<img height="1" width="1" style="display:none" src="https://www.facebook.com/tr?id=198256647308334&amp;ev=PageView&amp;noscript=1">

更新日:2021/05/12

目次

海外の日本語教育事情サムネイル

一見、海外の日本語教育事情は、企業の活動とは関係ないように思えるかもしれません。しかし、特定技能外国人にしろ高度人材にしろ、日本に働きに来る外国人材の数を増やすために、そして来日後の定着をスムーズにするためにも、海外現地における日本語教育は大きな役割を果たします。

本記事では、企業の採用戦略にも大きく関わってくる各人材送出し国での日本語教育事情について、学習者数やレベル、目的意識を解説していきます

海外日本語学習者数

まず、海外での日本語学習者数ですが、国際交流基金2018年度調査によると3,851,774人となっています(142の国・地域/短期的な日本語体験学習や教育機関を通さない独学者は除く)。

ここでは、国ごとの学習者数および2015年度調査と比較した増減率についてまとめました。

海外学習者数 (1)(国際交流基金「2018年度 海外日本語教育機関調査」より作成)

中国、インドネシア など人口の多いアジアの国での学習者数はやはり多くなっていますが、ここで特筆すべきは、ベトナムの増加率です。これは、技能実習制度よる日本での就労機会の増大が影響していることは間違いなく、同じく技能実習生が増えてきているミャンマーでも学習者数対2015年比で215%の増加率を記録しています(2018年学習者数は35,600人)。

なお、技能実習生の送出国でもあるインドネシアでは増加率がマイナスとなっているのは、2013年に従来必須科目であった第二外国語が選択制になり、日本語クラスの開講が取りやめになったことが理由とされています(2018年度は、2015年度調査に比べて減少幅は小さくなっています)。

海外日本語学習者の目的は?

次に、学習目的について同じく国際交流基金2018年度調査を見ていきましょう。

海外日本語学習意図(国際交流基金「2018年度 海外日本語教育機関調査」より作成)

対象国・地域全体では、

1位が「マンガ・アニメ・ファッ ション等への興味」で66.0%を占めています。

2位の「日本語そのものへの興味」が61.4%、3位「歴史・文学・芸術等への関心」が52.4%となっている一方、「将来の仕事・就職」を目的で学習している方は41.1%のみです。

また、日本における留学生数、就労者数で上位を占めている中国、ベトナムを擁する東アジア、東南アジアを切り取ってみても、全体と似たような目的で学習している方が多く、「将来の仕事・就職」目的は、東アジアで32.8%東南アジアで50.3%の方しかいません。

ちなみに、東南アジアでは3位の目的に入っている「留学」に関してですが、令和元年5月1日時点の留学生数は、中国が1位で124,436人、2位ベトナムが73,389人です。続いてラオス が3位で26,308人、韓国が4位、台湾が5位となっていますが、上位5地域のうち3つを占めている東アジアでも、「日本への留学」目的で日本語学習している方が37.8%しかいないのは示唆的です(「将来の仕事・就職」目的にいたっては32.8%)。

現在、日本との給与格差がまだ大きく、留学生(出稼ぎ目的も結構います)、就労者が多い東南アジアにおいても、経済発展に伴い、就労目的で日本語を学習する割合は少なくなっていくはずです。

今でも既に「日本語学習者数が多い≠就労希望者を確保しやすい」ですが、今後益々日本で就労する外国人材の確保が困難になっていくことを覚悟しておいた方が良いでしょう。

海外日本語学習者の日本語レベル

続いて、海外の日本語学習者のレベルがどれくらいなのか、海外における「日本語能力試験」の受験者数から国ごとの特徴を見ていきます。

日本語能力試験(日本語能力試験HP「過去の試験のデータ」より作成)

日本語能力試験は、2018年には日本国内および海外85の国・地域で実施されており、国内外で100万人以上の受験者数がいる、現時点で日本語能力を測る最もポピュラーな試験になります。

レベルはN1からN5まであり、N1が最も難易度の高い試験となります。「技術・人文知識・国際業務」と言われる在留資格ではN2以上の日本語力を要求されることが多く、在留資格「特定技能」においてはN4相当の日本語力が必須となります。

在留資格「特定技能」の創設に伴って、より実際のコミュニケーション力を測ることできる「日本語基礎テスト」という試験が作られましたが、現時点では、日本語能力試験を基準にしている企業が多いと思いますので、こちらのデータで各国の日本語学習者のレベルを確認していきます。

受験者数が圧倒的に多い中国をはじめとした東アジアでは、N1、N2といった高度なレベルを受験しており、技能実習制度や特定技能制度の活用が見込まれるミャンマーやインドネシア など東南アジアにおいてはN4相当の受験者が多くなっています。技能実習生も留学生も共に多いベトナムはN2~N4が比較的均等に受験されていることが確認できます。その他、学習者数の多いはずのインドネシアの受験者数が少ない点は気になるところです。

「日本に在留する目的」、「日本語を学習する目的」でそれぞれレベル感に差が出てくることが分かるデータですので、興味のある方は、日本語能力試験HP「過去の試験のデータ」ページをご参照ください。

企業が意識すべきポイント

採用戦略において、海外から外国人材を呼び寄せることを考えた際に、その国における日本語教育の状況は押さえておきたい要素の一つです。「どれくらい日本語学習者がいて、その内どれくらいが日本での就労を希望しているのか」「どれくらいのレベルの層が多いのか」etc.

然、就労を希望している学習者が多い国ほど、日本語力の高い人材の採用はしやすくなります。学習者数の推移を考慮しながら将来的な採用計画を立てていきましょう。そもそも、前述のように「日本での就職」を目的とした学習者は全体としては決して多くはない現状があり、今後、東南アジア諸国においても減少していくことが予想されます。日本での就職を希望していない日本語学習者に自社で働くことに興味を持ってもらえるようアピールしていくという視点も必要です。

とはいえ、学習者数や目的、レベルについては外的要因も多くコントロールするのが難しいというのも事実です。

では、どうすれば良いのでしょうか?

ずばり、外国人材への日本語教育体制を確立することが大事になってきます。

日本での就労を希望する外国人材が減り、就労目的の日本語学習者母数も少なくなると、高い日本語力を持った人材を獲得するのは、より困難になります。そんな時、もし社内の日本語教育体制が整っていれば、少し日本語力の低い人材でも雇用可能となり、採用の間口が広がります。また、日本語も含めた教育体制の充実度をアピールしていけば、雇用環境が原因で日本での就労を忌避していた人材が興味を持ってくれる可能性も出てきます。

ここまで主に海外での事情を見てきましたが、日本国内にいる外国人材の雇用を考えた場合でも、「日本語教育体制の確立」は、もちろん効果的です。どのような業界や規模の企業であっても、教育体制が整っているに越したことはありません。

今後の外国人材の採用・雇用を成功させるためにも、自社における日本語教育の支援体制を早めに構築していきましょう。

お問合せ・資料請求

外国人雇用・人材紹介について
お気軽にご相談ください

お問い合わせ

組織体制・在留資格手続き・採用・教育・労務関連業務
最新資料コーナー

資料一覧へ