、技能水準を満たしていると証明できます。つまり、技能検定3級を持っていれば、造船・舶用工業分野特定技能1号試験は免除されます。

②日本語能力(N4以上)または、国際交流基金日本語基礎テスト

この試験では、求められる日本語水準を満たしているかどうかが評価されます。

「日本語能力試験(JLPT)N4以上」は、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力と言われています。試験はマークシート方式で、年に2回、日本各地と海外の実施機関で行われます。

「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」はJLPTと同様の目的で行われますが、実施場所ごとにスケジュールが異なります。スケジュールはこちらのサイトからご確認ください。日本国内での試験は2021年3月1日から実施されます。

また日本語能力試験については、下記の記事でくわしく解説しているのでご参照ください。

在留資格「特定技能」の「技能評価試験・日本語試験」とは?

b. 造船・舶用工業分野に該当する職種の技能実習2号を修了する

造船・舶用工業分野に該当する職種の技能実習2号を修了された方は、上記の試験なしで特定技能1号へ移行することができます。

技能実習2号を修了された方のほとんどは、ある程度の日本語を理解し、一定の業務を卒なくこなすことができるので、必要な技能・日本語水準を満たすとみなされます。

無試験で移行できる技能実習2号とは、以下の職種・作業を指します。

造船移行可能職種(圧縮済)法務省、国土交通省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-造船・舶用工業分野の基準について」をリフト株式会社で加工)

特定技能1号外国人を受け入れるには?

特定技能1号の外国人を雇用したい企業は下記の3条件を満たし、かつ、当該の外国人を直接雇用する必要があります。派遣社員としての雇用は認められておりませんのでご注意ください。

①「造船・舶用工業分野特定技能協議会」に入会し、必要な協力を行う

はじめて特定技能1号外国人を雇用する企業は、受け入れ後4か月以内に「造船・舶用工業分野特定技能協議会」に入会する必要があります。

②国土交通省が行う調査または指導に必要な協力を行う

特定技能1号外国人への支援を適切に実施する

特定技能1号外国人の受け入れのためには、法律で定められた支援を行う体制を構築する必要があります。

ただし、支援を登録支援機関にすべて委託した場合、適切な支援体制が整備されているとみなされます。支援を委託する場合には、上記①と②を満たしている登録支援機関に委託する必要があります。

特定技能1号外国人を雇用する場合の費用相場は?

特定技能1号外国人の給与は、同職種に従事する日本人と同等以上とされています。

さらに在留資格申請にかかる費用や、登録支援機関への支援委託料を合わせると年間で30-50万円ほど外部コストがかかります。また、送出機関を通して海外から呼び寄せる場合は手数料が発生することがあります。

特定技能1号外国人が働ける期間は?

特定技能1号外国人が働ける期間は5年間です。

ただ、技能実習1号・2号・3号と合わせれば10年間の就労が可能となります。

また、造船・舶用工業分野は特定技能2号の対象です。特定技能2号に移行できれば、就労期限がなくなり半永久的に働ことができます。

特定技能2号とは?1号との違いは?

造船・舶用工業は、特定技能2号の対象分野に指定されています。

特定技能2号とは、特定技能1号の修了者が移行できる在留資格で、高い技能をもつ外国人が対象となります。現在では、「建設」と「造船・舶用工業」の2分野が対象となっています。

造船・舶用工業分野においては、溶接の業務に従事する特定技能1号外国人が特定技能2号に移行できます。

特定技能2号に移行するには?

特定技能2号に移行するためには、「造船・舶用工業分野特定技能2号試験(溶接)」の合格と、複数の作業員を指揮・命令・管理する監督者としての実務経験が必要となります。

「造船・舶用工業分野特定技能2号試験(溶接)」は、2021年度からの実施が予定されています。

特定技能1号との違いは?

特定技能2号の1号との違いは大きく以下の3つです。

①在留期間の制限がない

特定技能2号には、在留期間の制限がありません。在留期間の更新が無制限にできるため、半永久的に就労してもらうことが可能になります。

②家族の帯同が可能

特定技能2号外国人は、配偶者や子供を日本に連れてくることができます。

③支援体制がいらない

特定技能2号外国人を雇用する際には、支援体制を構築したり、登録支援機関に委託したりする必要がありません。

造船・舶用工業分野での特定技能の活用法は?

造船・舶用工業の企業は、特定技能をどのように活用すれば良いのでしょうか。

結論から言うと、技能実習2号修了後に特定技能1号へ移行してもらい、その後特定技能2号を目指してもらう、というのがメインの活用法になります。

2020年9月末時点で造船・舶用工業分野の特定技能1号外国人は計213名ですが、その全員が技能実習2号修了後、特定技能1号に移行した人になります。技能試験・日本語能力試験に合格し特定技能1号の在留資格を取得した人は未だ0人です。

その背景としては、技能試験・日本語能力試験の合格が難しく、技能実習生として入国する方が外国人材側のハードルが低いことが挙げられます。技能試験には、試験運営側が会場や設備を準備する集合方式と、受験者側が自分で準備して試験監督者の派遣を申請する出張方式がありますが、出張方式での実施が難しいのは言うまでもありません。集合方式での実施も、フィリピンでの一回と国内での一回のみにとどまっています。

一方で、技能実習生となるには上記のような試験は必要ありません。技能実習2号を修了すれば、無試験で特定技能1号に移行することができます。

たしかに企業側からすれば、技能実習生は雇用するのに様々な制約がありますし、特定技能と違って即戦力にはなりません。しかし、現時点で特定技能人材がすべて技能実習からの移行であることを考えると、技能実習生の雇用からスタートし、2号修了後に特定技能1号に移行してもらうのが良いでしょう。

技能実習生は、しっかりと教育を行い丁寧なコミュニケーションで信頼関係を築くことで、企業に貢献する欠かせない戦力となってくれます。さらに特定技能2号が取得できれば、在留期限なしで働き続けることができます。そうなれば、技能実習生のころから積み重ねた関係性が重要になってくるはずです。

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