• 株式会社AOZORA
  • 代表取締役社長
  • 佐保昭一 氏

覚悟なき企業にはタイ人技能実習生を送り出し出来ません!送り出し機関を営む佐保氏のお話。(前編)

目次

↑快く取材に応じていただいた佐保昭一氏

技能実習生は安い労働力でしょ。いくらで雇えるの?なんてスタンスで技能実習生を受け入れようとする企業にうちの実習生は送り出し出来ません!

そう言い切るのは株式会社AOZORA代表取締役社長の佐保昭一氏です。

佐保氏は自動車関係の大手企業役員として、人材不足が深刻だった傘下の自動車修理工場が技能実習生を雇用できる仕組みを構築し、100名以上の受け入れを行ったという異色の経歴をもつタイ人送り出し機関経営者です。

前編では技能実習生受け入れ企業の役員だった佐保氏が、なぜ送り出す側に回ったのか、そしてなぜタイのチェンライに拠点を作ったのかご紹介します。

本記事を読むと、技能実習生として来日するタイ人の特徴と失踪などのトラブルを最小限にする仕組みが理解できます。

ぜひご一読下さい。

大手自動車修理企業の役員からタイ送り出し機関経営者へと転身された理由とは?

ーーまず前職でのご経験を教えてください!

佐保氏:前職は自動車修理FCを営む大手企業で役員をしておりました。FC本部とはいえど4店舗ほど直営の工場があり、現場では人材不足が年々深刻化しておりました。採用難を解決するため、中国人とタイ人の技能実習生を受け入れたところ、タイ人がかなり活躍しました。さらにFC傘下企業34社に100名ほど受け入れたところこの方々も安定して働いてもらうことができました。その後タイにも自動車の会社を作り、技能実習生が日本に来て自動車修理の技術を学び、自国に帰国してからも学んできた技術を生かして働くことができるという仕組みを作ることができました。

ーー技能実習制度の本来の趣旨を実現する仕組みを作られたのですね。築き上げたキャリアを捨ててまで、なぜ技能実習生を送り出し機関を設立しようとお考えになったのですか?

佐保氏:一連の成果が出た後に、将来のことを考えました。その会社では役員ではありましたが、株主ではなかったため、50歳を機に独立することにしました。独立してどんな事業を起こそうかと考えた際に、自分は受け入れ企業の経験もあり、組合の運営も分かっていて、もしこれから送り出しも事業に携わって行けば、全体の事業を卒なく綺麗に組み上げていくことができるのではないかと思い、タイに拠点を置いて日本の企業様に送り出すことを事業にすることにしました。

※組合とは技能実習生を受け入れる際に、その実習が適正に行われているか監査する組織のこと。

進出先としてタイを選んだ理由

↑チェンライはタイの最北端に位置している。

ーーなぜ数ある東南アジアの国々の中でタイに拠点を置かれたのですか?

佐保氏:タイを拠点にした理由は単純明快で、自分が受け入れ企業をしていた時にタイから受け入れた方々が日本人スタッフととても親和性があったからです。

ーータイの方が日本人スタッフと親和性があったのはなぜでしょうか。

佐保氏:それは笑顔と利他の心ですね。タイ人は非常に陽気でいつもニコニコしています。陰気な方よりも陽気な方の方が当然職員から好かれますよね。また利他の心とは、食事の配膳等は人に配りすぎて自分の分を配るのを忘れていたり、食べ始めるのは相手が食べ始めてからだったり、そういった施しの心を持っているということです。俺が俺がという自己主張があまりなくそこが日本人の気質に合っていると思います。

ーー陽気で利他的な方であれば誰からも好かれそうですね!

佐保氏:ただし、問題は受け入れ側の上役がサービスをしすぎてしまうことですね。私も受け入れ企業だった時は常務でしたので、社員が何百人もいるのに、タイ人ばっかり食べさせるもので、周りから、

「なぜ常務はタイ人ばっかり可愛がるんですか?」

と言われてしまいました(笑)。どうしてもいい子達なので、可愛がりすぎてしまうんですね。

チェンライを選んだ理由は実習生の支払うコストを下げるため

↑タイのチェンライにあるさくら日本語学校

ーーなぜタイの中でもチェンライをお選びになったのですか?

佐保氏:それは技能実習生が日本に行くまでかかる金銭的負担を最小限にするためです。タイの人材送り出し機関の多くがタイの中心地であるバンコクにありますが、実は人材のリクルートはチェンライをはじめとした北部、東北地方で行っています。バンコクやバンコク以南から技能実習生として日本に行く人材はほとんどいないんです。

ーーなぜ北部のみが技能実習生輩出地域となっているのでしょうか?

佐保氏:タイの南部は基本的に観光地になっています。バンコクは経済の中心地ですので所得も非常に高く技能実習生として日本に来る経済層の方がいないんです。一方北部は農業を中心として生計を稼いでいる山間民族が多いです。彼らは他地域と比較して所得が低く、若いうちに先進国で働いて、生計を助けようという意識があるため技能実習生として日本に実習に行きます。

ーーなぜチェンライに拠点を置くと実習生の支払う費用を最小限に抑えることができるのでしょうか?

佐保氏:実習生が送り出し機関に支払う絶対額ではなく、生活費も含めた日本に行くまでのコスト全般を下げることができるからです。実習生は日本に実習に行く前に6ヶ月間の研修を自国で受けなければなりません。その間は無収入期間になります。バンコクに送り出し機関を作ると、寮の土地及び設立費用、人件費、生活費が高いためにその6ヶ月間に実習生が支払うコストが高くついてしまいます。

ーー送り出し機関に支払うコストは変わらなくとも、6ヶ月間の生活費が全く異なるのですね。

佐保氏:そういうことです。チェンライはタイの中でも最も土地と物価が安く、そのため人件費も安いです。送り出し機関と寮をそこに設立し、その地の実習生が通うことができれば実家から通うことで生活コストも抑えることができますし、少し離れたところから通う場合でも平日は下宿して、土日は実家に帰ることができます。そうすると月2000円程度で生活することができ、実習に行くまでの6ヶ月の働けない無収入期間のコストを下げることができます。

実習生の支払うコストを下げることで優秀な人材が集まる

↑実習生が研修中に下宿する寮。チェンライに居を構えることで実習生は6ヶ月間の研修中月額2000円程度で生活できるようにした。

ーーそもそもなぜ技能実習生の支払うコストは安く抑える必要があるのでしょうか?

佐保氏:リクルートが簡単になるからです。私どもの送り出し機関は、出来る限り実習生の金銭的負担を軽減できるようにしています。 チェンライには優秀で勉強熱心でもお金がない家庭がいっぱいあるんです。初期費用のハードルを徹底的に下げることでそんな優秀な人材をたくさん集めることができます。

ーー前提の確認ですが、日本に来る目的はやはりお金が一番大きいのでしょうか?

佐保氏:技能実習制度自体の目的は発展途上国に対する日本の技術の移転が大前提にあります。これはもちろんその通りなのですが、実際に日本に実習に行くタイ人の目的はやはりお金です。若い時は日本でしっかり稼いで、帰ってきたら家族に家を建ててあげたいとか、車を買ってあげたいだとか、あるいは事業を起こしたいだとかで、家族の代表として日本に来るケースが非常に多いですね。

ーー日本で働く金銭的メリットはどの程度なのでしょうか?

佐保氏:技能実習生がチェンライの大学を出て働くと、大体卒業後の給与が7000バーツくらいです。日本円で2万5000〜6000円が1ヶ月の収入です。それが日本に来ると、神奈川県の建設業とかでは手取りで12万円くらいもらえるんですね。そこから高い生活費はもちろん引かれますが、それでも4倍くらいは稼ぐことはできます。そうすると3年で地元で働く12年分を稼ぐことができるわけです。

ーー企業側としても、しっかりと給与を支払うことでリクルートがしやすくなってくるということですか?

佐保氏:そういうことです。日本に行った実習生が稼いだお金を仕送りをしていくと、来年その企業が2期生の実習生を募集をしようとした時に、いい企業だと口コミが広まっていて、1期生の親戚、兄弟あるいは、卒業した学校等からのリクルートが自動でできるようになります。だから企業が来た実習生を手厚く扱うと、リクルートに困らなくなっていきます。

ーーやはりお金は大切ですね。

佐保氏:お金は一番大事です。ただし、お金が大切とはいえ、人権が守られなかったり、あまりにも危険な仕事だったりすると、そうまでしては家族は日本には送り出さないじゃないですか。だから安心して働けるところ、息子さんや娘さんが活躍できるところに働きに行ってもらうようにしたいです。だからこそ経営者に来てもらって、大事な息子さんや娘さんをお預かりしますと実習生の家族に約束することを大切にしています。それは経営者の方に自覚を持ってもらうためでもあります。

大切な子供の人生を無駄にさせてまで、お金だけを目的に海外に活かせる親は、タイにはいません。

トラブルを防ぐために必要なのは「候補者の身元調査」と「企業との信頼関係構築」

 

ーー説明いただいた仕組みだと実習生が日本に来るためにする借金が少なくて済み、失踪が予防できそうだと感じます。失踪等のトラブルを防ぐためにその他にされている施策はございますか?

佐保氏:「候補者の身元調査の徹底」と「企業との信頼関係構築」ですね。それぞれについて説明します。

ーーお願いします!

なぜ実習生の身元調査が必要なのか?

↑候補者には実習修了者の家族や親戚が多い。

佐保氏:まず候補者集めの手順の話からスタートしますが、多くの送り出し機関は、先に人材を囲いこんで、教育しながら、日本企業へ紹介します。弊社では、まず企業にいただいた雇用条件と雇用契約と実際の仕事の内容、居住環境を明確にしてから集客をするようにしています。単に日本に行けるではなく、日本のどこに行けるのか、企業の所在地と提供される環境まで明確にして募集をかけます。その後に必ず集まった希望者全員の身元調査を実施しています。

ーー身元調査でのヒアリング事項ーー

・家族の名前

・年齢

・職業

・病気を持っているかどうか

・収入

ーー身元調査はなぜ必要なのでしょうか?

佐保氏:身元調査が必要な理由は家族の応援体制を作るため実習期間中に家族が原因で帰国する可能性が無いか確認するためです。タイの仕事よりも日本の仕事の方が厳しいことが多いため、こんなに大変だと思わなかったということが生じる場合があります。そんな時に家族からの応援がないと続けることが大変になってしまいます。また、家族の病気が悪化してしまった場合も帰国せざるをえなくなりますので、事前に家族に病気がないかの確認は重要です。

ーー調査によって実習生の途中帰国を防ぐことができるのですね!

佐保氏:現在技能実習の期間は大体3年から5年なのですが、途中で安易に帰国するようなことがあると、企業にとっても損失ですし、実習生も3年きっちり働くことができたのに、選ばれなかった他の大勢の候補者との仲が悪化してしまいますので、必ずきっちりと家族の同意をとるようにしています。

企業との信頼関係構築が成功の要諦

↑面接会の様子。非常に丁寧な過程を経て日本にくるメンバーが選抜される。

ーー企業との信頼関係構築とはどういうことでしょうか?

佐保氏:弊社では企業が事前に交わした約束を守るかどうかを大切にしています。私は月の3分の1はタイ、それ以外は日本にいて、実習生を受け入れている企業を必ず審査しています。そもそも条件の悪い企業には人が集まりませんのでそういった企業はお断りするようにしているのですが、万が一、入国後の実習生の人権や約束が守られないとなった際には、実習生を守るために送り出し側からも引き上げを要請するようにしています。実際過去にそういった事例もありました。

ーー約束が守られないケースにはどういったことがあるのでしょうか?

佐保氏:決めた雇用条件通りの賃金が支払われなかったり、サービス残業があったり、他の仕事をさせていたり、実習生の生活環境があまりにもひどいかったりということです。技能実習生は日本に行くための借り入れをしていて、いざ日本についたらまずその借財を返さなければなりません。約束された収入があるから、リスクをとって借金をして日本に来ているのに、日本で元々の計算通りに支払いができないのであれば、話が違うということになります。

ーー実際にそんなケースがあるのですか?

佐保氏:例えば建設業の会社さんとかだと日給制になっていて、雨が降って作業が行われなかった日はその分が支給されないことがあります。そうなってしまうとせっかく借金までして日本に来たのにも関わらず、何のために日本に来たのかわからなくなってしまいますよね。そういうトラブルから、帰国したいとか、転籍したいという願い出が多く出るようになってしまいます。このようなトラブルを防ぐために、先ほども触れましたが、面接の前に雇用条件を揃えて、取締役以上の人が実習生に説明するということを徹底しています。

ーー次回後編では同社のタイ人が日本に定着するための独自の教育・管理制度と、実習生を受け入れる企業が絶対に意識すべきポイント、及び同氏の目指す送り出しビジネスの理想形についてまとめます!

後編へ

佐保氏のインタビュー動画はこちら!

 

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佐保昭一 氏

株式会社AOZORA代表取締役社長

30歳の時、平社員で自動車修理大手FC本部を営む企業に入り、後に常務取締役となる。約1000店舗FC店舗があったが、働き手の不足や高齢化によりFCの継続が困難になったため、技能実習生をたいから受け入れる仕組みを構築。51歳の時、2015年11月に独立、タイの若者をたくさん日本に送り出して日本で活躍してもらうという活動を事業にしようと考え、タイの送り出し機関に投資して副社長に就任し事業を開始。現在徐々にビジネスの循環が回り始めた。

 

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