更新日:2021/08/03
目次
近年、人手不足に直面する施工管理の仕事で、外国人雇用への関心が高まっています。
そこで本記事では、施工管理での外国人雇用について、おすすめな理由と注意点、採用方法について解説していきます。
建設業の外国人雇用について一から知りたい!という方は、以下の記事をあわせてお読みください。
外国人雇用がおすすめなわけ
人手不足解消
施工管理での外国人雇用のメリットは、なんと言っても人手不足の解消です。
建設業全体は今深刻な人手不足に直面しています。その主な原因は、高齢化によるベテランの引退と若者からの不人気です。
(引用:国土交通省「建設産業の現状と課題」)
上記のグラフを見て分かる通り、現場をまとめるベテラン社員は、数年後には引退していなくなります。
一方で、将来的に企業を背負う若手の人数は減少の一途をたどっています。
現場が変わって転居や異動が多いことや、夜勤や残業が多いこと、労働量のわりに給与が上がらないことなどの理由で、施工管理も、ワークライフバランスを重視する若者には敬遠されてしまいます。
たしかに、最近では労働環境を改善し、ホワイトな職場を実現している企業もでてきています。しかし、若者からの施工管理の人気が高まったとしても、少子高齢化で若い労働力はどんどん減少している現在、日本の労働力だけで引退していくベテラン社員の穴を埋めるには不十分なのです。
そこで、外国人雇用という選択肢です。
現場で技能実習生が増えている話はよく聞かれると思いますが、施工管理でも、外国人を雇用することができます。
しかも、施工管理として働く外国人は、技能実習生のように、期限が来たら帰国してしまうことがありません。
日本人の若手の雇用が難しくなっている今、自社のこれからのために、外国人雇用を検討してみると良いでしょう。
海外展開への足掛かり
施工管理で外国人を雇用するもう1つのメリットは、海外展開への足掛かりが得られることです。
近年、海外では経済成長に伴い建設ラッシュが起こっています。
大手ゼネコンなどは、東南アジアを中心に大きな事業を展開していますが、日本人の施工管理技士で海外出張を希望する人はまだまだ少ないです。
もし現地の言葉や英語が堪能な外国人社員がいれば、海外の現場の人員を一気に補強することができるでしょう。
外国人雇用の注意点
ここからは、施工管理で外国人を雇用する際の注意点を解説します。
外国人雇用の際に最も懸念されるのは、日本語の問題でしょう。
施工管理では、現場の職人の方々といかにコミュニケーションをとれるか、そして、建設業法など現場で必須な知識を十分つけた上で業務にあたれるかどうかが重要です。
雇用した外国人が日本語に不安があり、職人の方々と円滑にコミュニケーションがとれない、信頼関係を築けないとなると、業務に大きな支障が出てきます。
また、日本語が分からないせいで法律等を理解できないと、そもそも業務に従事することができません。
そこで、外国人を雇用する際は、採用面接の段階で、人材の日本語力をしっかり確認するようにしましょう。
また、単に日本語が使えるだけでなく、話し方や雰囲気などから、その人のコミュニケーション能力を確認しましょう。
日本語力は働き始めたらすぐに上達しますが、相手と距離を縮め信頼関係を築く力は、伸ばそうと思ってもなかなか伸びないものです。
採用面接ではこれらに気を付け、自社で活躍してくれる外国人材を雇用するようにしましょう。
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施工管理で働ける外国人とは?
では、施工管理の仕事に就けるのは、どのような外国人なのでしょうか?
結論から言うと、施工管理として日本で働くことができるのは、
・「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得できる外国人
・「身分に基づく在留資格」を持つ外国人
です。
「なにそれ?」と思われた方も多いでしょう。
在留資格とは、簡単に言うと、外国籍の方が日本に滞在するために必要な資格です。
そして、色々な在留資格の中で、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格と、「身分に基づく在留資格」を持っている外国人であれば、施工管理の仕事に就くことができます。
そこで、ここからは、施工管理として日本で働くことができる在留資格「技術・人文知識・国際業務」と「身分に基づく在留資格」についてくわしく解説していきます。
技術・人文知識・国際業務
技術・人文知識・国際業務とは?
「技術・人文知識・国際業務」とは、専門的な技術や知識を持ち、それを活かした業務を行う外国人に与えられる在留資格です。
この在留資格を取得できるのは、以下のいずれかを満たした人材になります。
・施工管理に関連する専攻(建築・土木など)で大学を卒業した
・施工管理に関連する専攻で日本の専修学校を卒業した
・施工管理の実務経験が10年以上ある(大学、高校、高専、中学の後期課程または専修学校の専門課程で施工管理に関連する科目を専攻した期間を含む。)
具体的に対象となるのは、日本で建築や土木を学んだ留学生や、海外で施工管理の実務経験を積んだ人材です。
働ける期間は?
技術・人文知識・国際業務の在留資格は、更新の回数に制限がないため、就労先があるかぎり日本で働き続けることができます。
また、10年以上日本に在留し、かつ今後も日本で生活していくのに十分な経済的基盤がある場合は、「永住権」を取得することが可能です。
永住権を取得すれば、就労制限がなくなり、在留資格の更新も簡単になります。
賃金は?
技術・人文知識・国際業務の在留資格を持つ外国人の給与は、同じ業務に従事する日本人の給与と同額以上でなければならないと法律で定められています。
外国人だからと言って安い賃金で雇用することはできません。
身分に基づく在留資格
施工管理として働ける在留資格の2つ目は、身分に基づく在留資格です。
身分に基づく在留資格には、「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格が該当します。
これらの在留資格は日本での活動に制限がなく、どんな仕事にも従事できます。
施工管理で外国人を採用するには?
では、実際に施工管理で外国人をどのように採用すればいいのでしょうか?
外国人材を雇用する場合には、在留資格の取得申請など複雑な手続きがありますので、採用の流れを簡単に説明していきます。
①募集
まずは、採用のための母集団を作ります。外国人専門の求人広告や人材紹介会社を使う、地元の大学の留学生向け企業説明会に参加するなどして外国人材にアプローチしましょう。
②履歴書・職務経歴書・在留資格の精査
人材を集めたら、その人の履歴書や職務経歴書を確認して、技術・人文知識・国際業務の在留資格を取得できそうか確認しましょう。
具体的には、施工管理に関係する建築や土木系の専攻で大学・専修学校を卒業しているかどうか、もしくは施工管理の実務経験が10年以上あるかどうかです。
在留資格申請では人材の経歴・職歴が確認され、もし上記を満たしていない場合は申請が不許可になってしまいます。事前の確認が必ず必要です。
③面接
面接では、先述の通り人材の日本語力を確認しましょう。
また、人材の経歴・職歴について、口頭でも確認しておくことをおすすめします。
施工管理としての業務内容についても、採用後のトラブル防止のために、残業時間や給与額などを含めて外国人と確認しておくことが重要です
④雇用条件書の作成
面接を経て内定を出したら、次は雇用条件書の作成です。雇用条件書の内容は基本的に日本人と同じで大丈夫です。可能であれば、外国人の母国語や英語で準備しましょう。
⑤在留資格の申請手続き
採用したい外国人の条件によって必要な申請が異なります。
・海外にいる人材を新たに招へいする場合:在留資格認定証明書交付申請
・留学生など、すでに日本にいて別の在留資格を持っている人材の場合:在留資格変更許可申請
在留資格申請には2週間~1か月かかるのでご注意ください。
⑥受け入れ体制の構築
在留資格申請の期間中に、雇用保険被保険者資格取得届の提出や、健康保険や厚生年金などの各種社会保険の手続きを行います。
また、日本語教育やメンターの配置など、外国人が働きやすい環境の整備は絶対に欠かせません。
⑦入国・入社手続き
以上が、外国人採用までの流れになります。
まとめ
ここまで、施工管理での外国人雇用について解説いたしました。
少子高齢化が進む日本で、引退していくベテラン社員の穴を埋めるのに、日本の若い労働力だけでは不十分です。
たしかに在留資格や手続きなど分かりにくい点もありますが、従業員10名規模の企業様でも受け入れに成功している事例はたくさんあります。
今後一層激化する人材獲得競争に勝ち残るためにも、できるだけ早いタイミングで、外国人材の活用に踏み切ることをおすすめします。