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    外国人社員の在留資格が取り消されそうになったら?

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    目次

    もし外国人従業員の在留資格が取り消されそうになったら?

    「自社の外国人社員宛てに在留資格の取消に関する「意見聴取通知書」が届いたんだけど、これって在留資格が取り消されて強制送還になってしまうっていうこと!?」

    「せっかく一生懸命働いてくれているのに、もし強制送還になるとしたら、人情としても経営としても辛すぎる…

    確かに、在留資格の取消に関する「意見聴取通知書」が届いたということは、その外国人社員は在留資格の取消事由に該当しているという疑いがかけられており、対策も何もしないと強制送還されてしまう可能性があります。

    その社員の事情を入念に聞き、本記事で紹介する方法で対応をお願いします。

    本記事ではそもそも在留資格取消しの制度がどんなものなのか、自社の外国人社員に「意見聴取通知書」が届いたらどうすればいいのか基本から解説いたします。

    そもそも在留資格取消制度とは?

    外国人社員が日本で働くためには、実際の職務内容や働く場所についての許可を得る必要があります。その許可が在留資格です。

    在留資格取消制度とは、外国人が嘘をついて活動許可を得たり、違反行為をしたりした場合に、保有している在留資格を取り消す制度のことです。

    在留資格の取消しが確定すると、その外国人は日本から出国しなければなりません。後述する取消事由によっては直ちに退去強制の対象となるケースもあります。

    また、定められた期間内に出国しない場合、刑事罰の対象にもなってきますので注意が必要です。

    実際の取消件数は?

    平成31年・令和元年の取消件数は933件となっており、前年比19.4%の増加、4年前の平成27年と比較すると224.5%増加と、近年取消件数が急増しています。下のグラフは、過去5年間の在留資格取消件数です。

    出典:平成31年・令和元年の「在留資格取消件数」について(法務省)

    なぜ在留資格の取消件数が急増しているのか?

    統計をとっている出入国在留管理庁の説明によると、

    「29年施行の改正入管法の運用が軌道に乗ってきたため」

    とのことです。

    実際、取消の手続きは速やかになってきているようです。

    ただ、迅速な取消対応がなされるようになった実際の事情は、

    「技能実習生の失踪や、所在不明の留学生が社会問題化し、法務省が対策を強化した

    ことにあるようです。

    令和元年6月には、東京福祉大学で1,610人の留学生が所在不明になっていたことが発覚し、大問題になりました。

    政府は、今後更に外国人の受け入れ人数を拡大していく中で、特に犯罪の温床となりうる、

    ①就労目的と知りながら留学名目で受け入れる教育機関

    ②低賃金や長時間労働を強いる悪質な実習生受け入れ先

    を撲滅し、外国人の失踪を根源から断つことにしたのです。

    実際、取消処分となった方の国籍は留学生や実習生を数多く送り出していた、ベトナム、中国、ネパールがメインになっています。

    下のグラフは平成31年・令和元年の国籍別取消件数です。

    出典:平成31年・令和元年の「在留資格取消件数」について(法務省)

    何をすると在留資格が取り消されるのか?

    在留資格が取り消される原因を大別すると下記の3つの場合があります。

    ①虚偽記載などの不正な手段によって許可を受けた場合

    在留資格申請の際に、偽造書類を提出したり、嘘の申立てをしたりして許可を受けたことが明らかになると、在留資格取消の原因となります。

    例えば実際には稼働しない会社を勤務先として申請したりする行為です。

    法律では下記の4点に該当します。

    入管法22条の4第1項第1号

    上陸拒否事由に該当しないものと偽り、上陸許可を受けたこと

    入管法第22条の4第1項第2号

    第1号に掲げるものののほか,偽りその他不正の手段により,上陸許可等を受けたこと

    入管法第22条の4第1項第3号

    第1号及び第2号に掲げるもののほか,不実の記載のある文書又は図画の提出又は提示 により,上陸許可等を受けたこと

    旧3号

    第1号及び第2号に掲げるもののほか、偽りその他不正の手段により上陸許可等を受けたこと。永住許可申請において日本人配偶者との婚姻の実態がないにも関わらず同居をしている旨を申請書に記載したこと。

    出典:平成31年・令和元年の「在留資格取消件数」について(法務省)

    聴取後に、上記、1号か2号に合致すると判断されると、即時に退去強制命令が出されます。他の理由よりも悪質性が高いとされるためです。退去強制命令が出された場合は、不法滞在者として収容ののち、自国に送還されます。

    また、3年以下の懲役または禁錮、300万円以下の罰金のいづれかまたは両方が課せられる場合もあります。

    ②在留資格に基づく活動を継続して一定期間行っていない場合

    配偶者の在留資格で在留している方が婚姻破棄後に6ヶ月以上在留していたり、入管法別表第1の在留資格(留学や就労、家族滞在の在留資格)で在留している方が辞職などで仕事を辞めてから3ヶ月以上在留していたりすると、在留資格取消の対象となります。

    平成31年・令和元年の取消事由のうち、下記の6号が最多の430件、次いで5号が376件と、80%強が「在留資格に基づく活動を継続して行っていない」ことが理由となっております。

    入管法第22条の4第1項第5号
    入管法別表第1の在留資格をもって在留する者が在留資格に応じた活動を行っておらず, かつ,他の活動を行い又は行おうとして在留していること

    入管法第22条の4第1項第6号
    入管法別表第1の在留資格をもって在留する者が在留資格に応じた活動を3月(高度専門職は6月)以上行わないで在留していること

    入管法第22条の4第1項第7号
    「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の在留資格を有する者が在留資格に応 じた活動を6月以上行わないで在留していること

    出典:平成31年・令和元年の「在留資格取消件数」について(法務省)

     

    ③中長期在留者が住居地の届出を行わない場合又は虚偽の届出をした場合

    上陸許可や在留資格の変更許可申請によって新たに中長期在留者となった者が、90日以内に法務大臣に対し住居地の届出をしない場合や中長期在留者が、法務大臣に届出でた住居地から退去した日から90日以内に、法務大臣に新しい住居地の届出をしない場合、中長期在留者が、法務大臣に虚偽の住居地を届け出た場合などは、在留資格取消の対象になります。

    法律では下記の2点に該当します。

    入管法第22条の4第1項第9号
    届出住居地から退去した後,90日以内に新住居地を届け出ないこと

    入管法第22条の4第1項第10号
    虚偽の住居地を届出

    出典:平成31年・令和元年の「在留資格取消件数」について(法務省)

    ※第4号及び第8号は少なくとも過去5年発生していないため割愛します。

    在留資格取消の流れは?

    在留資格を取消する流れは下記のようになります。

    ①上記の取消事由に該当し、法務大臣が取消を行おうとする場合、入管が該当の外国人に「意見聴取通知書」を送付。

    この意見聴取通知書に記載されている日付と場所で聴取が行われます。

    ※正当な理由なくこの聴取に応じない場合は、意見を聴取せずとも在留資格の取り消されます。

    ②本人または代理人は、意見聴取の場で、入国管理局の審査官に対し陳述・証拠提出を行う。

    外国人の代わりに参加できる代理人には、未成年者の親権者、後見人等の法定代理人、在留資格の取消の対象者が代理人として委任した弁護士などです。利害関係人の人事担当者もこの際に外国人の代理として出席することが可能です。

    ③取消決定後、入管が該当の外国人に「在留資格取消通知書」を送付。

    基本的には出国のための準備期間が30日を超えない範囲で付与されます。この際、住む場所や行動範囲の制限などの条件も合わせて付与されます。

    この期間内に出国した場合には、待機強制処分を受けたことにはならず、在留期間内に出国する場合と同様に取り扱われます。

    つまり強制退去処分よりは再入国がしやすいということです。

    ただし例外として、

    「当該外国人が逃亡すると疑うに足りる相当の理由がある場合には、この限りではない。」

    とされています。

    つまり、悪質性が高い場合(上陸拒否事由に該当していることを偽った場合や日本での活動内容を偽った場合)には直ちに退去強制となります。


    ※この期間内に日本語学校入学などで在留資格変更をすることはできません。もう一度日本に入国するためには、再度入国するための「在留資格認定証明書交付申請」が必要です。

    自社の社員に在留資格取消に関する聴取の通知がきたら?

    自社の外国人に在留資格取消に関する聴取通知書が届いた場合、まずは人事担当者が、丁寧なヒアリングによる事実確認をしましょう。

    人事担当者は利害関係人ですので、代理人の一人として聴取の場で意見を述べることができます。
    本人に事情を聞き、取消事由に該当しない場合には、その理由を説明・立証する必要があります

    仮に、取消事由に該当する事実がある場合でも、すぐに諦めないでください。

    取消か否かは法務大臣の裁量の範囲です。

    取消事由に該当することとなった理由、反省の言葉および再発防止のための施策、日本に在留する必要性、あるいは家族関係等の資料を提出し、在留資格を取り消さないでほしいという要望を提出してください。

    大事な社員を守るために、できることはやり尽くしましょう。

    在留資格取消事由に該当している場合でもセーフとなる正当な理由とは?

    ここまでに紹介してきた在留資格取消事由に合致している場合でも「正当な理由」がある場合には、在留資格が取り消されません。

    【例1】在留資格に関係する活動を継続して3ヶ月以上行わずに日本に在留している正当な理由

    1. 面接など、具体的な就職活動を行っていると認められる場合。
    2. 在籍していた教育機関が閉校した場合に、他の教育期間に入学するために必要な手続きを進めている場合。
    3. 病気治療などで長期間の入院が必要だが、退院後はもともと許可されていた活動に戻る意思がある場合。
    4. 留学生で、専修大学を卒業後に日本の大学への入学が決定している場合。

    【例2】新たに中長期在留者になった者が、許可を受けてから90日以内に法務大臣に対し、住居地の届出をしない場合、又は、中長期在留者が法務大事人に届け出た住居地から待機した日から90日以内に、法務大臣に新しい住居地の届出をしない場合の正当な理由

    1. 倒産や派遣切りで経済的困窮に陥り、新たな住居地を定めていない場合
    2. 配偶者からの暴力(いわゆるDV)を理由として避難又は保護を必要としている場合
    3. 病気治療のため医療機関に入院している等、医療上の止むを得ない事情が認められ、本人に代わって届出を行うべきものあがいない場合
    4. 転居後急な出張により再入国出国した場合等、再入国許可(みなし再入国許可を含む。)による出国中である場合
    5. 頻繁な出張を繰り返して1回当たりの本邦滞在期間が短いもの等、在留活動の性質上住居地の設定をしていない場合

     

    まとめ

    以上本記事では在留資格取消の制度がどんなものなのか、自社の外国人社員に「意見聴取通知書」が届いたらどうすればいいのか解説いたしました。

    ただし、ベストは入り口の時点で、そういった問題が無いかしっかりと事前調査することです。

    実は特定技能移行者が想定よりも少なくなっている理由の一つに、技能実習生として日本に来日する場合の職務経歴の虚偽記載があります。

    違反はいずれ問題になります。クリーンな人材を採用するに越したことはありませんので、とにかく採用時に最善の注意を払うようにしましょう。

     
     

    1989年生まれ。2011年に大学卒業後、新卒で倉庫会社に入社。その後、フォワーダー、船社に転職し、国際物流業界にて経験を積む。主に、輸出入業務、東南アジアなど新興国での物流業務に従事。「人材」という側面からより深く東南アジアと関わるべくリフト株式会社にジョイン。外国人人材、特に技能実習生・特定技能人材の活用提案、Onboarding業務にて経験とノウハウを築き、現在は、マーケティングを担当。