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【コミュニケーションTips!】外国籍従業員と信頼関係を構築する会話テクニック5選

外国籍の方と業務上の表面的なやり取りで終始していませんか?日本人同士であっても、上司と部下が打ち解けるのは至難の業。しかしより強い信頼関係を築くためには、打ち解ける努力が必要です。そこで今回は「心の扉を開く5つの会話術」について紹介します。

1. 会話のペースを合わせる「ペーシング」

会話テクニック1

1つ目は会話のペースを合わせる「ペーシング」です。ペーシングとは、相手と声の抑揚や大きさ、テンションの高さや言葉のイントネーション、会話のスピードや呼吸の深さなどを合わせていくことを指します。

たとえば部下が早口なときには、早口で返答します。大声でテンション高めな部下との会話では、同様に声を大きく、高めのテンションでレスポンスします。同じペースで会話を進めることで、話し手は心地よさを感じて、心の距離が縮まります。

長く日本企業で働き続けてきた方の中には、部下が合わせるべきだとお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。しかし現在では日本人、外国人に関係なく集団主義的な上下関係の考え方が薄れてきているため、上司が自ら歩み寄るように心がけることをおすすめします。まずはペーシングで会話のテンポや声の抑揚などを合わせるところから実践してみましょう。

 

2. そのまま伝え返す「バックトラッキング」

会話テクニック2

2つ目はそのまま伝え返す「バックトラッキング」です。バックトラッキングを一言でいうと「オウム返し」になります。

私たちはつい会話の中で自分が知っている用語に言葉を入れ替えてしまうことがあります。しかし、相手が使っている言葉をそのまま使用した方が親近感がわき、心の扉を開いてくれます。

「○○があって大変だったんだ」と語られたら、「つらかったな」「面倒なことに巻き込まれたんだな」と解釈を加えて別の言葉で返すよりも「大変だったんだな」「□□さんは大変だと感じたんだね」と相手の言葉をそのまま伝え返すことです。

バックトラッキングは「あなたの話に興味を持っています」「あなたのことを理解しようとしていますよ」とのメッセージを発信し、距離感をぐっと縮めてくれます。

3. しぐさをまねる「ミラーリング」

会話テクニック33つ目は「ミラーリング」です。ミラーリングとは、話している相手のしぐさや姿勢、動作や頷き方などを鏡に映したかのように真似ながら、会話をする方法を指します。話をしている相手と同じしぐさや姿勢にすることで、話し手は親近感を覚えてくれます。

例えば話をしている相手が手を重ねてテーブルに置いて話していたら、同じようにテーブルに手を重ねておいて話を聴きます。大きく頷く癖のある相手と話していたら、細かく頷くよりも大きく頷くようにします。

手を置く位置や手足の組み方なども真似して話を進めると良いでしょう。けれどもミラーリングには2つ注意すべきことがあります。

1つは露骨にまねをすると、話し手はネガティブな感情を抱きやすいことです。あなたが会話をする際に、聴き手があなたの動作をおもむろに観察し始めて、真似をし始めたらどのように感じるでしょうか。おそらく馬鹿にされていると感じたり、真面目に聴いていないと感じたりするでしょう。

ミラーリングをする際には、相手に気づかれることなく真似をすることが肝心です。さりげなく相手のしぐさや動作を見て、自然にできる範囲で真似するようにしましょう。

もう1つは腕組みや足組みは安易にマネしないことです。腕組には防御や拒否、外部情報からの遮断などの心理的なメッセージ性もあります。腕組をしているからと安易な気持ちで真似をしたら、拒否のメッセージを相手が受け取ってしまう可能性が考えられます。

話し手が腕組みをした場合には、自分は腕組みをするのではなく、指先や手元をクロスさせると良いでしょう。たとえ全く同じ動作でなかったとしても、小さく真似をするだけで親近感をもたらします。

足組みの場合も同様です。会話中に足を組む動作は相手によっては不快な気持ちになることもあるので、注意が必要です。もし相手が脚を組んだ場合には、足先をクロスさせて小さく真似をするようにしましょう。必ずしも全く同じポーズを取ることが正解とは限りません。特に上記の2点については気をつけましょう。

4. 異なる意見には「共感的姿勢」

会話テクニック4

4つ目は「共感的な姿勢」を取ることです。文化や育ってきた環境の違いなどの要因によって、同意できない意見が出てくることもあるでしょう。本音とは異なる意見に対し無理やり「自分もそう思う」「その通りだね」と伝えたとしても、表面的な同感だと見透かされてしまい、心理的に距離を置かれることも懸念されます。

どうしても考えに賛同しかねる意見や理解がしづらい言動に関しては、同意、同感よりも「共感」を選択しましょう。

同感とは、相手と同じ気持ちになることです。「つらかった」と話す相手に対して「自分もつらい」「私もだ」というように一緒の気持ちや意見である場合には同感になります。

一方で、共感はともに感じるという意味合いになります。「つらかった」と話す相手に対して「○○さんはつらかったんだね」と返し、「相手がそのように感じたことを理解する」とを指します。

同感は同じ意見や価値観の場合にのみ使えますが、意見が違う場合においても共感はできます。価値観や生き方の違いで「えっ」と思うようなことに関しても「○○さんはそうしたいんだね」「○○さんは××と受け取ったんだね」と、共感的姿勢を取るようにしましょう。

5. ありのままに受け止める

会話テクニック5

5つ目は「ありのままに受け止める」ことです。仕事上の関係性であっても、「良い・悪い」の感情が入ってしまい、純粋に相手の話を聴けない場合もあるでしょう。

けれども考えてみてください。あなたが部下の立ち位置で、上司があなたの価値観に対して都度「良い・悪い」の判断を下してきたらいかがでしょうか。心の扉を閉ざし、その相手と深く付き合おうとは思わないはずです。

すべての考えに対して「それもありかもしれない」といったん受け止める姿勢を持ちましょう。人は決めつけられることを嫌います。反対に、話を受け止めて聴く姿勢を持つ相手に対しては心を開きやすくなります。心理学ではありのままに受け止めることを「受容」と言います。決めつけずに受容するようにしましょう。

まとめ

文化の違いによって、心の距離をどのように縮めたら良いのか迷うこともあるでしょう。その場合には、ペーシングで会話のペースを合わせたり、ミラーリングでしぐさをまねたりなど相手に合わせることが心の距離を縮める第一歩です。ジャッチせずに話を受け止め、共感的な姿勢でかかわることで、心の扉を開いてくれるでしょう。

編集部より

今後ますます加速する労働人口の減少に伴い、外国籍社員とあたりまえのように協働・共生する時代が目の前まで来ています。今回田倉氏に執筆いただいた心理学的な手法を実践し、「協働」を進めて行きましょう。

弊社も外国籍社員0人からスタートし、今では7名の外国籍社員と協働しております。「No Border」でビジネスチャンスを創出する弊社の取り組みをまとめましたのでよろしければご覧ください。

自社事例から紐解く令和時代の組織体制

 
田倉怜美(たくら さとみ)

セミナー講師登壇120回以上、550名以上の臨床経験をもつ。企業・団体でのセミナー講師や社内報等の執筆等も務めているTBSテレビ、かわさきFMラジオ出演。著書「こころの予防医学」出版。主な資格は日本心理学会「認定心理士」、日本健康心理学会「健康心理士」。

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