更新日:2023/04/20
目次
2019年4月に改正出入国管理法が施行されるなど政府は外国人労働者の受け入れを推進しています。しかし、自社でも受け入れたいが、体制を整える資金がない。初期投資の費用に対して、採用した方に辞められるリスクが大きすぎるのではといった不安を抱える経営者の方や採用担当の方は多いのではないでしょうか?今回は、そういった悩みを持った経営者様、採用担当者様向けに、外国人労働者を採用した場合にもらえる助成金についてまとめました。
*本記事は2019年3月に書かれた記事です。
*本記事は2020年7月3日に更新いたしました。
外国人雇用と企業助成金についての基本
最初からがっかりさせてしまうかもしれませんが、基本的に“外国人を採用していること“だけが要件となる助成金は存在しません。一方で、日本には多種多様な助成金制度が存在しています。それらの細かい要件を自社の状況が当てはまるか都度確認しておくと、思わぬところで助成を得られる可能性があります。
外国人社員を雇用する場合に知っておくべき助成金4種
多種多様な助成金制度の中で外国人を雇用する際に知っておくべき助成金を3種ご紹介します。これらは全て、外国人雇用の為にできた制度ではありませんが、うまく活用することで実質的に外国人材雇用の運営体制を盤石なものにする支援を受けられる可能性があります。
①雇用調整助成金
概要
雇用調整助成金とは、景気悪化による事業活動の縮小に際し、すぐに人員整理に走ることを防ぐための制度です。休業、教育訓練、出向を通じて雇用維持を図ることで、企業活力の維持と、広くは雇用不安の解消を目的としています。
※雇用調整とは休業、教育訓練、出向のうちいずれかを行うことです。
以下は厚生労働省の雇用調整助成金ガイドブックから抜粋
休業とは、労働者がその事業所において、所定労働日に働く意思と能力があるにもかかわらず、労働することができない状態のこと。
教育訓練とは、職業に関する知識、技能または技術を習得させ、または向上させることを目的とする教育、訓練、講習等であって、所定労働日の所定労働時間内に実施され、かつ、当該教育、訓練、講習等を受講する労働者が当該所定労働日の全一日にわたり業務に就かないもののこと。
出向とは、労働者が事業所の従業員たる地位を保有しつつ、他の事業主の事業所において勤務すること又は将来出向元事業所に復帰することその他の人事上のつながりを持ちながら、一旦出向元事業所 を退職して、出向先事業所において勤務すること
必要要件
「景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由」により、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、その雇用する対象労働者の雇用の維持を図るために、「労使間の協定」に基づき「雇用調整(休業・教育訓練・出向)」を実施する事業主が支給対象となります。
また、雇用保険適用事業主であることも求められます。労働保険料を滞納している場合にはもちろん不支給となりますのでご注意ください。
助成額 (1日あたり)
(1) 休業の場合:中小企業の場合 賃金相当額×2/3 (上限は8,205円)
中小企業以外 賃金相当額×1/2 (上限は8,205円)
*中小企業の定義↓ (厚生労働省より)
(2) 教育訓練の場合:(1)の額+一人一日あたり1,200円
(3)出向の場合:(1)と同様
支給限度日数
本助成金の支給限度日数は、1年間で100日分、3年間で150日分です。一度支給を受けた場合に引き続き助成金を受給する場合は、1度目の期間が終了後、から1年間は期間を空けなければなりません。これが3年で150日という制限の理由です。
手続きの流れ (厚生労働省 ガイドブックより抜粋)
外国人雇用との関連で注意すべき点
技能実習生は、休業、教育、出向のうち、休業のみが適用要件となります!その他の在留資格で働いている方の場合は日本人と同じ要件を満たすことが必要です。
②キャリアアップ助成金
概要
非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを推進するため、正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成金を支給する制度です。
必要要件
改善事項によって全7つのコースが存在していて、それぞれ必要要件は異なります。基本的に、従業員の待遇を改善する際にはいずれかに該当する可能性があります。その際は適用されるかこちらから調査してみてください。
助成額
3万8千円〜72万円までコースと対象者毎に支給額の幅があります。
手続きの流れ
外国人雇用の場合特有の注意点
正社員化コースの対象となるのは、基本的に永住権を取得した方に限られます。よって、技能実習生や、技術、人文知識、国際業務などのその他の在留資格の方には適用されませんので注意が必要です。それ以外の6つのコースについては、それぞれの条件に合致すれば支給が受けられます。
③業務改善助成金
概要
業務改善助成金とは、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた中小企業・小規模事業者が、生産性向上のために設備投資を行った場合、その費用の一部を国からの助成金で賄える制度です。
必要要件
①事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる計画を立てること(就業規則に規定等)
②賃金引上計画に基づき賃金を支払うこと
③生産性向上に資する機器・設備などを導入することにより業務改善を行い、その費用を支払うこと
④解雇等の不交付事由がないこと
助成額
助成金の額は以下の式で求められます。ただし、条件ごとに上限が規定されているので気をつけてください。
*助成率は生産性要件によって決まります。生産性要件について詳しくはこちらから。手続きの流れ
↓↓から追加情報
④人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
概要
外国人社員の職場定着のために外国人特有の事情に配慮した職場環境に整備を行った事業主に対して、その経費の一部を助成する制度です。
職場環境の整備としては、下記が挙げられています。
①通訳費②翻訳機器導入費③翻訳料④弁護士、社労士等への委託料⑤多言語標識類の設置・改修費
必要要件
必須メニューA,Bと選択メニュー①~③の内、どれか1つに取り組んでいる必要があります。
出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金 外国人労働者就労環境整備助成コースのご案内」
助成額
金額は、支給対象経費の2/3(上限72万円)ないし1/2(上限57万円)とされています。
*生産性要件クリアの有無により分類。
*上記ほかに、離職率要件に係る目標達成の要件あり。
手続きの流れ
出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) 」
※その他の助成金制度について
厚生労働省の事業者のための雇用関係助成金まとめをご参照ください。
まとめ
今回は外国人を雇用する際に知っておくと良い助成金制度についてまとめました。企業を助成する為に用意された助成金は意外にもたくさん用意されています。多くは従業員の待遇を改善することが目的ですが、生産性の向上により業績アップに直結します。こういった情報を取りに行くのは少々億劫になりがちですが、今後の雇用戦略を盤石にする為にも、アンテナを高くしておくと良いでしょう。
人材確保等支援助成金で外国人労働者の職場環境整備に伴う経費の助成金ができるなど、国としても外国人の職場定着を重要性の高い課題として認識しています。こういった制度は上手に利用して、外国人社員の活用に繋げていきましょう。
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