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更新日:2021/05/16

目次

ダイバーシティマネジメントバナー(圧縮済)

近年、女性の社会進出やグローバル化に伴い、「ダイバーシティ」が注目を浴びています。

多様な価値観が引き起こす対立やトラブルを回避し、組織を活性化させるために、適切にダイバーシティマネジメントを行うことは現代ビジネスパーソンの必須能力とも言えるでしょう。

そこで本記事では、ダイバーシティマネジメントとは何か?を整理し、その必要性やメリット、導入の際の注意事項、そして具体的な事例を解説していきます。

ダイバーシティマネジメントとは?

そもそもダイバーシティマネジメントとは何でしょうか?

ダイバーシティマネジメントとは、人材の多様性を活かして事業を成長させ、組織を強化しようとする施策のことです。

人材の多様性、つまりダイバーシティには、年齢や性別、人種などの目に見える属性だけでなく、価値観やスキル、働き方などの目に見えない性質も含まれます。

現在、日本ではダイバーシティとして、女性や外国人の雇用促進がよく取り上げられます。しかし、性別や国籍に止まらず、社員の目に見えない多様性を企業の競争力強化に活かそうとすることが本来の意味でのダイバーシティ・マネジメントです。

ダイバーシティ(圧縮済)

なぜ今必要なのか?

では、なぜ今ダイバーシティマネジメントが注目されるようになっているのでしょうか?

ここでは、ダイバーシティマネジメントの必要性が高まっている要因を3つ解説いたします。

①少子高齢化による人手不足

現在、少子高齢化の影響で多くの企業が人手不足に直面しています。

15才以上65才未満の生産年齢人口は年々減少を続けており、今後人手不足はますます深刻化する見込みです。

この人材獲得競争の激化に伴い、企業はまだ活用されていない労働力をいかに登用するかが重要になってきます。

従来労働市場への参加を阻まれていた女性や高齢者、外国人などを活用していくために、多様な働き方を認めて、その多様性を活かせるようなダイバーシティマネジメントが求められます。

*外国人材の活用については、以下の記事に詳細をまとめてあります。ご興味のある方は、併せてご覧ください。

▶︎外国人材の受け入れ方法〜採用から定着まで7ステップと注意点〜

②グローバル化

グローバル化した現代社会においては、様々な分野の日本企業が海外に進出し、また海外企業が日本に進出してきています。

これからは、世界の多様な価値観を踏まえ、様々なニーズを把握しそれに柔軟に対応した商品やサービスの開発が必要です。

多様で変化し続ける世界のニーズに対応するために、企業は均質な人材ではなく、多様な人材を活用していくことが求められます。

③労働意識の変化

消費者のニーズだけでなく、労働者の価値観も多様化しています。

「残業は当たり前」「1つの会社で勤め上げるのが良い」といった考え方から、「ワークライフバランスの重視」「スキルアップのための転職」「仕事と子育ての両立」へと、特に若者の労働意識が変化してきています。

こうした価値観の多様化に合わせて、企業も従来の画一的なやり方に拘らず、多様な働き方を認めていく必要があります。

メリットは?

ここまで、ダイバーシティ・マネジメントの必要性が高まる要因として、少子高齢化による人手不足、グローバル化、労働意識の変化の3つを解説いたしました。

では、ダイバーシティ・マネジメントを行うことで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

①人材確保

1つ目のメリットは、人材確保です。

先ほど述べたように、企業は人手不足を解消するために、未だ活用できていない就労意欲のある人材を活用する必要があります。

女性や障がい者、シニア層などの中には、働きたくても様々な理由から働くことを諦めてしまう方が多いです。

育休や介護休暇をはじめ、自宅勤務やフレックスタイム制、短時間正社員制度などの多様な働き方を可能にすることで、そういった人材に働いてもらい、人手不足を解消することができます。

また、若者の多くは柔軟な働き方を好む傾向にあります。リモートワークやフレックスタイム制を導入したり、積極的に育休取得を推進したりすることで、女性やシニア層だけでなく若い人材に対してもアプローチすることができます。

②新しい価値の創造

ダイバーシティ・マネジメントのメリット2つ目は、新しい価値の創造です。多様な人材が集まることで、新しいアイデアが生まれやすくなります。

ここで重要になるのは、年齢や性別、国籍などの目に見える多様性だけでなく、価値観やスキル、経歴などの目に見えない多様性です。

様々な価値観やスキル、経歴などを持つ人材が集まることで、均質な人材にはない様々な視点からの意見が生まれ、イノベーションが起こりやすくなります。

実際、ミュンヘン工科大学とBCG(ボストンコンサルティンググループ)が、ドイツ・スイス・オーストリアの企業を対象に行った調査では、多様性に富んだ企業ほど、直近3年間の新商品・新サービスによる収入が多いことが分かっています。

また、変化の激しい消費者ニーズに対して、多様な人材を抱える企業の方が、均質性の高い企業と比べてより臨機応変に対応することができると考えられます。

③企業の評価向上

ダイバーシティ・マネジメントのメリット3つ目は、企業の評価向上です。

女性や障がい者など多様な人材の雇用は、CSR活動と捉えられることもあり、社員の多様性を尊重している企業として社会的評価の向上を見込むことができます。

また企業で働く社員も、多様な働き方が認められることで満足感や業務へのモチベーションを高めることができます。

ダイバーシティマネジメントを行う際のポイントは?

ここからは、企業が実際にダイバーシティマネジメントを行う際に意識すべき4つのポイントについて解説していきます。

①円滑なコミュニケーション

多様な人材を受け入れ、その多様性を活かすためには、社員同士がいかにコミュニケーションをとっていくかが重要です。

多様な価値観を持つ人材が集まれば、当然価値観の違いによる対立や誤解が生まれる可能性があります。また、国籍の違う人材が集まれば、言語の問題も発生します。

そこで重要なのが、社員同士のコミュニケーションと、心理的安全性の高いチーム作りです。価値観や働き方、属性の違う相手と意識的にコミュニケーションをとって、お互いの違いを理解し、尊重しなければなりません。

人間は、自分と似た性質の人に親しみを感じるものです。自分と異なる人とも意識してコミュニケーションをとり、認識のずれや思い込みを正していく必要があります。

その上で、その違いを活かすために、多様な価値観が尊重される心理的安全性の高い環境を作ることが重要です。自分の個性が尊重されていると感じることで、新しいアイデアが生まれやすくなったり、仕事へのモチベーションアップやパフォーマンスの向上につなげることができます。

②MVVの浸透

多様な人材を受け入れる際に必須なのが、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の浸透です。

ミッションは組織が目指す目的、ビジョンは目指す理想の組織像、バリューは組織の価値基準を意味します。

多様な価値観を持つ社員をまとめるには、皆が共感できる共通の指針が重要になります。全社で共有される指針であり、意思決定や評価の軸にもなるミッション・ビジョン・バリューを明示し、浸透させることができれば、多様な価値観を持つ人材が目的を共有し、同じ方向を向いて業務に取り組むことができます。

このとき、経営陣は率先してミッション・ビジョン・バリューに沿った行動をすることが、社員へ十分浸透させるために重要になります。

③評価基準の明確化

ダイバーシティマネジメントで重要なのが、評価基準の明確化です。

様々な経歴やスキルを持った人材を受け入れ、働く場所や時間の多様性を認めると、均質性の高い企業が行うような一律の評価では、一部の人材に必ず不公平が生じてしまいます。

多様な人材を受け入れる企業は、それぞれ働き方や業務内容を十分考慮した上で明確な評価基準を設け、その基準の周知と理解を図っていかなければなりません。

また、評価基準について、定期的な面談などで社員の不満などをヒアリングし、必要に応じて作り直していく必要があります。

具体的な事例

ここからは、ダイバーシティマネジメントを行っている企業の具体的事例を紹介いたします。

以下で紹介する2社は、経済産業省の「令和2年度 新・ダイバーシティ経営企業100選」のベストプラクティス集より、「100選プライム」を受賞した企業です。「100選プライム」には、中長期的な視点からダイバーシティ経営を推進し、特に先駆的な取組を行っている企業が選定されます。

日本ユニシス株式会社

日本ユニシス株式会社は、1958年からシステムインテグレーター(SIer)やサービスプロバイダーとして事業を展開してきた企業です。しかし、激しい環境の変化により従来型の事業モデルだけでは限界を感じ、新たなデジタルサービスの提供に向けた事業変革と、それに伴う組織内部の風土や文化の変革を試みました。その一環として、同社はダイバーシティ&インクルージョンを1つの軸としています。

実際に現場では、イノベーション創出とワークライフ・バランスを実現する多様な働き方が可能です。

女性活躍や働き方改革をキーワードに、法定を上回る育児・介護支援制度や、全グループ社員を対象にした介護セミナーの開催や介護ハンドブックの配布、休職者向け面談、産休・育休ワークショップ、管理職向けの研修などの施策が実施されています。

特に、産休・育休取得者に対しては、制度説明と中長期のキャリア構築支援の観点から、複数回の面談を行い、計画的な育休取得とスムーズな復職を支援しています。その結果、育休からの復職率は10年以上もの間95%以上を保持しており、男性の育休取得率も年々増加しています。

働き方改革としては、累計利用者数26万人以上のサテライトオフィス開設や、残業ゼロの月を1回以上設定する「残業メリハリ活動」、全社員を対象としたテレワーク制度(2020年度平均利用率88.6%)などの施策を行っています。

また、同社は特に「イントラパーソナル・ダイバーシティ」を重視しています。これは、1人の人が様々な経験や幅広い知見を持つことと定義され、近年の研究では、「イントラパーソナル・ダイバーシティ」が高い人は様々な側面でパフォーマンスが高いことが明らかになっています。

社員の「イントラパーソナル・ダイバーシティ」を高めるために、同社では、社員の自律的なキャリア構築を支援する中長期キャリアデザインの設定や、キャリア相談窓口、新事業創出人材育成のためのワークショップ「Next Principal」、役員と社員が新事業のアイデア共有や対話をする「Morning Challenge」などの施策が行われています。

その結果、同社のエンゲージメントサーベイの「イノベーションを意識している社員の割合」は74.9%に達しています。

また経営層も、ダイバーシティ経営を持続可能な事業活動に必要不可欠であるとしており、女性の社外取締役が就任したり、ダイバーシティ推進室を設置したり、経営者に求められる要素として「Diversity & Inclusion(多様性の受容・適応力)」を定めて経営人材のダイバーシティ向上に取り組んだりと、様々な施策が行われています。

同社は2017年度~2020年度にかけて、売上を270億円から480億円に伸ばし、2021年度には600億円の売上高が予想され、5期連続で過去最高益を更新しています。

(参考:経済産業省「令和2年度『新・ダイバーシティ経営企業100選』100選プライム/新・100選 ベストプラクティス集」)

大橋運輸株式会社

大橋運輸株式会社は1954年に設立された老舗の運輸会社です。同社は事業転換を経て規模を拡大させてきましたが、価格競争の激化に加え、労働力不足や長時間労働が慢性的な問題となっていました。

その中で、まずは社員の満足度向上を最優先とし、2007年ころから社員にとって働きやすい環境の整備に取り組みました。さらに、採用の間口を広げるために、2011年から女性の積極採用と女性活躍推進の取組を始め、2012年には高齢者の雇用延長や新規採用、2014年には、外国人の現地採用と、LGBTQ社員の採用、そしてその活躍のための基盤づくりを行っています。

実際に現場では、柔軟な働き方を認める仕組みが整備されています。

例えば、育児や介護など様々な問題を抱える社員がいることを踏まえて、事務職に短時間勤務制度を導入し、週3日、1日4時間~、午前・午後を選択可能という柔軟な働き方が認められています。

また、育児や介護などで突然休まなければならない場合にそなえ、ジョブローテーションを導入してお互いの業務をサポートできる体制を整えています。

ほかにも、年齢や国籍、身体的特徴、性的指向などに基づく差別やハラスメントの禁止を就業規則に盛り込み、ハラスメント相談室の設置や、ドライバー・管理職に向けた研修の実施、外国籍社員への言語・生活サポートや障がいのある社員への業務サポート、ダイバーシティ推進室を中心とした積極的な情報共有などが行われ、会社全体で「一人ひとりが働きやすい環境の実現」が目指されています。

経営層は、取締役の半分が女性で、ダイバーシティ推進室の監査役にも女性が就任しています。

ほかにも、顧問の社労士や会計士、顧問弁護士、またLGBTQの知見が深いコンサルタントや大学教授と連携して、社内に不足する観点を補い組織をより良くしていこうとする試みが行われています。

このような取り組みを通して働きやすい会社を実現した結果、同社は社員満足度の向上だけでなく、採用力の強化による人材不足の解消を達成しています。

現在は顧客満足度向上に向けてサービスの質向上に取り組んでおり、現在の女性役職者6名、外国籍リーダー1名という人数を、2025年までに女性役職者10名、外国籍リーダー2名に引き上げることを目標としています。

(参考:経済産業省「令和2年度『新・ダイバーシティ経営企業100選』100選プライム/新・100選 ベストプラクティス集」)

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