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更新日:2021/08/03

目次

プロフィール写真-C-1
大連芥末人力資源服務有限公
営業担当 梶 真寿美 

横浜出身。2008年から大連在住。

日系大手人材会社の大連拠点で営業とキャリアコンサルタントを5年、その後グローバルIT企業での営業を5年経験した後、この夏から中国系の人材サービス会社にて営業に従事。日本就職を希望する中国人人材により多くの就職機会を提供するべく、日本国内の外国人求人を求めて日々営業中。

日本語が話せる優秀な中国人エンジニアを採用する方法

↑写真背景は大連のハイテクパーク

「知り合いの企業が中国人ITエンジニアを大量に採用してうまく開発が進んでいるみたいだけど、日本語を話せて技術もある方って結構いるの?」

「中国人ITエンジニアって求める給与レベルが高いと聞いたけど、実際のところどうなの?」

本記事ではそんな人事担当者様の情報ニーズに応えるべく、中国大手人材会社「大連拓中教育科技股份有限公司」の梶真寿美氏に中国人エンジニアの日本語レベルや給与相場、日本に来てもらうためのインセンティブについてお聞きしました!

▶︎他国情報については、こちらの記事をご参照ください!

大連には日本語を話せる中国人ITエンジニアが多く集まる

ーーそれでは早速質問です。中国には日本語が話せるITエンジニアが多く集まる地域があると伺いましたが、本当でしょうか?

梶氏:本当です!日本語が話せる中国人ITエンジニアの多くは、「大連」で働いております。大連では、1998年に設立された大連ソフトウェアパークをはじめとして、ハイテクパーク、アセンダスといったIT企業集積地が次々に開発され、日本向けの開発やサポート、アウトソーシングを業務とする日系企業、グローバル企業、大企業が数多く存在しています。円安元高の影響もあり、2015年を転換点として、それらの企業の多くが中国国内向けサービスの充実にシフトしていますが、依然として日本語を話せる人材が多数いらっしゃいます。

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↑大連ソフトウェア・情報技術サービス業発展報告を元に作成。かつて大連は日本向けオフショア開発の中心地だった。

ーーなぜ大連は日本向けオフショア開発の中心地となれたのでしょうか?

梶氏:1980年代に始まった改革開放で大連には製造業をはじめ数多くの日系企業が次々と進出しました。大連において日本語を勉強することは、そういった日系企業への就職が有利になるという実利がありました。また大連は昔から親日的な地域で、ここ最近こそ日本語学習者が減少傾向にあるものの、「日本語ができる」ということは良い就職先を見つけたりキャリアアップしたりするのに有効な、優位性の高いスキルだったんです。

ーー日本語力が高い人材が育つ環境が1980年代から醸成されてきたのですね。

梶氏:そうです。実際に、人材輩出の母体として、東北3省には他地域に先駆けて日本語教育に取り組んだ歴史ある大学も数多く存在しています。また、IT、建設、製造関連などの理工系人材を育成している大学が96校もあり、優秀なエンジニアが育ちやすい環境であることも間違いありません。

日本語レベルの高いITエンジニアの特徴

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↑大連で開かれた2019年度日本向けITエンジニア転職フェアの様子。日本での就職を希望するエンジニアも一定数いる。

ーー優秀な人材の中でも日本語レベルが高い方の特徴はございますか?

梶氏:朝鮮族の方の日本語はかなりのレベルにあります。中学校や高校で英語の代わりに日本語を専攻する方が多くいらっしゃるからだと言われています。実際、朝鮮族の方が日本向け業務(アウトソーシングやカスタマーサポートなど)においてマネージャーなどの要職に就いているのをよく見かけますね。

ーー民族による違いもあるんですね。日本への留学経験がある方などはやはり日本語も上手なのでしょうか?

梶氏:留学経験があってもあまり上手でないような方もよく見かけますので、留学経験というのは必ずしも語学力の飛躍的な向上に繋がるわけではないというのが実感です。一方で大連では、日本に一度も訪れたことがないのに流暢な日本語を話す方も決して少なくありません。

ーーそのような方はどのように日本語を学ばれているのでしょうか?

梶氏:学生時代になんらかの形で日本語の基礎を作り、卒業後、日系企業や外資の日本向け業務に就職して実務で会話力を伸ばすというのが、日本語が上手な方に多いキャリアパスです。先ほども簡単に触れましたが、大連は全体において日本語の学習熱が高いエリアです。大学か、早い方だと高校で日本語を専攻した、日本の大学や大学院を卒業した、日本留学をしたことがあるなど、何らかの形で日本語学習を経験している人材がとても多いのです。

大連には約3万人の日本語が話せる中国人ITエンジニアがいる

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↑大連で開かれた日本商品の展覧会の様子。大連は土地柄か、日本との結びつきが強い。

ーー日本語レベルが高いエンジニアの方もかなり多いのでしょうか?

梶氏:やはり全体的に見た場合は、文系出身の方の方が日本語レベルは高い傾向にあります。開発や保守等ITのスキルと日本語レベルのどちらも高い場合は貴重な人材と言えますね。

ーーそうなんですね。実際の所、大連には、日本語が流暢な中国人ITエンジニアはどのくらいの数いらっしゃるのでしょうか?

梶氏:大連ソフトウェアパークやハイテクパーク、アセンダス等のIT企業集積地には現在累計700社強の会社が入っていて、そこで働くIT人材は10万人にも上ります。その中の半分とまではいかないにしても、約3、4万人は日本語ができるとされています。

ーー日本語が話せるエンジニアの方がそんなにいらっしゃるとは知りませんでした!

梶氏:もちろん日本語の習熟度には差がありますが、大連では15の大学に日本語学科があり、日本語を学んだ約2,000人の大学生が毎年卒業しています。教育環境を考えると、3−4万人の日本語が話せる中国人ITエンジニアが大連に存在していることも納得が行くのではないでしょうか。

大連で働く中国人ITエンジニアの給与相場

ーー大連で働いている中国人ITエンジニアの方々の給与相場はどうなっているのでしょうか?

梶氏:給与に関しては、大連で外国語(主に英語、日本語)のできるエンジニアはその他職種よりも給与水準が高い傾向にあります。平均すると、

◆開発経験2-3年程度+日本語日常会話レベル:

月収5,000~6,000元(7万5千円~9万円

 

◆開発経験2-3年程度+日本語ビジネスレベル:

月収7,000~8,000元(10万6千円~12万1千円

 

◆開発経験5年程度+日本語ビジネスレベル:

月収9,000〜10,000元(13万5000円〜15万1千円

 

◆開発経験10年程度+管理職経験+日本語ビジネスレベル:

月収12,000元~15,000元(18万1千円~22万7千円

といった状況ですが、個別で見ればこれに当てはまらないケースもあります。また日系企業よりも、欧米系企業での日本向けの業務の方が給与も福利厚生も良い傾向にあります。

ーー大連で働いている中国人ITエンジニアの方に日本に来ていただくために、日本企業はどうすれば良いでしょうか?

梶氏:大連でIT人材の平均給与は年々上昇してきており、日本に行くと給与が格段に上がるという情況では無くなっていますし、日本の首都圏であれば家賃も食費も高いので、生活水準は大連よりも却って低くなることも十分ありえます。30歳代以降のエンジニアの方には、家族の問題などもありますので、家族帯同して日本で快適な生活が送れるか、子供の教育にとって何かメリットはあるかなどを検討のポイントと位置付けている方が多いです。

ーー都心で快適な暮らしができるだけの待遇となると、かなりのコストとなりそうですね。30歳未満の方だと状況が変わるのでしょうか?

梶氏:その可能性は高いです。スカウトの確率を高めるためには、将来的な収入増加に繋がる可能性を強く訴求する事です。向上心やチャレンジ精神の強い方も多いのが大連にいる中国人ITエンジニアの方々の特徴なので、給与額以外の魅力、例えばキャリアアップやスキルアップに繋がる何か特別な経験が積め、それが将来的な収入増加に確実に繋がると思えば、短期の修行のつもりで多少低めの給与であっても挑戦してもらえる可能性はあります。

ーー大変勉強になるお話をいただきありがとうございました!

↑今回取材にご協力いただいたわさび海外就職さんのオフィスの様子。同社は日本で働きたい中国人と中国人を採用したい日本企業との架け橋として事業を展開している。

編集後記

今回は大連芥末人力資源服務有限公司の梶氏に中国人ITエンジニアについて教えていただきました。本記事の要点をまとめると下記の3点になります。

①大連には日本語を話せるITエンジニアが3〜4万人いる。

②「留学経験」のある人材が日本語力が高いとは限らない。面接での会話で判断する。

③日本語を話せる中国人ITエンジニアを採用したいが、相応な待遇が用意できない場合には、将来の収入増に繋がるような「経験」を積めるプロジェクトが必要。

日本語が話せる優秀な中国人ITエンジニアが日本に来るメリットは徐々に下がって行きます。将来を見据えた中国人材への投資はできる限り早く行うことが理想です。

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