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更新日:2021/02/10

目次

年金

 外国人雇用をしてらっしゃる企業様からのよくある質問として、「外国人の方にも日本の厚生年金って入ってもらわないとダメなの?という質問があります。今回は、外国人雇用をされている事業者様が抑えておくべき厚生年金のポイントを簡単にまとめました。

そもそも、「外国人雇用の基本的なイロハが分からない!」という担当者の方は、こちらの記事でまとめてますので、あわせて理解を深めていただけますと幸いです。

厚生年金への加入が義務である企業とは?

原則として、法人は設立した日から5日以内に健康保険(全国健康保険協会/協会けんぽが運営)と厚生年金セットで加入義務があります。どちらか一方を選択してもう片方には加入しないことはできません。

法人ではない場合は、厚生年金保険に加入することが法律で決まっている事業所は健康保険の場合とほぼ同じルールですので、健康保険のページをどうぞ。

厚生年金に「加入させなければならない労働者」、「加入させなくてもよい労働者」とは?

原則として会社や事業所が厚生年金に加入している場合、雇用している従業員はすべて厚生年金に加入させなければなりません。加入させなくても良い場合については、健康保険と同じです。

* 注意点:政府管掌の厚生年金ではなく、共済組合に入る方、『船員保険』の被保険者の方は、多少の違いがあります。詳しくは日本年金機構 の特集ページでご確認を。

外国人従業員の厚生年金加入で注意すべき点

①出身国が「社会保障協定国」であるか。

社会保障協定とは?

     社会保障協定(しゃかいほしょうきょうてい)とは、各国の社会保障制度において、保険料の二重負担や年金受給資格の問題(掛け捨て)を防止するために加入するべき制度を二国間で調整し、年金加入期間の通算を行うための二国間協定。

現在の加盟国は?

ドイツ イギリス 韓国 アメリカ ベルギー フランス カナダ オーストラリア オランダ チェコ(※) スペイン アイルランド ブラジル スイス ハンガリー インド ルクセンブルク フィリピン ( 署名済み、未発行、イタリア スロバキア 中国 )

これらの国の出身者は国ごとに協定内容を確認する必要があります。 

社会保障協定国出身者の場合

国によって「支払った期間の通算が可能か」「二重支払い防止の対象範囲はどこまでか(年金、健康保険、労災保険、雇用保険)」が異なります。よくあるケースとしては外国に本社がある企業に所属している方が日本支社に赴任する場合です。

 

※詳しくは日本年金機構のページから各国ごとのルールを調べることができますので、ご参考まで。

 

原則として、赴任期間が当初から「5年以内」と見込まれる場合は自国の社会保障加入を継続し、日本の制度には加入しません。

手続きは以下の3つの手順で行います。

  1. 日本赴任前に、自国の年金窓口で「適用証明書」を受け取る。※「適用証明書」とは、日本ではなく、海外の社会保障を例外的に適用し、日本の社会保障制度加入を免除されるための証明書のこと
  2. 日本の勤務先に提出
  3. 勤務先企業が社会保険事務所に「適用証明書」を提出

 

赴任期間が当初から「5年以上」と最初から見込まれる場合は、日本の制度に加入します。

仮に、日本と本国とで保険料の2重支払いをしていた場合、日本の制度で払い戻しを受けられる権利は2年で消滅するので注意が必要です。

外国人が厚生年金に入るメリットとは?

お付き合いのある、お客様の中には、雇用している外国人の方が、厚生年金に入っても、結局自分は年金を受け取れないから意味ないといって、厚生年金への加入を拒まれるという悩みをお持ちの方がいらっしゃいます。

ここでポイントとなるのが、厚生年金が本当に掛け捨てになるのかどうかです。結論として、掛け捨てにはなりませんので、以下の制度を説明してあげると良いでしょう。

メリット1:脱退一時金制度

先程取り上げた、「社会保障協定国」出身の場合は、年金期間と給付を自国の年金制度と合算することができるので問題ないとして、

「社会保障協定国」以外の国出身の場合には「脱退一時金制度」によって、全額掛け捨てを防ぐことができます。

 

  • 脱退一時金制度とは?

短期間日本に在住・日本の年金制度(国民年金・厚生年金・共済組合など)に、6ヵ月間以上加入して帰国する外国人に対して払い込んだ保険料の額に応じて一定額を払い戻す制度のこと。

  1. 「脱退一時金」を受け取ることができる外国人の条件
    日本国籍を持っていないこと
    厚生年金または国民年金の加入期間が6ヵ月以上あること
    日本に住所がないこと
    障害年金などの年金を受ける権利を持っていない、かつて持たなかった者であること。
  1. 「脱退一時金」請求に必要な書類
    ①脱退一時金請求書  ※言語別の提出書類PDFはこちら
    ②パスポートの写し
  1. ( 最後に日本を出国した年月日、氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格が確認できるページ )
    ③年金手帳・原本
    ④「銀行名」、「支店名」、「支店の所在地」、「口座番号」及び「請求者本人の口座名義」である事を確認できる書類(銀行が発行した証明書等。

①の請求書中の「銀行の口座証明印」の欄に銀行の証明を受けて提出。

 

  • 請求手続きの流れ

① 税務署に「納税管理人の届出書」を提出し、帰国後に、源泉徴収されていた控除額(脱退一時金総額の20%)の還付手続きを代理してもらう人を決めておく。

還付手続きの代理人は日本にいる人ならば誰でも大丈夫です。納税管理人となる方が、還付申告時に納税管理人の届出書を同時に提出することも可能です。申請場所は、外国人が住んでいた所在地の税務署になります。 

※厚生年金、共済年金は脱退一時金給付に際し源泉徴収された所得税が支払われます。一方で、国民年金の脱退一時金は源泉徴収されていた所得税の環付は受けられません。 

②帰国後、上記の必要書類を日本年金機構・外国業務グループに郵送

 ③日本年金機構が書類を確認し、本人指定の銀行口座へ振込

※実際に本人の口座に振り込まれるまでは、書類を郵送、提出後3〜4ヶ月かかります。この点はしっかりと説明しておくべきでしょう。

 ④日本年金機構が受給者に、「脱退一時金決定通知書」を送付

厚生年金、共済年金の場合は「納税管理人」にこの通知書を郵送し、納税管理人が還付申告を行います。

  • 脱退一時金の額は?

滞在期間、支払った額によって異なります。日本年金機構が参考PDFを公示していますので、 こちらをご確認ください。

*現行の制度ですと、支給上限年数3年となっていますが、見直しが行われ、2021年4月より支給上限年数が5年に引き上げられることになりました。これは、在留期間の上限が5年となる特定技能1号に見られるように3年~5年在留している外国人の割合が増加している実情に対応するためです。

  • 請求期限は?

日本に住所がなくなった日から2年以内

※会社を辞めて、厚生年金や共済組合を脱退したとしても、日本に在住している限り脱退一時金の請求はできません。 

メリット2:在留資格の変更・更新時に保険証を提示できる。

労働者の健康で文化的な最低限度の生活を守る為に、政府は社会保障の加入を推進しています。入国管理局の審査基準は当然ながら、政府の意向が反映されていますので、社会保険制度へ加入していることによって、在留資格の変更、更新にプラスになる可能性は非常に高いでしょう。

以下は公文書からの抜粋です。

在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン(平成28年3月改正)より抜粋

    社会保険への加入の促進を図るため,平成22(2010)年4月1日から 申請時に窓口において保険証の提示を求めています。 (注)保険証を提示できないことで在留資格の変更又は在留期間の更新を不許可とす ることはありません。

厚生労働省公示の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」より抜粋

    労働基準法や健康保険法などの労働関係法令および社会保険関係法令は、 国籍を問わず外国人にも日本人と等しく適用されます。また、労働条件面 での国籍による差別も禁止されています。

メリット3:日本の年金を受給できる可能性がある。

日本の年金の受給資格は「10年」の加入期間です。 新たな在留資格「特定技能」と現行の技能実習で合わせて10年以上働いた外国人の方は日本の年金を受け取ることが可能です。法改正については、拙速だと言われていますが中国が本格的に移民の受け入れを開始する前に、制度を開始したことは間違いなく功績でしょう。むしろ遅すぎるくらいとも言われています。

厚生年金に加入しない(できない)外国人労働者とは?

勤務する事業所が厚生年金に加入していない場合、パートタイマー(短時間労働者)で厚生年金の加入要件に当てはまらない場合は厚生年金に加入できません。この場合、外国人社員は本人が住んでいる地域の国民健康保険と、国民年金に加入。 

※国民年金についてはこちらを参考にしてください。 

そもそも年金ってどんな仕組み?

ここまで、外国人雇用と厚生年金にのみスポットを当てて来ましたが、最後に、老婆心ながら、年金の基本制度をまとめておきます。公的年金には3種類あり、日本国内に住所のあるすべての人に加入義務があります。当然ですが、国籍、性別、信条、社会的地位等で差別されません。

働き方によって加入する年金制度が決まります。

①国民年金

日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入します。老齢・障害・死亡により「基礎年金」を受けることが可能です。年金の受給対象である「被保険者」は条件によって「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」と3種類に分類され、それぞれ保険料の納め方が異なります。

 

  1. 「第1号被保険者」

学生、フリーター、無職の方が対象、保険料は自分で納めます。(納められない時は、免除や納付猶予の仕組みあり。)

 

  1. 「第2号被保険者」

厚生年金保険の適用を受けている事業所に勤務している方です。

国民年金保険料は、厚生年金保険料に含まれます。給与から源泉徴収される場合、これまで国民年金を自動引き落としで払っていた方は2重支払いになっている場合があります。

年金の窓口で申請すると払い戻しが受けられます。 例外として65歳で老齢年金を受けている人は支払い義務はありません。

 

  1. 「第3号被保険者」

「第2号被保険者」の配偶者で年間収入が130万円未満の方です。配偶者が加入する年金制度が支払いを負担します。

②厚生年金

厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務する全ての人が対象です。(日本に在住していなくても可)年齢制限はありませんが、既に年金受給者である65才以上の方は除きます。支給形態は国民年金に加算される形です。

③共済年金

対象者は公務員・私立学校教職員などの組合在籍者です。年齢は厚生年金と違って、20才以上60才未満となっています。こちらも国籍による制限は一切ないので、例えばELTの方は加入対象です。

まとめ

政府は移民政策を進めていることを頑なに認めませんが、移民の受け入れを効果的に進めて行かなければ、「働き手の不足」を解決することは難しいでしょう。今回は厚生年金についてのご紹介でしたが、外国人の方に長く活躍してもらえる環境は少しずつ整ってきております。

採用難に苦しむ企業の経営者、人事担当者の方々は曇りのない目で国籍にとらわれない採用戦略を構築していく必要があります。このサイトがその一助となれれば幸いです。

※1 脱退一時金制度に関しまして、当然ですが、企業側に一時金が返金されることはありません。よくご質問をいただくポイントですので、念の為記載いたします。

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