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飲食業の人手不足解決に向けたサンテル株式会社の取り組み

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↑写真左が朴氏・右が押川マネージャー。(トリホルテルヤ代々木店の開店日でした。)

「宮崎から感動を演出する。」

宮崎県民が胸熱になるこのビジョンを掲げ、この程、本格鳥ホルモン焼肉屋「トリホルテルヤ代々木店」をオープンしたサンテル株式会社をご存知でしょうか?

今回はそんなサンテル株式会社の挑戦を人材採用・育成の面から強力に推進する常務執行役の朴氏に、飲食業の人手不足解決に向けた取り組みと外国籍人材雇用についてお話を伺いました。

飲食業の人材採用で感じている課題

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↑トリホルテルヤの一皿

ーー早速ですが、飲食業の人材採用で感じている課題を教えてください!

朴氏:弊社では飲食店を5店舗運営しておりますが、人材が不足する店舗もあり、採用のための施策を常に講じなければならない状況にあります。また弊社では飲食店だけでなく、運送、不動産、駐車場管理業を展開し、グループ会社の九建では建設、特殊洗浄を展開しております。実感として飲食業は特に人材の問題を抱えやすい事業分野ですね。

ーー店舗の人員確保という部分で何が一番の課題でしょうか?

朴氏:アルバイトの出勤日数ですね。業界全体として昔よりもアルバイトの方の一ヶ月あたりの出勤日数が減少しています。アルバイトがどれだけ出勤しているかをエクセルで管理する手法は、前職で学びました。月間で12日以上出勤してくれるアルバイトスタッフを「スタメン」と定義して黄色でマークし、逆に6日未満の方は赤でマークして勤務状況・店舗ごとの「スタメン率」を見える化しています。こうすると圧倒的に赤マークが多い店舗がどこなのかが一目でわかりますし、店舗ごとの目標も立てやすくなります。東京はフリーターがたくさんいるので、この「スタメン」を確保しやすいですが、宮崎の場合はフリーターが非常に少ないので厳しいですね。これから働き方改革によって、社員の勤務時間をコントロールするのが大変になるので、アルバイトが仕事を楽しみ、成長実感を持てる環境をいかに生み出し、そして出勤日数を増やしていけるのかが何よりも重要になってくると思います。

ーー社員でいうと店長の有効求人倍率15倍という数字が2015年の調査で出ておりますが、そこはいかがでしょうか?

朴氏:これは仮説ですが、転職市場に絞って考えますと、副店長以下のレイヤーの給与を高く設定できない分、紹介はビジネスとして高い成果が望めず、反響も少ないと思います。また、転職希望者の優先順位は店長職以上に集中し、希望に沿った人材が中々集まりにくいという課題があります。この状況の中で弊社では、店長クラスに会社から求めるオペレーションスキル、マインド、マネジメント面の高い基準を設定しています。よって、希望人材のレベルと、採用した人材のミスマッチが生じる可能性があります。ですから現状としては、紹介以外の効果的な採用方法を模索しています。過去一番実績があるのは、まずアルバイトとして採用した方が、その後正社員の希望をされるパターンですね。そのため、新規採用だけでなく、アルバイトの育成も重要視しております。

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↑宮崎市の接客ロープレ大会でNo.1をとった宮入店長。全社で人材育成に力を入れている。

課題に対して行った3つの施策

①採用に関するKPIを決め、その数値についてPDCAを回す。

ーー課題に対してどのような施策を打っていらっしゃるのでしょうか?

朴氏:私は本年からサンテル株式会社で勤務していますが、弊社には人事部がありませんでした。つまりは、採用に関して責任者がいませんでした。

ーーベンチャーや中小企業だとそういう会社も多いと思います。

朴氏:責任の所在が明確じゃないと、うまくいくものもいきません。採用広告も打ちっ放しになってしまい、お金をいくらどのような施策にかけて、どのくらいの反響があったのかを検証できておりませんでした。

ーーPDCAサイクルが回っていなかったのですね。

朴氏:そうですね。ただ、個々にそれぞれの役割があって忙しいので、人事の素人ではありますが、僕がKPIを設定して、責任を持って採用にコミットすることにしました。具体的にはお問い合わせ数と、面接の実施数、採用数、一人当たりの採用コストの数値に対してKPIを設定し、管理表を作って振り返りを徹底しています。そうするとデータが蓄積して段々と効果的な施策が打てるようになってきました。

ーーKPIの中でもっとも重要になるのはどの項目ですか?

朴氏:肝になるKPIは問い合わせ数ですね。問い合わせ数が増えれば、人材選定の機会が増えますからね。

ーー問い合わせ数を上げるのに効果のあった施策を教えてください!

朴氏:Indeedの採用広告でも、タウンワークでも、写真や言葉選び一つとっても結構成果は変わりました。スタッフが楽しそうな写真を掲載すると反響が伸びたり、時期ごとに異なるキーワード、例えば4月はターゲットを学生に絞り「学校帰りに・・・」というような、当事者意識を持ってもらえるキャッチコピーを入れるだけで反響が伸びました。こういった小さな工夫を積み重ねて運用することが成果に影響するので、なるべく人任せにせず自分でしっかりやることが大切だと思っています。

ーーかなり細部にこだわってますね。アルバイト以外の幹部ポジションでの採用はどのように工夫されていますか?

朴氏:人材紹介を依頼して店長を採用してもいいんですが、それは考えものだと思っています。既存の副店長よりも仕事ができない人材が、急に自分より上のポジションで入ってきたとなると、やっぱりいい気分はしないので、なるべく社内の人材が成長して次のポジションにつけるようにしようと思っています。そこはルールを守り、段階を踏めるように設計したいです。

②給与体系・人事考課制度を刷新

ーーその他に朴様が取り組まれていることは何かございますか?

朴氏:統一的な給与体系や人事考課制度を作成し、キャリアを明確に提示できるようにしました。元々は店舗ごとに評価軸が異なっていましたが、キャアアップに関して、見るべきポイントを属人的にせず、飲食事業部としてはっきりさせて、何を頑張れば自分はどういうポジションにつき、給料はいくらもらえるのかを明確にしました。納得感を持てることで定着やモチベーションアップに繋がりますし、店舗展開を考えている企業ならば必ず必要になってくるポイントだと思いますね。

ーー人事考課制度によって成果が変わった事例はございますか?

朴氏:弊社では今年の4月にベトナム人のトゥクさんを副店長として採用したのですが、他の外食業の選考も進んでいた彼が最終的にうちを選んでくれたのはこれらの制度設計に共感してもらったことだと思います。具体的には、将来独立を希望しているトゥクさんが、キャリアアップしながら能力を高めていけるイメージをしっかりと見ることができたのだと思います。

↑今年入社されたベトナム出身のトゥク氏

③共感を呼ぶビジョンを打ち出す。

↑オープン初日の一コマ

ーーその他やってよかった施策はございますか?

朴氏:今はどんな事業内容なのかはもちろん大事ですが、どういう理念やビジョンを持つ会社なのかそこで働く人材はどのような想いを持っているのかというところに共感して働きにきてくれる人が、リファラル採用も含めて多くなっています。そういったところをちゃんとプロモーションしていくのが大事ですね。コーポレートサイトもアップグレードして、『宮崎から感動を演出する』という宮崎県の多くの方が心動かされるようなビジョンを打ち出しました。これも非常に効果を実感しています。少し話が逸れてしまいますが、同じビジョンのもとに多様な価値観を持った人が集まることで生産性の面でも非常に効果があると思っています。

ーーとおっしゃいますと?

朴氏:私は不動産事業部の責任者もしていますが、立ち上げ初期はいろんな業界・法人から集まった集団なので、仕事の仕方も異なり、意見が合いませんでした。しかし今はいろんな価値観を持った人がビジョンに共感をし、前向きな議論を交わし、いい感じに調和して成果が出るようになっています。先月も売り上げ目標を達成しましたし、いろんな知識・見識・価値観を持っている人が同じビジョンを目指す組織は伸び代があるなと強く感じています。

外国籍人材の雇用によって生産性があがる。

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ーーここからは話がちょっとそれてしまいますが、ご自身も在日コリアンであられる朴さんの近年の外国籍人材に対する考え方を教えてください。

朴氏:労働人口が減っているから外国人を増やしましょうと考える方が多いですが、そもそも組織としての個々の生産性を上げるために、外国人がいることが大きなメリットになりえると思っています。先ほど簡単にお伝えしたように、同じことを考えて、同じスキルを持つ人が100人いるよりも、いろんなスキルを持っていて、いろんな考え方を持つ人が一つのビジョンに賛同して集まっている組織の方が成長性があるんじゃないかと。

ーーそれが異なる価値観を持つ外国人と日本人が共に働くことでも同じということでしょうか?

朴氏:そうです。組織の成長を阻害する一つの要因として、空気を読んで周りに合わせすぎるところがあります。空気を読みすぎる組織風土は、個々の強みを活かしきれず、すごく生産性を落とすことになると思います。会議中は間違った発言をしたら恥ずかしいといった真面目すぎる空気があると、楽しくない。そういったところでトゥクさんは余計な気を使うこともないし、天性の明るさがあるのですごくムードメーカーになってくれています。

ーー逆に教育しなければならないところはどのようにされていますか?

朴氏:トウクさんはオペレーションの習得スピードが速いですが、サービスの質を高めるためにより高い意識を持って頂く必要があるので、社内で教育を徹底して行います。日本でビジネスする以上、サービスは諸外国以上に高いレベルを求められますから、コミュニケーションに関して、外国の方を雇用する際に日本語力はかなりネックになるのではないかと考えています。お客様のご要望を理解していないのに分かったふりをする可能性や、サービス力を欠いてしまう懸念があります。ですからトゥクさんの弱点を補うために、押川マネージャーが現場で丁寧に教育していますし、私は日報に誤った日本語の記載があれば細かくチェックして指摘します

ーー特定技能の資格についてはどのようになるとお考えですか?

朴氏:特定技能が認められるようになって、良くも悪くも、外国籍の方を正社員として雇用するので、優秀な方を選んで育成に力を注ぐようになると思います。以前はアルバイトやパートの短期的なお付き合いでしたが、今後は国籍に関係なく長期的な関係性を築くことができるようになりましたので、その分教育もそうですが、入り口の採用に関しても厳しくチェックされるようになると思いますね。

ーー貴重なお話をいただき誠にありがとうございます!

編集後記

今回は飲食業における採用課題解決と今後の外国籍人材の雇用に関するご意見を、サンテル株式会社常務執行役の朴氏に伺いました。最後に採用に関しての重要ポイントをおさらいすると、下記3点になります。

①採用について責任の所在を明確にし責任者が成果にコミットすること。KPIを設定し、定量的な振り返りをして、施策ごとのデータを蓄積していくこと。

②採用した人材がワクワクできる明確な給与体系・人事考課制度を設計して、キャリアアップのイメージを掴みやすくすること。

③多くの人の共感を呼ぶ理念、ビジョンを策定し、コーポレートサイトや採用施策でも積極的にプロモーションすること。

また外国人雇用についての

「人手不足の解決のためだけに外国人を採用するという視点ではなく、多様な価値観の集積により、組織の生産性をより高めるという視点をもって採用していくこと。」

という考え方は多くの人に知っていただきたいなぁと感じました。朴様誠にありがとうございました!

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朴 熙哲 氏

サンテル株式会社 常務執行役

新卒で東証一部上場コンサルティング会社に入社。外食チェーン店舗開発会社のマネージャーを経て現職。

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