更新日:2023/04/20
目次
「特定技能だと転職可能になるみたいだし、うちは技能実習だけにするよ。」
「転職可能になったことで、採用が困難になってしまう気がするんだよね。」
確かに、「特定技能」外国人は転職することができますので、よりよい待遇を用意できる企業だけが採用できるようになるのかもしれません。
しかし、競争が激しくなるからという理由で「特定技能」外国人の雇用に踏み出さなければ、
「せっかく手塩にかけて育てた人材が、3年あるいは5年で帰国してしまう。」
という悩ましい現実は変わりません。
逆にうまく「特定技能」制度を活用し、一人前に近づいて来ていた元技能実習生を自社に迎え入れることができれば、
これまでずっとあなたを悩ませてきた、
「人手不足」
の問題を半永久的に解決できるようになるかもしれません。
あまり公には報道されてはいませんが、
実は「特定技能」外国人は一般にイメージされているよりも「転職」が難しいと想定されています。
本記事では「特定技能」外国人の「転職」がなぜ現実的に厳しいのかについて解説いたします。
▶︎特定技能について一から知りたい!という方は、こちらの特定技能入門編をご確認ください!
「特定技能1号」外国人の転職を阻む3つの壁
①「引き抜き自粛規定」の存在
下記は食品産業特定技能競技会の文章からの引用です。
「特定技能所属機関による外国人労働者の引き抜き防止に係る申し合わせ」
新たな外国人材の受入れ制度を施行することにより,大都市圏等特定地域に外国人が過度に集中す ることや大企業への偏在が生じることが強く懸念されている。特に,飲食料品製造業分野においては, 技能実習2号対象職種(水産加工,食肉加工,惣菜製造等)とそうでない職種が混在し,受入れ機関 の間で無秩序な外国人労働者の引き抜きが行われれば,業界内の雇用秩序を乱すとともに,大都市へ の過度な集中を助長する可能性がある。 こうした点を踏まえ,大都市圏等特定地域に外国人が過度に集中することを予防する観点から,他地域で雇用されている外国人労働者を積極的に引き抜き雇用することを自粛することを申し合わせる。
出典:平成 3 1 年3月 2 9 日 食品産業特定技能協議会 発行文書
建設などの分野においても同様に引き抜き自粛の申し合わせが行われています。
どこからどこまでが、引き抜きにあたるかは曖昧ですが、万が一、他社に在籍している外国人に対して、人材紹介会社を通じてアプローチすることも自粛となると、ほとんど人材が流動しなくなります。
②自己理由退職の場合、アルバイトができない。
日本人の場合は転職のために会社を辞めてしまった場合、次の職を探すまでにアルバイトをしてその間を食いつなぐことができます。
しかし特定技能外国人の場合だと、雇い止めなどの非自発的な解雇の場合を除いて、就職活動中のアルバイトを許可されません。
多くの技能実習生及び特定技能外国人は自国に稼いだお金を送金しているため、転職活動中の無収入期間を耐え抜くような経済基盤は有していません。
③資格申請に2〜3ヵ月かかり、その間に困窮するリスクがある。
さらに、追い討ちをかけるように、「特定技能」の在留資格変更許可申請は現在2〜3ヶ月かかるという状況にあります。
3〜4ヶ月の無収期間の存在は転職を阻む最大の障壁です。
唯一「特定技能」外国人が転職可能なシナリオとして、
現在の会社に在職中に自分の意思で人材斡旋業者を頼り、次の就職先を見つけて雇用契約を結び、登録支援団体が支援計画を作成、その後2〜3ヶ月の在留資格変更申請を経て晴れて転職という流れになります。
転職を決意して、人材斡旋業者を頼ってから約半年ほどのリードタイムです。
ここまで面倒なことを、現在の雇用主に内緒でしてまで、多少の違いしかない次の職場に転職しようと思うでしょうか?
私はむしろ、そのような面倒さに漬け込み、好条件を出して不法就労へと導く、日本国内の悪質ブローカーの出現が心配でなりません。
※ひょっとすると今後転職の場合には、優先して審査してくれるようになるかもしれません。技能実習の転籍の場合には優先的に審査されているためです。
まとめ:特定技能のあるべき姿とは?
以上のように現状は雇用主有利な状態にあると思います。
しかしだからこそ、自社の「特定技能」外国人を大切にし、そもそも転職したいとも思わないような幸せな職場を作っていただきたいと思います。
自社で長期にわたり働いてくれる特定技能人材を、お探しの経営者様・採用担当者様は、弊社リフトにご相談ください。
日本での実務経験のある、語学力も安心できる人材をご紹介いたします。