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更新日:2021/08/03

目次

外国人労働者受け入れ_キービジュアル

「優秀な外国人を雇用したいが、就労ビザの取得方法、入社後の雇用管理など何から手をつけていいのかわからない」

「外国人を雇用するには日本人従業員と違って面倒な手続きや労務管理が必要なのでは?」

初めて外国人の雇用を検討すると、このような疑問がでてくると思います。

これらの疑問に対する答えは、

「手続き自体は特別難しいことはないし、日本人とそこまで変わらない。ただし、内定後に自社に来てもらい、トラブルなく定着してもらうには工夫が必要」

です。

とは言っても、ビザの手続きや組織への定着方法などよくわからない点が多いかと思います。

そこで今回は、初めて「外国人を雇用しよう」と思い立った企業の人事担当者様のために、外国人を雇用するメリット・デメリット、外国人の募集から入社までのステップ、入社後の雇用管理などについて、注意点を踏まえながら解説していきます。

なお、エンジニアに特化した外国人労働者の受け入れについてご興味のある方は、↓の記事をご覧ください。

▶︎国内IT人材不足の解決策は?外国人エンジニアという選択

外国人労働者受け入れ 4つのメリット

外国人労働者の受け入れ方法についての解説に入る前に大前提として、メリットとデメリットを整理しておきましょう。

①若い労働力の確保

日本は超少子高齢化社会です。残念ながら今後もその傾向は悪化していきます。若者の有効求人倍率は非常に高く、仮に採用できたとしても、長期間定着してもらえる企業は非常に限られています。

一方で、人口ボーナス期にある開発途上国では、より良い生活環境を求め、国を移動して就労先を探す若者が後を断ちません。従って、そういった国々の外国人を受け入れられる体制を構築することができれば、若い労働力を確保することが可能になります。

ただし注意しておきたいのが、海外の若者は東京や大阪など大都市圏での就労を希望する傾向にあるということです。地方で就職したら、思い描いていた日本の姿とのギャップが大きく、短期間の就労で退社してしまうというミスマッチが多く生じていますので、地方の企業は採用・定着のために一層の工夫を凝らす必要性があるでしょう。

②海外進出の足がかりとなる

海外進出する企業には2パターンあります。海外事業戦略を練り、その戦略に基づいて必要な外国人を雇用する場合と、外国人を雇用したら、たまたまその外国人が強い人脈を持っており、気づいたら海外販路が切り拓かれていた場合の2つです。前者は大手企業や、明晰な参謀のいる企業に多いパターンで、後者は、割と中小企業によくあるパターンです。

人手が足りず採用した外国人が非常に優秀で、自己の人脈を用いて積極的に海外市場を切り開いてくれたなんてことはよくあります。日本の市場が縮小していく中で、海外に販路を持っていることは、企業が生き残っていくために大きなポイントとなってきます。

③インバウンド対策

旅行業や宿泊業では、今後は経済成長が著しいアジアの上流層や中流層の旅行客をいかに獲得できるかが重要になっていきます。外国人スタッフを雇用すれば外国語での対応が可能になり、増加する外国人旅行客を取り込むことができます。

また、日本で働く外国人労働者が増えることは、外国人の消費者が増えることでもあります。そのような新しい市場に対応するために、様々な言語的・文化的背景を持った外国人労働者を雇用することは大きなメリットになるでしょう。

④組織の活性化

外国人を雇用した多くの企業が組織の活性化を実感しています。その要因は大きく3つです。

1つ目は、日本に働きにくる外国人は若い方が多いため、文字通り職場が若返ること。

2つ目は、言葉が通じにくい相手に分かりやすく仕事を教えるために、既存社員がより深く仕事について考えるようになること。

そして3つ目は、多様な価値観や背景を持つ人間が集まることによってイノベーションが生まれやすくなることです。

外国人労働者を始めとした多様な人材の活用のメリットについては、↓「ダイバーシティマネジメント」の記事を併せてご覧ください。

▶︎ダイバーシティマネジメントとは?必要性やメリット、事例を解説

外国人労働者受け入れ 4つのデメリット

①文化・職場慣習の違いによる日本人社員との衝突

異なる文化的背景を持つ外国人を雇用することで、当然既存の日本人社員との衝突が生じてしまう可能性があります。ただし、多くの企業の外国人雇用を見てきて思うのは、

「問題は起こるが、解決できない問題は生じない」

という事です。まず理解に徹し、そのあとで理解されるよう努めることで、多くの企業が良好な関係を築くことができています。

②日本語力・英語力不足によるコミュニケーションの問題

言語の問題は、外国人雇用を考える際に必ず課題となるポイントです。現在生じているミスマッチの原因の多くが、日本企業が求める日本語レベルと就労を希望する外国人の日本語力にギャップがあることです。

ほとんどの日本企業は、日本語でのコミュニケーションを絶対条件として外国人雇用を進めようとします。しかし、ビジネスのコミュニケーションを円滑に行えるレベルの日本語力を持った外国人労働者の母数は少なく、いたとしても相当要件の高い企業でない限り、自社に惹きつけることは難しいでしょう。

受け入れ企業が、入社後に日本語学習のサポートをする、やさしい日本語を使う、多言語対応をする、といった取り組みをする必要があります。

③手続きにかかる手間

先ほど外国人を雇用するための手続きはそれほど難しくないと述べましたが、それでも日本人と比べれば工数がかかります。

在留資格の申請では日本で働く外国人の人権を守るため、信用度の低い企業ほど慎重に審査され、就労までに時間がかかってしまう場合があります。

手続きをできる限りシンプルにするために一番大切なのは、「実績」を作ることです。コンプライアンスを守り、適正な利潤を潤沢に得ている企業であればあるほど、入国管理局からの信頼度が高まり、より簡単なプロセスで外国人を雇用できるようになります。

④安くて簡単に雇える労働力だと思って痛い目に遭う

これは本当に勘違いしていただきたくないポイントです。当たり前ですが、外国人は安くて簡単に雇える労働力ではありません。適正な給与を与えていない、コンプライアンスが守られていない企業は法令で外国人を雇用できないようになっています。現在ではSNSのコミュニティが非常に発達しており、待遇の悪い企業には求職者が集まらなくなってきています。

外国人労働者をめぐる問題については、以下の記事に詳細をまとめています。

▶︎外国人労働者問題とは?専門エージェントが原因から対策まで徹底解説

 

これらのデメリットは、雇用する側の努力次第で影響を小さくできるものですが、意識せず安易に外国人雇用に踏み切ってしまうと、人材の早期退職や組織の崩壊にまで繋がりかねません。いかに外国人労働者が活躍できる組織をつくるかという視点を持つことが重要です。

以下の記事では、外国人の早期退職を防ぐ対策をまとめておりますので、あわせてご覧ください。

【対策まとめ】アンケート調査で分かった外国人社員早期退職の理由!!

採用から定着まで7つのステップと注意点

前置きが長くなってしまいましたが、ここからは人材募集から就労までの流れを以下の7つのステップに分けて解説していきます。

①募集

②履歴書・職務経歴書・在留資格の精査

③面接

④雇用条件書の作成とオファー面談

⑤就労ビザの申請手続き

⑥受け入れ体制の構築

⑦入国・入社手続き

①募集

外国人の採用を思い立ったら、まずはいかに採用のための母集団を形成するかを考えます。ここでは代表的な7つの募集方法と募集時の禁止事項をご紹介します。

 

a. ハローワークなどの公的職業安定サービスを活用する

外国人も日本人同様にハローワークなどの公的職業安定サービスを利用します。

ハローワークを利用するメリットは「無料」であることです。ただし、リーチできる求職者はハローワークに通っている方のみとなるため、webサービスと比べて母集団を増やしにくいデメリットがあります。

 

b. タウンワークやリクナビ、Indeedなどの求人掲載サイトに広告を出す。

リクナビやindeedなどの求人サイトに広告を掲載する方法です。求人サイトは、多くの人材にアプローチできるメリットがあります。

しかし、近年有効求人倍率の高まりに伴い「広告を出しても広告費がかかるだけで問い合わせがこない」という声が多く聞かれるようになりました。また、現状サービス利用者の増加に伴って広告単価も上昇しています。

自社に採用マーケティングを実践できる担当者がいたり、仕事自体が人気のあるものでない限り、コスパ良く求職者を集めることができないため、あまりお薦めできない方法です。

 

c. 外国人専門の求人サイトに広告を出す。

Nippon仕事.com」や「NINJAなどの、外国人を雇用したい企業と、日本で働きたい外国人のためのマッチングサイトに求人広告を出すという方法です。

語学力を生かした、翻訳やカスタマーサポートなどの仕事や、アルバイト・派遣の仕事で求職者を集めたい場合にはお薦めです。

 

d. 外国人専門の紹介・派遣会社に依頼する。

外国人専門の紹介・派遣会社を利用する最大のメリットは、契約にもよりますが、募集にかける工数を無料で丸投げできることです。

一方デメリットとしては、難易度によって成功報酬が高くつく可能性があることです。

ただ、求人広告の単価が高止まりしている現在であれば、求人広告掲載にかかる費用と同じくらいか、むしろ紹介・派遣の方が安くすむ可能性があります。自社で採用が上手くいっていないのであれば、専門家に頼るのも一つの手でしょう。

外国人派遣についてくわしく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

外国人労働者派遣のメリット・デメリットは?コストはどれくらいかかるの?

 

e. 自社従業員、取引先、学校からの紹介

いわゆる「リファラル採用」という採用手法です。

例えば採用した外国人労働者の知り合いに日本で働きたい方がいた場合、その方を紹介してもらうことで、お金をかけずに人材を集めることができます。

採用した外国人に自社を好きになってもらえたら、その社員のポジティブキャンペーンが非常に強い募集手段となり得ます。

 

f. SNSで求人を出す。

最近では「Twitter」などを効果的に活用して採用を進めている企業が増えています。

SNS活用のメリットは、採用経費を圧倒的に安く抑えられることです。

外国人は、日本人と比べて企業の情報集めにSNSを使っています。外国人労働者を採用したい企業は、自社の募集要項や業務内容、社内の雰囲気が分かる投稿をするなどして、SNSを積極的に活用しましょう。

 

g. ダイレクト・リクルーティング

ダイレクト・リクルーティングとは、採用したい方に直接アプローチする採用手法です。

プラットフォームとしては「Linked in」や「ビズリーチ」などのハイエンド人材向けが有名です。

この手法のメリットは、不特定多数の母集団ではなく、あらかじめ定義した必要な能力を持つ人材にアプローチし、無駄なく採用ができることです。一方で、こちらの担当者の営業力が非常に重要になってくるため、比較的難易度が高い方法と言えます。

 

※募集時のポイント

・求人票を多言語で作成する

外国人を採用したい場合は、求人表を多言語で作成するのがおすすめです。求職中の外国人の中には、日本語は話せるけれど、読むのは苦手という方がいらっしゃいます。

「日本語が読めない外国人はちょっと…」と思うかもしれません。しかし、求人票を多言語で作成することは、日本語を読むのが苦手な外国人にアプローチするだけでなく、「外国人雇用への積極性をアピールする」という目的があります。

外国人労働者側からすると、日本語の求人票を見るだけでは、企業がどれだけ外国人雇用に積極的なのかが分かりにくいです。

「留学生可」としている企業でも、一応そうしているだけで、実はあまり採用する気はない、といった場合があります。留学生からすると、そういう企業はできるだけ避けたいところです。

そんな中に多言語で書かれた求人票があれば、その企業が外国人を採用する意思があることが分かり、外国人も応募しやすくなります。

採用において母集団を多く集めたい企業は特に、求人票を多言語で書くことをおすすめいたします。

 

・正当な給与額と評価制度

良い人材を募集したいなら、当然ですが、外国人だからといって給与額を安くしてはいけません。

パーソルキャリア総合研究所とCAMPが行った調査によると、留学生の就職後の不満として、年功序列制度や、給与がなかなか上がらないことが挙げられています。

海外では、個人が持っている能力や成果によって評価が決まることが多いです。したがって、そういった国出身の外国人労働者は、年功序列や、日本人でないという理由で、能力や成果は同じなのに待遇に差が生まれる企業では、働きたいと思いません。

良い人材を雇用したい企業は、外国人でも日本人でも、その能力や成果に応じた適正な給与、そして評価がされることをアピールしましょう。

 

・適切な求人媒体を使う

自社の希望に合った人材を採用するには、適切な求人媒体を使って募集を行うことが重要です。

例えば、高い技能を持った外国人労働者を採用したいのに、ハローワークや求人サイトだけを利用するのでは、いつまで経っても人が集まりません。

・プログラミングスキルなどを持った外国人IT人材を採用したいなら、高度人材向けの人材紹介会社を利用する

・地方で外国人労働者を採用したいなら、地元の大学のキャリアセンターに求人を掲載してもらう

・特定技能外国人を採用したいなら、登録支援機関に人材を紹介してもらう

これらはあくまで一例ですが、このように、集めたい人材の特徴に合わせて、使用する求人媒体を選ぶようにしましょう。

 

※禁止事項

求人を出す際には、外国人のみを対象にしたり、特定の国籍の人材のみを対象にしたりすることはできせん。差別と解釈されるためです。

希望する人材を募集するためには、「国籍」ではなくスキルや能力を条件として求人を出すようにしましょう。

②履歴書・職務経歴書・在留資格の精査

なぜ情報の精査が必要なのか?

それは、人材の経歴や従事する職種によって就労の可否が左右されてくるからです。雇用の際には、その外国人の「在留資格」を確認して、当該業務での就労が認められているかどうか確認する必要があります。

採用する方の経歴や職歴を見て、自社業務において従事可能な在留資格を取得できそうか確認する必要があります。入管の審査で不許可となれば、その人材にかけた工数が全て無駄になってしまうため、事前に忘れずチェックしておきましょう。

③面接

母集団が集まったら次は面接です。企業ごとに面接で注視するポイントは異なると思いますが、最低限以下の4点は押さえておきましょう。

a. 日本語力を確認する

面接でまず重要なのは、先述の通り、日本語力の確認です。

自社の求める日本語要件を明確にした上で、外国人労働者の日本語力がそのレベルに達しているか、面接時に確認しましょう。

ただし、日本語要件を高くしすぎると、採用が難しくなるので注意が必要です。

日本語を流暢に話せる外国人は、本当に一握りです。さらに、緊張した面接の場であれば、上手く言葉がでてこないこともあります。

日本での就労を開始する前から日本語が流暢に話せる人はほとんどいないので、そういった人材の場合は、日本語力の「伸びしろ」を見るようにしましょう。

はじめは上手く話せなくても、働いている中で、日本語は上達するものです。特に、日本語の学習意欲が高い方や、勉強の習慣ができている方は、日本語の上達スピードが早いです。

面接では、その時点での日本語力だけでなく、採用後の成長まで考えることで、より良い人材を採用することができます。

 

b. 経歴について確認する

面接時のポイント2つ目は、経歴の確認です。

採用のステップ②でも書いたような、履歴書など書面での確認はもちろんですが、面接時にも、口頭で経歴を確認するようにしましょう。

学歴や職歴によって、求める業務に従事することができるかどうか、必要な在留資格を取得できるかどうかが決まります。

履歴書に書かれていたことが正しいか、改めて聞いておく必要があります。

留学生の場合は、アルバイト経験について必ず確認しましょう。

「留学」の在留資格では、学期中のアルバイトは週28時間までと法律で決まっています。この制限を超えてしまうと、在留資格「技術・人文知識・国際業務」などの、就労が可能な在留資格を取得することができない可能性があります。

留学生の中には、バイトをいくつも掛け持ちして、週28時間の制限を超えて働いている方も多いです。そういった人材を採用すると、いざ在留資格申請をしたときに、許可が下りず、仕方なく解雇するしかなくなってしまいます。

このような事態を防ぐためにも、面接時の経歴の確認は必須です。

 

c. 業務内容を確認する

面接時のポイント3つ目は、業務内容の確認です。

新型コロナウイルスの影響で移動が制限される現在では、日本や企業についてよく知らないまま面接に来る方もいらっしゃいます。

そういった方の入社後のミスマッチを防ぐために、面接の場を使って、企業や従事してほしい業務内容について確認するようにしましょう。

特に、残業の程度や給与額、昇給・評価制度については、入社後に不満がでやすい項目でもあるので、丁寧にチェックする必要があります。

また、メインの業務に付随してその他の関連業務に従事する可能性がある場合は、それについても明言しておくようにしましょう。例えば、ホテルで外国人を雇用する際、基本的にはフロントでの接客業務に従事してもらおうと思っているが、混雑時はベッドメイキング業務も行ってほしいと考えている場合です。

自分の仕事でないものをやらされるのに抵抗感を持つ方もいらっしゃるので、事前の確認が必要です。

また、可能であれば日本語だけでなく英語の資料などを用意したり、すでに働いている外国人社員と話す機会を設けたりすると、より外国人労働者の理解が深まるでしょう。

 

d. 差別ととられる発言に気を付ける

面接のポイント4つ目は、発言への気配りです。

面接は、企業が人材を見ると同時に、人材が企業を見る機会でもあります。

意図していなかったとしても、外国人から見て発言が差別的と捉えられてしまえば、企業の印象は下がり、採用通知後に辞退されてしまう可能性があります。

外国の方は、日本人よりも差別的発言に敏感なこともあります。面接時は、自分が見られている立場であることを意識して、発言に十分配慮するようにしましょう。

 

最近は、新型コロナウィルスの影響もあり、Web面接も一般的になってきました。Zoomなどを活用すれば、海外在住の方とも簡単に面接ができますので、乗り遅れることのないよう環境整備を怠らないようにしましょう。

④雇用条件書の作成とオファー面談

候補者の情報を精査し、自社での雇用ができそうだと判明したら、次は雇用条件書の作成とオファー面談です。日本人の場合には面接時に雇用条件を口頭で話し合い、雇用条件書を書くのは後回しにしてしまうことが多いです。しかし海外は日本以上に書面による契約を重視する国が多いため、言った言わない問題を避けるためにも、早い段階から書面で条件を確認する習慣を持っておきましょう。

ちなみに雇用契約書の内容は基本的に日本人と同じで大丈夫です。可能であれば、母国語や簡単な日本語、あるいは英語で準備できると良いでしょう。厚生労働省が雇用契約書のサンプルを公開しているので、そちらを参考にしてみてください。

オファー面談に関しては、多くの企業が内定辞退を防ぐために行っています。内定後にオファー面談をすることで、内定者の不安や不満点を事前に払拭することができます。外国人に関しては、雇用条件は交渉可能であるという認識を持っている場合が多いです。実際に主張に応じるかは別として、オファー面談などで交渉の場を設ける姿勢は好印象を与えますので、余裕があれば、是非やるべきでしょう。また、その際に給与条件に止まらず、どこでどんな仕事をどれくらいの時間行うのか、自社で働くとどのようにキャリアアップできるのかまで突き詰めた話ができると、より強固な信頼関係を構築することができます

⑤就労ビザの申請手続き

ここが少々ややこしいのですが、採用したい外国人の条件によって必要な申請が異なります。基本的には以下のような分類となっています。

①海外から新たに招へいする場合は、在留資格認定証明書交付申請

②「留学」から「技術・人文知識・国際業務」、「技能実習」から「特定技能」など、在留資格の種類を変える場合は、在留資格変更許可申請

③同じ在留資格で期間の更新のみする場合は、在留期間更新許可申請

④従事する業務内容は同じだが、他社に転職した場合は、所属(契約)機関に関する届出

*なお、令和2年7月1日以降、対象国から新たに外国人労働者を招へいする際には、在留資格申請時に、指定健診医療機関から発給された結核非発病証明書の提出が必要になりました。

⑥入社手続き

就労ビザの申請には2週間から1ヶ月以上がかかりますので、その間に入社準備を整えましょう。

外国人従業員の来日時のフライトの手配や、住居の準備などをサポートすることをお薦めします。特に住居に関しては、生活習慣の異なる外国籍の方の入居をよく思われない大家さんも未だ多くいらっしゃり、人材本人が部屋探しをするとなかなか決まらないということがあるので、企業が支援をすることが福利厚生として“人材に対する売り”の1つになります。

また、携帯電話やWifiなどの生活インフラに関する契約もできる限りサポートしたほうが良いでしょう。さらに人材によっては、給与の一部を毎月母国に送金する方もいますので、手数料が安く便利な送金会社をお薦めしてあげるのも一つの手です。

「そこまでしなくちゃいけないの?」と思われるかもしれませんが、最終的にはそういった福利厚生面まで手厚く面倒を見てくれる企業が評価される時代になってきています

住居や携帯電話、送金のサポートについてご興味のある方は以下の記事をご覧ください。

住居 ▶携帯電話 ▶海外送金

来日し、居住地が決まったら、住所を管轄する市区町村役場で、外国人本人が住民登録を行います。
基本的に入国後14日以内に住民登録を済ませなければなりません。これによって、在留カードに住所地が記載され、パスポートの常時携帯が必要なくなったり、銀行口座の開設などができるようになったりします。

⑦受け入れ体制の構築

外国人雇用は、採用して終わりではありません。入社後の労務管理と教育・評価などの受け入れ体制をしっかりと構築することで優秀な人材の定着に繋げていきましょう。

a. 労務管理

外国人が入社した後の労務管理について、厚生労働省が発表した指針に基づき重要なポイントを整理しました。

・外国人雇用状況届出および各種社会保険加入

外国人を雇用するに当たっての事業主の義務は、外国人の雇い入れ及び離職の際に、その氏名と在留資格、正社員または常用社員の場合は「雇用保険被保険者資格取得届」を14日以内にハローワークに届出することです。

また、常用雇用と言える要件に当たる場合には、会社の義務としてその外国人を健康保険厚生年金など各種社会保険に加入させる必要があります。給与から控除されるこれらの金額についてはあらかじめ説明をしておくのが良いでしょう。

・雇用労務責任者の選任

外国人労働者を10人以上雇用している事業主は、外国人の労働状況を監督する、雇用労務責任者を専任することが求められています。

*厚生労働省に制度の詳細を問い合わせてみました。

Q: 守らないと罰則はあるか?

A: 具体的な罰則はないが、出入国管理局から不適切事業所とみなされ、以後の外国人雇用に支障をきたす可能性がある

Q: 具体的にどのようにすれば、専任したとみなされる?

A: これについて何か届け出があるというわけではない。外国人の労働状況が適正かどうか現場で監督や、外国人従業員からの相談などへの対応についての専任の責任者を置き、実際に良識的な対応をするようにしてほしい

Q: グループ会社で、現場に外国人が10名以上いる場合、本社の人事担当者が専任担当者となることで、全国の事業所の統括担当者となることは可能か?

A: そもそも、この雇用労務責任者は現場で適切な外国人管理を行ってもらうことが趣旨の制度であるため、必ず現場に労務責任者の肩書きを持つ、実際に相談可能な担当者を置く必要がある。

外国人労働者の労務管理に関しては様々なツールが提供されていますので、こちらの「外国人労務管理サービス比較」をご確認ください。

 

b. 組織環境の整備

手続き面以外にも、定着・活躍を促進する人事施策をどんどん実行していきましょう。外国人だからといって特別扱いしすぎるのは良くありませんが、文化や言葉の違いは当然考慮すべき点です。特にコミュニケーションの部分で課題を抱えている企業様の話はよくお聞きしますので、日本語教育やメンターの配置などは効果的です。

自社で全て担うのは難しいという場合は、行政も支援のためのツールなどを幅広く提供してくれていますので、外部のリソースを有効に使って対応していきましょう。

外国人労働者受け入れ企業が受給できる可能性がある助成金

最後に、以前当メディアで、外国人雇用専門の社労士の先生を取材させていただいた際に、新たに外国人を採用したら?という状況設定で活用できる可能性がある下記助成金をご教示いただきましたので、まとめておきます。

①キャリアアップ助成金の諸手当制度共通化コース

②キャリアアップ助成金の正社員転換コース

③時間外労働改善助成金の勤務間インターバルコース

④時間外労働改善助成金の人材確保等支援助成金・働き方改革支援コース

⑤人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

以上の助成金についてくわしく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

▶「外国人を雇用すると助成金がもらえるって本当?

まとめ

日本の少子高齢化はとどまる事を知らず、日本人の労働力は年々減少して行くため、外国人を雇用し、その能力を遺憾なく発揮してもらうことはほとんどの日本企業において必須の経営課題となって行きます。

文化的背景が異なる外国人と幸せに働いていくためには、労働慣行や生活習慣が全く異なる国で働くことの難しさに寄り添い、不安を取り除く努力を惜しまないことが大切です。結局そのような誠実な企業が日本人、外国人という国籍にかかわらず社員の能力を最大化し、自社の競争力を維持できるでしょう。

以上でご紹介した基本的な手続きを理解した上で、ぜひ一人一人の外国人に寄り添う気持ちを持って採用及び教育を進めていただきたいと存じます。

弊社はこれからも日本企業のDiversity & Inclusionを強くサポートして参りますので、ご共感いただける企業様は下記よりお問い合わせください。

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