更新日:2020/08/09
目次
城南営業所 所長 濱井 乙矢
同社の技能実習生受け入れ初年度より、技能実習生の管理業務を担当。同業務は今年で4年目。
↑左からミャンマー語通訳の村瀬さん、ミャンマー出身のイさんとワーさん、トライ企画城南営業所所長の濱井氏
「初めて技能実習生の管理担当者になったがどんな風にコミュニケーションをとっていいか分からない。」
「定期面談の機会を他社はどのように使っているのだろうか?」
そんなお悩みをよく耳にします。
そこで今回はビルメンテナンス職で19名もの技能実習生を受け入れていらっしゃる株式会社トライ企画城南営業所所長の濱井氏とミャンマー人技能実習生のイさんとワーさん及びミャンマー語通訳の村瀬氏、監理団体職員の山本氏の定期面談現場をお届けします。
特に初めて実習生の受け入れ担当になられた方は参考にしていただけると幸いです。
面談の一部始終(ミャンマー語の部分は村瀬さんの翻訳を使用しております。)
濱井氏:それではみなさんよろしくお願いします!
全員:よろしくお願いします!
濱井氏:現在日本語はどのくらい伝わっていますか?
イさんとワーさん(村瀬氏通訳。以後お二人):分からない時もたまにあります。分からない時は聞くようにしています。
濱井氏:掃除の作業内容は責任者からちゃんと教わっていますか?
お二人:最初は丁寧に教えていただきましたが、最近は教えていただく場面が減っています。
濱井氏:指導担当者とのコミュニケーションは取れていますか?
お二人:あまり取れていません。
濱井氏:自分から積極的に話しかけるようにね。指導担当者からは二人の積極性が少し足りないと報告を受けています。具体的には、分からないことがあれば積極的に質問して欲しいそうです。
お二人:仕事中は喋っていけないと思っていました。あとは、日本語を間違えてしまうのが心配です。
濱井氏:間違えても大丈夫だからどんどん喋って行こうね。その方が日本語覚えるよ。
お二人:はい。どんどん質問するようにします。
濱井氏:もう一つ指導担当者から話が出ていましたが、二人は仕事にもっと出たいのか、それとも休みがもっと欲しいのかどっちですか?
お二人:もっと仕事に出たいです!
濱井氏:分かりました。可能な範囲でシフトを増やしていきます。

濱井氏:二人は今心配なことありますか?
お二人:技能試験に受かるかどうかです。。。
濱井氏:動画を見て勉強すれば大丈夫。全体で講習会もあるからそこで一生懸命勉強してね。
お二人:分かりました。頑張ります!
濱井氏:他に何か心配なことありますか?
お二人:私たちは仕事間違えてませんか。心配です。
濱井氏:もう少し積極性さえあれば、大丈夫だよ。他には何かあったら、直接でもLINEでもどっちでも大丈夫だから相談してね。
お二人:はい。
濱井氏:食べ物は買えてるの?
お二人:お母さんがミャンマーから送ってくれています。
濱井氏:そうだったんだね。おやすみはどこかに遊びに行きましたか?
お二人:鎌倉に行きました! Googleマップで行けました。
濱井氏:だいぶ慣れてきたみたいだね。

↑写真右端は監理団体の山本氏
山本氏:この前の日本語試験はどうでしたか?
お二人:試験会場に辿り着けませんでした。市役所の前まで行ったんだけど、中の会場の場所がわからなかったから。
濱井氏:えーっ。連絡してくれればよかったのに!
お二人:休みの日に連絡するのが申し訳ないから聞けませんでした。
濱井氏:遠慮しないで!山本さん次の試験っていつでしたっけ?
山本氏:次は12月です。スケジュール共有しておきます!
濱井氏:次は会場まで案内してあげるからね。
お二人:ありがとうございます。日本語勉強頑張ります。
村瀬氏:日本語は日本のドラマで覚えるのがおすすめだよ。部屋のテレビで日本のテレビは見てますか?
お二人:テレビは見てません。スマホでアニメやフィギアスケートを見てます。
村瀬氏:ドラマは見ないの?「私の番です。」おすすめだよ。
お二人:見てません。ニュースばっかりだから見なくなってしまいました。
濱井氏:山崎賢人と広瀬すず見れてなかったんだ!
山本氏:山崎賢人と広瀬すず好きなんですか?
村瀬氏:ミャンマーで日本のドラマが始まったのは101回目のプロポーズからなんです。彼女は「ちはやふる」を見て、広瀬すずのファンになったそうです。
濱井氏:そういうのも知りたかったら聞いてね。「山崎賢人何時ですか?」って。
お二人:所長は忙しいと思って遠慮していました。
濱井氏:LINEでもなんでも使って聞いて大丈夫だからね。
お二人:ありがとうございます。これからは聞くようにします!
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面談後濱井氏に単独取材させていただきました!
↑微笑む濱井氏
ーー今回は取材のご協力ありがとうございました。早速ですが、濱井様が実習生の管理を担当することになったご経緯を教えてください。
濱井氏:2016年、最初の実習生受け入れが決まった際に、
「まずお前のところに入れるぞ。」
と社長から通達を受けました。正直最初は不安でしたね。果たしてうまく馴染めるのかなと。
ーー実際に取り組んでみていかがでしたか?
濱井氏:実際にコミュニケーションをとってみると、とってもいい子たちだなということが分かりました。素直に話を聞いてくれて、先ほど積極性がないという話をしましたが、1期生は非常に積極性がありました。仕事を学ぶ姿勢もそうですし、日本にどんどん馴染みたいという姿勢がすごかったですね。
ーー日本の生活に馴染む姿勢というのはどういったところなんでしょうか?
濱井氏:これはベトナムの子達ですが、茨城とか栃木とかにいる実習生仲間と個人的に会いに行ったり、会社内でも1〜3期生が集まって自主的にバーベキューしたりと非常にフットワークが軽いんですよね。特にベトナム出身の実習生はカインというリーダー格がいて、その子がうまく実習生の統率をとってまとめてくれているので助かっています。11月末でその子が帰ってしまうので今後はどうなっていくのかなと心配ですね。2期生はみんなリーダーというよりは真面目で大人しい感じの子が多いですから。
ーー代によって雰囲気が異なるのですか?
濱井氏:全く違いますね。おそらく送り出し機関の違いもありますが、経済成長による変化だろうと思っています。特に2期生(2017年)以降は日本の若い子とあまり変わらないですね。IT機器への習熟度も高く、凄まじいスピードで変化しているなと感じます。
ーー技能実習制度を利用してこれまでで一番大変だったことを教えてください!
濱井氏:一番大変であり、乗り越えなくてはならないのはやはりコミュニケーションだと思いますね。生活の指導であったり、仕事のルールを覚えてもらうことだったり、全てにおいて粘り強くコミュニケーションをしていかないければならないと思います。
ーー最後に濱井さんと同じように初めて技能実習生の管理担当者となった方に向けて1ポイントアドバイスをお願いします!
濱井氏:不安なのは実習生達も同じです。ですから彼らと同じ目線で一度考えた上で、考え方やルールなどこちらから伝えなくてはならないこと伝えることと、実習生からの意見もしっかり聞くという姿勢が大事なんじゃないかなと思います。やはりコミュニケーションを取れないことには何も始まりません。仕事から人間関係の悩みまで、出身国は違えど人間はやっぱり同じなんでね。
ーー貴重なお話ありがとうございました!
編集後記
言語も文化も違う異国の地で働く大変さを思いやり、目線を合わせてコミュニケーションをとる濱井氏の姿勢は、多忙な日々を送る中で、どうしてもないがしろにしてしまいがちな部分だと思います。取材をしていて筆者も「まず理解し、そして理解される」という順番なのだなぁとしみじみ感じました。本記事が今後、外国籍人材の協働を進めていく企業担当者様の少しでもお役に立てましたら幸いです。