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    • 関根謙志郎

    外国人技能実習生(ビルクリーニング)に「この会社に来てよかった!」と思ってもらえる環境構築を。有限会社イオタの取り組み。

    目次

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    有限会社イオタ

    設立:平成8年1月

    所在地:東京都板橋区徳丸1-61-19

    事業内容:建築物清掃業、建築物調査工事

    外国人技能実習制度と聞くと、悪いイメージを持たれている方も多いと思うが、実は実習生、企業双方にとって幸せな制度活用をしているケースが大半である。有限会社イオタは、1995年に建物清掃請負業を開始し、マンション、オフィスビル他、清掃業務全般の請負を行なっている。同社は2018年の7月からビルクリーニング業種の外国人技能実習制度を利用し、インドネシア出身の実習生3名の受け入れを開始した。開始より約一年経ったが、目立ったトラブルもなく、実習生の仕事に対する意欲の高さは、同社の期待値を超え、二期生の受入に向けて始動している。今回は、模範的な実習生受け入れを行う同社の取り組みを取材した。

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    ↑左から、ニアさん、大内専務、グナワンさん、ディマスさん


    ビルクリーニング業種で3年間の技能実習が可能になったのは、2016年のことである。その後、しばらく様子を伺ったのち、同業者に話を聞くと、外国人技能実習生は、非常に勤勉でよく働いているとのことだったため、制度利用を決意。2017年の12月にインドネシアのジャカルタで面接をし、グナワンさん、ディマスさん、ニアさんの3名を採用した。内定後、約半年間日本語を現地で勉強し、2017年7月に日本に入国。1ヶ月間の講習の後、2018年の8月より実習が始まった。

     想像よりも日本語が話せて驚いた。

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    ↑実技試験を終え、ホッとしているグナワンさん

     最年長でもあるグナワンさん(28)の将来の夢は日本語とインドネシア語の通訳者になることだ。その分、独学での日本語学習に人一倍熱心に取り組んできた。現場では、培った日本語力を生かし実習生のリーダーを勤め、他の実習生に指示の意味を説明したり、日本人従業員と実習生との間を取り持ったりしている。専務の大内氏も初めて顔合わせをした際に、

     「こんなに話せるの」

     と驚きを隠せなかった。グナワンさんがいてくれるおかげで、円滑な意思疎通ができ、トラブルを未然に防ぐことが出来ているのだそうだ。ただし、実習生全体として、時折細かい指示について詳細が伝わっていないこともある。その場合は、担当の日本人従業員が分かりやすい日本語で伝えたり、身振り手振りを交えて教えたりしている。実習生自身が日本語を学ぼうとする姿勢が強いので、暖かく見守っている状況だ。

     グナワンさんのように来日当初から日本語のレベルが高い実習生は希だ。多くの実習生は、日本で働き始めてから徐々に日本語のレベルが上がっていく。大内さんによると、プライベートでの会話機会の多さで上達のスピードが違うようだ。例えば、グナワンさんとディマスさんは男子寮に住んでいるのだが、先輩の男性社員とよく一緒に遊んでいるそうで、プライベートでも日本語でのコミュニケーションが多い。その分日本語力の成長も早い。一方でニアさんは会社の用意したアパートに一人暮らししているため、中々プライベートで日本語を話す機会に乏しく、二人と比べると日本語の成長がゆっくりだ。ただ、真面目なニアさんは、自主的に日本語の勉強会に参加するなど、足りない分を補おうと努力を続けている。

     最初の1ヶ月は指導者をローテーションし、相性を見極める。

    ビルクリーニング職は、職業柄、実力がついてくると、一人で仕事をすることが多くなる。ただ、最初の1ヶ月は指導係を一人に対して一人つけ、丁寧に教育を行った。同社のユニークなところは、指導を担当する社員を頻繁に入れ替えるところだ。大内氏によると、

     「やっぱり相性の良し悪しは、人間なら誰しもあるし、そこをないがしろにするとうまく行かない。だから最初は指導担当をローテーションして、日本人社員、実習生双方の話を聞き、相性の合う人を担当にしている。」

     とのことだ。グナワンさんの卓越した日本語能力だけではなく、こういった細やかな気配りがトラブルを未然に防げている理由なのかもしれない。

     「この会社に来て良かった!」と思ってもらえる環境を作れば、自ずと成果は出る。

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    ↑筆記試験を終えて、緊張が和らぐみなさん。

     同社が技能実習制度を活用するにあたって大切にしているのは、良い意味で実習生を「日本人従業員と同じように扱う」ことだ。「外国人だから」という理由で、決して教育を諦めない。実習生にも同じ技術レベルを求めるから、指導も同じように丁寧に行う。

     さらに給与については、最初から少し高い水準にし、その給与に見合うように実習生を育て上げることにしている。「予めの期待値」として、高めの給与を設定するのは、不慣れな日本での実習に励む彼らが、最初から生活に不自由しないくらいの給与水準にしたいと考えているからだ。一般的に、実習生には母国の家族に仕送りをしている方が多い。トラブルに発展するのも、不平等な昇給や、残業代の未払いから不満を募らせるケースだ。

     「給料では不満にならないよう極力努めています。彼らが弊社に来て良かったと思ってもらえる環境を作れば、自ずと成果は出るモノだと思っています。ですからまずは、実習生が伸び伸び働けるような環境作りを目指しています。」

     環境作りの点では、寮は当然一人一部屋で、さらに一人に一台ポケットWifiを渡している。もちろん仕事上、LINEで連絡を取る必要があることも理由の一つだが、母国との連絡手段に使って欲しいという思いからの支給だ。寮生活に対する不満を募らせ、トラブルに繋がるケースもある。実習生受け入れ企業は予算の問題もあるだろうが、同社のように出来る限り良い生活環境を整えることが円満な実習に繋がるということを肝に命じるべきだ。

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     ↑実技試験後に、ニアさんの緊張をほぐす大内さん。

    予想外だったのは、社員が自主的に面倒見役を担ってくれていること。

     男子寮では、実習生の隣の部屋に日本人社員が住んでいる。その社員は非常に面倒見が良く、仕事が終わったあとや休日にも実習生との交流を進んで行っていて、それも上手くいっている理由の一つだ。また、社内制度としても、月に一度、事業部内でのミーティング終了後に、従業員みんなで食事に行ったり、夏の花火大会をみんなで見て楽しんだりと、温かい雰囲気作りができている。ただし、会社としては、日本人社員、外国人技能実習生関係なく、一人の社員も特別扱いをしないように気をつけている。勝手の分からない国で生活する大変さに思いやりを持つのはもちろん大事だが、度を超えた施策は既存社員の反感を買う可能性があり、結局、実習生、受け入れ企業、双方のためにならないと考えるからだ。

     「笑顔が本当にいいんですよね。」

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    ↑インドネシアの文化に関する話で盛り上がるお二人

     実習生のおかげで会社が活性化していることも予想外のメリットだという。実習生たちは非常に熱心に学んでくれる。そして何より、

     「笑顔が本当にいいんですよね。」

     と大内氏は語る。インドネシア出身の方は明るく、楽しいおしゃべりが好きな場合が多い。今回の取材中も、試験の出来や、日本の好きなところなど、一つ一つ感情豊かに表現されていた。筆者も一緒に時間を過ごしているだけで、自然と楽しい気持ちになって、思わず取材であることを忘れてしまいそうになったくらいだ。

     まとめ

     4月1日から改正入管難民法が施行され、ビルクリーニング職でも新在留資格「特定技能」と「技能実習」とを合わせて、最長10年の在留が可能になった。確かに制度は新設されたばかりで不透明な部分も多い。しかし、日本人の働き手は今後も確実に減少の一途を辿る。有限会社イオタのように、受け入れた外国人技能実習生が「この会社に来てよかった!」と思う環境を構築することは、採用難に悩む企業にとって、もはや避けては通れない経営課題になっている。

     
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    福島県内の高校卒業後、東北大学に入学。在学中は硬式野球部に所属。英語学、心理学、英語教育学を専攻。卒業後は社会を構成する『ヒト・モノ・カネ・情報』が遍在することで生じる歪み(社会問題)をビジネスを通して適正化するというミッションに共感しリフト株式会社に入社。