更新日:2022/09/29
目次
「技能実習生を受け入れたいけど、うちで受け入れはできるんだろうか?」
「技能実習生って何人まで受け入れられるの?」
そんな疑問をお持ちの企業様のために、本記事では、技能実習生受け入れの要件と、受け入れ人数枠について解説していきます。
技能実習制度について一から知りたい!という方は以下の記事を併せてご覧ください。
▶︎外国人技能実習制度とは?技能実習生を受け入れる際の基礎知識
企業が実習生を受け入れるための要件は?
技能実習生を受け入れるために満たすべき要件は次の6つになります。
①欠格事由に該当していないこと
まず1つ目は、法律で定められている欠格事由に該当していないことです。
欠格事由とは、以下の4点になります。
a. 関係法律による刑罰を受けた
・禁錮以上の刑に処せられた者
・技能実習法、その他出入国または労働に関する法律に違反し、罰金刑に処せられた者
・暴力団関係法、刑法等に違反し、罰金刑に処せられた者
・社会保険各法及び労働保険各法において事業主としての義務に違反し、罰金刑に処せられた者
いずれも、刑に処せられ、その執行を終えた日、もしくは執行を受けることがなくなった日から、5年以内の者が該当します。
b. 技能実習法による処分等を受けた
・技能実習計画の認定を取り消された日から5年を経過しない者(取り消された者が法人の役員であった場合を含む)
・出入国又は労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為をした者
例)
*法施行前の技能実習における「不正行為」として、技能実習の適正な実施を妨げるものと認められる旨の通知を受けている者
*不法就労助長行為に及んだ者
*偽変造文書行使等に及んだ者
*労働基準関係法令で送検され、かつ、刑罰が確定された者
c. 申請者等の行為能力・役員等の適格性
・行為能力に制限がある者(成年被後見人、被保佐人、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者)
・法人の役員、未成年の法定代理人で欠格事由に該当する者
d. 暴力団排除の観点からの欠格事由
・暴力団員等(暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者)
・暴力団員等がその事業活動を支配する者
②技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員を配置すること
技能実習生受け入れのために満たすべき要件の2つ目は、「技能実習責任者」「技能実習指導員」「生活指導員」の配置です。
以下でそれぞれについて説明します。
a. 技能実習責任者
技能実習責任者とは、技能実習生に関わる職員の監督や実習の進捗状況の管理などを行う人です。
技能実習責任者になれるのは、実習を行う事業所の常勤職員で、以下で説明する「技能実習指導員」や「生活指導員」を監督できる立場にある人です。
また、技能実習責任者となるには、過去3年以内に養成講習を受講しておく必要があります。
養成講習の実施機関と日程については厚生労働省のHPから確認できます。
b. 技能実習指導員
技能実習指導員とは、実習生に業務を教え、技能修得のための指導をする人です。
技能実習指導員になれるのは、当該業務で実務経験を5年以上積んだ、実習を行う事業所の常勤の職員です。
c. 生活指導員
生活指導員とは、実習生の日本での生活を指導する人です。技能実習生の生活状況を把握し、相談に乗るなどして問題の発生を未然に防ぐ役割があります。
生活指導員になれるのは、実習を行う事業所の常勤の職員です。
③技能実習生の住居を確保すること
技能実習生受け入れのために満たすべき要件の3つ目は、住居の確保です。受け入れ企業は、実習生が日本で暮らす住居を用意しておく必要があります。
アパートや戸建てを借り上げて住んでもらう、すでに所有している社宅を提供するなどが一般的です。
住居の広さは1人あたりパーソナルスペースが4.5㎡以上と法律で決められています。
また住居だけでなく、Wi-Fiなどの生活インフラや、寝具や机などの最低限の家具も揃えておかなければなりません。
④賃金を同業務に従事する日本人と同額以上に設定すること
技能実習生受け入れのために満たすべき要件の4つ目は、技能実習生の賃金を、同じ業務に従事する日本人と同額以上にすることです。
外国人だからと言って不当に安い賃金で働かせるのは法令違反になります。
違反すると技能実習生の受け入れが一定期間できなくなってしまうので、正当な賃金を設定するようにしましょう。
⑤社会保険に加入させること
技能実習生受け入れのために満たすべき要件の5つ目は、社会保険に加入させることです。
技能実習生は日本人同様、健康保険や労災保険などの社会保険への加入が義務付けられています。
なお、これ以外にも、「外国人技能実習生総合保険」などの任意保険にも加入することができます。
⑥帳簿を作成・保管すること
技能実習生受け入れのために満たすべき要件の6つ目は、規則で定められた帳簿を作成・保管することです。
定められた帳簿には、技能実習生への指導内容を記録する「技能実習日誌」や技能実習の状況を管理する「認定計画の履行状況に係る管理簿」などが含まれます。
受け入れ企業は、これらの帳簿を作成し、事業所において技能実習修了後も1年間保管しておかなければなりません。
受け入れ可能な実習生の人数は?
ここまで、技能実習生を受け入れるための要件を6つ解説いたしました。
では、技能実習生は何人まで受け入れが可能なのでしょうか?受け入れ人数に制限はあるのでしょうか?
結論から言えば、技能実習生の受け入れ人数には制限があり、それは受け入れ方式や技能実習生の段階によって異なります。
団体監理型の場合は、以下の表に基づいて受け入れ可能人数が決定します。
【団体監理型】基本人数枠
技能実習1号=基本人数枠 |
技能実習2号 | |
常勤職員の人数 | 受け入れ可能人数 | 受け入れ可能人数 |
300人~ | 常勤職員の1/20 | 基本人数枠の2倍 |
201~300人 | 15人 | |
101~200人 | 10人 | |
51~100人 | 6人 | |
41~50人 | 5人 | |
31~40人 | 4人 | |
~30人 | 3人 |
*「常勤職員の数」とは、実習実施者に継続的に雇用されている社員の人数です。すでに働いている技能実習生は、常勤職員数には含まれません。
技能実習生の受け入れ可能人数は、技能実習1号では常勤職員の総数を、2号では常勤職員の総数の2倍を超えてはならないと定められています。
したがって、例えば常勤職員が2人の企業では、技能実習生は2人までしか受け入れることができません。
優良な実習実施者とは?
ここまで、技能実習生の受け入れ可能人数について解説いたしました。
団体監理型で技能実習生を雇用される企業様には、基本的に上記の受け入れ人数枠が当てはまります。
ただし、例外があります。それが、「優良な実習実施者」の場合です。
「優良な実習実施者」とは、いくつかの基準をクリアし外国人技能実習機構から認定を受けた企業のことです。
優良認定を受けると、技能実習2号から3号への移行が可能になり、最大で5年間実習をしてもらうことが可能です。
また、「優良な実習実施者」は、先述の受け入れ人数枠より多くの実習生を受け入れることができます。具体的な人数枠は、団体監理型の場合、先ほどの表の2倍の人数です。
また、技能実習3号の場合は、基本人数枠の3倍まで受け入れ可能となっていますので、他社からの技能実習生を受け入れることも可能になります。
しかし、優良な実習実施者であっても、技能実習1号では常勤職員の総数を、2号では常勤職員の総数の2倍を、3号では常勤職員の総数の3倍を超えての受け入れはできないので注意しましょう。
【団体監理型】優良な実習実施者の場合
技能実習1号=基本人数枠の2倍 |
技能実習2号 | |
常勤職員の人数 | 受け入れ可能人数 | 受け入れ可能人数 |
300人~ | 常勤職員の1/10 | 基本人数枠の4倍 |
201~300人 | 30人 | |
101~200人 | 20人 | |
51~100人 | 12人 | |
41~50人 | 10人 | |
31~40人 | 8人 | |
~30人 | 6人 |
どうやったら優良認定を受けられるの?
では、どのようにすれば優良認定を受けられるのでしょうか?
優良認定のためには、法律で定められている「優良な実習実施者の基準」を満たさなければなりません。「優良な実習実施者の基準」は、外国人技能実習機構のHPから確認できます。
いくつか評価項目があり、それぞれに点数が配分されていて、全150点中90点(6割)をとれば、優良と判断されます。
以下は、評価項目の一例です。
①技能等の修得等に係る実績
Ⅰ 過去3技能実習事業年度の基礎級程度の技能検定等の学科試験及び実技試験の合格率(旧制度の基礎2級程度の合格率を含む。)
・95%以上:20 点
・80%以上 95%未満:10 点
・75%以上 80%未満:0 点
・75%未満:-20 点出典:外国人技能実習機構「優良な実習実施者及び優良な監理団体の基準について(参考)加点表」
優良認定を受けるには、技能検定の成績や、法令違反・問題の発生状況に気を配り、技能実習をサポートする十分な体制を構築している必要があります。
まとめ
ここまで、技能実習生の受け入れ要件と、受け入れ可能人数について解説いたしました。
「技能実習生の受け入れについて、まだ少し分からないことがある」
「受け入れが可能かどうか相談してみたい」
という方は、お気軽にお問い合わせください。