更新日:2020/07/09
目次
「短期滞在(観光)ビザで日本に滞在している外国人から応募があったけど、就労ビザじゃないから日本で働けないんじゃないの?」
「短期滞在の場合は就労資格取得のために、一度帰国する必要があるのでは?」
そのような疑問をお持ちのお客様が多くいらっしゃいます。
もしあなたもそのように考えこのページをご覧いただいているのであれば、
下記のようにお考えください。
「短期滞在(観光)ビザで日本に滞在している方でも一時帰国なしに在留資格(就労ビザ)申請をしてもらうことは実務上可能(ただし1ヶ月以上時間がかかる。)であり、幅広い選択肢から採用を進めるためには候補者として考えるべきである。」
実際にある企業様はタイムラグなく就労できる就労ビザを持った候補者もいる中で、観光ビザの候補者を採用しました。
本記事では短期滞在(観光)ビザの外国人も採用候補にするべき理由を前提知識から解説します。
知っておくべき注意点を抑え、豊富な母集団の中からより自社に合う人材を採用できるようにしていきましょう!
【前提知識】そもそも短期滞在ビザとは?
短期滞在ビザ(査証)とは、国籍が査証免除国ではない方が、訪日される場合に取得する必要がある証明書のことです。
短期滞在ビザで就労は可能か?
短期滞在ビザの取得は「15日以内」「30日以内」「90日以内」「180日以内」と定められた期間内に予定された活動を終えることが条件となっており、原則として就労はできません。活動の主な例は下記です。
・娯楽や参詣の目的での滞在 → これが俗に言う観光ビザです。
・病気や怪我の治療の目的での滞在
・協議会やコンテストに参加する目的での滞在
・親族や友人の訪問
・市場調査の目的での滞在
・会社の説明会や打ち合わせ目的での滞在
・商談や契約目的での滞在 → 日本企業から賃金を得る活動はできません。
「短期滞在」ビザは滞在期間の更新が可能か?
滞在期間の更新は、原則認められません。しかし日本滞在中に出産や病気などのやむを得ない事情があると、地方入国管理局に申請することで更新が認められる場合があります。
短期滞在(観光)ビザの候補者も選考するべき理由
「就労できないビザだから」
という理由で、短期滞在(観光)ビザで日本に在留している外国人を採用の候補者から除外してしまう企業は多いです。確かに、短期滞在の方を就労させてしまうと不法就労助長罪に問われる可能性があります。
しかし覚えておいていただきたいのは、
「短期滞在(観光)ビザ取得者であっても、就労ビザに切り替えさえすれば、日本で就労可能になる。」
という事です。※ただし最低でも1ヶ月以上就労までに時間がかかる。
→在留資格認定証明書交付申請(就労ビザを取得する方法)はこちらから
ここで2つよくある質問についてお応えします。
①就労ビザ取得者ならすぐに働けると聞いたし、採用候補は就労ビザ取得者に絞った方が良いのでは?
確かに就労ビザ取得者であれば、ほとんどの場合すぐに働き始めることが可能です。
※この場合転職後14日以内に「活動機関に関する届出」または「契約機関変更の届出」を地方入国管理局に雇用する外国人本人が提出する必要があります。
※また、在留期間満了日が近づいている場合には「在留期間更新許可申請」が必要となります。
ただし、候補者を就労ビザを持っている転職者に限ることは得策ではありません。
なぜなら「短期滞在ビザ」で日本に滞在している外国人に視野を広げる事で、採用母数を確保し、より自社の採用ニーズにあった採用ができる可能性があるからです。
お客様の中には、最初は就労ビザ持ちの外国籍人材の採用だけを考えていたが、就労までの時間よりも、就労後の活躍するかどうかを重視し、より採用ニーズにマッチしていた短期滞在ビザの候補者を採用された方もいらっしゃいました。
採用納期に余裕を持たせ、就労ビザ以外のビザを有している方も候補者として考えておくべきです。
②短期滞在(観光)ビザだと就労のために内定者は一度帰国しなければならないの?
原則はそうです。
しかし、条件次第では帰国せずに日本でそのまま就労することが可能です。
その条件とは、在留期限が1ヶ月〜1ヶ月半以上残っている状態で内定を出した場合です。
この場合、内定後すぐに在留資格認定証明書交付申請をし、同証明書(COE)を取得した上で、在留資格変更許可申請をし、許可が下りたら、一時帰国せずに就労を開始することができます。
※ただし、場合よっては許可が降りず、一時帰国が必要になる場合もあります。
まとめ
以上から本記事で覚えて置いていただきたいのは、
「短期滞在(観光)ビザで日本に滞在している方でも一時帰国なしに在留資格(就労ビザ)申請をしてもらうことは実務上可能(ただし1ヶ月以上時間がかかる。)であり、幅広い選択肢から採用を進めるためには候補者として考えるべきである。」
という考え方です。
さらに一歩進んで、外国人を採用する場合にはどうしても在留資格の問題が絡んでくるため、できる限り納期に余裕を持って採用活動を早め早めに進めていくことが大切だということも覚えておくと良いでしょう。