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    技能実習生の途中帰国で多い理由は?2つの最新事例と対策をご紹介!

    目次

    「事前に途中帰国の原因や様々な事例を理解しておき、技能実習生の帰国を未然に防ぎたい!」

    確かに、受け入れた技能実習生に途中で帰国されてしまったら、受け入れのための初期費用(渡航費用や住居費用)や労力(住居探し、受け入れ態勢の準備)が無駄になり、せっかくのチャレンジも、

    やめときゃよかった。

    と後悔だけが残る結果になってしまいます。

    実は、途中帰国で困るのは受け入れ企業だけではありません

    技能実習生本人としても3年間働いた上での人生設計も台無しになりますし、監理団体としても普段の業務に途中帰国の手続きなど業務負担ばかり増えてしまいます。

    今回は、そんな関係者全員を不幸にする途中帰国が生じる原因について、2名の監理団体職員さんに最近起こった事例を踏まえて教えていただきました。

    技能実習生の受け入れに関しては、とにかく石橋を叩いて渡ることが大切です。

    今回ご紹介する事例を通じ、途中帰国が生じてしまう原因とそれを未然に防ぐために企業ができる事を理解しておきましょう。

    ※企業名及び実習生の個人情報は非公開とします。

    事例1:季節の変わり目に手術跡が痛み、帰国。

    以下、監理団体職員Aさんのお話を要約します。

    受け入れの経緯・実習状況

    関東一帯でとび業を営んでいるA社は同業(とび・解体作業)のB社から技能実習制度について紹介を受け、トントン拍子で受け入れが決まった。

    技能実習開始の理由としては、最近現場で実習生を見ない日はなく、自社でも実習生の受入には興味を持っており、その中で同業者からも紹介を受けて、

    「自社でもチャレンジしよう!」

    と受け入れを決断された。

    A社(役員)は建設業界の労働環境も変えていかなければいけないという考えを持っており、昔ながらの暴力(作業ミスがあった際に頭を殴るなど)や怒鳴る等の悪習を絶たなければいけないと考えていた。その為、実習生に対しては日本人従業員以上に暴力・怒鳴る・いじめをしないように全従業員に言い聞かせていた。

    2019年1月初旬から実際に就労を開始すると、日本人従業員の方も、

    「実習生2名が来てくれて助かっている。」

    と言っており人間関係も良好で非常に良いスタートを切った。

    具体的な実習の状況でいうと、手取り金額平均が13-15万円。母国への仕送りも十分な額を行う事ができ、当初は実習生も非常に喜んでいた。

    ※実習生の手取りは日本人の手取り金額とは異なり、家賃、水光熱、通信費を給与から控除された金額になるため、実質の額面金額に換算すると、18万円~20万円になる。

    ただし、繁忙期には日本人同様に休日出勤をする月もあった。

    問題概要

    2019年9月面談時、技能実習生のフンさん(仮名)が急に途中帰国したいと申し出る。

    理由としては、

    「幼少期に経験した交通事故の後遺症(手術をしており、季節の変わり目になると、手術痕が痛む。)があり、最近は強く痛みが出る為、肉体労働を続けることが出来ないし、このまま続けると健康面が不安でしかたない。」

    とのこと。

    A社は本人の申し出後に監理団体に相談し、3者間で今後について話し合いを行った。フンさんからは重量物を運ぶなど肉体的にきつくない作業であれば、継続できる申し出があった。

    A社も、フンさんは確かに体力面があまり強くないが、手先が器用なので細かい手元作業で重宝しているし、性格が良く、よく頑張ってくれているため3年間是非残って頑張って欲しいとして、本人の意思を尊重することを約束する。それ以外にも従業員同士のコミュニケーションを増やしてもらうことや少しでもはやく従業員と打ち明けてもらうために、飲み会を始めとした会社行事を積極的に開催する等の努力をしていた。また、重量物を扱うような負担がかかる作業を極力行わせないようにするなど、フンさんが働きやすい環境を作るための対策を講じていた。

    2ヶ月後の118日(金)夜20:00頃、監理団体通訳にフンさんから連絡があった。

    手術跡が痛むので、翌日の仕事を休みたい。会社に報告してくれませんか?」

    監理団体の通訳から報告を受け、体調不良ということで休みの許可を出した。

    11月10日(日)フンさんは金曜と同様に、

    体調不良のため翌朝の仕事を休みたい。」

    と直接社長に連絡。

    3日経っても体調がすぐれないという報告がきたので、実習生の体調を心配し社長自ら実習生寮に訪問すると、フンさんはソファーでくつろぎながらタブレット端末でゲームをしていた。

    社長からフンさんに本当に明日仕事を休まなれればいけないほど体調不良なのかを問いただすと、

    「明日は仕事できます。」

    となり、11日は仕事に出ることになった。ただ、A社としては本当に体調不良なのか実習意欲が低下した為なのか判断がつかなかった為、翌日、管理団体含め再度3者間で話し合いの場を設けた。

    11月11日(月)監理団体職員、送り出し機関職員、通訳、社長、フンさんで面談。フンさんは終始健康が心配のため、ベトナムに帰りたいと発言。しかし、社長に席を外してもらい、管理団体職員と通訳で本当の事を話して欲しいと尋ねたところ、実情は実習意思の低下による帰国希望だった

    社長は会社としても、意欲のない人間に現場に来られてしまうと、事故に繋がりかねないとして、途中帰国に合意。

    実習開始から1年満たず、途中帰国することに決まった。

    事例2 過去に患った心臓病のせいで体力的に厳しいと訴え、帰国。

    次に監理団体職員Bさんのお話を要約します。

    受け入れ経緯・実習状況

    関東で建設業(とび・解体作業)を営んでいるB社もA社同様に、周囲で話題になっていた技能実習生の受け入れに挑戦することに。

    2019年6月の配属日、B社は待ちに待った実習生の配属を喜び、全社で歓迎。

    「これから3年間、B社に来て良かったと思えるように、会社も努力していくので、一緒に頑張ろう。」

    と激励の声をかける。

    実際B社は実習生に優しく、ここで働いて良かったと思ってもらえるようにと、休日でも買い物に付き合ったりなど良く面倒を見ていた。

    問題概要

    配属から4ヶ月程経過した、2019年10月中旬頃、アインさん(仮名)から、監理団体へ

    「ベトナムにいた時に肺を患ったことがあり、今の仕事が体力的に厳しいので帰国したい。

    と連絡が入る。

    監理団体からB社へ報告をし、B社もアインさんの体調を考慮し、すぐに病院へ連れて行くため、監理団体へ通訳の手配を依頼した。

    ただ、ベトナムでアインさんと面談した際の履歴書には病気を患ったということは一切記載がなく、監理団体を通して送り出し機関にも確認をしたが、送り出し機関としても肺を患っていたということは一切把握していなかった。

    後日、検査の結果は異状無しであった。

    送出し機関からの情報を含めアインさんに改めて確認をしたところ、ベトナム時代に肺を患っていたが、病院には行っておらず、薬を飲んで直したと説明をしていた。

    監理団体としては本当の退職理由は実習意欲の低下だが、病気を理由にして辞めようとしているのではないかという疑いがあったため、やる気のない人がいても現場で事故に繋がるだけなので、本人の希望通り帰国させることをB社に提案した。

    ただ、B社はアインさんが面接の時に話していた目標や将来の夢が叶わなくなってしまう、また来日するために少なくない費用をかけていることもあり、何とかアインさんを応援したいと思い、従事する業務を見直すことにした。

    具体的には重量物を運ぶなどの体力的に厳しい仕事から軽作業へと配置転換し、肉体的に苦しいそうに見えた場合には、本人が自己申告する前に十分な休憩をとってもらうようにした。

    しかし、本人のやる気が低下してしまっていたために、体力的な負荷が軽減されても帰国の意思は変わらなかった。

    結果、体調不良を訴え出してから1月後の11月に中旬頃帰国することになった。

    なぜ途中帰国が生じてしまったのか?

    監理団体職員Aさん、Bさんのお話から、二つの事例の原因は共通していることがわかった。ここからは途中帰国が生じてしまった原因をまとめる。

    原因・背景

    途中帰国が生じる原因は、技能実習生自身の理想と現実の大きなギャップにある。

    今回のフンさんに関しても、実際に現場で行なっていた作業の辛さ・きつさが、日本に来る前の想定を上回ってしまったことが、実習意欲の低下につながったと考えられる。

    また、理想と現実のギャップを乗り越えられない人材を選抜してしまう面接方法にも原因があると考えられる。

    現状、面接の選抜方法は簡単な学力試験→体力試験→口頭面接→合格者及びご家族との面談となっている。しかし、体力試験は何分間腕立て伏せをできるか・重りを持った50m走等、簡単なものばかりとなっているので、当該試験で1番成績がよくても、実際の日本での仕事(足場材の上げ下ろしを1日中行うことや高所作業等)に耐えられるかどうかまでは見極めることができていない。

    また、家族面談の際に作業中の写真や動画を見てもらっているが、実際に体験しているわけではないので、どの程度辛いのか想像ができていない。

    以上の結果として、採用のミスマッチが生まれてしまっているのではないか。

    どうすれば途中帰国を防ぐことができるのか?

    ここまでの内容を踏まえると途中帰国を防ぐための施策は、

    「面接方法を変えること。」

    この一点にかかっていると考えられる。

    具体的には、心を鬼にして日本の建設業の辛さを体験できるような長時間の重量物の運搬や実際に3-4階での高所作業を経験してもらう等のハードな試験を課すべきだ。

    入り口に甘さがあると、結局のところミスマッチが生まれ、関係者全員にとって不幸な結果に終わる。

    とりわけ技能実習生には借金だけが残る。

    技能実習生のためにも面接は非情に徹すべきだろう。

    まとめ

    今回は、受け入れ企業が変わろうと努めても、技能実習生側の日本で働くことに対する認識が甘いと途中帰国は生じてしまう可能性が高いということが分かる事例でした。

    働きやすい環境を作ったり、生産性を高めることに投資したりする企業努力は当然ながら、今後も継続して行かなければなりませんが、それだけではなく、技能実習生が日本に来る前から、

    「日本で働くことは自分が思っている以上に厳しい」

    と、認識できる試験を実施することが大切なようです。

     
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    マーケティング部

    福島県内の高校卒業後、東北大学に入学。在学中は硬式野球部に所属。英語学、心理学、英語教育学を専攻。卒業後は社会を構成する『ヒト・モノ・カネ・情報』が遍在することで生じる歪み(社会問題)をビジネスを通して適正化するというミッションに共感しリフト株式会社に入社。現在はマーケティングを担当。