更新日:2021/08/03
目次
バングラデシュ 国営送出機関
↑バングラデシュ 送出機関海外駐在員のアリフル氏
「これまでベトナム人や中国人をメインに採用してきたけど、他の国の人材ってどんな状況何だろう?」
そんな情報ニーズにお応えするため、今回はバングラデシュ国営人材送出機関のアリフルさんを弊社にお招きし、バングラデシュの人材情報についてお伺いしました!
英語でのインタビュー動画はこちら!
↓今回のインタビューのQ&A 日本語訳です。(リフト株式会社で日本語訳し、一部省略)
バングラデシュが世界有数の人材送出国である理由
Q:会社名とご自身のお名前を教えてください。
A:私はAriful Haque(アリフル・ハック)と申します。Bangladesh Overseas Employment & Services Limited (BOESL)の海外事業部副部長を努めております。
Q:バングラデシュの具体的には どの地方出身なのですか?
A:バングラデシュ首都のダッカから参りました。BOESLのオフィスもダッカにございます。ただ、バングラデシュ全土から人材をリクルートし教育するため、事業所は全国各地にあります。
↑BOESLの本社はバングラデシュの首都ダッカにある。
Q:バングラデシュの特徴について教えてください。
A:あまり知られていませんが、バングラデシュは世界有数の人材送出国です。これには3つの要因があります。1つ目の要因は純粋に人口が多いこと。バングラデシュは世界で8番目に人口が多い国です。2つ目の要因は世界で1番人口密度が高く、国内仕事量に対し人材の数が多すぎること。3つ目の要因は人口のボリュームゾーンが20代〜30代であり、各国が求める若い労働者が豊富であることです。以上3つの理由により、バングラデシュは各国に人材を派遣することができます。
ーーバングラデシュが世界有数の人材送出国である3つの理由ーー
①人口が多い
②人口の割に仕事が少ない
③人口のボリュームゾーンが働き盛りの20〜30代である
Q:バングラデシュは世界有数の人材派遣国とのことですが、宗教上の問題で派遣国に馴染むことが難しいのではないですか?
A:バングラデシュ国民の多くがイスラム教徒ですが、私たちは温厚なムスリムであるため、世界の人々が抱いている先入観ほど、宗教上の儀式に厳格ではありません。ですからバングラデシュ国民はムスリムでありながら、就労先の国との文化の違いを非常に柔軟に受け入れることができます。
Q:BOESLの活動内容を具体的に教えてください。
A:私の会社はバングラデシュの人材を世界10カ国以上に派遣しています。特に中東をメインに人材を派遣しており、ヨルダン、オマーン、バーレーンが主要な派遣先です。他地域でいうと韓国が主要な派遣先で、現在日本への派遣数も増やそうと努力中です。他f国の人材送出企業との大きな違いとして、我々は国策の一環で人材を派遣している為、派遣する人材から一切お金を徴収していないのが特徴です。だからこそ非常に倫理的な事業運営が行えています。
Q:どのような職種の人材を何名送り出しておられるのですか?
A:ヨルダンには国営企業に従事する機械作業員を派遣しました。医者やエンジニアなどの高度人材はモルディブやボツワナ等で、製造業に従事する人材は韓国に派遣しています。昨年は1年間のトータルで1万1000〜2000人を送り出しました。そのうちの80%ヨルダンの国営企業です。日本には製造業や建設業に従事する人材をもっと派遣していきたいと考えています。
↑韓国へ派遣予定のバングラデシュ人。事前レクチャーの様子。
Q:バングラデシュ人が日本に働きにくる動機はどういったものでしょうか?
A:日本に働きに行くバングラデシュ人は個人個人によってそれぞれ日本に求めるものが異なります。日本のぬいぐるみや、キティちゃん、つまりは日本の「カワイイ」文化が好きな人もいれば、優れた電化製品などの工業化された先進的な都市のイメージに憧れている人もいます。一人一人、日本と聞いて想起されるイメージが異なり、それぞれのイメージを求めて日本にやってきます。
Q:「カワイイ」文化や「先進都市」のイメージ以外には何かございますか?
A:我々バングラデシュ人は、同じアジア人である日本の経済成長と同様の軌跡を辿って成長していきたいという思いを持っています。歴史の授業で第二次世界大戦後の広島と長崎の退廃的な状況から圧倒的な経済成長を遂げた日本の姿を学び、バングラデシュ人は尊敬の念を抱くのです。日本はただ経済成長するだけではなく、非常にうまく伝統的な精神文化と近代化を調和させました。というのも日本の都市は非常に近代化されていますが、日本人の内面には「慎み深く、礼儀正しい」という美しい精神文化が残っているからです。バングラデシュも伝統的な文化を残しつつ近代化していく道を日本から学びたいと考えています。
バングラデシュ人は語学習得が得意!?
Q:日本で働いていく上で日本語が非常に大きな壁になると思います。その点いかがですか?
A:日本語については、仮に当人が好きなものと結びつけられた場合には、習得がそれほど難しくないと思います。学びを楽しめると、日本語に対して愛着が湧いてきます。愛着は何を習得するにしても重要です。逆にマイナスの感情を抱いているものは何であっても理解がうまく進んでいかないですよね。
Q:日本語を習得するのは難しいというイメージがございましたが…
A:私の姉の例をご紹介します。彼女は過去に2年間日本に滞在していたことがあります。姉は父にもあまり出来がよくないと言われるほど、何かを学ぶことが得意ではありませんでした。そんな、いわゆる優等生ではない彼女が漫画やアニメを使って日本語を2、3ヶ月ほどで習得してしまったのです。彼女は今では日本語がペラペラです。ですから語学を愛せる人にとって日本語は障壁になりません。
Q:バングラデシュ人の魅力を教えてください!
A:大きく3つ、①言語習得が得意、②親日である、③環境適応力が高いという強みがあります。まず言語習得については、私たちの母国語が多くのアルファベットを持っていますから、どんな言語でもうまく発音することができ、その結果習得が早いです。
2つ目の親日であるのは先に述べた理由からです。これは非常に重要なポイントだと思います。愛には多くの問題を克服する力がありますから。
最後に環境適応力についてですが、多くの送り出した人材が現地の環境に適応しています。この柔軟性も我々の魅力の一つです。
日本に人材を派遣する上での課題
Q:日本語以外のではどんな壁があるのでしょうか?
A:多くのバングラデシュ人が夢見た日本と、実際の日本の就労現場とのギャップです。例えば資本家の作った生産システムは労働者にとって完璧ではない場合ももちろんあります。その場合、あまりにも夢と現実とのギャップが大きくなったしまう可能性がございます。そうすると派遣された労働者は生計を立てるために、現実主義にならざるを得ません。
Q:その問題をどのように解決されるのでしょうか?
A:日本に来る前に、実際に日本のどこで働くのか、働く場所、住居、周辺環境、日本の職業文化を出国前に動画等を用いて伝えておくことです。事前のコミュニケーションをしっかりととり、事前知識をしっかりと身につけておくことができれば、本来の適応力を発揮して、必要に応じた妥協点を見つけることができるようになるはずです。
Q:日本の職業文化とのお話でしたが、バングラデシュとどのように異なるのでしょうか?
A:日本には非常に熱心かつ厳格な職業文化があると思います。一方バングラデシュや南アジア地域の職業文化は比較的緩く、時間も大体合っていればOKという文化です。これまで時間や職業に関する価値観は言語化して伝えられておりませんでしたが、今後日本に働きに行くバングラデシュ人専門の研修施設を作り、日本独自の「武士道」や「職業文化」を教育して行きますので、これらのギャップは解決できると考えております。
ーーご協力ありがとうございました!
▶︎他国情報について知りたい!という方は、送出各国比較まとめをご覧ください!
編集後記
アリフルさんのお話をお聞きすると、なかなか言語化されにくい日本の暗黙のルールをトライ&エラーを続けながら言語化して伝えていくことがDiversity & Inclusion の実現に向け非常に重要な意味を持つのだと考えられます。また今後人口減がさらに深刻化していく中で、日本の職業文化は柔軟性を持つことを求められていくのかもしれま。せん外国人から選ばれる国になるための努力についてもっと真剣に考えるべき時が必ず来ると思います。
Global HR Magazine編集部からのお知らせ
技能実習生、特定技能人材、IT人材...今後様々な形でバングラデシュからの人材流入が想定されます。
今まで主流であったベトナムに次ぐ送出国を探しているという方は、ぜひバングラデシュを検討してみてください。
詳細について話を聞きたいという方は、下記フォームからお気軽にお問い合わせくださいませ。