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ASEAN諸国で広くビジネスを手がける井上氏が語る、海外進出の考え方と、現地人材マネジメントの基本(前編)

目次

井上様①-1

↑NCネットワーク取締役の井上直樹氏

ものづくり企業をつなぐ横のネットワークを構築し「MONOZUKURIを支援する世界100万社のインフラ」を作り上げるため、工場検索エンジンの『エミダス』を中心とした製造業支援サービスを提供しているのが株式会社NCネットワークです。今回は同社の海外におけるビジネスマッチング事業を統括しておられる井上直樹取締役に、「海外進出を考えている企業がとるべきアクション」と、「現地人材マネジメントのポイント」についてお聞きしました。前編、後編の2部構成にてお伝えします!

海外進出成功の鍵を握るのは信頼できるパートナーの存在

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↑既存のビジネスマッチング支援事業(FNAグループサイトより

ーー現在の海外事業について教えてください!

井上氏:これまでは中国、タイ、ベトナムにおいて製造業に特化したデータベースを構築し、『Webサイト』『FNAマガジン』『メールマガジン』『ものづくり商談会』などオンラインとオフライン双方でのビジネスマッチング及び現地情報のリサーチをメインに事業を行ってきました。そして最近新たに取り組み始めたのが、ビジネスマッチングだけではなく海外での総合的なサポート事業です。特に財務や会計、法務などの事業立ち上げに伴う課題を解決するサポート体制を構築しています。タイでいうと、今年資本参加したアルベリーアジアにおいて中小企業の事業立ち上げ支援を行っております。簡単にいうと、財務や経理、法務などの会社内部を健全な状態にする「内科医」がアルベリーで、その健康な体を持って現地で情報発信をしていき、ビジネスマッチングによって事業をスケールさせるのが既存事業です。

ーー立ち上げから事業展開までワンストップで支援する体制を構築されたということですね。

井上氏:現在タイでは約500社と取引があります。企業様のニーズに合わせて、ケースバイケースでその企業に必要な情報を提供しています。

ーー今後の展開について教えてください。

井上氏:次の1手として現在タイにある日系企業や新規進出される企業の資本提携(M and A)、現地での新規事業スタートアップや他のアセアン地区への進出を支援していきます。企業同士の提携の橋渡しや出資を精力的に行なっていきます。

ーータイを拠点として選定されたのはなぜでしょう?

井上氏:タイはASEANにおいて実業の中心地なんです。タイを足場にしてベトナムやインドネシア、ミャンマーへの多国籍展開をしていくというのが大きな流れとしてあります。ですから「タイ国内での事業支援」と並行して「タイを拠点としたASEANへの事業展開支援サービス」を立ち上げるというのが当面のミッションです。

ーー製造業を専門にされている理由はございますか?

井上氏:一番大きな理由はタイに進出する会社の半分くらいが製造業だということです。専門性を追求するために業界を絞る必要がある中で、ある程度マーケットがある製造業を選択しました。ただし事業立ち上げや現地の商習慣に関する情報提供など、製造業以外の企業様の支援をさせていただくこともよくあります。

ーー中国、タイ、ベトナム以外への進出もお考えですか?

井上氏:現在ヨーロッパにおいてもドイツに拠点を作って企業の進出支援をしようと考えています。ドイツを選んだ理由はヨーロッパの中では製造業のサプライチェーンがある程度できていることと、中国をはじめとしたアジアとの関係が他のヨーロッパ諸国と比較して高いため既存事業との相性が良いということですね。

ーー進出の際のパートナー探しはどのようにされているのですか?

井上氏:商社時代の個人ネットワークが結構大きいですね。信頼している方から紹介された現地企業とビジネスをするに越したことはないです。なかなか個人ネットワークを活用できない企業様は、弊社のような進出支援サービスを活用することをお勧めします。東南アジアに進出する上での最大の課題は現地の信頼できるパートナーを見つけることですが、弊社はその受け皿になることを目指しています。

中小企業が現在進出すべき国は??

アジア進出企業数比較

↑現地進出日本企業数イメージ

ーー日本の中小企業はどこの国に進出すべきとお考えですか?

井上氏:これは大変難しい質問ですね。時と共に移り変わりますし、各企業のニーズによっても異なります。例えば10年前のブームは中国でしたが、今この瞬間だとベトナムだという人が多い。米中貿易摩擦の影響で中国で物を作ってもアメリカに輸出できなくなり、大手企業が製造拠点を中国から分散させようとしている中で、ベトナムでの部品供給というのがどんどん増えています。ただ、5年後どうかというと、ひょっとしたらその時のブームはミャンマーかもしれないし、それは正直読めない部分です。

ーーベトナムはブームになっているだけで、必ずしも進出国として最適解とは限らないということですね?

井上氏:「これからはベトナムだ!」という話はありますが、企業数でいうとまだまだ中国が圧倒的ですし、ビジネスチャンスも当然あります。実際の投資額、進出企業が上げている付加価値、働いている人の数を見たら、中国とベトナムは10対1くらいなんですよ。特に進出企業数でいうと、大体中国2万、タイ7千、ベトナム2千くらいです。

ーー企業が進出国を選定する場合にはどのようなプロセスを踏むのが良いでしょうか?

井上氏:経済産業省やジェトロなどが出している統計を見ると、先ほど申し上げたような事実が実際のデータとしてしっかり出ています。まずは風評に流されずにそういったデータで事実を把握してください。公開データを予習した上で、進出する場所や業態の仮説を立て、実際はどうなのか現地を見たり話を聞いたりして検証するというプロセスを踏むことをお勧めします。

海外進出で失敗しない意思決定プロセス

↑井上氏が推奨する海外進出意思決定プロセス

進出だけが答えではない

井上様 ③-1

ーー現在海外進出を考えている日本企業がとるべきアクションについて教えてください!

井上氏:「進出だけが答えではない。」が回答です。例えば拠点を作らずに現地での販売や開発のためのパートナーを見つけたり既に進出している日系企業とジョイントを組んだりと、多彩な選択肢があります。中小企業の場合は自前主義から検討開始することが多いですが、幅広い選択肢を持った中で事業をするという考えを持っておくと、自社に合ったよりベストな選択ができると思います。

ーー必ずしも現地拠点を作ることがベストとは限らないということですね。

井上氏:そうです。ただ海外進出を検討し、視察等をしていく中で、結果的に多角化に繋がる可能性もあります。例えば自分たちが作っていたものが、全く知らない業界に応用されるとか、海外で見つけたパートナーさんと日本でお付き合いが始まるとか。

ーー海外での出会いが日本でのビジネスに繋がることがあるのですね!

井上氏:日本では東北の企業と、九州の企業が知り合う機会がなかなかないと思いますが、海外の展示会に行くとそれが起きるんです。同業者とか、近い関係の日本企業は、「じゃあまた日本帰っても一緒に仕事しましょ」みたいな感じで付き合いが始まることが結構多いんです。ですから展示会や相談会に積極的に足を運ぶことをお勧めします。海外行くと本当に視野が広がりますよ。

ーー後編

今回取材させていただいた株式会社NCネットワークについて詳細は↓からNC network

同社海外事業サイトは↓からFNA Factory Network ASIA Group

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井上 直樹 氏

1992年大阪市立大学工学部情報工学科卒業し、日商岩井(現双日)に入社。鉄鋼本部に配属される。2003年、所属部署の事業合併に伴い、鉄鋼専門商社メタルワンへ移籍。同年、同社と三菱商事の出資による新会社NCネットワークチャイナ設立のため、中国に渡る。同国で製造業に特化したビジネスマッチングサイトの開設や会員誌の発行、商談会の開催など、事業基盤の確立に尽力。中国・タイでの事業を成長させ、約15年の海外滞在を経て日本へ帰国。NCグループの取締役に就任。