<img height="1" width="1" style="display:none" src="https://www.facebook.com/tr?id=198256647308334&amp;ev=PageView&amp;noscript=1">

更新日:2021/06/25

目次

労災top

近年、建設業では技能実習生を中心に外国人労働者が増加し、それに伴って労働災害の発生が問題となっています。

そこで本記事では、外国人労働者が労働災害にあったときの対処法と、労働災害を予防するための取り組みについて解説いたします。

外国人労働者の労災発生状況は?

建設業をはじめ現場職種において、深刻な人手不足を補うために外国人労働者の受け入れが進んでいます。それに伴い、外国人労働者の労災による死傷者数が年々増加し、問題となっています。

外国人労働者の労災による死傷者数(圧縮済)厚生労働省「平成31年/令和元年労働災害発生状況の分析等」をリフト株式会社で加工)

万が一外国人労働者が労災にあってしまったら何をすれば良いのか、受け入れ前にしっかり把握しておくことが重要です。

また外国人労働者の場合、言葉が通じないために安全指示が伝わらない、安全標識が理解できないなど、日本人にはない特有のリスクがあります。

受け入れの際にはこのようなリスクを理解し、労災を未然に防ぐ対策を徹底しましょう。

特に労災による死亡者数が多い建設業での外国人材受け入れについては以下の記事を確認ください。

▶︎建設業の外国人材採用について在留資格別に徹底解説

労災が起こってしまったら?

自社の外国人が労働災害にあってしまったら、企業は何をすれば良いのでしょうか?

外国人労働者の労災への対応は、基本的に日本人の場合と同様です。

労災保険は外国人労働者にも適用されるので、給付申請のための手続きを行う必要があります。

労災が起こってしまったら、下記の流れで対応をしていきましょう。

①適切な治療を行う

労災が発生したら、まずは近くの労災指定病院などで適切な治療を行いましょう。

治療費は労災保険から全額支払われます。健康保険は使えないのでご注意ください。

病院に行く際は、外国人労働者本人だけを行かせるのではなく、日本人の職員などが付き添ってサポートすることが重要です。

怪我や病気が労災によるものであることや、発生現場の説明、症状などについて、正しく医師に説明する手助けをしましょう。

もし怪我や病気の症状を正しく伝えられなかった場合、間違った診断や不十分な治療につながる恐れがあり、その後の労災保険の手続きなどで支障をきたす可能性があります。

②労災手続きを行う

a. 労働者死傷病報告

労災発生後、企業は必ず労働者死傷病報告を行いましょう。

労働者が労災により休業する日数が4日以上もしくは亡くなってしまった場合はできるだけ早く(1~2週間程度)、4日未満の場合は3か月ごとにまとめて、労働者死傷病報告を最寄りの労働基準監督署に提出します。

外国人労働者の場合は、報告書の国籍と在留資格の欄を正しく記入しましょう。申請様式はこちらのページからご確認ください。

なお、労働者死傷病報告を怠ると「労災隠し」とみなされ刑事罰が課される可能性があります。

一部の企業は、元請けや取引先からの信用を落とさないために、労災をなかったことにしようとして労災隠しを行います。特に外国人労働者の場合、労災手続きについて知らないのを良いことに労災をなかったことにし、治療費を外国人に負担させたり休業補償を十分に支払わなかったりする行為が問題となっています。

労災隠しは犯罪です。発覚すると、労働安全衛生法違反で50万円以下の罰金が科されることになります。

企業担当者は、労災が起こった際は必ず労働者死傷病報告を行い法令遵守に努めましょう。

b. 労災保険の給付申請

労災によって怪我や病気になった場合、保険給付を受けることができます。

請求できる保険給付は大きく以下の3つに分けられます。

・療養補償給付

労災にあって病院で治療を受ける場合は、上述の通り治療費が労災保険から支払われます。

労災指定病院を受診した場合は、病院に「療養補償給付たる療養の給付請求書」を提出することで、治療費が労災保険から支払われます。

労災指定病院でない場合は一度自分で治療費を払い、あとで「療養補償給付たる療養の費用請求書」を労働基準監督署に提出すると、その費用が指定した口座に支払われます。

・休業補償給付

労災で4日以上休業した場合は、4日目から休業補償給付が支給されます。「休業補償給付支給請求書を労働基準監督署に提出してください。4日未満の場合、休業補償は企業が行うことになります。

・その他の保険給付

上記2つ以外にも、障害が残ってしまった場合の障害補償給付、亡くなってしまった場合の遺族補償給付や葬祭料、ほかに傷病補償年金や介護補償給付などの保険給付があります。くわしくはこちらのページをご覧ください。

労災手続きの際の注意点は?

労災保険の給付申請などは、実際は企業が代行して行うことが多いものの、本来は被災した労働者やその遺族が行うことになっています。

外国人労働者は、労災手続きそのものを知らなかったり、手続きを自分で行うことができない場合があるため、企業のサポートが必須になります。

請求書を代わりに作成する、労働基準監督署へ同行するなど、外国人労働者が正当な補償を受けられるようにサポートしましょう。

外国人労働者の中には、怪我や病気になっても治療費が高いと考えて我慢してしまう方もいます。

受け入れの際には、労災保険について事前にしっかり説明し、健康状態に気を配ってあげることが大切です。

労災を起こさないためには?

ここまで、外国人労働者が労災にあってしまった場合の対処法について解説いたしました。

では、そもそも労災を起こさないために、企業はどんな取り組みを行えば良いのでしょうか?

外国人労働者の労災を予防するポイントは、外国人に特有の問題を理解し適切な対策を行うことです。

ここからは、労災を予防するための企業の取り組みを4つ解説いたします。

母国語での安全衛生教育

安全衛生教育の実施は労災を予防する基本中の基本ですが、外国人労働者の場合は、外国人の母国語での指導や、日本語と母国語を併記したテキストを活用するなどして、学習内容の十分な理解を図ることが重要です。

外国人の日本語レベルにもよりますが、「きっとわかっているだろう」と思って日本人と同じように指導したり、日本語のテキストを渡して「自分で勉強しておいてね」と任せてしまうのでは、正しい安全意識を持つことができません。

外国人労働者が理解できる方法で安全衛生教育を行い、学んだ内容を正しく理解しているかどうか適宜確認しながら指導を進めましょう。

厚生労働省のHPには、建設業で働く外国人労働者向けに、様々な業務における安全衛生のポイントがまとめられたテキストと動画が、11か国語で公開されています。

厚生労働省や東京労働局のHPでは、ほかにも様々な言語で書かれた教材をダウンロードできるので、これらを活用し外国人労働者に正しい安全意識を持ってもらいましょう。

厚生労働省「建設業に従事する外国人労働者向け教材」(11か国語)

厚生労働省「外国人建設就労者向け安全衛生視聴覚教材」(中国語・ベトナム語・インドネシア語・英語)

東京労働局「外国人労働者の労働災害防止」(英語・ポルトガル語・スペイン語・中国語)

日本語教育

現場での安全指示や安全標識の理解のために、日本語教育は必須になります。

日常会話にない専門用語など、現場で何気なく使っている言葉を見直し、その意味を正しく理解してもらうことが必要です。

緊急時の対応など様々な場面を想定し、日本語と母国語やローマ字などを併記したテキストを作成するなどして、指導を行いましょう。

日本語教育サービスについてはコチラ

複数言語の安全標識

日本語の安全標識を理解するための日本語教育は必要ですが、外国人の母国語が併記された安全標識を使用するのも労災予防として有効です。

安全標識多言語併記(圧縮済)安全標識多言語併記2(圧縮済)

(出典:建設業労働災害防止協会「建災防統一安全標識一覧(外国語標示例)」

上記は、上から英語、中国語、ベトナム語、インドネシア語、タガログ語が併記されています。

建設業労働災害防止協会のHPでは、安全標識の外国語標示例が公開されていますのでご参照ください。

メンタルヘルスへの配慮

労災が起きる要因として、ストレスによる集中力・注意力の低下があります。

外国人労働者の場合、家族と離れた慣れない日本での暮らしはそれだけでストレスが溜まるものです。

怪我や病気など身体的な健康状態だけでなく、メンタルヘルスにも気を配りましょう。

積極的にコミュニケーションをとって、外国人労働者を孤立させずに職場に馴染めるよう配慮することが重要です。

過剰な長時間労働やパワハラなどは、労働者のストレスを増大させ労災につながります。

建設業では、仕事は見て覚える、ミスすると大きな声で怒鳴られるなど昔ながらの教育法が残っている現場もあります。このような教育法は、当然外国人には理解できません。

外国人が働きやすい環境を作り、メンタルヘルスに配慮することが、労災の予防につながるのです。

お問合せ・資料請求

外国人雇用・人材紹介について
お気軽にご相談ください

お問い合わせ

組織体制・在留資格手続き・採用・教育・労務関連業務
最新資料コーナー

資料一覧へ