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    • 関根謙志郎

    社労士の小泉先生に外国人雇用の助成金について聞いてみた。

    外国人雇用は難しくない

    外国人雇用の7ステップ毎の実務と注意点を弊社オリジナルEbookとしてまとめました!

    ・自社に合った人材を採用する方法

    ・ビザの申請について

    ・外国人を雇用する企業が利用できる助成金

    など、全37ページに渡って詳細に解説しています。

    ぜひ、外国人雇用の初めの一歩にご活用ください。

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    目次

    小泉様 ファン様 取材記事-2
    東京国際社会保険労務士事務所

    代表社会保険労務士 小泉沙織 (Saori Koizumi)

    「働きやすさを改善すれば、企業はさらに発展する。」ことへの強い思いから開業。従業員様の人数が10名未満のところから100名以上の規模も含め、オーダーメイドでの親身な対応が好評。社長が一人で抱えている様々な労働課題に寄り添いながら、頻雑な労務手続、給与計算、助成金申請等を全面サポートしている。

     

    ファン・ティ・テー・フォン 

    ベトナムのハノイ通信大学 マルチメディア学部卒業。日本語能力N2レベル。日本とベトナムを繋ぐ架け橋になりたいという夢の実現に向け、日々の翻訳業務やベトナム人材のサポート業務に取り組んでいる。

    ↑左から東京国際社会保険労務士事務所の小泉先生と専属のベトナム語翻訳・通訳士のファンさん

    「うちの会社でも企業助成金を受けたいんだけど、コースが複雑でよく分からないな。」

    「どこかに腕の良い社労士の先生いないかな?」

    そんな外国人雇用企業の社長様、労務管理担当者様も多いかと存じます。

    そこで今回は、外国人雇用企業の助成金申請を強みとし、このほど、登録支援機関にも登録された東京国際社会保険労務士の小泉先生を取材しました。

    小泉先生は、ベトナム人の翻訳通訳サポートを行うベトナム籍のファンさんを雇用している経営者でもあります。社労士と経営者、二足のわらじを履いていらっしゃる同氏だからこそのお話は非常に勉強になりました。

    本記事を読んで少しでも最近の助成金事情について理解が深まりましたら幸いです。

    助成金の審査は数年前から厳格化されてきている。

    ーーまずは事務所紹介からお願いします。

    小泉先生東京国際社会保険労務士事務所、代表社会保険労務士の小泉沙織と申します。当事務所は「外国人雇用企業の助成金申請」を強みとしており、現在は15社の助成金労務顧問をしています。つい最近、登録支援機関の認定がおり、今後はベトナム出身社員のファンさんと共に、外国人雇用企業を手厚くサポートしていこうと考えています。特定技能1号の方を支援する登録支援機関として、ベトナム語で対応できる人材がいるのも強みです。

    ーー社労士の先生というと、重厚なオフィスのイメージでしたが、非常におしゃれなオフィスですね!

    小泉先生ありがとうございます。社労士というとオフィスも堅い雰囲気で、連絡手段も電話やFax,メール、訪問など旧来のビジネスマナーに則って行うことが主流でしたが、そこもイメージを刷新してChatworkで繋いでいます。

    Chatworkとは無料で使えるビジネス用のチャットサービスのこと。

    「お世話になっております。」

    から始まるビジネスメールで聞くのは、億劫なちょっとした内容の確認でも、チャットだと

    「〇〇で合ってますか?」

    と、気軽に聞いていただけています。クライアントの95%以上はもうチャットでのコミュニケーションですね。

    ーー確かにチャットだとシームレスにコミュニケーションができますよね。

    小泉先生現在は求人票などから会社の労務管理全体を顧問している企業が15社ありますが、チャットを使うことによって、ストレスなくコミュニケーションができています。

    ーー助成金申請だけをスポットで代行はしないのですか?

    小泉先生昔はスポットで助成金申請代行も年50社ほど行なっていましたが、2年前から審査が非常に厳しくなってきたため一切スポットではやらないようにしています。

    ーー助成金申請が厳しくなったとはどういうことでしょうか?

    小泉先生かつては助成金の申請対象者である従業員が重点的に審査され、受け入れ企業に関しては詳細をチェックしていませんでした。

    しかし2年前から、

    会社として36協定をちゃんと出しているのか?」

    「36協定をオーバーしていないのか?」

    「年次有給休暇をフルタイムの従業員にしっかり五日間取らせているのか?」

    といった、会社として問題がないかというところも含めて審査されるようになっています。

    さらに現在ですと、

    「求人票の表現はと実際の差異はないか?」

    「雇用契約書は適正で、現実との差異はないか?」

    「対象者だけではなく、他の社員と比較した時にどうか?」

    まで厳格にチェックされるようになってきました。

    つまり助成金申請は会社の労務・契約関連全体を問題ない状態にする定期的なメンテナンスが前提になったということです。

    ーーなるほど、だからスポットでの申請は受けないようにされたのですね。

    外国人を雇っている企業が狙うべき助成金はこの4つ!

    ーー具体的に外国人を雇用した際にもらえる助成金にはどういったものがあるのでしょうか?

    小泉先生会社の状況によって戦略が何通りもできるため、状況を聞かずに一概にこれと提示するのは難しいのですが、もし、新たに外国人を採用したら?という状況設定で活用できる可能性があるのは次に述べる4つです。

    ①キャリアアップ助成金の諸手当制度共通化コース

    ②キャリアアップ助成金の正社員転換コース

    ③時間外労働改善助成金の勤務間インターバルコース

    ④時間外労働改善助成金の人材確保等支援助成金・働き方改革支援コース

    社会保険に加入していることを前提として、状況によっては4つ全てを適用することが出来ます

    また、毎年4月1日に助成金制度が更新されるため、その際新たな選択肢が生まれる可能性がありますが、ここで紹介した助成金に関しては、来年の4月からも変わらないと言われています。

    ーー外国人を採用した場合に申請が可能な4つの助成金についてより詳しく教えていただけますか?

    小泉先生わかりました。まずは一つ目のキャリアアップ助成金の諸手当共通化コースから説明します。

    ーーお願いします!

    小泉先生この制度は契約社員と正社員の格差是正を応援するための制度です。もし正社員がすでにいらっしゃるのであれば、正社員の方と契約社員の手当を共通にすると、「キャリアアップ助成金の諸手当共通化コース」を適用することができます。諸手当制度共通化コースで支給対象となるものは下記11個で、このうちいずれかを新設し正規雇用社員と同じ条件で適用する必要があります。

    ※少なくとも、6ヶ月の支給実績が必要です。

    ①賞与
    一般的に労働者の勤務成績に応じて定期又は臨時に支給される手当(いわゆるボーナス)

     

    ②役職手当
    管理職等、管理・監督ないしこれに準ずる職制上の責任のある労働者に対し、役割や責任の重さ等に応じて支給される手当

     

    ③特殊作業手当・特殊勤務手当
    著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務に従事する労働者に対し、その勤務の特殊性に応じて支給される手当

     

    ④精皆勤手当
    労働者の出勤奨励を目的として、事業主が決めた出勤成績を満たしている場合に支給される手当

     

    ⑤食事手当
    勤務時間内における食費支出を補助することを目的として支給される手当

     

    ⑥単身赴任手当

    勤務する事業所の異動、住居の移転、父母の疾病その他やむを得ない事情により、同居していた扶養親族と別居することとなった労働者に対し、異動前の住居又は事業所と異動後の住居又は事業所との間の距離等に応じて支給される手当

     

    ⑦地域手当
    複数の地域に事業所を有する場合に、特定地域に所在する事業所に勤務する労働者に対し、勤務地の物価や生活様式の地域差等に応じて支給される手当

     

    ⑧家族手当
    扶養親族のある労働者に対して、扶養親族の続柄や人数等に応じて支給される手当

     

    ⑨住宅手当
    自ら居住するための住宅(貸間を含む。)又は単身赴任する者で扶養親族が居住するための住宅を借り受け又は所有している労働者に対し、支払っている家賃等に応じて支給される手当

     

    ⑩時間外労働手当
    労働基準法に基づき法定労働時間を超えた労働時間に対する割増賃金として支給される手当

     

    ⑪深夜・休日労働手当
    労働者に対して、労働基準法に基づき休日の労働に対する割増賃金として支給される手当又は午後10時から午前5時までの労働に対する割増賃金として支給される手当

    ーーなるほど、とすると、外国籍の方を契約社員として雇用することが前提になるのですね。

    小泉先生そうです。ただし、ビザの種類によっては助成金に関係なく、最初から正社員であることが必要な状況もあります。ビザの問題をクリアできるのであれば、最初は契約社員として雇用し、諸手当共通化制度で助成金を受けた後、長期で続けてくれそうな方であれば、半年から1年後に正社員転換をすれば良いと考えています。そうすると、今度は正社員転換コースの助成金を受け取ることができます。ただ、あえて単純化して話ましたが、気に掛けるべき細かなルールがありますので、それらは個々の企業様の状況に合わせて対面でお伝えできればと思います。

    ーー外国籍人材を採用契約社員として雇用し、6ヶ月間諸手当を正社員と同様に提供した後、正社員転換をすることで、2つの助成金を両取りすることができるということですね。

    小泉先生そういうことです。次に3つ目の「時間外労働改善助成金の勤務間インターバルコース」についてですが、これは今年労務関連のニュースでもっとも話題になった、退勤後9時間は出勤してはいけないという制度を奨励するための助成金です。

    ーー具体的にはどんな場合に助成金が支給されるのですか?

    小泉先生労働生産性を高める機械や、勤怠管理クラウドサービスなど、生産性の向上や勤怠管理の厳格化に繋がるソフトを導入する場合に支給されます。他にも社労士が行う人事担当者向け労務管理説明会や就業規則セミナーなどにも適用されますので、普段は1日数十万円もかけてそういったセミナーを開催することはできない企業さんでも、4分の3の費用を助成金で負担してもらって働き方改革に対応セミナーを受けることができます。この場合ですと、支給には2人の社労士の先生に相見積もりをとった上で、費用の安い先生にセミナーを依頼すると助成金が支給されます。残念ながら令和元年度分は終了していますので、こちらに関しては令和2年4月1日発表の内容を確認してからということになってしまいますが。

    ーーなるほど。最後に働き方改革コースについてお願いします!

    小泉先生働き方改革コースとは、正確には「時間外労働改善助成金の人材確保等支援助成金・働き方改革支援コース」と言います。これは1人あたりの業務量を改善するという目的で、新たに人を採用した場合に、1人につき60万円を支給される制度です。これは勤務間インターバル助成金の交付決定、あるいは支給決定を受けている事を条件として申請することができます。

    ーー不勉強で申し訳ありませんが、交付と支給の違いを教えていただけますか?

    小泉先生交付とは、計画のことだと思ってください。交付申請とは例えば働き方改革コースの場合でいうと、1人あたりの業務負荷改善のための施策として人材を何人いつまでに採用しますという計画の申請をすることです。交付決定がおりたら、計画通り採用を実施し、実施報告をします。支給決定が降りると採用した人材1人あたり60万円支給されます。

    ーーなるほど、交付申請・交付決定・計画実施・実施報告・支給決定を経て助成金が支給されるのですね。

    小泉先生その通りです。話を戻して、働き方改革コースで気をつける必要があるのは、計画期間の指定の6ヶ月の間に採用した人のみについて支給されるということと、新しく採用したけれど、離職者が多く出てしまい、計画期間の期首の前日の雇用者人数よりも計画期間後の雇用者人数が増えていない、あるいは減ってしまっている場合には支給を受けることができません。その他のルールとしては、新規事業のために人を入れる場合は対象にならず、あくまでも生産性の向上のために人を入れる場合にのみ適用されるというルールがあります。

    ーー申請時期には気をつける必要があるのですね。

    小泉先生そうなんです。1年間ベースで考えて、◯月に採用しようとしている。であれば、働き方改革コースの計画届けはこの日に出そう、と逆算してやっていく必要があります。知らなかったために、計画外の採用になってしまってみすみす1人あたり60万円の支給を逃すのはもったいないですからね。

    ーー勉強になります!

    業務への姿勢にハングリーさを感じている。

    ーー小泉先生は社労士としては珍しく、外国籍スタッフを雇用されていますよね。そもそもなぜ採用を考えられたのですか?

    小泉先生登録支援機関として特定技能外国人の支援を行っていく上で、ベトナム語での支援、ならびに、労働条件通知書や就業規則、労務関係通知のベトナム語翻訳などを担ってもらうためです。また、外国人を雇用している企業様を支援していくのに外国人を雇用した経験がなければ、真にお客様の気持ちに寄り添った支援などできないだろうという思いもありました。

    ーーなるほどですね。雇用してみて驚いたことや大変だったことはございますか?

    小泉先生一番はコミュニケーションが円滑に進むことですねファンさん(日本語力N2)とチャットでも話し言葉でも業務上全く支障を感じていません。これが意外だったのと、彼女の業務処理スピードの速さにも驚きました。

    ーー日本語力だけではなく業務処理能力も素晴らしいのですね。

    小泉先生これは私見ですが、N2を取得されている方は、日本人で言うところのToeicが750から800点くらいのイメージで、地頭の良さもある程度担保されるのかなと思います。具体例を出すと、分からない場合に一度自分で調べて解決しようとし、それでも分からない部分だけ聞きに来てくれます。それがファンさんだからなのか、N2を取れるだけの資質がある方なら、自分で調べるのが当たり前と思ってくれるからなのかはわかりません。

    ーー弊社にも日本語力N2以上の方が在籍しておりますが、みなさん素晴らしい方です。

    小泉先生そうなんですね。ファンさんの場合には業務処理が早いだけではなく、ハングリーさがあるとも思います。日本人にももちろん素晴らしい方は多いですが、今はそこまで経済的に苦慮しているわけではないけれど、家計の足しになればいいなという思いで働く日本人のパートの方よりも、仕事がないと日本に在留することができない外国籍の方とではどうしても業務に対する熱量に違いが出てしまうのかなとも考えてしまいます。

    ーー多くの企業経営者様が日本人の若者よりも外国籍の方の方が仕事に対する熱量があるとおっしゃいます。日本人ももっと頑張って行かなければなりませんね。

    ファンさんの夢はベトナムと日本の架け橋になること。

    ーーファンさんはどんな経緯で来日されたのですか?

    ファンさん:ベトナムでは大学を卒業しても仕事は非常に限られています。私は、

    「もっと視野と可能性を広げたい。」

    と思い日本に来日しました。

    ーーなるほど。先ほど小泉先生から業務への熱量が高いというお話を伺いましたが、モチベーションの源泉を教えていただいてもいいですか?

    ファンさん:モチベーションの源は、私の夢の実現に業務を通して近づけているという感覚があることです。

    ーーよろしければファンさんの夢を教えていただけますか?

    ファンさん:私の夢は、「母国ベトナムと日本の架け橋になる」ことです。日本に来て、日本は本当にいい国だなと思いましたので、2国の交流を支える存在になりたいなと思いました。東京国際社会保険労務士事務所の登録支援機関業務を通じてその夢の実現に近づいていけると感じていますので、今後も特定技能で来日されるベトナム人の方をサポートして行ければ良いなと思っています。

    ーー素敵な夢ですね!

    小泉先生支援業務が増えてくると、それだけ、彼女の夢の実現にも近いことをしてもらえるのかなと思っています。ファンさんには、特に就業規則や雇用条件書のベトナム語訳や、条件を簡単にまとめたリーフレット見たいなものの作成を担ってもらうからです。もしかすると業務中災害や、通勤災害などの認識もないかもしれないので、そのようなちょっと難しい概念も、母国語で伝えてもらいたいなと思っています。

    ーーお二人の取り組みを応援したいと思ってしまいました。この度は大変勉強になるお話を教えていただき誠にありがとうございました。

    小泉先生へのお問い合わせはこちらから

    編集後記

    今回は外国人雇用企業の助成金顧問を強みとする社会保険労務士の小泉先生と通訳・翻訳者のファンさんを取材しました。小泉先生の圧倒的な情報量に、あぁこれがプロフェッショナルだと脱帽すると共に、ファンさんの素敵な夢を応援したいと思いました。Global HR Magazineでは今後も、小泉先生のようなプロフェッショナルのお力もお借りしつつ、Diversity & Inclusionを実現に役立つ情報発信を続けて参ります。

    ※外国人雇用の基礎労務に関してはこちらの記事をご参照ください。

     
     

    福島県内の高校卒業後、東北大学に入学。在学中は硬式野球部に所属。英語学、心理学、英語教育学を専攻。卒業後は社会を構成する『ヒト・モノ・カネ・情報』が遍在することで生じる歪み(社会問題)をビジネスを通して適正化するというミッションに共感しリフト株式会社に入社。