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    漁業業界は特定技能1号をどう活用すればいい?

    目次

     

    「結局のところ、漁業業界で特定技能外国人を雇用するにはどうしたらいいの?」

    そんな疑問にお答えするため、本記事では漁業業界で特定技能外国人を雇用するために知っておきたい基礎知識と実務上の注意点についてご紹介します。 本記事が少しでもあなたのお役に立てれば幸いです。

    1. 特定技能1号が成立した背景とは?

    業界関係者のみなさまにはくどいかもしれませんが、それは、ひとえに漁業業界が人手不足であることが原因と考えられます。

    漁業分野では、有効求人倍率が他産業と比較してかなりの高水準で推移しており、さらには本年は新型コロナウイルスの影響による制限などにより、国産食品の価値が高まり、漁業業界の人材の確保がますます需要事項になってきました。

    漁業就業人口は平成10年に27万7000人いましたが平成29年には15万3000人と激減しています。

    令和になった現在も就業人数は減少の一途をたどっており、日本政府は5年の間に約2万人が不足すると予想しています。そこで特定技能外国人の雇用が重要視されてきているのが現状です。

    1.1 漁業業界の有効求人倍率は?

    前述した通り、漁業の生産現場では労働力不足が深刻化しているので漁業就業者の有効求人倍率は比較的高くなっています。2017年の統計では漁船員が2.52倍、水産養殖作業員が2.08倍となっています。

    1.2. 人手不足の要因は?

    大きく2つ、①戦後の第二次産業の発展 ②人口減少に伴う少子高齢化による若手就業者の減少です。

    ①戦後の第二次産業の発展

    1960年代の日本には工業などの第二次産の発展により漁村や農村などから都市部に移り住み、工場や会社で働く人が増加し漁業者数が激減しました。また、1970年代には各国の200海里宣言により漁場が狭まり遠洋漁業に深刻な影響を与え、1980年代には日本近海の水産資源の減少により沖合、沿岸漁業にもダメージを受けました。

    ②人口減少に伴う少子高齢化による若手就業者の減少

    平成24年の時点では漁業分野で働いている人口は約20万人で過去40年間で3分の1まで減少しました。そのうちの約3割が65歳以上の高齢者で漁業の若者離れは現在も継続しているのが現状です。

    若者離れの原因として

    (1)魚の市場価値の低下による収入の減少 (2)自然相手での長時間労働

    が挙げられます。

    (1) 沿岸漁業などを中心に働く家族の平均収入は平成24年では約500万前後でした。そこから船の維持費などを差し引くと約200万ほどになります。海外からの水産物の輸入量が増え、燃料費用が高騰したことが漁業者を苦しめている一因です。

    (2) 漁業は自然環境の影響を受ける代表的な仕事の一つなので決して安定している職業とは言いがたいかもしれません。また長い時間を通して漁を行うこともあり安定で安全な仕事を求める若者が敬遠しています。

    2. 特定技能1号外国人は漁業のどんな業務に従事できるの?

    以上のように、ひどい需給ギャップに悩まされている漁業企業ですが、特定技能1号外国人はその救世主になるのでしょうか? これまで外国人が正社員として就労できるのは基本的に通訳・翻訳やマーケティング、営業などの知識労働に限られていました。以下特定技能1号で具体的に認められる業務とそうでない業務について見ていきましょう。

    2.1. 認められる業務は?

    特定技能の分野別運用要領には、特定技能外国人は具体的に下記のように定義されています。

    〈漁業〉

    ①漁具の製作・補修 ②水産動植物の探索 ③漁具・漁労機械の操作

    ④水産動植物の採捕 ⑤漁獲物の処理・保蔵 ⑥安全衛生の確保

    〈養殖業〉

    ①養殖資材の製作・補修・管理 ②養殖水産動植物の育成管理・収獲・処理

    2.2. できない業務・働けない場所は?

    日本人が通常従事することとなる関連業務(例:漁具・漁労機械の点検、換装、船体の補修・清掃、⿂市場・陸揚港での漁獲物の選別・仕分け等)に付属的に従事することは差し支え無いとされています。

    3. 外国人が漁業分野の特定技能1号を取得するための要件とは?

    大きく日本語水準と技能水準を満たすことの2つが要件です。以下具体的に説明します。

    3.1 日本語レベルN4以上の試験に合格

    日本語の試験に合格すると日本語水準を満たしたことになります。具体的には、日本語能力試験JLPTのN4以上、もしくは国際交流基金日本語基礎テストに合格する必要があります。 詳細は下記の記事をご参照くださいませ。

    在留資格「特定技能」の「技能評価試験・日本語試験」とは?

     

    3.2 漁業技能測定試験に合格

    2つ目が漁業の技能測定試験に合格することです。

    漁業分野における特定技能1号評価試験は、農林水産省が定めた漁業技能測定試験(漁業、養殖業)

    に合格する必要があります。

     

    よくある質問① テキストはどこで入手可能?

    下記URLより、ご確認いただけます。ご参照くださいませ。

    https://suisankai.or.jp/skill/

    よくある質問② 技能試験の実施日・実施場所は?

    現在、コロナウイルスの影響により試験の目処が立っていない状況です。

    よくある質問③ 海外試験の状況は?

    現在、海外でも同じくコロナウイルスの影響により試験の目処が立っていない状況です。

    3.3 漁業分野の2号技能実習を修了された方は無試験で特定技能1号に移行可能。

    技能実習生のうち、下記の技能実習2号を修了した場合は必要な技能水準・日本語能力水準を満たしているものとして、上記の技能・日本語能力の評価試験は不要となります。

    〈漁業〉

    漁船漁業職種8作業:

    かつお一本釣り漁業、延縄漁業、いか釣り漁業、まき網漁業、ひき網漁業、刺し網漁業、定置網漁業、かに・えびかご漁業

    〈養殖業〉

    養殖業職種1作業:

    ほたてがい・まがき養殖作業

    4. 漁業法人が特定技能1号外国人を雇うための条件は?

    (1) 労働者派遣形態(船員派遣形態を含む)の場合、特定技能所属機関となる労働者派遣事業者(船員派遣事業者を含む。)は、地方公共団体又は漁業協同組合、漁業生産組合若しくは漁業協同組合連合会その他漁業に関連する業務を行っている者が関与するものに限ること。

    (2)「漁業特定技能協議会(仮称)」 の構成員になること。

    (3) 漁業特定技能協議会において協議が調った措置を講じること。

    (4) 特定技能所属機関及び派遣先事業者は、漁業特定技能協議会及び構成員に対し、必要な協力を行うこと。

    (5) 漁業分野の外国人を受け入れる特定技能所属機関が登録支援機関に支援計画の全部又は一部の実施を委託するに当たっては、漁業分野に固有の基準に適合している登録支援機関に限ること。

    ただし、特定技能外国人を受け入れていない場合は、特定技能外国人を受け入れた日から4ヶ月以内に協議会の構成員になることが求められます。

    5. 特定技能1号外国人が漁業企業で働ける期間は?

    結論からいうと、現状のところ5年間です。 ただ、技能実習1号、2号、3号と併せれば最長10年間就労が可能となります。技能実習生は就労までに半年以上かかる場合が多いので、早めの動き出しをお勧めいたします。

    6. 特定技能1号外国人を漁業企業が受け入れるための流れは?

    受け入れにあたっての流れは、大きく下記の4パターンあります。全てにおいて共通するのは、その外国人を適正な支援をするための準備と、協議会への加入です。前者については下記の記事をご覧ください。

    登録支援機関とは?支援は内製化すべき?それとも委託すべき?

    また、後者に関しては先述の通りです。

    それでは4パターンそれぞれについて簡単に説明します。

    6.1 試験に合格した留学生

    まずは技能試験と日本語試験に合格した留学生を雇用する場合です。 この場合は、本人の内定合意を得たのち、「在留資格変更許可申請」をして、在留許可が降りたら、無事就労開始になります。 在留資格変更許可申請については下記の記事をご参照ください。

    これだけ抑えれば大丈夫!「在留資格変更・在留期間更新」の手続き

    また、申請に関しては令和2年3月25日よりオンラインでの申請が可能になっています。

    詳細は下記の記事をご参照ください。

    【オンライン在留資格申請】で外国籍人材の労務手続きをもっと楽にしていきましょう!


    6.2 海外試験に合格した方

    海外試験に合格された方は現地の送り出し機関を通して来日されます。 その際「在留資格認定証明書交付申請」が必要です。本申請については、下記の記事をご参照ください。

    在留資格認定証明書交付申請について企業が知っておくべきこと。外国人の身元保証人になった場合の責任範囲はズバリ!?

     

    6.3 短期滞在で試験に合格された方

    令和2年4月1日からは過去に中長期在留者として在留した経験がない方であっても受験を目的として「短期滞在」の在留資格により入国し、受験することが可能となります。 こちらは一度帰国して合格発表を待ってもらい、合格後に「在留資格認定証明書交付申請」を経ての来日となります。

    「そんな面倒なことしてまで来日してくれる人いるの?」

    私も最初はそう思ったのですが、実際、このスキームを利用して人材を紹介しようとしている各国の人材会社さんから問い合わせをいただいています。 チャンスがあれば来日したいという方はいらっしゃるようです。

    6.4 2号技能実習からの切り替え

    2号技能実習からの切り替えの場合、「**在留資格変更許可申請」**が必要となります。 留学ビザからの切り替えと違い、既に自社で働いている方の変更となりますので、申請のタイミングさえ間違えなければ、変更申請中も引き続き働くことが可能です。 技能実習2号が許可されたのが本年ですから早くとも2年後からはこの申請が頻繁に行われるようになると考えられます。

    7. 特定技能1号外国人を雇用する場合の費用相場は?

    特定技能1号外国人を雇用するルートによって、費用相場は異なりますが、給与に関しては同職種に従事する日本人と同等以上とされています。 更に、登録支援機関に支援を委託する場合には支援委託費用が一人あたり年間50万程かかります。 採用ルートによっても費用は異なりますので、詳しくは下記の記事をご参照くださいませ。

    特定技能外国人を雇用する場合の費用ってどうなってるの?

     

    8. 漁業分野の特定技能1号の活用法とは?

    結論からいうと、2号技能実習からの切り替えがメインの活用法になるのではないかと思います。 理由は3つあります。

    ①海外試験の運用が未整備

    ②特定技能1号と技能実習では技能実習の方が候補者のハードルが低い

    ③留学生はオフィスワークへの就職を希望する

    当社代表の杉村が特定技能の現状(2020年2月)と活用法について詳細に解説した記事が、大変参考になるかと思います。

    『特定技能在留外国人数』の法務省公表数字から見る「特定技能」の現状

    9. 特定技能1号の求人はどこに出せば良い?

    基本的に登録支援機関や現地送り出し機関へ依頼する形になるかと思いますが、SNSや媒体を利用して直接候補者と繋がるという手もあります。 例えば、特定技能外国人とFacebookで直接繋がってダイレクトメッセージを送付したり、外国人と直接繋がれる基本料無料の求人媒体を利用したりする方法があります。 予算、時間、安全性の3つの評価指数によってどうするか決まると思いますので、自社にあった募集ルートを見つけたい方は下記の記事をご参照くださいませ。

    特定技能人材の4つの募集・採用ルートとは?


    10. まとめ

    本記事では漁業における特定技能1号の活用法についてご紹介しました。 コロナウイルスの影響により、当面、雇用は難しいかもしれませんが、アフターコロナを万全の体制で迎えることに、少しでもお役に立てれば幸いです。

     
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    東京都の高校卒業後、ニュージーランドの大学へ進学。在学中はフットサルサークルに所属観光学を専攻。卒業後、日本での外国籍人材の活用を通してダイバーシティ化を実現するというビジョンに共感し新卒でリフト株式会社に入社。現在はマーケティングを担当。