• 株式会社ワールドバリュー・ブリッジ
  • 代表取締役社長
  • 方完植 氏

今こそが、韓国の優秀な若者を採用するチャンスである理由とは?

目次

↑株式会社ワールドバリューブリッジ代表の方氏。韓国の大学卒業後、日本に来日し、以後一貫して日本でキャリアを築いて来られた。現在は日本と韓国の両国をつなぐ様々なビジネスに取り組まれている。

GSOMIA関連の報道を見る限り、日韓関係はかなり冷え込んでいるみたいだな。」

「外国人を採用するとしても、韓国は無理そうだなぁ。」

このように、無意識に韓国人を採用対象から外してしまっている人事担当者の方も多いのではないでしょうか?

実は現在、優秀な韓国人を採用するための、絶好のチャンスが到来しつつあります。

今回は、

なぜ、今、日本企業は優秀な韓国人を採用するチャンスなのか?

について、韓国出身の在日経営者として、日本と韓国をつなぐための、人材・介護・インバウンド事業を営んでおられる株式会社ワールドバリュー・ブリッジの方代表にお話をお伺いしました。

それではまず、韓国の人材動向から教えていただきましょう。

絶望的な韓国の雇用状況

↑政府の支援を受けてIT技術の学び直しをしている韓国の若者達

ーーまずは、なぜ今、日本企業は優秀な韓国人を採用するチャンスなのか教えてください!

方氏:一番大きな理由は韓国の絶望的なマクロ経済状況にあります。国全体の経済状況が悪化しており、国内人材の就労支援のため、韓国政府は今、日本企業を含む海外企業を頼ろうとしています。

K-move」という韓国の政策をご存知ですか?

ーーいえ、初めてお聞きしました!

方氏:「K-move」とは韓国政府が国家課題として挙げている、韓国青年の海外就職支援事業のことです。韓国政府は、国内で就労できない人材の就労先を確保するために、国内の仕事を作るのではなく、彼らを海外で働けるようにするための施策に予算を割いています。

特に、全世界的に不足しているエンジニアを育成し、諸外国への就職を後押ししています。

ーー具体的にはどのような形で支援をしているのですか?

方氏:20代〜30代前半の若者を対象に、C言語などの開発言語や、CADなどの設計技術、そして英語や日本語などの言語を、一人あたり100万円前後の予算を用いて再教育しています。それだけではなく、実際にその再教育制度を活用し、外国の企業に就労した人材には、定着金として一人あたり20万円前後支給されます。

ーー海外に活路を見出す人材を国が強力にバックアップしておられるのですね。

方氏:個人的には、諸外国への就労支援を行う前に、もっと国内の需要喚起に投資すべきだと思っていますが、海外志向のある若者にとっては非常に素晴らしい制度でしょう。

ーーどんな方が諸外国で就労を希望されるのですか?

方氏:最初にお話したマクロ経済状況悪化の話に戻るのですが、現在韓国で大学卒業後に正社員として就労できるのは、首都圏の大学を卒業したトップ層くらいです。地方の大学の人材はたとえ優秀な方であれ、就職活動のスタートラインにも立てないような状況になっています。よってそのような、地方大学卒の人材や社会人になったのちマクロ経済状況の悪化によって解雇されてしまった方などが、国のバックアップを利用して学び直し、諸外国の企業へ就労しています。

ーー語学力はどのくらいのレベルにあるのでしょうか?

方氏:日本語力はN1、N2が多く、英語力はTOEIC800点以上の方が多いです。会話力に力を入れた研修を受けており、受け応えもしっかりされている方が多いのも特徴です。

↑日本語教育の様子。学習言語は自分で日本語か英語を選択することができる。

ーー韓国人の学習意欲は非常に高いと伺っていましたが、そんなにレベルが高いのですね。ちなみに、この制度を利用して実際に海外就労する人材は年間何名くらいおられるのですか?

方氏:現在、K-move関連の弊社パートナー教育機関からは年間200人から300人です。そのうちの何割かが、日本の開発会社にエンジニアとして就労します。ちょうど先日、日本のIT企業の求人票でK-move関連の弊社パートナー教育機関の担当者に希望者を募るように依頼した際には、なんと一人募集の求人に対し、レベルの高い人材が10数名集まりました。韓国国内の状況は知っておりましたが、私が韓国にいた時代は日本で働くことに対するハードルが非常に高かったので、こんなに集まるものかとびっくりしました。

ーー国内人材のメンタリティも変わってきているということでしょうか?

方氏:そうですね。日本への就労希望者と何度も面談をするうちに、だんだんと彼らの特徴が掴めてきました。若い世代であればあるほど、日本への親しみがあるのです。

ーー「日本への親しみがある」とはどういうことでしょうか?

方氏:現在でこそ、日韓関係の悪化により飛行機の本数が減ってしまいましたが、それでも昔と比較して格段に日本に行くことが簡単になっています。旅行や留学、ワーキングホリデーなどで若いうちに日本を経験している人材も多くいます。また、インターネットの発達によって、アニメやアイドル、ドラマなどの文化的な交流も発展しているので、若い世代の韓国人にとって、日本は本当に身近な存在なんです。

ーーそうなんですね!

方氏:面談した方の中には、

「なぜ欧米ではなく日本で働くこと選んだのか?」

という質問に、

「日本のラーメンが好きだから。」

と回答された方がいました(笑)

ワーキングホリデーで日本に来た際に、日本のラーメンに一目惚れしたそうです。

ーーラーメンは日本が誇るソフトパワーですね!

方氏:その他、現在日本で就職活動中の30歳の韓国人エンジニアと話をする機会があったのですが、その彼が、

政治的には日本と韓国は対立状況にあるけれど、個人として旅行などで経験した日本は素晴らしかったし、日本で働くことにそこまで障壁を感じていない。

と言っていました。若い世代の日本での就労を希望する韓国人にとって、日本は、

気軽に働きにいけるくらい、親しみのある国

なんです。

ーーそうなんですね。方氏の時代には、わざわざ日本で働くことを選ぶ方は少なかったとのことですが、なぜ方氏は日本で働くことを選んだのですか?

方氏:私が日本で働くことを選んだ理由は2つありました。1つは、日本への留学中に、様々な日本人に本当に良くしていただいたことです。日本に留学するまでは、日本に対して非常に閉鎖的だというイメージを持っておりましたが、個人レベルでいうと必ずしもそうではないんだなということがわかりました。留学中様々なことで大変だった中で、お世話になった日本人も非常に多かったので、この国に何かしらの形で恩返しがしたいと思うようになりました。

ーーもう一つの理由はどのような理由だったのでしょうか?

方氏:もう一つは、妻(日本人)に出会ったことです。もともと帰国予定だったのですが、妻との素晴らしい出会いが、日本で就職する決断を後押ししてくれました。

相談にきた韓国人の後輩に必ずアドバイスすることとは?

↑方氏は日本企業での長い就労経験を生かして、日本でつまづきやすいポイントをアドバイスしている。

ーー面談の際にはご自身が日本企業で働いていた経験を生かし、つまづきやすいポイントなども指導されているそうですね。

方氏:そうです。日本企業で働くために特有のスキルを磨いてもらい、失敗しないようにしてもらっています。

ーー具体的にはどんなアドバイスをされるのですか?

方氏:とにかく「ホウレンソウ」をきちっとやることです。日本の職場では、どんなに小さなトラブルや、あるいはまだ発生していないトラブルの芽ですらも上司に相談する文化があります。例え自分の能力で対応できそうな事案であったとしても、同業での経験が長い上司の方が自分より良いアイディアを持っているかもしれません。上司の思考を借りるつもりで相談するのです。

しかし、韓国の会社にはそう行った風習があまりありません。韓国だけでなく中国もそのようですが、上司たるもの完璧な指示をするもので、部下である自分は黙って指示を実行すれば良い、上司の時間を些細なことで無駄にするのは能力がないと評価されてしまうという考え方です。日本はなんだかんだでコミュニケーションがフラットですが、中国と韓国ではあまり一般的ではないことなのです。

ーーそれでは、トラブルがあっても抱え込んで爆発してしまいそうですよね。

方氏:そこなのです。

トラブルが悪化する前に、なぜ報告しないのか?」

と言う日本人上司と、

私は指示通りの仕事をした結果生じたトラブルに対してなぜ怒られなければならないのか?」

と思う韓国人、中国人部下の間に、軋轢が生じてしまうのです。

より柔軟にコミュニケーションをとり、組織に対応してもらうようにするようにアドバイスしております。

もっと外国人が働きやすい日本にするためには?

ーー今後の韓国人材と日本企業の関係性はどのようになっていくとお考えですか?

方氏:現在、政府からの補助を得て、技術や外国語を学んで海外で就労できるのはITや建築などの、高度人材に限られていますが、水面下では、宿泊業や外食業などのサービス業に従事する人材の教育・海外就職支援にも政府予算を利用しようとする大きな動きがあります。これまでの制度では対応できていなかった、文系人材の就労先を確保するためです。もしそれが実現すれば、より人材の移動が活発化すると思っています。

ーー日本が今後、韓国人に就労場所として選んでもらえる国であるためにはどうすれば良いとお考えですか?

方氏:まずは現場で国籍の異なる同僚同士が互いに理解をし合おうとする姿勢を浸透させることが大切ではないかと考えています。私が新卒で就職した企業は非常に暖かい雰囲気があり、会社終わりに、私の家で「方方亭」なんて冗談を言いながら焼肉パーティをするくらい仲良くさせていただいたのですが、色々な話を聞いていると、どうやら、本当に私は恵まれていたようで、同僚と良好な関係を結ぶのに苦労している外国人も多いようです。

ーー自分を理解してもらう前に、相手のことを理解しようとする姿勢が大事なのですね。

方氏:あとは、日本に働きに来た外国人が孤独にならないためのライフラインのサポート・システムが必要だと思います。先に日本に来ている同郷の先輩にだけではなく、生活面について相談できるようなサービス・システムがあれば良いと感じています。実は現在、弊社もそのようなシステムの構築に取り組んでいます。日本と韓国、そして世界を結ぶ架け橋となれるよう、今後も活動して参ります。

ーー大変勉強になるお話をいただきありがとうございました!

編集後記

今回は韓国出身の在日経営者として、日本と韓国をつなぐための、人材・介護・インバウンド事業を営んでおられる株式会社ワールドバリュー・ブリッジの方代表にお話をお伺いしました。政治レベルでは対立関係にある両国ですが、個人レベルの良い体験を増やしていくことで、両国の関係を少しでもよくして行きたいという素敵なお話を聞き、本当に素晴らしいなぁと思いました。当マガジンでは今後も、Diversity&Inclusionを実現するために有益な情報発信を続けて参ります。

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1995年 横浜国立大学大経済学部研究課程履修。1995年 日本ゲートウェイ株式会社に入社しサプライチェーンマネジメントに携わる。その後、経営コンサルタントとして活躍した後、2017年10月 株式会社ワールドバリュー・ブリッジ代表取締役就任

現在は日本と韓国両国の架け橋になるべく、

①韓国介護企業の日本の介護業視察・研修・交流のアテンド

②韓国企業の日本展示会参加・観光等インバウンドのアテンド

③今回詳細の話を伺った人材紹介業

の三本の矢で事業展開をしている。

HP:http://ecareer-bridge.com/