更新日:2023/04/20
目次
「これまでビルクリーニング職の人手不足を派遣社員と外国人技能実習生の受け入れで対応してきたけれど、働き方改革で派遣社員の活用は難しくなりそう。。。そういえば新しく始まった特定技能はうちで活用できるだろうか?」
そのような疑問をお持ちの方向けにビルクリーニング 分野における「特定技能」活用方法についてまとめました。
特定技能に関して、基本的な概要を知りたい方は、こちらの記事も合わせてご確認ください。
▶︎在留資格「特定技能」とは?特定技能外国人の採用から支援まで徹底解説
在留資格「特定技能」とは?
在留資格「特定技能」とは、深刻化する人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく新たな在留資格のことです。
※在留資格とは外国籍の方が日本に在留し一定の活動を行うための資格のことです。
ビルクリーニング分野は特定技能1号の対象となっており、これを取得できた外国人は最長5年間、ビルメンテナンス企業と雇用契約を結び、建築物内部の清掃全般に従事することが可能です。
ビルクリーニング分野はどれくらい人材不足なのか?
下図はビル・建物清掃員の有効求人倍率の推移です。同分野の有効求人倍率は右肩上がりに増加しており、平成29年度には全国平均2.95倍という非常に高い数字になっています。
(厚生労働省第1回ビルクリーニング分野特定技能協議会資料5「ビルクリーニング分野について」をリフト株式会社で加工)
また、下図はビルクリーニング業者による清掃が必要な、延べ床面積3000㎡以上を有する建物数の推移です。人材確保が年々難しくなっていく一方で、清掃が必要な建物は年々増加していることがわかります。
(厚生労働省「平成30年度衛生行政報告例」をリフト株式会社で加工)
さらに下図はビル・建物清掃員の年齢別割合です。これを見ると65歳以上の清掃従事者の割合が37%も占めていることが分かります。これは業界をあげて、高齢者の雇用を推進してきた結果ですが、長期的な就労が難しい高齢者の割合が約4割という数字は改善すべきでしょう。
(厚生労働省「ビルクリーニング分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」をリフト株式会社で加工)
ビルメンテナンス業界をあげて、清掃機械・ロボットの開発による生産性向上、女性や若年者雇用に向けた取り組み、賃上げのための取り組みなどを行っているものの、人手不足は年々拡大傾向にあり、新たな人材確保の手段として「特定技能」外国人の活用が注目されています。
「特定技能 ビルクリーニング分野」の外国人を雇用するための条件は?
「特定技能」の外国人を雇用したいビルメンテナンス企業は下記の4条件を満たし、かつ、当該の外国人を直接雇用する必要があります。派遣社員としての雇用は認められておりませんのでご注意ください。
「特定技能 ビルクリーニング分野」の外国人を雇用するための4条件
①「建築物清掃業」又は「建築物環境衛生総合管理業」の登録がある。
②「ビルクリーニング分野特定技能協議会」の構成員である。
③ビルクリーニング分野特定技能協議会の行う調査及び指導に対しての協力。
④厚生労働省の行う調査及び指導に対しての協力。
また、上記には示しませんでしたが、「特定技能」外国人の受け入れのためには法律で定められた支援を行う体制を構築するか、あるいは支援内容の一切を「登録支援団体」に委託する必要があります。
外国人が在留資格「特定技能 ビルクリーニング分野」を取得するには?
同資格を得るためには、「日本語能力水準」と「技能水準」の両方を満たしている必要があります。下記の2つの方法のうち、いずれかをクリアすると、上記の水準を満たしていると証明されます。
在留資格「特定技能 ビルクリーニング分野」を取得する2つの方法
①下記両方の試験に合格する。
・ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験
・「日本語能力試験(JPLT)N4以上(国内・国外)」または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)(国外)」
②ビルクリーニング職種の技能実習2号を修了する。
ちなみに「日本語能力水準」と「技能水準」はそれぞれ下記のように定義されています。
「日本語能力水準」
ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有する
「技能水準」
多数の利用者が利用する建築物(住宅を除く。)の内部を対象に、場所、部位、建材、汚れ等の違いに対し、作業手順に基づき、自らの判断により、 方法、洗剤及び用具を適切に選択して清掃作業を遂行できるレベル
出典:同上
上記②について、技能実習2号を修了された方のほとんどは、ある程度の日本語を理解し、決められた範囲の業務を卒なくこなすことができるので、上記の水準を満たしているとみなされます。実務経験のない方よりは、技能実習生として3年間ビルクリーニング職に従事されていた方のほうが最初は活躍されるでしょう。
「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」とは?
技能実習2号を修了していない場合は、「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」と、「日本語能力試験(JPLT)N4以上」または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」に合格する必要があります。
「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」は、受験者が技能水準を満たしているか評価する技能試験です。以下詳細を記していきます。
ちなみに日本語の試験については下記でくわしく解説していますのでそちらをご参照ください。
受験資格は?
試験日において17歳以上で、在留資格を持っている者です。2020年11月~12月に行われた第三回の試験から、中長期の在留経験がいらなくなり、短期滞在の在留資格でも受験が可能になりました。
ただし、技能実習中の技能実習生は受験できません。実習計画の途中で特定技能へと変更することはできないということです。
受験手数料は?
受験者負担で、2,200円です。さらに、合格者がビルメンテナンス企業内定後、合格証明書の発行手数料14,300円がかかります。この合格証明書がなければ、特定技能1号の在留資格を取得することができません。
会場は?
2020年11月~12月に行われた第三回試験は全国8カ所、北海道、宮城、東京、愛知、大阪、広島、徳島、福岡で行われました。海外試験はミャンマーとフィリピンで行われています。
定員は?
第三回試験の定員は累計700名です。試験会場ごとに定員が決まっており、東京が300名、大阪が100名、そのほかの会場が50名ずつです。
試験内容は?
清掃作業について、写真やイラストから判断する判断試験が17問満40点と、12分間に3つの清掃作業を行う実技試験満60点の計100点満点で行います。それぞれ60%以上の得点で合格です。
詳細はこちらのPDFをご確認ください。
2020年8月~9月に行われた第二回試験では、受験者数141名、合格者数104名で、合格率は73.7%でした。
教材は、ビルクリーニング外国人材受入支援センターが発行している学習用テキストとDVDをこちらから確認できます。
まとめ:今後企業が取るべき採用戦略は?
ここまでビルクリーニング職で外国人の雇用が可能になる、新たな在留資格「特定技能」についてご紹介いたしました。各企業さまは転職が可能になる本資格での雇用に慎重な姿勢を見せていますが、先述の通り人材不足がより厳しくなることは間違いありません。どうせやるならできるだけ早いうちに受け入れ体制を構築し、外国人従業員との信頼関係を築いていきましょう。
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